「アマプラ同時上映会」第93弾!
当サイトの運営者3人が、Amazonプライムビデオでアニメやドラマ・映画を同時視聴する企画です🎬✨
今回観るのは、累計発行部数1200万部を突破した人気シリーズ「十二国記」。
早速見てみましょう!
- 登場人物とあらすじ
- こんな人におすすめ
- ネタバレ感想
- 第一話「月の影 影の海」一章
- 第二話「月の影 影の海」二章
- 第三話「月の影 影の海」三章
- 第四話「月の影 影の海」四章
- 第五話「月の影 影の海」五章
- 第六話「月の影 影の海」六章
- 第七話「月の影 影の海」七章
- 第八話「月の影 影の海」八章
- 第九話「月の影 影の海」九章
- 第十話「月の影 影の海」十章
- 第十一話「月の影 影の海」十一章
- 第十二話「月の影 影の海」十二章
- 第十三話「月の影 影の海」終章
- 第十四話「月の影 影の海」転章
- 第十五話「風の海 迷宮の岸」一章
- 第十六話「風の海 迷宮の岸」二章
- 第十七話「風の海 迷宮の岸」三章
- 第十八話「風の海 迷宮の岸」四章
- 第十九話「風の海 迷宮の岸」五章
- 第二十話「風の海 迷宮の岸」終章
- 第二十一話「風の海 迷宮の岸」転章
- 第二十二話「書簡」
- 第二十三話「風の万里 黎明の空」一章
- 第二十四話「風の万里 黎明の空」 二章
- 第二十五話「風の万里 黎明の空」 三章
- 第二十六話「風の万里 黎明の空」 四章
- 第二十七話「風の万里 黎明の空」 五章
- 第二十八話「風の万里 黎明の空」 六章
- 第二十九話「風の万里 黎明の空」 七章
- 第三十話「風の万里 黎明の空」 八章
- 第三十一話「風の万里 黎明の空」転章
- 第三十二話「風の万里 黎明の空」九章
- 第三十三話「風の万里 黎明の空」十章
- 第三十四話「風の万里 黎明の空」十一章
- 第三十五話「風の万里 黎明の空」十二章
- 第三十六話「風の万里 黎明の空」十三章
- 第三十七話「風の万里 黎明の空」十四章
- 第三十八話「風の万里 黎明の空」十五章
- 第三十九話「風の万里 黎明の空」終章
- 第四十話「乗月」
- 第四十一話「東の海神 西の滄海」一章
- 第四十二話「東の海神 西の滄海」二章
- 第四十三話「東の海神 西の滄海」三章
- 第四十四話「東の海神 西の滄海」終章
- 第四十五話「東の海神 西の滄海」転章<終>
- まとめ
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
どこにでもいる普通の女子高生だった中嶋陽子の目の前に、「ケイキ」と名のる謎の青年が現れたことから物語は始まった―。
ケイキに連れられたどり着いた異世界で陽子はケイキとはぐれ、なぜここに連れてこられたのか、なぜ妖魔に襲われるのか、様々な疑問を抱きながら、また蒼猿という幻に、焦燥や疑い、不安を駆り立てられ誰も信じられず辛く孤独な旅を続けた。
やがて、楽俊という友に出会い、助けられ心癒された陽子は、同時にこの異世界のことについて知っていく。
こんな人におすすめ
- 異世界で女子高生が逞しく成長する姿が見たい!!💪🔥
- 国を治める難しさについて、主人公とともに悩みたい🌀
- 中華ファンタジーの名シリーズを堪能したい!!
ネタバレ感想
第一話「月の影 影の海」一章
<あらすじ>
中嶋陽子は、典型的な優等生タイプの高校生。
しかし、クラスではいつも不思議な疎外感にさいなまれ、また家庭にも居場所がないと感じていた。
不安な毎日を過ごす陽子の前に、ある日突然金色の髪を持つ「ケイキ」と名のる青年が現れ、「あなたを探していた」と告げる。
主人公・陽子と浅野くんは随分気安い仲なんですね。とはいえ、陽子は家でも外でもずっと何かに怯えてるような感じがします。
陽子たちの通う学校は、男子クラスと女子クラスと分かれてる模様。
学級委員長である陽子は、杉本さんとだけは仲悪いんですね。杉本さんはクラス全員からいじめられてるのか。
浅野くんと杉本さん、付き合ってるのかな?そして陽子は幼馴染の浅野くんが好き、と。切ない三角関係ですね。
夜空に浮かぶ月が赤いし、金髪の少年曰く「血の匂いがする」し、怖いなあ。何の前触れだろうか。
え!?誰!?追手の気配?「許すと言え」?なぜみんな殺されてるのに陽子と謎の金髪男性だけ無事なの?😨
杉本さんの妖怪への順応力高いwww
水禺刀(すうぐうとう)で切る時、目は閉じちゃだめなの?なぜ?🤔
陽子が嫌々言いつつもどうにか妖獣を切ってくれてよかったです。一安心。
陽子は「人に迷惑をかけられない」って理由で謎の金髪男性からのお願いを断ってたけど、他人に嫌われるのが嫌なだけでは?🤔
第二話「月の影 影の海」二章
<あらすじ>
光の渦を抜けてきた陽子は、新たな妖魔に襲われて、ケイキや浅野、杉本とはぐれてしまう。
不安を抱えたまま歩き回る陽子の目に飛び込んできたのは、今までに見たこともない異様な海。ここはいったいどこなのか…?
陽子は現実の海を超え、虚海という海に降り立ちます。
ええー!?杉本さんたちも連れて来ちゃったの!?
台輔である景麒は血の匂いがダメらしいですが、何か理由があるのかな?🤔💭
しかし陽子はこれだけの苦境の中でもなかなか戦えませんね。目を閉じるなと景麒が叫んでましたが、目を開けてないと冗祐が動けなかったりするんでしょうか。
陽子、景麒を徹底的に拒否していたのに「迎えにしてくれないのかしら」と徹底的に待ち姿勢&大切そうな宝剣をあっさり町人に渡してるところが不安です。
このハードそうな世界を、平和ボケした陽子は生き抜けるのか…?
杉本さんは陽子より先に牢に囚われてたんですね。
え!?この世界に来た瞬間に陽子の容姿がガラッと変化してる!?
目が緑色、肌も小麦色、髪もルビーみたいに光り輝く赤色ですね。こりゃ全くの別人だ。
景麒はどこで足止めを食らっているんでしょう。しかも陽子たちの世界に現れた蠱雕(景麒の敵側の使令:使い魔)にまたやられて、血を大量に浴び、どっと倒れ込んでしまった…😨し、死んだ…!?
海客は県知事に届けるものなんですね。へ〜①海客は来ることはできても帰ることはできない ②ほとんどが来るときに死んでいる のか…新情報ですね。
今回陽子たちが来るために起こした蝕のせいで、そこら一帯の村々は滅びた…なんてことだ…。
第三話「月の影 影の海」三章
<あらすじ>
馬車に乗せられた陽子、杉本、浅野の三人は、妖魔の群れに襲われる。
が、陽子の身体に取りついたヒンマンの力が発動し、その場を切り抜ける。
当てもなく森の中を歩きまわる陽子たちはやがて一軒の家を見つける。
杉本さんは積極的に剣をとって戦おうとするけれど、陽子は消極的ですね。元の世界への未練の差かな。
陽子が元の世界で会った金髪少年は、尚隆っていう男の台輔なんですね。なんとなく、尚隆は言動からして遊び人っぽいな。
「慶国は先代の女王が崩御してから妖魔が出没・土地は荒れ放題になっているけれど戴国ほどではない」ということは、戴国は一体どんな地獄の様相なのか…😨
慶国で新たな王として支持を集め始めているのは舒栄。
先代女王の妹だそうですが、王の血縁者は次王にはなれないということは確実に偽王!!!😨
この国の台輔がわざわざ動くのは、災いの前兆…つまり、陽子たちの存在が巧国全体にその災いを広げる…!?
得体の知れないものに自国を侵されたるのは嫌だけれど…🤔
巧国王が使役してる鳥をブチッとちぎって二羽にするところ、アメーバみたいで笑っちゃいましたw
巧国の塙麟は塙和って名前なんですね。えっ…待って…彼女の前にぐったりした景麒の姿が…まさか亡骸…?
碧双珠の力、SUGEEEE!!自分だけじゃなく他人の傷も手当てできるんですね。珠の力による反動とかないのかな?💦
達姐という一人暮らしの女性に優しくもてなされてカサイという街へ行くことになった一行。
しかし前王の崩御理由怖すぎません?女を1人残らず国から追い出そうとするなんて…狂ってる…。
その妹が即位しようとしてるなんて…景麒の行方も不安だし、一体何がどうなってるんだ?😨
第四話「月の影 影の海」四章
<あらすじ>
達姐に連れられ、達姐の母親が営むという宿屋にやってきた陽子たち。
しかし、母親のところに話をしに行ったきり達姐は、なかなか戻ってこない。
実は達姐は陽子たちに仕事を紹介するのではなく、宿に売り飛ばそうとしていたのだ。
陽子たち、まだ巧国にいるんですね。
陽子の夢の中に出てくる仮面の男は何者なんでしょう?🤔💭
たくさんの仮面が宙に浮く中で、「お前も聞き分けのいい良い子の仮面をつけている」「お前が死んでも誰も困らない。心配なんてしない」とズバズバ言ってきます。しかもこれは陽子がこちらの世界に来る前から。
仮面の男は陽子に一体何を望んでいるの?🤔
陽子はどうしても元の世界に帰りたいようですが、仮面の男の見せる元の世界の様子を見る限り、帰ったところで自分の居場所はないですよね。それでも帰りたいのか…不思議だなあ。
浅野くんは隙あらば杉本さんといちゃつこうとして…もう、どうしようもない男だなあ。
塙麟、指令を何頭か呼んでいましたが…どうするつもりでしょう?また陽子たちを襲わせるのかな?
陽子は自分たちを娼館に売る相談をしている達姐の声を聞いてしまい、慌てて逃げ出します。
杉本さんと付き合っているのを知っていながらも、恋心を隠せず浅野くんの胸で泣きじゃくる陽子。浅野くん、両手に花ですね。
杉本さんが景麒とエンカウント!?と思いましたが、塙麟でしたね。2人の出会い、なんだか不穏だなあ…。
第五話「月の影 影の海」五章
<あらすじ>
嘆くだけの陽子に苛立つ杉本は、森の中を一人歩いていた。
そこに、金色の髪の女性が現れ、杉本が必要だ、と言う。自分がこの世界で求められている、と信じた杉本は、陽子たちと別行動をとる。
残された陽子と浅野はあまりの空腹に耐え切れない浅野を見て、陽子は人から食料を奪おうと決意します。
塙麟、杉本さんが海辺で倒れてた時に遠くから見てたんですね。てっきり景麒かと勘違いしてました。
杉本さんが錯王に召集されたから、陽子は愛しの浅野くんと2人きりです。
王が不在ゆえ国土が荒れ果て、難民たちはみんな慶国から逃げてるんですね。六太が妖獣を蹴散らしてたのがカッコよかったです。小さいけど強い!!
杉本さんが「私の物語に巻き込んで悪かったわね」って言うのが厨二病感満載で好きですw それに浅野くんに「ついて来たら殺す」ってガチギレするところも強くて好きw
へ〜慶国では舒栄一派が王宮に立てこもっているのか…。
麒麟に選ばれたことこそ天命は下った証拠、つまり王になる資格があるということ…のわりに、景麒がぐったりしてませんか?角に何か書かれてるし…。
何ィ!?!?景麒の角を封じ、言葉を奪って そばにおいてるだと!?!?
