アニメ「不滅のあなたへ」のネタバレ感想|人間はなぜ生まれ、死ぬのか?神の視点で見た人間史

アニメ

「アマプラ同時上映会」第120弾!

当サイトの運営者3人が、Amazonプライムビデオでアニメやドラマ・映画を同時視聴する企画です🎬✨

今回観るのは、第43回講談社漫画賞少年部門受賞の大河ファンタジー作品、「不滅のあなたへ」

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ

神に作られた「死なない生き物」のお話。

<あらすじ>
フシは最初、地上に投げ込まれた“球”だった。
持っていたのは「刺激を受けた物の姿へ変化できる能⼒」と「死んでも再⽣できる能⼒」。
球から⽯、オオカミ、そして少年へと姿を変化させていく中で自分の⽣き方を選びとり、⼒強く⽣きるフシの永遠の旅を描く。

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こんな人におすすめ

  • 人が生きる意味を知りたい
  • 人が人たりえる理由を知りたい
  • 正義と悪について再考したい

 

 ネタバレ感想

#1 最後のひとり

<あらすじ>
何者かが地上に投げ入れたひとつの球。
“それ”は大地を転がり、石やコケ、けがを負い死んだ白いオオカミへと姿を変え、雪原をさまよっていた。
やがて“それ”は、飼い主の少年が暮らす小さな家にたどりつく。

厳しい北の集落でたったひとり、豊かな土地を求めて去った仲間を待ち続けていた少年は、オオカミのジョアンとともに旅に出ることを決意します。

ジョアンの中身は、何者かが地上に投げ入れたひとつの謎の球。何物にも姿を変えられる謎の生物です。

しかし少年は仲間を待ち続けることが辛くなり、ジョアンに話しかけることで必死に理性を保ちながら、仲間の後を追います。けれどその先で見たのは、仲間たちの遺物のみ。

少年は絶望します。それまで必死に「みんなが帰ってこないのはきっと行った先の居心地が良すぎるからだ」とジョアンと自分に言い聞かせていたのに…。

旅の途中で氷の海に落ちてしまい、脚に大怪我をした少年は、失意の中で自分の家に戻ります。

怪我のせいで高熱に苦しむ少年は、自分の痛みを押してでもジョアンに食べ物を食べさせようとします。
そして、「みんなが帰ってきた時に恥ずかしくないように」と朦朧としながら、自分が壁に描いたみんなの似顔絵の前で椅子に座り、そのまま死ぬのでした。

ジョアンは少年の死を刺激として感じ取り、少年そっくりに姿を変え、その集落を後にします。

集落に残されたのは、死後の世界で仲間と再開し、微笑みをたたえて死んだ少年の遺体のみ…。

たこわさ
たこわさ

死後の世界で「みんなここにいたんだ!ここはどこ?僕の名前はね…」と嬉しそうに仲間や知らない人々に自己紹介する少年の姿に涙が溢れます。

ジョアンに抱きつき、「僕は僕とずっと話していただけだった…いやそうじゃない、君はずっとそばにいてくれたよね。ごめんね」と涙する少年に、見ているこちらが嗚咽が止まりません…。つらい。どうしてこんな…神は少年に苦難を与えられるのか。彼の人生は幸せだったのだろうか。
吹雪の中を進んでいくジョアンは、何を求め、どこへ向かうんでしょうか。

 

#2 おとなしくない少女

<あらすじ>
少年に姿を変えた“それ”は、死と再生を繰り返しながら歩き続けた。
森の大地ニナンナに到着するが、突然何者かに襲われてしまう。
ニナンナでは「大人になってママになること」を夢見る少女マーチが、家族や友人とともに穏やかな暮らしを送っていたが、ある日、隣国ヤノメの役人ハヤセが祈祷師ピオランとともに村に現れて…。

