中国発大人気アニメ!「羅小黒戦記(ロシャオヘイ戦記)」のネタバレ感想

アニメ

中国発の大人気アニメ映画「羅小黒戦記(ロシャオヘイ戦記)」を観ました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します。

登場人物とあらすじ

出典:羅小黒戦記公式サイト
出典:羅小黒戦記公式サイト

人間に住処を奪われた妖精 VS 妖精よりも強い謎の人間 のお話。

<あらすじ>
猫の妖精羅小黒(ロシャオヘイ)は、森で楽しい日々を過ごしていたが、人類の開拓により、森を追われ、あちこちを放浪しながら暮らせる場所を探していた。

その旅の途中で出会ったのは、同類のフーシー(風息)と人間のムゲン(無限)。

小黒(シャオヘイ)は二人と一緒に、信頼・理解・責任を学んでいき、ムゲン(無限)と深い師弟関係を築くー果たして小黒(シャオヘイ)は、安心して暮らせる所を見つけられるのか?

 

こんな人におすすめ

  • 妖精や自然など、人間を超えた大いなる存在に惹かれる🧚‍♂️✨
  • 一つの映画で、喜怒哀楽を思っきり体験したい!
  • 猫が好き🐈‍⬛🐾

 

ネタバレ感想

本作は当サイト運営者3人全員が観てきたので、それぞれの感想を書いてみます!

 

たこわさ
たこわさ

フーシーは悪ではない。

人間vs妖精の戦いに負けるべきなのは人間だったし、結末に納得していない。

本作では、人間(ムゲン&シャオヘイ)vs 妖精(フーシー)という対立が描かれていました。

最終的に、実は世界を支配できるくらい強力な力を持つシャオヘイを仲間にしたムゲン(人間)側が勝利し、フーシーは自殺します。

こういうA vs Bという映画は、多くの場合、弱い方が反旗を翻して、そっちが悪者に描かれがちですよね。

歴史はいつも強者によって語られます。だから、弱者はいつも歴史上、悪者です。

例えば、イギリス移民はアメリカ原住民から優しく迎え入れられたにも関わらず、土地を奪うために無抵抗なアメリカ原住民たちに銃を向け、あらゆる無意味かつ不当な暴力を振るって、人と土地を支配しました。

アメリカに反旗を翻した者もいましたが、彼らについて残された記録は、イギリス人移民たちに関する記録に比べれば少ないものです。

わずかに生き残ったアメリカ原住民は、イギリス人たちの「情け」で生き残ったか、もしくは、イギリス人たちの役に立つという理由で生き残りました。

歴史は繰り返します。

ムゲンとフーシーの戦いはまさに、イギリスとアメリカ原住民との戦いにそっくりです。

私はどう考えても、フーシーが悪者とは思えませんでした。

一番悪いのは、妖精に全く配慮せず開発を進める人間の方なのではないでしょうか?

作中では、人間は「共存しよう」と主張するだけで、妖精側ばかりに負担を強いています。

フーシーたち妖精は生まれた森や住処を人間のせいで無くしたのに、人間はそれに対して何の対価も支払いません。

豊かな自然は壊され続け、住処を追われ、人間は妖精が滅びるまで妖精たちに我慢を強い続けるでしょう。

なのに、どうしてやめてくれと声をあげてはいけないのか?反旗を翻してはいけないのか?

私は人間に勝ってほしくなかったです。

強い者は多くの場合、弱い者に共感することができません。虐げられた経験がなく共感ができなかったり、弱さを侮蔑するからです。

そして本作中でもやはり、人間という強者は妖精たちの住処を奪っておきながら、妖精たちに共感しません。むしろ、自分たちへの共感を強要します。

人間はそれまで、そしてこれからも、妖精たちを蔑ろにした責任を取るべきだと思いました。

本作を観終えて、一方的に弱者を蹂躙しても、弱者側のリーダーを殺せば問題なし!という強者側の一方的な主張を押し付けられているようでとてもモヤモヤした気持ちになりました。

 

小錦あや
小錦あや

フーシーに心奪われた。人間は彼とこそ対話・共存すべきだった。なぜ殺した?