なるほど、錯王は舒栄一派に力を貸し、慶国を巧国の傀儡政権にするつもりですね。
第六話「月の影 影の海」六章
<あらすじ>
陽子と互角に渡り合う杉本。そして、陽子は傷つき気を失ってしまう…。
目を覚ました陽子が見たのは、見知らぬ家と言葉をしゃべるねずみ。
舒栄は景麒を自分の足元に置いた姿を民に見せることで、王としての信頼を高めているんですね。景麒の封印をとけるのは王だけ…つまり陽子だけ!!
うわ!?ねずみ!?!?
瀕死の陽子を助けてくれて…優しいねずみですね。ちょww 突然陽子闇落ちしたww このねずみくん、楽俊っていうんですね。
ここからはこの国の成り立ちについてねずみくん、楽俊が概要説明してくれます。
世界の真ん中に黄海があり、周囲に荒地がある。東西南北の金剛山の周りを8つの国がぐるっと囲んでいて、範、恭、柳、雁、慶、巧、奏、才の外側に舜、漣、芳、戴。
この国ではあらゆる生き物は「胎果」…つまり木に実って生まれる。
でも手違いで胎果が蓬莱に飛ばされることもある。
雁国の王は、台輔も胎果生まれ蓬莱育ち。戴国の台輔も胎果生まれだけど死んでしまった。
楽俊の説明を聞くに、海客である陽子は雁国に行くべきですね。いろいろ教えてくれてありがとう〜!!
楽俊のお母さんは人間なんですね。あ、胎果から生まれるから、子供は必ずしも親に似ないのか。
ええ〜!!??初対面の人間、しかも超無愛想な陽子を雁国まで連れてってくれるの!?楽俊優しすぎでは!?泣くわ…。
楽俊、何度もお母さんを振り返ってる…無理しないでいいのに…。
小学を出られれば地方の官吏になれるはずなのに楽俊がなれなかったのは半獣だから。
巧王は変わったものが嫌いだから仕方ない、天がそう決めたから仕方ないと楽俊は言うけれど、本人が一番悔しいはずですよね。
何ィ!?雁国なら半獣でも大学まで行けるのか!?雁国進んでるな!!
楽俊は「俺は神に頼らない、祈らない」って断言するところにグッときました。謙虚に努力し続けてきた楽俊だからこそ言える言葉ですね。
妖魔は普段人を狙わないの?ならなぜ陽子だけを狙うんだろう…。
げっ!蠱雕が!!闇堕ちした陽子が戦闘狂になってますwww
第七話「月の影 影の海」七章
<あらすじ>
楽俊と共に雁の国を目指して旅立った陽子は、訪れた町で妖魔に襲われた。
我先にと逃げる人々、妖魔が来ないように門を閉める役人たちの姿を見た陽子は、人は他人のためには生きられないのだ、と悟る。
すべての妖魔を倒した陽子は、傷つき動かなくなった楽俊を見つける。
錯王曰く、「人は結局自分のために生きている。人は自分が生き残るために他者を殺す」。うーん、真理ですね。
陽子は闇落ちし、「私は獣だ!」と遅いくる妖獣たちを人々が怪我するのも構わずにぶっ殺しまくります。
陽子が全ての妖獣を殺し終えた後見たのは、一面の罪なき負傷した人々。その中にはぴくりとも動かず大量に血を流す楽俊も。
1人で屍の山の中に立ち尽くす陽子に官吏が声をかけようとしますが、陽子は楽俊にとどめを刺すか悩み、彼をそのままして逃げ去ります。
そして逃げきった陽子は水禺刀の幻、青猿と再会。今からでも楽俊にとどめを刺すべきだと囁く青猿に、陽子は苦悩しながらも「自分が楽俊を殺さなくてよかった」と泣き崩れます。うう…陽子…やっと闇堕ち状態から自分の本心を取り戻せたね…。
陽子は楽俊を思い、「自分が相手を信じることと相手が自分を裏ぎることは関係ない。誰も私に優しくしてくれなくても、私は誰も信じない卑怯者にはならない!」と青猿の誘惑を切り裂きます。
楽俊のもとに戻りますが、時すでに遅し。楽俊の姿は跡形もなく、生死さえわかりません。
そんな時、陽子は「神様はなぜ国を作ったか?」など神話を披露して回る朱旌(旅芸人の一座)と出会います。
「野木(やぼく)のそばにいれば妖魔に襲われない」など、生きた知識を教えてくれる優しい朱旌たちに陽子は心洗われます。
「雁国までは一緒に行けないけれど、途中のアガンという街まで一緒に行こう。それまではあんたが妖獣退治の用心棒をしておくれ」と頼まれ、しばらく彼らと共に生活する陽子。楽俊のその後が気になりますが、とても穏やかな日々です。
陽子は「天が王を怒っておられるから治世が乱れる」と朱旌の演じる題目に教えられ、慶国の現状を憂います。
一方その頃、錯王に呼び出された杉本さんは、辺境の地に追いやられ「中嶋さんなんかよりあたしの方がよっぽど強い!あたしの場所に連れてって!」と絶叫していました。
巧国の役人に抜き打ち検査で陽子の存在がバレそうになりましたが、陽子が黄鉄さん(陽子を厄介者だと思っている朱旌の1人)の芸をとっさに真似できたので誤魔化せました。ほっ。
陽子は目当ての街に着いたので座長にお別れを言うと同時に、「腹が減ってひもじかった時、あなたを襲って金も命も奪おうとした」と懺悔しようとしますが、座長は陽子を制して許します。
楽俊のおかげで私はマシになれたと心の中でつぶやく陽子。
楽俊のおかげて変わった陽子、そして成長した陽子が座長からの無償の愛に感じ入る姿に涙が溢れます…😭
第八話「月の影 影の海」八章
<あらすじ>
荒廃した村で暮らす杉本は、塙王に翠篁宮へと呼び出される。
陽子がまだ生きていることを知り、再び陽子を殺める機会を望む杉本。
そして、賓満に命を吹き込まれ苦痛に耐え凌いだ杉本の顔は、全く別人に変化していた。
塙麟は瀕死の重体です。寝床から起き上がることもままなりません。
錯王は嫌がる塙麟に命じて、使令に杉本さんの顔だけでなく力を増強させるなど人体改造を行います。杉本さん、外見的には男に変身しました。
さて、朱旌が演じる題目に話は飛びます。
天帝が私たちをどう作ったかというお話です。
「天帝は5人の神と12人の人を残して全てを卵に変えた。12人にそれぞれ3つの実のついた枝を渡した。枝には蛇が巻き付いていて、蛇が空を持ち上げ、実は落ち、土地と国と玉座になり、枝は筆になりました。」
なんだか暗喩だらけな感じですよね。
そして杉本さんは塙麟の使令のおかげか、雁国への渡航前の陽子を見つけます。
陽子と共に雁国へ行くと言ってくれた朱旌の一座でしたが、彼らに迷惑かけないように、陽子は彼らと約束した場所には現れず日を改めることにします。
遠くから雁国行きの船を見送る陽子のもとに現れたのが、なななんとあの黄鉄さん!!!
陽子を嫌っていた彼でしたが、仲間たちのことを思って身を引いてくれてありがとうと礼を言うために陽子を探してくれていたのでした。
しかも陽子のために、亡き妹のために取得した朱旌の証に加え、船まで用意してくれていた黄鉄さん。陽子は何度もお礼を言って、雁国に出発します。
一方、雁国への船上。半獣の少年が大人たちにいじめられています。
巧国では半獣は親も恥じて家から出してもらえないのだそう。でも、もう巧国だから俺をいじめるなと子供が叫んでも、大人たちは殴る蹴る、罵倒をやめません。最悪だ…。
錯王はじきに失道するよ、麒麟が病に伏せるのがその兆候だから…役人も逃げ出してるって聞くし…と船に乗った民たちは噂しています。
雁国行きの船に追いつき、乗せてもらう陽子。陽子を見つけた杉本さんは、早速斬りかかります。
杉本さんの陽子討ちを助けるように、大量の蠱雕が船を襲います。
そんな中、半獣の少年が、自分をいじめていた大人たちを助けようとして蠱雕に殺されます。「俺は雁国でやりたいことをやるんだ。頑張るんだ」と言っていた、希望に満ちていた子が…。彼にとって「自分のやりたいこと」は自分の正義を全うすることだったんですね…。
でも、あんな奴のために死ぬ必要なかった、どうして自分をいじめた奴を庇ったりしたんだと涙が止まりません。悔しいです。どうして…あなたには輝かしい未来が待っていたのに。
嵐はじきにやみ、雁国に到着します。穏やかな気候、人々は活気に満ち溢れており、王の偉大さを感じさせられます。
それゆえに、渡航中の船で死んだ半獣の少年の命が悔やまれます。つらい。
第九話「月の影 影の海」九章
<あらすじ>
巧国から出港した船で雁へとやってきた陽子。
そこで自分の名を呼ぶ懐かしい声が聞こえてくる。
振り返った陽子の目に映ったのは、楽俊の姿だった。
楽俊ーー!!!!待っててくれたのか!!!!😭😭😭
あれ?杉本さんの外見がもとに戻っていますね。なぜだ?