少年に姿を変えた“それ”は、糞を垂れ流し飲まず食わずで歩き続けました。
5回死にましたが、死ぬたびにそれが刺激となり成長を加速させ、1回目の死では数日かかった再生も5回目にはたった12時間で行えるようになりました。
“それ”は森の大地ニナンナに到着した時、突然熊に襲われて死にました。

ニナンナでは「大人になってママになること」を夢見る少女マーチが、家族やパロナという姉のように慕う友人とともに穏やかな暮らしを送っていました。

しかしある日、隣国ヤノメの役人ハヤセが祈祷師ピオランとともに村に現れて、マーチをオニグマ様への生贄に選んでしまいました。

マーチは大人になりたいと泣き喚きますが、マーチが生贄にならないのならマーチのいもうとリサや別の子が生贄になるとハヤセに言われ、マーチは我慢します。

しかし、マーチは生贄の祭壇に連れて行かれる途中、パロナが生贄を守る者たちに攻撃したのと同時に逃げ出してしまいます。

パロナは山の斜面を転がり落ち、その先に”それ”がいました。マーチが食べ物を探すと、奪い取る”それ”。

“それ”は食べ物をくれるマーチについて行き、マーチは”それ”に我が子を愛でる母親のように振る舞います。

 

#3 小さな進化

<あらすじ>
少女マーチは森で出会った不死身の少年を“フシ”と名付けた。
少年の姿をしているものの、人間らしい意識は持たず、食事や会話もままならないフシに対して、マーチはまるで母親のように優しく接した。
彼女とのふれあいを経て、フシの心に変化が起こっていく。

少女マーチは森で出会った不死身の少年を“フシ”と名付けました。
少年の姿をしているものの、人間らしい意識は持たず、食事や会話もままならないフシに対して、マーチはまるで母親のように優しく接します。

しかしマーチはハヤセに見つかってしまい、眠り薬のような食べ物を食べさせられてしまいます。

一方パロナはどうにかオニグマ様の襲撃に乗じてハヤセの一味たちの捕縛から抜け出し、フシに出会います。しかしマーチの行方は分かりません。

パロナは生贄となったマーチに縋り付き、「しきたりなんて守らなくていい!自分で大人になることを選んでいいんだ!」と号泣。
フシはマーチの後を追い、マーチとパロナを襲うオニグマ様に、人型から白狼の姿になって食らいつきます。

オニグマ様に食らいつくほど、感情の揺らぎを感じて再生し強くなるフシ。

パロナはその様子を見て、「神の御業か」と笑います。パロナはハヤセたちとフシをヤノメに持ち帰ることに決めます。

 

#4 大きな器

<あらすじ>
フシの不死身の能力に興味を持ったハヤセは、フシ、マーチ、パロナ、そして身分を明かしたピオランをヤノメ国へ連行する。
華やかで活気にあふれたヤノメの街を楽しむフシたち。
しかし、ハヤセが密かに進める恐ろしい企てにより、フシたちの自由が危うくなろうとしていた。

フシはオニグマ様との戦いで新たな刺激を獲得していました。

ヤノメはニナンナの祭りを手伝うことで精神的支配を行ない、いずれ実質的にも支配権を握るつもりだ、ニナンナの老人たちにいくら神は死んだと言っても信仰心が強すぎて聞きはしないだろうと祈祷師の老婆(実はエセ占い師で罪人)のピオランはハヤセに話します。

「人の生き死にに意味を求めるなんて間違っている」「人間には生命の使い所がある。それがないなんてどうやって生きる意味を持つんだ」という相反する思いに葛藤するハヤセを、フシはただ見つめています。

パロマはハヤセたちをヤノメに連れてきて、「今日からあなたたちはヤノメの住人です」と話します。ヤノメは非常に文化的・商業的に先進していて、文字、地図、加工した食料…ニナンナにはないものがたくさんあります。

ハヤセたちはパロナによって牢に捕らえられ、「一生ここにいろ」と言われます。フシとマーチが牢の床を掘り、オニグマ様の捉えられている牢へ向かうと、パロナにオニグマ様の世話を押し付けられます。