二度目を見るなら、きっと、ずっとフーシーの言動を聞き逃さないように見つめ続けるだろうと思います。

それくらい、フーシーに心奪われました…。

一体どれほどの覚悟をして、フーシーはシャオヘイを探しだしたのだろうと思うのです。

だって、フーシーは絶対絶対、誰よりも、妖精たちの痛みを知る優しい人だから。

優しくなければ、自分が完全に悪者になって戦おうなんて思いません。

虐げられる痛みを知っていなければ、戦おうという気持ちを貫けません。

シャオヘイを、ただ彼の力を奪うためだけにさらったのなら「これからはここが君の家だ」なんて言わないでしょう。

ムゲンとシャオヘイが出会わないように、出会ってすぐに力を奪って殺すだろうし、シャオヘイに「僕の力が欲しくて優しくしてくれたの?」と言われて口籠ったりしません。

フーシーはきっと、シャオヘイを殺したくなかったはずです。

本当に、妖精の仲間として共に過ごしたかったけれど…でも、それ以上に自分たちを散々苦しめてきた人間を抑え込まなければならないという、妖精たちを率いる使命感、責任感が彼を突き動かしていたのだと思います。

最期まで妖精たちのありのままの生き方を守ろうと悪者に徹し続けた存在、フーシー…あまりに孤独で悲しかったです。

フーシーのように、完全に妖精の味方側の人間と対話し、互いの譲り合える部分を分かり合えてこそ「共存」と言えるはずです。

本作は、結局「共存」とは何たるかは描けていなかったなあと感じました。

ムゲンという人間が圧倒的な力で妖精を支配することが「共存」なのでしょうか?それは独裁者の恐怖政治に過ぎないのではないでしょうか?

かわいらしい絵柄の裏で、実はポップに独裁や支配を肯定するPRがなされているように感じられて、ゾッとしました。

ただ、ストーリーは一旦脇に置いて、キャラクターそれぞれは本当に個性的で魅力的でした。

絵柄の愛らしさやキャラクターの躍動感だけでなく、声の演技もすばらしかったです。

観終えてから何度も思い出すのは、離島でフーシーとシャオヘイたちが楽しく食事をしていたシーンですね。

あんな未来があったらよかったのにな…。どうして自分はスクリーンの中に入っていけないのだろうと悲しいです。

 

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

名優揃い!!どのシーンを切り取っても、萌える。泣ける。

2人が内容について随分語ってくれたので、私は声優さん方の演技についてお話しします。

私たち3人は吹き替え版を観たのですが、いやあ…出演者全員、すばらしい演技でした…。

特に、フーシー役の櫻井孝宏さんの演技は素晴らしかったです。

最期の「もう何度だって考えたさ……シャオヘイ、ごめんな」からの自殺。

シャオヘイの絶望したような掠れた声、フーシーの全てを覚悟した声…泣きました。人目を憚らず、号泣しました。

花澤香菜さんのお声はかわいくてヤンチャで、まさにシャオヘイが生きていたらこんな声だろうと思わされました。

松岡禎丞さんの演技も素敵でした!フーシーがシャオヘイの力を奪う際、「フーシーやめろ!俺が説得するから!」と叫ぶ声は、こちらの心が切り刻まれそうなくらい悲痛で…なんてセンシティブな演技をされるんだろうと感動しました。

声だけでこれだけの秘めた意思、感情を表現できるって、声優さんってすごいなあと改めて感じました。

 

まとめ

観る人によって意見が分かれる映画だなあと感じました。

ムゲンとシャオヘイが勝って良かった、もしくは、そうなるべきだったと思う側と、フーシーが勝つべきだったと考える側。

後者はたぶん、「もののけ姫」を観ると精神安定すると思います🐺✨

まだ日本で公開されたてなのでDVDなどは発売されていませんが、中国では、なんと画集や番外編が発売されています!

ぜひ見てみてくださいね💕

イラスト集 羅小黒戦記大電影:官方同人画集 中国版
作者:寒木春華
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漫画 羅小黒戰記
作者:MTJJ
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