雁国には海客が多く集まるようで、役所には日本語が話せる海客専用窓口もあります。すごい。
杉本さんは巧国と雁国の違いに驚きますが、塙麟の使令が杉本さんを見張っています。
台補って宰相補佐のことなんですね。雁国は500年間も1人の王様が治めているそう。しかもその高官たちも同じように不老不死なのだとか。
雁国の芳陵という港町を散策する陽子と楽俊。宿を探す2人ですが、庠序(雁のみに存在する、進学を目的としない人に対する郷の教育機関)なら安く泊めてもらえるからと門を叩きます。
するとそこにいたのは、海客である壁落人という男。東大安田講堂事件に参加していた当時22歳の東京大学の学生で、バリケードの中を這い進んでいたらなぜか慶国にたどり着いたのだそう。
彼から、海客について詳しく教えてもらう陽子と楽俊。
陽子のように、こちらの世界に来て声や体が変わるのは胎果から生まれたから。
蝕で流された卵胎は日本で適当な親の体内に宿り、生まれますが、こちらの世界に戻ってくると、日本で被っていた殻が外れて「元の姿」に戻るのです。
ちなみに、野木からは獣や草木、里木からは人が生まれます。
胎果であろうと、海客が皆こちらの言葉を話せるわけではありません。
景麒から「許せ」と言わされたという陽子の話と王や高官は世界を渡っても言葉で困らないことから推察し、壁落人は陽子が慶国の王であるはずだと言います。
しかし、妖魔は人を襲わないのに自分だけ襲われるのは、自分も妖魔だからではないか、人に化ける妖魔もいると聞いたと主張する陽子。
しかし、壁落人はあちらとこちらを行き来できる唯一の存在が「景国の麒麟」。
麒麟は孤高の生き物で、王以外には従わない。麒麟が選んだ者こそ王、つまり陽子こそ慶国国王だと断言します。
また、歴代王を見ても、玉座につくまでは皆ただの人。例えば、延王 小松三郎尚隆は普通の人間だったが、陽子と同じくこの世界に来ても言葉に不自由しなかったと話します。
一方、杉本さんは言動を逐一錯王に見張られていました。
第十話「月の影 影の海」十章
<あらすじ>
延王を尋ね訪れた雁国の街で、再び妖魔に襲われ苦戦する陽子。
そこへ突然男が現れ助けにはいる。
その桁違いの腕力や見事な剣さばきに、次々と倒されていく妖魔たち。
スーパー気さくな延王。城下町では風漢(ふうかん)と名乗って遊んでいるようです。
陽子以外は抜けないはずの、慶国秘蔵の包丁・水禺刀をあっさり抜く延王。水禺刀を抜いた時に陽子が見た仮面の男は青猿と呼ばれており、持ち主の不安や疑い・焦燥といった感情を煽り立てるのだそう。
どうやら鞘が脆くなっているため、延王でも抜けてしまったようです。
陽子は楽俊に改めて自分を変えてくれて、旅に付き合ってくれてありがとうと感謝すると、「陽子を見捨てて危険じゃないところに行くより、陽子を見捨てないで危険なところに行く方が自分にとって値打ちがある」と照れ臭そうに返されます。
うわーーーん!!!楽俊!!!ありがとう!!!😭
陽子たちは延王に誘われ、天に届くほど高い山の頂上にある玄英宮に向かいます。
途方もなく長い階段には術をかけており一瞬で移動できたり、空の上に雲海という海があったり、不思議な光景に陽子はただただ驚きます。
延王は陽子がこの世界についてあまりに無知であることに呆れ、さまざまなことを教えてくれます。
まず、麒麟は蓬山に生まれる霊獣のこと。本性は正義と慈悲でできています。麒麟が死ねば、王も近いうちに死にます。
そして、陽子を次期景王として認めた上で、延王は「自らを統治できぬものに国は統治できない」と助言します。
多くを語らない延王と延麒の代わりに、腹心の官吏・楊朱衡が「ぜひ知っておいて欲しい」と彼らの過去を語り始めます。
延王はもともと戦国時代の瀬戸内水軍であった国人・小松家の跡取りだったのです。
第十一話「月の影 影の海」十一章
<あらすじ>
戦乱に明けくれる中世の京都に、蝕によりこの地へと流れ着いていた幼き六太の姿があった。家族を養っていくことが出来なくなった両親の手によって、山の中に捨てられた六太。
やがて空腹と疲労から意識を失いかけた時、一匹の獣が近づいてくる―。
延麒がどうやってこの国にやって来、延王を選んだのかが楊朱衡によって語られます。
応仁の乱の最中、実の親に口減らしのため山の中に捨てられた六太。もういよいよ死ぬという時、蝕に流された麒麟の卵果を探していた女怪・白沃飛に見つけられました。よかった…。
麒麟は成獣になるまで蓬山で育てられるため、六太は蓬山で衣食住に困ることなく過ごします。
しかし王を決める前にまず自分の国を見たいと雁国へ出向いたところ、あまりに凄惨な様子に言葉を失ってしまいます。
前の延王(梟王)は、即位して長く善政を布いたものの次第に殺戮に興じるようになり、麒麟の失道により斃れたのだそう。
蓬山で女仙たちからは「年4回の安闔日に、我こそ王と上ってくる人たちの中から王気が出ている者がいれば選んで欲しい」と言われる六太。しかし、六太は「王がいるから国は滅ぶのだ」と頑なです。
そして、王を選びたくない!と我慢の限界が来た時、無意識に蝕を起こして日本に戻っていました。
そして各地を放浪している時、血の匂いに酔った六太を小松家の若君、今の延王が保護したのでした。いやぁ…運命ですねえ。血の匂いに酔ったのか。
しかし六太が助けられた時、尚隆は国が滅ぶか否かという瀬戸際でした。
王さえいればいつでも国は蘇る、逃げてくれと説く家臣たちに、「民あってこその国だ!」と、自分が囮になるから民を連れて逃げよと激を飛ばす尚隆。それを影で聞いていた六太は、亡き自国、荒れ果てた雁国を思い出します。
尚隆は家臣たちに宣言したとおりぎりぎりまで囮となって戦い抜きますが、いよいよ敵は目の前。もはやこれまでという時に、なんと自国民たちが尚隆を助けようと引き返してきます。
「若!」と叫びながら老人も若い女子供も皆が必死で戦いますが、全員が殺されました。
六太は尚隆だけをどうにか助け、自分1人が助かったことに言葉を失う尚隆に「国が欲しいか」と問います。尚隆はしばし悩んでいましたが、「欲しい」と断言。
そして2人は、船の上で2人だけで延王・延麒となる契約を交わしたのでした。ウゥッ…泣く…雁国はまさに、延王・延麒が二人三脚で作り上げた国なんですね。
第十二話「月の影 影の海」十二章
<あらすじ>
雁国の王と麒麟との出会い、そして前景王が商人の娘だった事を聞いた陽子は、景麒が何故自分も含め普通の人を王として選んだのか考えていた。
すると水禺刀が光り始め、そこに景麒と見知らぬ女性の姿を映し出す―。一方、壁落人のところに身を寄せる杉本は、「言葉は通じなくとも、心は通じる」という壁の過去の話を聞き、それが自分自身に当てはまる事を痛いほど感じる。
前の景王・予王は、一商人の娘でした。政治に興味がなく、この人は政治に向いていないと思いながらも、王気を感じた景麒は彼女を王に選びます。敵だらけの王宮内で景麒に信頼を寄せるあまり、その愛が暴走して「王宮内だけでなく国内から女全てを追放しろ」という恐ろしい勅命を出してしまいます。
しかし王がこれほど暴走すれば天は黙っていません。予王が景麒に執着するほど、景麒は病で伏せるようになっていきました。景麒を救うには、世王が退位するしかありません。
予王は景麒を愛するがゆえに、自ら退位を申し出たのでした。
そういえば、浅野くんはどうなったんでしょう。死んだ?(勝手に殺すな)
錯王は陽子がなかなか死なないので、痺れをきらして自ら雁国に赴きます。杉本さんは壁落人のもとですっかり牙を抜かれたのかと思いきや、錯王が来ると聞くとすっ飛んでいきます。彼女はいつも誰かに求められたいんですね…切ない。
ここで戴国の話に。戴国は内乱の真っ只中らしく、泰麒と泰王は揃って行方不明なのだとか。
泰麒は高里要という名前の黒麒麟。麒麟には本来親も名もなく、最期に死体は使役している妖魔に喰われるようです。
延王は「自分は愚かだということを忘れなければ、半身が助けてくれる」と、景王になる決心がつかない陽子を励ましてくれます。
他国に干渉すると麒麟は病んでしまうため、塙麟は瀕死です。
杉本さんはどうしても「なぜ自分ではなく中嶋さんが特別なのか。あの人は臆病で、王になる資格はない。私の方が勇敢だ」という考えを捨てられません。そんな彼女を壁落人は諌めるのですが、錯王の甘言に釣られた杉本さんは、陽子を庇う壁落人を刺してしまいます。
そして陽子から水禺刀を奪った杉本さんは陽子の心臓を貫…くはずでしたが、水禺刀は陽子の体を通過します。陽子以外が使うと、自然と形状変化するのかな?
水禺刀が杉本さんに錯王の思惑を暴露し、杉本さんはやっと自分は利用されていただけなのだと気付くのでした。
第十三話「月の影 影の海」終章
<あらすじ>
新たな王が誕生する慶国に劣り、愚王だと呼ばれる事を怖れ陽子を殺そうとした。その真意を暴かれた塙王の前に、失道の病に陥った塙麟が姿を現し再び巧国の為に善き治世を行って貰いたいと願う。
陽子を殺すよう命じる塙王と、悲痛な表情を浮かべる塙麟。
錯王を追ってきた塙麟は、病に犯され無惨な姿に成り果てていました。
「もうおやめください」と懇願する塙麟を無視し、「景王を殺せ」と陽子を殺すよう指示する錯王。
しかし塙麟がなかなか動かないため、錯王は自ら剣を持ち陽子に襲いかかります。そしてその刃は、なんと陽子を庇った塙麟の心臓を貫いたのでした。
塙麟は女怪・白尹灑に守られ、地の底に沈んで行き、使令たちに喰われます。
錯王は自分の手で塙麟を殺めてしまったこと、そして麒麟が死ねば王も近いうちに死ぬことを予期して泣き叫びます。
麒麟は王命に背くことはできないと思っていましたが、強靭な意思があれば背くこともできるんですね…。
錯王を前にして、陽子はなぜ麒麟を王にしないのだろうと疑問を持ちます。延王は、「麒麟を王にしないのは、愚かさを分け合うためだ」と返答。陽子は自分は愚かで非力な存在だから王という役目は、麒麟と分け合うとしても荷が重いと悩みます。
ここで楽俊が人型に変身!!謎の全裸タイムですwww
「悩んだ時は、自分がやるべき方を選んでほしい」「俺は陽子がどんな国を作るか見てみたい」と、陽子の背中を押してくれる楽俊。ありがとう楽俊😭
陽子は景王になるかは一旦保留にして、ひとまず景麒を延王と共に助け出すことを決意します。
慶の国に着くと、景麒はなんと牢に閉じ込められ、鎖で繋がれ捕らえられていました。
衰弱しきった景麒に、「助けに来た」と声をかける陽子。くううううう(号泣)
景麒の牢を守っていた舒栄派の民兵たちは陽子たちを捕らえようとしますが、陽子が「麒麟は王に自然と侍るもの。なぜ麒麟を捕らえておかねばならぬのか、その意味が分からぬのか!」と舒栄が真の景王ではないことを仄めかし、強い眼力で彼らを捉えた途端、全員が震え上がって自然と平伏します。
舒栄一派は金波宮に立てこもっていましたが、延軍により陥落。やっと景王と景麒は再会できたのでした。
そして杉本さんは、景麒の力で日本に帰ることに。王は結婚ができないと決められているので、杉本さんは「たくさん子供を産むから!」と叫びながら蝕の中へ去っていきます。
そして、陽子たちと同じ学校に通う高里要。彼は現実世界では1年間神隠しに遭っていたという、泰麒です。
第十四話「月の影 影の海」転章
<あらすじ>
先代の景王の妹、舒栄を偽王として立て、慶国が自国よりも豊かにならないように企てた塙王。しかし巧国の麒麟である塙麟の「死」により、それが現実になる事はなかった。
一方、理由を聞く暇も与えられず景麒によって十二国の世界へ連れてこられた陽子はついに自分自身で慶国の新たな王となることを選んだ。
十二国記の世界の成り立ちを振り返る回です。
陽子はとりあえず景王になると決意したようです。
国土とは民を、国とは法律を、筆は歴史を、玉座は人道つまり麒麟を意味します。
黄海には妖獣や妖魔がおり、麒麟はそれらと違う、12しか存在しない霊獣です。
麒麟は基本的に不老不死ですが、王が失道すれば病にかかりますし、胴を真っ二つに切られるなどした場合も死にます。麒麟が死ねば、王も後を追うように死ぬのが常です。
また、雄の麒麟は麒、雌は麟と呼ばれます。例えば、景麒、塙麟…といったように。
王や麒麟に対してのみ、慶は景、雁は延など、国氏という特別な呼び名が与えられます。
そして楽俊。雁国で大学の入試が受けられるよう延王が取り計らってくれた模様。よかったなァァァ!!!😭
延麒 六太と延王 小松三郎尚隆曰く、慶国にある全六つの州のうちほとんどの州公を巧国が支援しており、また、舒栄自身は自分が非力であることを知っていたからこそ支援を受け入れ、舒栄を飾りの王とした巧国による傀儡政権が成立しそうになっていたのでした。
延王は楽俊に、銀の粒を食べさせてあげれば声を録音して届けてくれる鳥を授けます。これで陽子と楽俊のやりとりができるように。
「陽子がどんな国を作るか楽しみ」と言ってくれた楽俊のおかげで、陽子は景麒の奪還だけでなく王になる覚悟ができたようです。ありがとう楽俊〜!!ナイスプレーッッッ!!😭😭😭
第十五話「風の海 迷宮の岸」一章
<あらすじ>
慶国の麒麟、景麒によって王としての選定を受けた陽子は正式に王位を授かる為、天が存在するという世界の中央にある五山の一つ、蓬山を訪れていた。天から王位を授かるまでの間王と麒麟が滞在する宮へと向かう。
その途中、景麒は未だ消息が分からない戴国の麒麟、泰麒のことを聞くため、蓬山に住む女仙の一人・蓉可と再会する。
泰麒である要は、自分を虐待していた祖母が死んだ日に現世に舞い戻ってきました。
要は自分に害する人が次々と事故にあったり死亡する不思議な力を持っていることから、不用意に近づいてくる杉本さんに「もう来ない方がいい」と忠告します。
話は泰麒の胎果に遡ります。女怪・白汕子は泰麒の胎果を目に入れても痛くないほど大切に保護していましたが、ある日突然の蝕のせいで胎果は日本に流されてしまいます。
白汕子の必死の捜索も虚しく、要はなかなか見つかりません。
麒麟は角に触られることを異常に嫌います。それゆえに、要は幼い頃に祖母から額を撫でられそうになって跳ねつけたところ、その時から祖母に陰湿な虐待を受けるようになったのでした。父は祖母(自分の母親)を庇い、母は要に耐えろと強いて、弟はお前のせいで俺の肩身が狭いと攻撃します。要にはどこにも居場所がありませんでした。
そしてある雪の降る夜、要の態度に難癖をつけた祖母は、要を薄着かつ裸足の状態で寒空の下に放置します。座ることも許さず、泣いて土下座でもして謝れば許してやると言い捨てて自分は温かい家の中へ戻っていきます。
要は「自分さえいなければこの家族は幸せなのに」とぼうっとしていると、手招きしている白汕子の腕を見つけます。
その腕に触った途端、要は引き摺り込まれ、蓬山に舞い戻ったのでした。
要を探ろうと彼の弟に近づいた杉本さんでしたが、弟にガチ惚れされてしまいます。杉本さん、モテますね。
蓬山では、泰麒が戻ったことに加え、要のような黒い髪の麒麟は珍しく吉事ありとの言い伝えがあるため、盛大に祝われたのでした。当時、要は10歳でした。
第十六話「風の海 迷宮の岸」二章
<あらすじ>
陽子は、自分と同じく胎果として日本で育った幼い戴国の麒麟・泰麒の話を、景麒と蓬山に住む女仙の蓉可から聞いていた。
泰麒は蝕によって日本に流され十年の時を経て蓬山へと帰還した。そして、日本では自分の存在自体がまわりに不快な思いを与えてしまっているとしか思えなかった泰麒は、自分が家族と一緒にいてはいけなかったのだと理解し、故郷への別れを受け入たのだった。
要は、家族の誰からも愛されていませんでした。それどころか、ただ生きているだけで疎まれ、蔑まれ、いじめられていました。
蓬山へ来た要は「自分は家族と共にいてはいけない存在だったのだ」と無理やり納得させ、蓬山での生活を比較的積極的に受け入れていきました。
泰麒の生活の世話をする女仙たちは、前の蓬山公(蓬山の主である麒麟を指す尊称(蓬山にいる間のみ))は景麒だったから、今回の蓬山公は気安くて嬉しいと軽口を叩きます。景麒…www
しかし泰麒は普通の麒麟であればできるはずの転変ができないことから、自分に王気が感じ取れるのかと不安がります。
しかし、女仙も白汕子も、麒麟ではないので他のどんなことも教えられても、麒麟しかできないことについては教えることができず困り果てます。
日本に流された時に獣の性が抜け落ちてしまったのかもしれない、でもいつかできるようになるから焦らなくて良いと白汕子と女仙たちは泰麒を慰めるのでした。
そんな折、泰麒は外の世界が見たいと女仙に頼み、霊山門まで連れて行ってもらいます。その時、なんと台王の座を狙う悪漢・醐孫に捕らえられてしまう泰麒。
民の中には「麒麟を跪かせれば王になれる」などの誤った知識が一部で広まっており、それを盲信した輩のようです。
手首を鎖で繋がれ、崖の上から引き摺り下ろされたことで血塗れになってしまいます。
第十七話「風の海 迷宮の岸」三章
<あらすじ>
突如蓬廬宮の外へと引きずり落とされてしまった泰麒。何が起こったのか分からないなかで、手首に鎖が巻きつけられ、そこから赤い血が流れ出しているのが見えた。
泰麒を捕らえた醐孫と汕子は激しい闘争を繰り広げる。
自分の血により衰弱した泰麒は、醐孫に捕らえられ無理やり蓬山から連れ去られそうになります。
白汕子が泰麒の異常に気づき血相を変えて彼らの後を追いかけます。
逃げる醐孫の前に、犬狼真君(黄海を往く者の安全を護る天仙)が立ちはだかり、泰麒を救い出します。
夏至になると我こそ戴国王にと名乗りを挙げる者たちを招くよう霊山門が開くため、泰麒は急ぎ、我が身を守れるよう転変ができるようになる必要がありました。
そのため、天仙玉女碧霞玄君・玉葉は同じ麒麟である景麒を蓬廬宮に招き、転変の方法などを教えてやってくれないかと頼みます。
しかし、正論を無感情にしか伝えられない景麒は「手を挙げるのにやり方を聞く者がいますか。転変とはそういうものです」など、とりつく島もない言い方しかできず、泰麒は怯え、玉葉は「泰麒はとても素直なお方。景麒は機微というものを学ばれるがよろしい」と手厳しく非難されます。
慶国では世王が政治を放棄しようとするなど、失道の危機に瀕している最中。景麒にも思うところがあったようで、泰麒に改めて声をかけます。
泰麒は日本で酷い目に遭っていたにも関わらず、やはり母のことが忘れられないのでした。
帰りたいと思うのは女仙たちに申し訳ないと俯く泰麒に、そう思うのは当然のことだと景麒は労り、泰麒は思わず「帰りたい」と景麒の膝に縋って号泣します。
景麒はそんな泰麒の様子を見て、慶国に帰ってから自分の態度を改めるようになります。
政治に関わりたくないと喚く世王を諌めるだけでなく、飴と鞭を使い分けるように心がけ始めたのです。しかし、世王はそれを景麒が自分を唯一無二に愛おしく思ってくれているからだと勘違いし、自分以外の女を段々と憎むようになっていくのでした。
第十八話「風の海 迷宮の岸」四章
<あらすじ>
十年も日本で育った泰麒が、転変や使令を持つ方法を知るはずもない。そこで助力を頂ければと、碧霞玄君玉葉が景麒を呼んだのだった。
すっかり景麒になついた泰麒だったのが、結局転変も使令を持つことも出来ず、別れのときが来てしまう。
使令を持たず転変もできないまま、泰麒は夏至を迎えてしまいます。
王気が分からなかったらどうしようと焦る泰麒ですが、「分かるまでずっとここにいらしたら良いのですよ」と女仙たちは泰麒を慰めます。
昇山した者たちを見て回りますが、泰麒は一向に王気を感じることはできません。
しかし、李斎という女将軍の騎獣である飛燕に目が留まり、触らせてもらうことに。彼女からは王気を感じなかったものの、優しい人柄に泰麒はすっかり懐きます。
また、女仙が襲われそうになった時、いち早く助けに来た驍宗に女仙たちは「彼こそ泰王の器」と褒めそやしますが、泰麒はわけもなく湧き上がる恐怖で身がすくみ、慌てて立ち去ってしまうのでした。
第十九話「風の海 迷宮の岸」五章
<あらすじ>
昇山者たちの中に戴国の王となる人物を見いだせなかった泰麒は、毎日のように李斎と驍宗に会いに出かけた。ある日、泰麒は驍宗達のスウグ狩りについていくことになったのだが、泰麒の身を必要以上に案じる女仙たちの発言に、驍宗は侮られたと解してしまう。
泰麒はそれが、使令も持たず、さらに転変さえも出来ない自分のせいだとわかっていた。
昇山者の中から王気を持つ者を見つけられなかった泰麒でしたが、驍宗と李斎には懐き、毎日のように出掛けるようになります。
ある日、泰麒は驍宗達のスウグ狩りについていくことになったのですが、何かの巣穴を見つけて探っていくと、なんと麒麟と同等以上の強大な力を持つ、傲濫の巣だったことが判明。
泰麒は傲濫に傷付けられた驍宗を守るため、決死の覚悟で使令にしようと睨み合います。
傲濫を無事折伏した泰麒でしたが、なんと傲濫が柴犬の姿にwww かわいいwww
傲濫はどうやら決まった姿を持たない妖魔のようです。
蓬山に無事帰還した泰麒たちでしたが、恐ろしく強大な力を持ちながらもそれを自覚できていない泰麒に、驍宗は不安を募らせるのでした。
いよいよ王候補者たちが蓬山を降りる日、泰麒は女仙たちが「驍宗様はもう今後昇山されないそうよ」「驍宗様が泰王でないならば、他に相応しい人はおりますまい」と噂しているのを耳にし、自分は王気が感じられなかっただけで、彼こそ泰王なのではないかと自分の感覚を疑ってしまいます。
そして、下山する驍宗を追いかける中で自然と転変し、契約を交わすのでした。
しかし、泰麒を抱え上げて「幼いのに見る目がある」と豪快に笑う驍宗を見て泰麒は怯え、女仙たちが泰麒と泰王を歓待するのとは打って変わって、自分の決断は間違っていたのではと泰麒は自分を責めます。
第二十話「風の海 迷宮の岸」終章
<あらすじ>
泰麒は戴国の王として驍宗を選んだ。だが嬉しいはずの泰麒からは明るさが失われていた。―天啓がなかったのに、驍宗を王に選んでしまった―天が泰王を任じる儀式のとき、天の裁きが驍宗を滅ぼす、そう信じていたのだ。
舞台は変わって、現代日本。
要が1年間神隠しに遭っていたことを知り、杉本さんは要に急接近します。しかし本人からは近寄るなと釘を刺されたため、彼の弟の卓に話を聞くことに。
卓は、最近要が祟るようになったと言います。「誰かを祟るなんて思いたくないよ、兄貴なんだから…」と卓は言いますが、な〜んか卓は杉本さんにいい子ぶってる気がするんですよね。杉本さんのこと好きだから。本音では兄は人を祟るから気持ち悪い、できればいなくなってほしいと思ってるんじゃないかな〜と想像しています。
泰麒は戴国の王として驍宗を選びましたが、泰麒は日に日に気を落としていきます。
驍宗は泰麒の不穏な様子を感じ取り、「私に不信感を抱いているのでは」と臣下に不安を漏らします。
驍宗は自分が何かあなたにしてしまっただろうかと泰麒に尋ねますが、泰麒は首を横に振るだけです。
天啓がない者を王にしてしまった、どうしたらやり直せるのかと泰麒はそればかりに気を取られて、驍宗の心配そうな様子も目に入りません。
ある日、戴国に延王と延麒、景麒が訪ねてきます。500年もの治世を誇る雁国の王である延王は泰麒にとっては泰王と等しいかそれ以上に尊い存在であるゆえ、我の前にぬかづけと泰麒は延王に命じられます。
しかし、どんなに額を床につけようとしても、体が拒否してしまいすることができません。
礼さえできないとは戴国は雁国に対し敵対する意思を持つと見るぞと脅されても、泰麒はどうしても額を床につけることができません。
いよいよ泰麒が泣き出しそうになった時、延麒と景麒が「もうやめてくれ」と延王と泰麒の間に割って入ります。
延王は泰王から相談を受け、「麒麟は偽りの誓約はできない」ということを身をもって示してあげていたのでした。優しい。
王気の感じ方は麒麟それぞれで違うようで、泰麒が泰王に怯えながらも一緒にいたいと思ったのは、王気ゆえなのではと延王は泰王に優しく諭します。
泰麒は自分は天啓に逆らったわけではないのだ、泰王は王ではないからと天に殺されるわけではないのだと知り、やっと心から笑えるようになります。
この時の泰麒の笑顔がめちゃくちゃ無邪気でかわいいし、泰王は我が子が元気になってほっとした父親みたいな表情だし、景麒は弟が元気になって嬉しい〜って菩薩みたいな表情してるし、延王と延麒は大きく元気に育てよ〜って心の底から嬉しそうな表情してるのがたまらなく泣けてきます。みんな優しすぎる。戴国と雁国の仲の良さが感じられる大好きなエピソードです。
一方、蓬山では巧国の麒麟の卵果が育っており、女怪が成長を見守っていました。
舞台は現代日本に戻ります。1年間神隠しに遭った後の要は、何か大切なことを思い出すためにと抽象画を描き続けます。それはまさに戴国の風景や妖獣たちでした。
目の前にあるものを描いてみないか、お前は今ここに生きているんだからと要に助言した美術教師はしばらくして死亡します。
教師の葬式に参列した要を見て、彼の母親は「あんたは要じゃない」と顔を引き攣らせてヒステリーを起こし、卓は母を兄から守るように兄を睨みつけるのでした。
第二十一話「風の海 迷宮の岸」転章
<あらすじ>
雁国の麒麟・六太は、十二の国の内情を気にかけていた。本来、十二の国には十二の王と麒麟が存在するが今、巧国と芳国には王がいない。
王がいない国の土地は荒れ妖魔が出没し民は貧困にあえぐことになる。
六太による、十二国各国の説明回です。
陽子は燃えるような赤い髪から、字は「赤子」になったそう。いい字だ。
◆舜極国
珍しい石を産出する島。徇王は40年の治世。
◆奏南国
宗王は名君で、治世は600年以上。
◆才州国
采王も人格者で、麒麟をこよなく愛している。
◆漣極国
廉王は農民出身。廉麟はあちら(日本)とこちらを繋ぐ宝重を持っている。
◆範西国
範は工芸品の国。氾王は変わり者。
◆恭州国
恭国は治世100年ほどの豊かな国。
◆芳極国
芳国は王の圧政に耐えかね、諸侯が反乱を起こしたため王も麒麟も不在。王の娘は行方知れず。
◆柳北国
柳国は謎めいた国。
◆戴極国
最も荒れているのが戴国。即位から1年も経たぬうちに王と麒麟が死んだと言われているが、蓬山に麒麟の卵果がつかないため、姿を現せずにいるのではと考えられている。
六太はずっと日本で戴麒の行方を探しているようです。
しかし麒麟の気配が全くなく、途方に暮れている様子。なぜ泰麒は麒麟の気配がなくなってしまったんでしょう?
第二十二話「書簡」
<あらすじ>
雁国首都、関弓山の麓にある大学に、楽俊の姿があった。陽子が景王として登極した頃、延王の配慮で大学への受験を許され楽俊は、精一杯勉学に取り組み、合格したのだった。
ある日、寮にある楽俊の部屋に人の声を運ぶ鸞鳥が舞い降りてきた。
延王の配慮で大学で学ぶ楽俊を、同級生たちがいじめます。彼に図書館を使わせまいと裏でコソコソ細工したり、根も葉もない噂を流したり…。
雁国は十二国中最も多様性が認められた国のようですが、まだ半獣差別が残っているんですね。
楽俊は成績優秀なので「文張」と呼ばれているものの、人型に慣れてないため乗馬や弓射は苦手な様子。
陽子は慶国の統治体制や各位名称をなかなか覚えられず、苦戦しています。身の回りの世話をしてくれる玉葉という女官と仲が良いようですが、裏切られないか心配です。
陽子は景王に即位してから楽俊のお母さんにお礼を言いに行ったようです。本来ならば王に相対する時はぬかづき、敬語で話すべきですが、出会った頃と変わらぬ朗らかな態度で接してくれたのが陽子は嬉しかったようです。
また、陽子は巧国が滅びたのには自分も責任があると思ってか、錯王の息子夫婦にも会いに行きます。すると、なんと彼らは仙籍を返上した上で市井にまぎれて田畑の耕作に励んでいました。国が傾くのを止められなかった責任を感じていたのです。
さて、すっかり存在が忘れ去られていた浅野くんですが、錯王の息子夫婦の話によると、どうやら塙麟が助けていたようです。どこで生きてるんでしょう?
さて、話は慶王の政治に戻ります。
朝議にて「麦州侯浩瀚に謀反の恐れあり」と議題があがります。
麦州は和州侯呀峰に一時的に権力を預けるべきと官吏たちは口々に言い立てます。浩瀚は悪い噂が多い男と言う冢宰・靖共の言葉も信じていいのか…。
陽子は、自分はまだ慶国のことを知らないのだから既によく知っているであろう臣下たちの意見を尊重して勅命を下そうと努めますが、官位の名称言い誤るとくすくすと忍笑いをされるなど、明らかに臣下たちには侮られています。
右も左も分からない中で浩瀚の処遇につき決断を迫られ、「お前たちの良いようにしてくれ」と責任を丸投げしてしまいます。これに景麒は呆れ、陽子には失望したとばかりに大きなため息をつきます。
話は楽俊に戻り、彼の父親も文張と呼ばれていたことが明らかになります。賢い父子だ。
そして、学友であった蛛枕が大学を辞めることに。8年間大学に在籍したとのの、学業不振による除籍から逃れるためと経済的困窮から自主退学を選択。楽俊に自分の資料を譲ってくれます。最後まで優しい親友です。類は友を呼ぶのかな。
この頃、陽子はあちこちで自分が口を開くたびに「懐達」とひそひそ陰口を叩かれていることを知っていました。懐達とは、達王を懐かしむ、の意味。短命の女王が長く続き、長い治世を敷いた達王にちなんで、男王を望む、女王は当てにならないという意味です。
暗い話題ばかりですが、陽子の治世の元号が決定します。
陽子の字、赤子と、陽子を変えてくれた友人、楽俊から一文字ずつ取り、「赤楽」。ウウーッ😭絆を感じます😭
第二十三話「風の万里 黎明の空」一章
<あらすじ>
明治の頃の日本、とある貧しい農家に生まれた大木鈴は、家族を救うため年季奉公に出された。だが奉公先へ向かう道中に、蝕によって十二国の世界へ渡ってしまう。
12歳の大木鈴は、口減らしのため人買いに売られる途中で、こちらの国に流れ着いてしまいます。
朱旌に拾ってもらったが言葉は理解できないまま日々を過ごしていました。「見聞きしたことがないものを演じよ」と無理難題を命じる才国の翠微君の前で日本語の童謡を歌ったところ、日本語でつまらない歌だと返されたため、この人についていけば日本に帰れるのではないかとおそばに置いてくださいと縋りつきます。
そして鈴は、ホンマ(愚か者、粗末な女)という名前を翠微君から授かります。
初めは自分を拾ってくれるなんてなんて良い人だろうと思っていた鈴も、拾われたその日にその期待は幻だったと気づきます。
翠微君は庭いっぱいに敷き詰められた落ち葉を一枚も残さず捌けと命じたり、他にもあれこれ無理難題を言いつけ、100年間にもわたり鈴を陰湿にいじめ続けます。
こんな場所早く出て行きたいと思いながらも、翠微君のもとから離れればまた言葉が分からなくなると鈴は信じ込んでいたため、ずっといじめに耐え続けていたのでした。
一方、同じ年齢ながらも全く違う生活を送る娘が芳国にいました。
仲韃という峯王は法を整備し、国民の規律を高めようとしていました。そして彼には13になる祥瓊という一人娘がおり、目に入れても痛くないほど可愛がっていました。
仲韃は法を遵守すれば国民は正しい道を歩めると信じていましたが、実は虚栄心の強い妻・佳花が妬んだ者の罪を捏造・讒言したことをそのまま信じ家族ごと処刑するなど残忍極まりない王でした。
約30年の治世の間に過酷さは際限なく激化していき、最期の年には1年間で30万の市民が処刑され、治世全体では国の人口の1/5に当たる60万人が処刑されたほどでした。
一方、鈴は蓬山に日本から戻ってきた麒麟がいると知り、泰麒を目にした途端、「日本に帰りたいの!!」と絶叫し掴みかかります。
鈴は女仙たちに取り押さえられ、翠微君のもとに強制的に帰されます。
芳国ではあまりの苛烈な粛清ぶりに、恵州侯月渓がたまらず峯王に現行法の改正を意見します。しかし峯王は「民のためだ」と繰り返すばかりで、全く聞く耳を持ちません。月渓のもとには続々と峯王を憎む諸侯と民が集まり、憎き峯王・佳花・峯麟を討ちとったのでした。
しかし、月渓は祥瓊に対してのみ、「あなたの父上によって虐げられた民の思いを知りなさい」と彼女の前で峯王の首を落としただけで、彼女自身には死罪を与えず、仙籍を削除の上で浮民の子供・玉葉と改名。
月渓が州侯を勤める恵州の新道の里家で貧しい生活を強いるのみに止めました。
永遠に美しい13歳であった祥瓊は、月渓により年老いていく体にされたこと、民の貧しい暮らしを強いられたことに憎しみを抱いていました。
そしてその3年後、陽子が景王に即位したことを旅芸人の興行を見た里家の子供達から聞き、同い年の女が何の苦労もせずに自分の失った物全てを手に入れたと思い込み逆恨みします。
一方、陽子は浅野くんの行方を気遣っていました。
第二十四話「風の万里 黎明の空」 二章
<あらすじ>
才国琶山の翠微洞へ戻った梨耀は慶国に新しく即位した女王のことを話す。同じ蓬莱の生まれのなのにと鈴を罵しる梨耀。
それに耐える鈴の中に一つの感情が湧いて出る。
なぜ麦州侯浩瀚に謀反の疑いがかかったかというと、州侯の中で唯一偽王・舒栄に下らなかったから。王位を狙っているのではと勘繰られているようです。
また、陽子の初勅にも注目が集まります。民は初勅を聞き、どのような王か判断するのだそう。
「ご自身がどのような生き方をされたいかを端的に書かれては」と景麒に助言されますが、初勅を出さない王や、「万民は健康に暮らすこと」を初勅とした王もいるとか。初勅って結構自由度高いんですね。
一方、鈴は相変わらず翠微君にいじめられています。祥瓊も月渓への憎しみと陽子への一方的な逆恨みを募らせています。
陽子はもはや高官たちの傀儡。
華美な城はいらない、使われていない宝剣は売って孤児院などを建てる費用に使ってくれ、費用が足りないと言われて却下されたはずだと陽子は言いますが、景麒の表情が芳しくないところからして、どうやらあれもこれも裏目に出ている感じです。
第二十五話「風の万里 黎明の空」 三章
<あらすじ>
蓬莱出身の景王ならきっと自分を救ってくれると勝手に思い描く鈴。ある日、鈴はその想像に怠け掃除の最中に壺を割ってしまう。
梨耀は酷く怒り、鈴に厳しい要求を突きつける。
鈴は翠微君にいじめられている自分は世界一かわいそう。同じ蓬莱出身の景王なら私を特別扱いして庇ってくれるはず。翠微君なんてきっとやっつけてくださる…と、陽子の存在を知った日からずっと夢見ています。
しかし、妄想に耽るあまり高級な壺を割ってしまい、罰として琶山の断崖絶壁にしか生えていない甘蕈を取りに行けと命じられます。
一方陽子は、周囲が陽子の威厳のなさ、決断力のなさに落胆していることを肌で感じ、閉塞感に苛まれていました。
祥瓊は相変わらず民を馬鹿にしており、自分はこんなところにいるべき人間じゃないと鬱憤を募らせています。陽子は王の教育役・三公が一人 鶯嬌に夕食に誘われるのですが、突然中将軍率いる一隊が乱入し、天官長と三公が、孤児院建立費用に充てるはずだった宝剣を多数所持し、謀反を企んでいると暴露します。
追い詰められた鶯嬌は陽子を盾に取るも、陽子に振り払われ中将軍らの弓に射られます。
そして、「主上、お詫び申し上げます!」という叫びを残して死亡。
しかしこれは靖共の罠でした。天官長と三公が謀反を企んでいた相手は、靖共ら王朝を牛耳る一派。鶯嬌は陽子を安全な自宅に誘い出しておく役目だったのです。
鶯嬌が言い残した「お詫び」とは、陽子を裏切ったことではなく、靖共らの罠にはまったことに対してだったのです。
しかし陽子はそうとは知らず、信頼していた鶯嬌に裏切られ深く意気消沈するのでした。
第二十六話「風の万里 黎明の空」 四章
<あらすじ>
梨耀の大切な壺を割った鈴は、罰として琶山の断崖にしか生えていない甘蕈をとりに行ったが、最中、崖下へと落ちてしまう。鈴を助けたのは監視役のはずの梨耀の騎獣・赤虎であった。
一方、祥瓊の正体を知った里の人々は恨みを込めて、祥瓊の処刑を行おうとした。
慶国朝議にて、天官長と三公を麦州侯が密かに調査していると報告が上がります。麦州侯への疑いは深まるばかり。
一方、祥瓊は自分の正体をばらして周囲に助けを求めようとしたところ、里の人々の憎しみが爆発し、私刑で車裂きにさせられそうになります。
周囲の民たちに峯王の残虐さをどれほど語られても、「私は悪くない!悪いのはすべきことをしなかったあんたたちよ!」と喚く祥瓊。もはや祥瓊には改心の余地なし、死ぬべしと思われましたが、突然月渓の家臣が飛来し、祥瓊を助け出します。
鈴は琶山の断崖にしか生えていない甘蕈を取ろうとしますが、崖下へ落ちてしまいます。
しかし、落下する鈴を助けたのは監視役のはずの梨耀の騎獣・赤虎。
「なぜ助けるの!殺してよ!」と怒る鈴ですが、考えを変え、「人格者と名高い采王に助けを求めよう。きっと私を憐れんで、いずれは景王にお目通りさせてくださるはず」と采王のもとに行くよう赤虎をどやしつけます。
赤虎は唸りながらも鈴の命令を聞き、才国へ飛び立ちます。
祥瓊は月渓のもとに連れてこられますが、彼を一眼見た途端「反逆者!」「みんな私が妬ましいのね!」とあらゆる言葉で罵倒します。
月渓は祥瓊が民の生活を実際に体験することで、30年間も宮中にいながら王を諌められなかったことを悔い、芳国再建のため改心することを期待していたのですが、彼女はついぞ変わりませんでした。
月渓は鬼のような表情で周囲を睨みつける祥瓊を見て、「なんと(心が)醜いことか」と嘆息するのでした。
そして、月渓の配慮で祥瓊は恭国に送られることとなります。
第二十七話「風の万里 黎明の空」 五章
<あらすじ>
里家の人達に殺されかけた祥瓊は、月渓の命によって恭国へ身柄を預けられた。恭国を治める王は、見た目は少女の姿をした女王だった。
里家での生活を二度としたくない祥瓊は、供王の奚(はしため)として働く事を選ぶ。
祥瓊が身柄を預けられた恭国は、非常に豊かな国です。
供王は歴史上最年少の女王ながら、頭脳明晰で決断力・行動力に富んでいます。
祥瓊は里家での生活を二度としたくなかったため、供王の奚(はしため)として働くことを決断します。
供王は嫌々ながら仕えようとしている祥瓊の傲慢さを見抜き、「芳国には麒麟がいないのだから、月渓殿が早く王になるべきではと書簡を送れ」とぬかづく祥瓊の前で言い放ちます。
祥瓊はぎりぎりと歯噛みするも、奚という地位上、何も言い返すことができません。
実は、供王が月渓の希望に応えたのには裏がありました。荒れ果てた芳国は月渓が尽力しているおかげでどうにか保っているものの、もし彼に何かあれば隣国である恭国に大量の難民が押し寄せることになります。
そのため、大量の難民を寄越させない代わりに祥瓊を召してやったのでした。
慶国や雁国とは違い、供麒は穏やかながら気が弱そうです。供王の尻に敷かれているものの、この姐さん女房感…たまらんw
鈴は采王のもとへ「助けてください!殺される!」と駆け込んでいました。采王は鈴の要求どおり、食事も寝床も十分に与えます。
采麟曰く、翠微君は賢臣だったそうですが…なぜ今のようになってしまったのでしょう?
采王は鈴の話を聞き、辛い境遇には慈悲の心を見せつつも「あなたは幼すぎる」と眉を顰めます。私は言葉も分からない国に無理やり来させられたかわいそうな海客なんだ、同じ境遇の景王に会わせてくれと泣き喚く鈴に、采王と采麟は困り果てます。
「同じ言葉を話しても心が通じるとは限らない。この国の人たちを見てみてもそうでしょう」と采王は鈴に語りかけますが、鈴は自分は世界一かわいそうだという考えを崩しません。
ここで浅野くんの話に。陽子がお世話になった朱旌の一座におり、金勘定を任されていました。
しかし言葉の分からない国に長くいたせいか、「この世界はゲームなんだ。俺には使命がある。誰かを殺したりそういうのだろ?」と訳の分からない独り言をぶつぶつと言い続けています。
第二十八話「風の万里 黎明の空」 六章
<あらすじ>
慶行きの船を待ち奏国に留まっていた鈴は「蝕」によって流された時に出会った朱旌にいた少女―今は一座の座長、と再会。一座が、今海客を一人連れている事を聞き会ってみる事にする。
一方、悪いのは父から玉座を簒奪した月渓なのに、何の処罰も与えられないでいる。
浅野くん、杉本さんの幻影を見ているw
慶国では陽子が「自分の目で民が何を望んでいるのか見て来たい」と主張したため、王宮内は靖共らの思いどおりに全てが運んでいきます。
景麒はそれを危惧しながらも、王がそれを望むなら…と強く引き止めることができません。
慶国内は陽子が即位したことで少しずつ落ち着いてはきましたが、まだまだ妖獣が出没したりと気が抜けません。
一方、楽俊は法治国家として名高い柳国を放浪しながら法律の勉強をしていました。
祥瓊は供王の宝物を盗んで出奔、景王の位を簒奪しようと慶国に向かいます。
鈴は采王に自らの仙籍の保護と旅費などの援助を受け、慶国を目指します。
慶行きの船を待ち奏国に留まってると、朱旌にいた少女(今は一座の座長)に再会。
そして、今海客を一人連れている事を聞き、会ってみます。その海客がなんと浅野くん。
浅野くんは市場で仕入れた銃を懐に大事そうに入れ、突然現れた鈴に怯えきっていました。
しかし、鈴が「私があなたを助けてあげる」「景王は蓬莱出身だからきっと私たちを助けてくれる」と言ったため、景王=杉本さんだと浅野くんは勘違い。杉本さんを助け出すために俺は生かされていたんだと急に元気になります。
慶国行きの船で2人は清秀という孤児と出会いますが、鈴が何かにつけて「私が海客だからそんな態度をとるのね!」「私は人とは違う苦労をしたんだから労りなさいよ!」と泣き喚いてウザ絡みするので、呆れ嫌われてしまいます。
第二十九話「風の万里 黎明の空」 七章
<あらすじ>
慶国の固継という里で生活を送り始めた陽子は、閭胥(ちょうろう)である遠甫から教えを乞うていた。自分ができることは?その限界はどこなのか?
柳国の宿がたまたま満員で同じ部屋になった楽俊と祥瓊。供王の宝石が祥瓊の懐から見つかり、楽俊が無理矢理自分に罪をなすりつけたのだと役人の前で喚きます。
清秀は戦争孤児でした。両親を眼の前で妖獣に食われ、今もなお妖獣に傷付けられた頭の傷のせいで苦しんでいるのを堪えながら過ごしています。
それに気づいた鈴は、急に態度を軟化させます。清秀を慶国の病院に必ず連れて行く、だから頑張ってと苦しむ清秀を励まします。
しかし浅野くんは清秀を「このゲームは俺を試してやがる。こいつを殺して次のステージに行くのが俺の役目なんだ」と銃で撃ち殺そうとします。
しかし、近づいてきた浅野くんを清秀は「姉ちゃん?」と鈴と勘違いします。清秀は頭の傷のせいで、高熱が出ていた上、もう目がほとんど見えなかったのです。……清秀…………ここ、めちゃくちゃ泣きました………清秀役の平松晶子さん、本当に素晴らしい演技だった…。
第三十話「風の万里 黎明の空」 八章
<あらすじ>
柳国で身柄を捕らえられた祥瓊だが、賄賂を要求してくる県正とやりとりをする事で何の処罰もなく出てくることが出来た。
そんな祥瓊を宿屋で相部屋になった楽俊が呼び止めた…。
法治国家の柳国ですが、末端の役人は私腹を肥やすことで頭がいっぱい。
指名手配犯の祥瓊を逃してやる代わりに宝石は全て置いて行くという交換条件で、祥瓊と楽俊は釈放してもらいます。
祥瓊に罪をなすりつけられたにも関わらず、楽俊は気に留めません。むしろ一緒に旅をしないかと誘って、相変わらず人がいいです。
浅野くんは清秀を撃とうとしているところを鈴に見つかり、止められます。
そしていよいよ船は慶国は和州に到着し、鈴は浅野くんと清秀から一瞬目を離すのですが…清秀は鈴を探しにふらふらと道の真ん中に歩き出てしまいます。
高熱で目も耳も遠くなっていた清秀は、近づいてくる馬車に気づきませんでした。そして清秀は馬車に乗った昇紘により轢殺されます。
浅野くんは清秀の敵討ちのため馬車に飛び乗りますが、逆に昇紘から懐柔されます。
昇紘は前に人がいると分かっていたのにあえて轢き殺したこと、鈴にどうか泣かないで欲しいと伝えてくれと言われたこと、鈴は清秀の亡骸を抱き抱えた陽子から教えられて、絶句します。
「どうして誰も助けてくれなかったの!?みんな見てたでしょ!?この子は熱があったのよ!目も見えなかったのよ!どうして!」
鈴は大粒の涙を流しながら、清秀の小さく細い亡骸を抱きしめ号泣します。慶国に着いたら病院に連れて行くと約束したのに何もしてあげられなかった、と鈴は後悔します。
陽子はその様子を見て、何も言わずに去っていきます。
第三十一話「風の万里 黎明の空」転章
<あらすじ>
慶国の戸籍を得るために一旦戴国へ渡ろうとした祥瓊は、柳国で出会った楽俊と共に柳国と雁国との国境の街へとやってきていた。楽俊と出会い共に旅をすることによって、祥瓊は玉座に王がいないというのがどれだけ国に対して影響を与えるのかを理解する。
そして、公主として何も知らなかった自分、知ろうとしなかった自分の責任について考えはじめる。
祥瓊は相変わらず景王に取り入ろうと企んでおり、慶国の戸籍を得ようとまずは戴国へ渡ります。
柳国で出会った楽俊と共に柳国と雁国との国境の町に行くのですが、戴国の荒廃ぶりと雁国の活気に絶句します。
楽俊に各国の歴史を説明され、王がいない国がどうなるのか、王はどうあるべきなのか、王を支える者はどうあるべきかを考え始めます。
そして、祥瓊は30年間も王宮にいながら王や民について少しも知ろうと努めなかったことは、公主としての責任放棄だったと反省します。
楽俊は、祥瓊と景王は似ていると話します。祥瓊は慶国を乗っ取るつもりで旅をしてきましたが、楽俊の話を聞き、「自分を愚かだって言った人がどんな国を作るか見てみたい」と本音を漏らします。
そして、浅野くんは昇紘に召し抱えられていました。
この世界はゲームの中の世界だと思っている浅野くんは、昇紘が「どれほど悪事を働けば天が罰を下すのか、私は見てみたい。だから悪事を働くのだ」という信念に共感します。
また、景王は杉本さんだと勘違いしている浅野くんは、俺の女が祀りあげられてる!助けなきゃ!と謎の使命感を発揮。景王を救うために立ち上がろうと昇紘に唆され、仲間になります。
第三十二話「風の万里 黎明の空」九章
<あらすじ>
清秀の死を受け入れる事の出来ない鈴。周りで見ていたはずの人々は見てみぬふりをし、何事も無かったかのように振舞う。
そんな鈴にある人物が救いの手を差し伸べる。
清秀が死ぬ瞬間、和州の民は見て見ぬふりをしました。鈴はそれを許すことができません。
清秀のために小さな墓を作り、彼を見殺しにした和州の民、彼を轢き殺した昇紘、昇紘をのさばらせている景王を心の底から恨みます。
墓の前から動こうとしない鈴に、虎嘯と夕暉という兄弟が声をかけます。
2人は自分たちが経営する宿へ連れて行き、和州止水郷では郷長である昇紘こそが法律なのだと鈴に説明します。
浅野くんはその昇紘から話聞きながら「子供(清秀)が死んだし連れがどんな顔をしてるか気になるよ♪」と楽しそう。お前の血は何色だ(激怒)
そして昇紘に自分たちは景麒に連れられてこの国に来たのだと話をする浅野くん。
鈴は虎嘯たちから昇紘の残虐さを聞くほど、彼を黙認している景王への憎しみを募らせていきます。
第三十三話「風の万里 黎明の空」十章
<あらすじ>
景王が郷長昇紘の悪事を許しかばっているという噂を聞き、王宮を訪ねる鈴。
しかし王の不在を聞かされ、また昇紘の悪事を知らない素振りの官吏を見て、噂が真実だと確信する。
一方陽子は、和州の状況を調べるために景麒を連れて和州の州都である明郭へと旅立つ。
鈴は采王から貰った小遣いで上等な服や馬、そして景王を暗殺するための宝剣を購入します。
王宮を守る官吏たちには采王直々に貰った旅券を見せ、自分は采国の遣いだから謁見させろと迫ります。
しかし、陽子は旅行中。靖共に王は不在だと謁見を断られます。
一方、昇紘は陽子を探し出し殺そうとしていました。
そしてまさかの浅野くんと祥瓊、祥瓊と陽子がエンカウント!
陽子が国民に課している納税率は3%にも関わらず、止水郷ではなんと40%。しかも少しでも納税が足りなければ死刑。人が少なくなり税収が少なくなると、難民を受け入れて戸籍を与え、税を搾り取ることを繰り返していたのでした。陽子はその事実を知って愕然とします。
また、祥瓊は明郭の広場で納税が少し足りなかっただけで死罪にさせられそうになっている男を見かけます。彼の悲痛な叫びに、祥瓊は思わず彼らを取り囲む兵士たちに石を投げてしまいます。
祥瓊は兵士たちに追いかけられ…るものの、同じ場所にいた陽子と謎の男に窮地を助けられ、逃げ切れます😭✨
第三十四話「風の万里 黎明の空」十一章
<あらすじ>
明郭で兵士に追われ逃げ場を失った祥瓊は、桓魋という一人の男に助けられた。
屋敷に案内された祥瓊は桓魋から和州に住む「二匹のケダモノ」と呼ぶ人物の事を聞かされる。
虎嘯たちの仲間となった鈴は、昇紘をかばう和州の州侯、呀峰もまた敵であると聞く。
祥瓊を救った桓魋は、和州に住む「二匹のケダモノ」と呼ばれる人物について話します。それは、清秀を轢き殺した和州止水郷の郷長である昇紘と、和州州侯である呀峰です。
昇紘は呀峰の手先で、2人はズブズブの関係。どちらかが捕まれば互いの悪事は芋づる式に明らかになります。
一方、鈴は麦州侯は名君なのに景王は彼を謀反人扱いしていると夕暉に聞き、景王の無知さに憎しみをあらわにします。
そして、清秀の敵討ちのため、虎嘯から昇紘を討つ殊恩党の党員になったという誓いの指輪を貰うのでした。
浅野くんは何をしていたかというと、なんと昇紘に同行し、 私塾「松塾」(人道や世界の理を説く学校)を運営する遠甫のもとに身を寄せていた陽子を探索。そして遠甫とともに固継の里家(孤児と、60歳以上の班田を返上した老人が暮らす施設)に暮らしていた少年、桂桂へ向けて発砲。彼の姉、蘭玉をも射殺します。遠甫は昇紘に逮捕されます。
蘭玉は死ぬ直前、陽子の部屋にある玉璽を見つけ咄嗟に懐に隠します。これがこの後どんな意味を持ってくるのか…?
第三十五話「風の万里 黎明の空」十二章
<あらすじ>
陽子が瑛州から和州へと旅していた間に、何者かによって里家が襲われ、蘭玉が命を落とす。
遠甫の行方は分からず、ひとまず瀕死の桂桂を金波宮へと運ぶ。
陽子は里家を襲った人物の手掛かりを掴むため、以前遠甫を訪ねて来た、怪しい男の仲介役だった労の家に向かう―。
陽子は昇紘の悪事を暴くためあちこちで探っていると、殊恩党に昇紘の一味と思われ目をつけられてしまいます。
祥瓊は和州で乱を起こせば景王も内情を知ろうと動いてくれるはずだと桓魋が内乱の計画を練っていることを知り、景王が自分と同じく無知ゆえに国の堕落を招いているのだとしたら自分たちが教えなければと使命感に駆られ、桓魋の手伝いをすることにします。
桓魋と共に武器の購入の手伝いをしていると、殊恩党党員である鈴に出会います。2人は偶然寝床を共にすることになり、お互いの素性をぽつぽつと語ります。
祥瓊は「傲慢な自分を変えてくれたのが景王の友人と名乗る半獣だった。彼の友人である景王ならばきっと変われる余地がある人だと思う」と鈴に話し、鈴は清秀を見殺しにした憎き者だと断定せず、和州をはじめとした腐りきった慶国を変えてくれるはずだと景王を信じようとし始めます。
第三十六話「風の万里 黎明の空」十三章
<あらすじ>
和州止水郷・郷長酷吏である昇紘を倒すために集まった虎嘯たち一党に加わった陽子。それを機に、拓峰で乱が始まった。作戦の指揮を担うのは夕暉。
陽子は昇紘の噂を追っていたところ、殊恩党に行き着きます。そして、祥瓊・鈴に再会。自分も彼らたちの内乱の手伝いをさせてくれと声を上げます。
一方王宮では、景麒の直轄地でさえ冢宰・靖共の許諾がいる始末。もはや慶国の政治は靖共が牛耳っていました。
そしていよいよ昇紘に一矢報いるため、郷城への突入を決行する殊恩党。陽子は景王の力を使い、敵兵士たちを麻痺・弱体化させ、バッタバッタと薙ぎ倒していきます。
そして敵側にいた浅野くんを発見。捕虜として縄で縛ったまま、彼の話を聞きます。
「一緒に日本へ帰ろう」「お前、無理に王にさせられてるんだろ?かわいそうだよな」と言う浅野くんに、陽子は反発します。自分はやらなければいけないことがあるから帰らない、これは自分で選んだ道だと。
そして、「じゃあ俺は何のためにここに来させられたんだよ!」と喚く彼に、「世界は役割など与えてはくれない」と言い残して、一度は没収した彼の銃を置いていきます。
第三十七話「風の万里 黎明の空」十四章
<あらすじ>
郷城への突入に成功した陽子と虎嘯は昇紘を捜すため二手に分かれる。そして陽子は驃騎と班渠から昇紘の居場所を聞き、ついに昇紘を見つけ出した。
陽子の正体に気づいた昇紘は、天意の存在を確信し、剣を投げ出し陽子に「殺せ」と言い放つ。
凛は浅野くんを逃すため、浅野くんに昇紘軍のふりをして明郭へ援軍要請をしてくれと陽子にも了承をとって頼みます。
浅野くんはそれを果たそうとしましたが、途中で昇紘軍に遭遇し敢えなく惨殺。
郷城への突入には成功したものの、昇紘は呀峰に援軍をあおいでおり、厳しい戦いに。
そんな中、なんと祥瓊が!!!明郭の内乱軍と共に飛来してくれます!!!ありがとう😭😭😭😭😭
歩兵と航空兵合わせて5000の兵が加わり、陽子たちの戦いは一気に有利に傾きます。
陽子はまだ自分の立場を明かさず、祥瓊、陽子、鈴3人で戦いの行く末について話すのでした。
第三十八話「風の万里 黎明の空」十五章
<あらすじ>
陽子達は桓魋の部隊が加わった事で州師にも勝る勢力を得た。それでも拓峰の街の人たちが蜂起する気配はなく、静まり返ったままであった。
鈴は、我慢することで自分の不幸を慰めている街の人たちの気持ちと、梨耀に仕えていた時の自分の気持ちが似ていると感じていた。
和州内乱の報が王宮に届き、本来景王の勅命がなければ動かせない王直属の軍隊である禁軍を、靖共は勝手に動かします。それに周囲が反対できないほど、靖共の力は強大ってことですね。
陽子たちは郷城周囲の拓峰の町の人たちに蜂起を促しますが、全く動く気配がありません。
鈴は、「誰より自分が不幸だと思うことは、自分が誰より幸せと思うことと同じくらい気持ちいいこと。だからみんな動けないんだと思う。気持ちは分かる」と話します。名言ですね…。
そして呀峰の兵が城へ押し寄せてくるのに対し、桓魋は突然半獣の姿に変身!!!兵たちが数人がかりでこちらに向けていた巨大な盾を持ち上げ、反撃します。強!!!
そして、呀峰や禁軍には勝てないと弱気になる兵士たちの前に、祥瓊と鈴が立ちます。
祥瓊は、自分は先の芳国の公主であると明かします。また、鈴は采王直筆の旅券を見せ、自分は采王直々の遣いであるから内乱に負けるのではと案ずるなと宥めます。
兵士たちは一気に士気を取り戻します。
第三十九話「風の万里 黎明の空」終章
<あらすじ>
蜂起の起きた拓峰の街へ王直属の軍隊である禁軍が陽子達の敵として現れる。だがそれによって陽子は、王の了解を得ず勝手に禁軍を動かした人物がいる事を知り、呀峰と昇紘の後ろ盾として裏で取りまとめていた元冢宰・靖共の存在に気付く。
靖共にこれ以上勝手はさせないと決意する陽子のもとに、金色の鬣を持つ一頭の獣が舞い降りる。
祥瓊と鈴が兵士の士気を高めたその時、景麒が郷城の前門上に佇む陽子のもとに舞い降ります。その神々しい姿を見た兵士たちは、驚きのあまり絶句。
そして桂桂は重傷を負ったものの、王宮で手厚い治療を受けてどうにか生き延びていました。
そして、和州に集まっていた桓魋たち反乱軍は麦州侯の高官たちであったことが明らかになります。
陽子は景麒にまたがり、禁軍たちの前に立ちはだかります。
「お前たちの主はいつから靖共になった!靖共のために拓峰を攻めるというなら、禁軍すべてを反乱軍と見なすがよいか!」と強い眼力で彼らを見下ろすと、将軍も兵もあまりの恐れ多さに次々と平伏します。
陽子は呀峰の拘束を指示し、郷城へ戻っていきます。
一方、殺された浅野くんの遺体は笑顔でした。鈴も陽子も涙しながらもどこか安堵しています。
陽子は祥瓊と鈴にこれから何をしたいかを尋ね、できたら自分の家臣になってくれないかと相談します。2人は自分の罪を償ったらまた戻ると笑顔で約束し、去っていきます。
祥瓊は最初に楽俊に会いに行きます。
助け出された遠甫は、愛する蘭玉を失い、自分は何もできていないと悔やみます。しかし陽子は彼に人道や世界の理を説き、良き人・世に変える種を民に撒いていると慰めます。
達王が作った水禺刀に鞘を与えたのは遠甫。失われた水禺刀の鞘を再度作り直そうと申し出ますが、陽子は首を横に振ります。
「時に私の思うままにならず、見るのが辛いものを見せる。それは私の心なのです。心に鞘はいらない。」
水禺刀が見せる幻は、持ち主である自分の心なのであるから、それを見ないわけにはいかない。封じる必要はない…強い。強いです陽子。ううーー良い王へと歩み始めましたね…!😭
そして、陽子の初勅へ。
「人は誰の奴隷でもない。そんなことのために生まれるのじゃない。他者に虐げられても屈することない心、災厄に襲われても挫けることのない心、不正があれば糺すことを恐れず、豹虎に媚びず、ー私は慶のためにそんな不羈の民になってほしい。己という領土を収める唯一無二の君主に。これを持って初勅とする」
あの人の顔色ばかり気にして生きていた陽子がこんなに立派になって…😭😭😭😭😭
第四十話「乗月」
<あらすじ>
芳国で、恵州候・月渓が先代の峯王・冽王を討って4年の年月が流れた。
慶国の新しい禁軍将軍・桓魋は、空座となった玉座を月渓が仮王として治めていると聞き、景王・陽子からの親書を持って芳国を訪れた。
しかし月渓は、朝廷が多少なりとも鎮まった今、恵州に戻る決意をしていた。
芳国では恵州候・月渓が先代の峯王を討って4年の年月が流れましたが、今なお空座である玉座は月渓が「仮王」として治めています。
慶国の新しい禁軍将軍・桓魋は、景王・陽子からの親書を持って芳国を訪れます。
陽子は供王の宝物を盗んで逃げた祥瓊の処遇について相談(という名目で、月渓に峯王になるよう仕向ける思惑)する書簡を送ったのです。
しかし月渓は頑なで、悪意あっての弑逆ではなかったと弁明したいがために、「玉座を簒奪することは天命に反する」と頑なに玉座を拒み、朝廷を去って本来の恵州侯の地位に戻ろうとし、官たちの懇願で助言者(実質的には冢宰)としてのみ朝廷に留まっていました。
月渓は、先の峯王である健仲韃を悪虐非道の王と認めながらも、あまりに純粋すぎる心根を愛していたからこそ、それ以上憎みたくなかったから殺したのだと桓魋に話します。
月渓は朝廷を去るつもりでしたが、更生した祥瓊からの心からの謝罪の書簡や、それを伝えに慶王の使者として訪れた桓魋の諫言により、仮王として立つことを決意します。
さて、陽子は靖共をはじめとした景国内に巣食う膿を絞り出すため、大規模な改革を行なっていました。
元・麦州侯浩瀚は靖共に代わって冢宰、元・麦州州宰の柴望は呀峰に代わって和州侯、元・麦州師左将軍桓魋は迅雷に代わって禁軍左将軍に任じます。
そして、恭国では供王が峯王となった月渓に免じて祥瓊の罪を許し、「恭国には二度と入国すべからず」とのみ言い渡したのでした。
陽子は昇紘の処遇に悩み、延王の助言を求めて雁国へ旅立ちます。
延王は一人で墓参りをしており、「ここにはもう一人の俺が眠っている」と静かに呟きます。
第四十一話「東の海神 西の滄海」一章
<あらすじ>
尚隆が雁国の王、延王として登極し二十年。一度滅んだともいえる程のすさまじい荒廃が見られた雁国だったが、大地には緑が増え何とか復興に向かいつつあった…。
その頃雁国にある州の一つ、元州が謀反を起こそうとしているという噂がたちはじめていた。
延王は陽子と楽俊に「ここに眠る斡由という男を知っているか」と尋ねると、楽俊は「暗愚な父親を支持し、元州を好き勝手操り謀反を起こした極悪人」と即答。
しかし延王は「そのように民には伝わっているのか。斡由は俺が殺した男なのだ」と遠い目をします。
尚隆が延王として登極し二十年ほど経った頃、雁国は何とか復興に向かいつつありました。
その頃雁国にある州の一つ、元州が謀反を起こそうとしているという噂が立ちはじめていました。銃火器類をどうやら買い込んでいるようなのです。
六太は戦を嫌うので、どうしても戦をしなければならないなら耳を塞ぐと言って城下へ散歩しに出かけます。すると、親に捨てられ妖魔に育てられたという少年と出会います。
名前はないと言うので、六太は彼に「更夜」つまり夜更けという意味の名前をつけます。
更夜は妖獣を見るとみんな逃げていく、妖獣は人間を食べないと生きていけないから人間と共生できない、自分達に生きる場所はないと語ります。蓬莱は平和と聞いた、妖獣とも共生できるかと目を輝かせて尋ねる更夜に、六太は言葉を濁します。
時は経ち、更夜が六太に会いに来ます。元州で士官し、斡由に拾ってもらったのだそう。
そして、六太の名前を忘れないように「大きいの」と呼んでいた妖獣にその名をつけたのだと嬉しそうに語ります。更夜ァァァァ!!!!😭
とここまでは穏やかだったのですが、更夜が突然赤子を取り出し、「この子の命と引き換えに、元州に来て欲しい」とお願いします。
更夜に延麒誘拐を頼んだ斡由は、梟王時代に破壊された漉水の堤復旧を先送りし続ける尚隆の態度に業を煮やし、漉水流域の民を守る為に反旗を翻したのだと六太に謝罪します。
六太は堤復旧を早急にするよう延王に伝えると約束しますが、実際に延王に動いてもらえるまではどうかこのまま囚われていて欲しいと頼み込まれ承諾します。
第四十二話「東の海神 西の滄海」二章
<あらすじ>
更夜の手により元州に連れ去られた六太は、角を封じられ、元州牧伯・驪媚と共に牢に囚われた。それはすべて当時元州を束ねていた斡由の差し金だった。
斡由は、麒麟が選んだ王が玉座につくのは間違いだといい、王の全権を官に譲れ、そう六太に主張した。
六太は逃げ出さないよう角を封じられ、元州牧伯・驪媚と共に牢に囚われました。
斡由は梟王末期の暴政から民を守るために、梟王のいいなりであった父親と対立し、父を幽閉して実権を掌握、30年以上続いた王不在期には、院白沢を始めとする優秀な官僚団を統率して、雁国を覆った過酷な荒廃を押しとどめるべくその手腕を発揮し、元州のみならず雁国全土にその名を知られていました。
一方、斡由の謀反を知った延王は元州高官たちを罷免する勅令を出します。驪媚は延麒を延王のもとへ返すため自殺。延麒は彼女の血を浴びたことで昏倒します。
第四十三話「東の海神 西の滄海」三章
<あらすじ>
尚隆が王になる前の荒廃する雁国で、斡由は元州の民のためにと父である州候・元魁から位を奪い、そして民を守り、元州だけが豊かだった―。しかし、延王・尚隆がたち他州が潤い、元州との差はなくなっていった。
元州をもっと潤わせるため、自治を取り戻そうと六太を捕虜とした斡由は、王位を簒奪する逆賊とうつった。
六太の身の回りの世話を任されていた侍女は、密かに斡由を裏切り六太を坑道から脱出させます。
更夜は斡由に罪人の処遇を任されており、「六太」にその侍女を食べさせます。
更夜は斡由に初めて処罰を任された時のことを思い出していました。罪人を国外に追放したと言うと、「お前は私の意をよく汲んでくれる。よくやった。ありがとう」と感謝されたのです。
更夜は居場所を与えてくれた斡由のためなら何でもしたいという気持ちを、こうして年々強めていったのでした。
第四十四話「東の海神 西の滄海」終章
<あらすじ>
女官の助けにより抜け出した六太は、抜け道である地下道で迷っていた。そこへ元州大僕らが六太を探しに来た。
その部下の声に、六太は目を見開いた―。
六太が坑道から逃げ出そうとしていた時、幽閉されている自称斡由の父親と偶然話をすることになります。
普段は真面目で利発な上に条理を弁え、鷹揚で懐が深く、才能ある者を積極的に取り立てている斡由ですが、実は己の失敗を認めることができない性格であるとその自称父親は言います。
斡由は大雨が降ってきたため、街の対岸にだけ堤を作るという策を取りますが、それを逆手に取られ、延王を誤って城内に迎え入れてしまいます。
潜入した尚隆と互いに剣を向かい合わせた状態で対峙。
自身を庇い弁護した院白沢に尚隆が背を向けた瞬間、斡由は不意を突いて襲い掛かります。
すると潜伏していた悧角が飛び出し致命傷を負わされ、最期は延王に心臓を剣で一突きされて死亡しました。
第四十五話「東の海神 西の滄海」転章<終>
<あらすじ>
陽子は、延王・尚隆が話してくれた「もう一人の俺」斡由との過去、その話の意味をもう一度振り返っていた…。
六太の使令・悧角によって倒された斡由。一方更夜は、「ろくた」を止めた。
斡由編振り返り回です。
斡由の死後、院白沢らの人材は延王尚隆のもとに移りました。
延王と延麒は更夜に、更夜が普通に暮らせるような国を作ることを約束し、更夜は「いつまでも待ってる」と言い残して旅立ちます。
話は現在に戻り、延王は「お前にとってのもう一人の自分は昇紘だ」と陽子に助言。
どんな処遇をするかは時間をかけて考えれば良いと話します。
そして楽俊は雁から慶の大学に編入できることが決定。陽子の様子を常々案じていることを知っていた延王の粋な取り計らいでした。
どこかで更夜は生きているんだろうか…どうか、元気でいてほしいです。
まとめ

アニメを見終えた後、光の速さで原作を大人買いしました。
私は戴国推しです☃️✌️
そして景麒と陽子推し。
景麒の言葉が足りないながらも主人をひたむきに応援しているところ、陽子の不器用ながらも真っ直ぐに民と向き合い成長しようとするしなやかな強さ、どちらもが愛おしいです。
ああもう〜!!みんな大好き!!全部の国のことをもっと詳しく知りたいです!!

面白かった〜!!!!!
作品名はよくSNSや書店で目にしていたんですが、電子書籍になっていないから嵩張るのと、長編を読む体力がないな…と思っていたので、アニメで見られてラッキーでした❤️
各国の歴史・文化や政治制度などが細かく描写されていて、まるで本当にそこにそういう世界があるような面白さでした。
作り込まれた世界観…素晴らしいです!

小野不由美先生作品は好きで、いくつか文庫本を読んだことがあったんですが…「十二国記」は長編なので読み終えられる気がしなくて放置していましたw
アニメだとするする観られる、片手間に観られるのですごくいいですね。
できれば原作の続きもアニメ化してほしいです…!!!
今回3人が見た「十二国記」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。
ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨
\ 今なら30日間無料体験できる! /
Amazonプライムビデオ