ハヤセはピオランと手を組み、オニグマ様の目と皮を剥いで村に戻れば悪しき風習は無くなるはずだと自分に言い聞かせます。

ハヤセが必死で生贄という悪しき風習をやめさせようとしていたのは、実姉が生贄に選ばれひとり逃げなければならなかったからでした。

その後、マーチはオニグマ様を世話し、ハヤセは着々と脱走の準備を企てていました。
しかしオニグマ様は看病の甲斐なく死んでしまいます。

ハヤセは姉にもらった命をマーチのために使う、と命をかけて脱走しようとします。

小錦あや
小錦あや

ナレーションの「器は空いた」が気になります。フシはオニグマ様に体を乗り換えるのかもしれません。

 

#5 共にゆく人

<あらすじ>
夜の闇にまぎれて監獄を出たフシたちは、馬車でヤノメ国から脱出しようとする。
ニナンナの両親のもとに帰れることが嬉しいマーチは、フシに「一緒に大人になろう」と笑いかける。
しかし、ハヤセ率いるヤノメの一団がフシたちの逃亡を許すはずはなく…。

マーチはオニグマの目を抉ろうとするパロマを必死で止めます。その剣幕に気圧されるパロマ。

フシたちは下水道を伝い、ヤノメから馬車で脱獄。マーチはニナンナの両親のもとに帰れると喜びますが、ハヤセ率いるヤノメの一団はフシを渡せと逃亡を阻止してきます。

その最中、マーチはハヤセの矢に射られて死亡。それを見たフシは思わずハヤセに飛びかかり、オニグマ様に変身します。
瀕死のハヤセを前に、パロマは自死を図ろうとしますが、フシに阻止されます。

ヤノメはフシを追ってニナンナへ襲撃しますが、フシはパロマに「自分の生き方は与えられるものじゃない、勝ち取るものだ」と背中を押され1人旅立ちます。

ニナンナに襲撃してくるハヤセにパロマは矢を向けますが、またしても温情が優ってしまい、致命傷を与えることはできませんでした。

 

#6 私たちの目的

<あらすじ>
わずかな“人間らしさ”を獲得したフシは、ひとり旅立った。
フシは森で老婆ピオランと再会し、少しずつ言葉や文字、人間としての生き方を教わっていく。
ある夜、フシは森の中から現れた奇妙な触手に襲われる。

マーチの死からわずかな“人間らしさ”を獲得したフシはひとり旅立ちましたが、森で老婆ピオランと再会し、少しずつ言葉や文字、人間としての生き方を教わっていきます。

フシはピオランと共に彼女の故郷へ向かいます。ヤノメはピオランの故郷・タクナハと毎日戦っていると彼女は話します。

ある夜、フシは森の中から現れた奇妙な木の根の群れに襲われます。そして現れる、フシが初めて出会った少年そっくりの存在。

“観察者”がその姿を現し、フシのような姿形をしたそれはフシから大切なものを奪い取ることを特化した存在で、彼を敵とみなせ、殺せと命じます。

フシがその存在の「核」を奪い返すと、少年やオニグマ様との記憶が蘇ります。

フシが観察者に何者かと尋ねると、観察者は「私たちがお前を作った。私たちには大いなる目的がある。この世界を保存することだ。そして”これ”はその計画を阻むために放り込まれた存在だ」「フシ、楽しく過ごせよ。来る終わりのその時まで」と話します。

ピオランとフシがピオランの恋人の家に向かうと、そこでは仮面を被った謎の少年が家の中を掃除をしていました。

 

#7 変わりたい少年

<あらすじ>
フシとピオランは、タクナハに到着。
酒爺の店で仮面の少年グーグーに出会う。
3か月前のある出来事のために素顔を隠し、酒爺のもとで使用人として働いているグーグーは、謎めいた少年フシに、どこか親しみを感じる。

タクナハに生きる少年・グーグーは兄と共に貧しくも「自分たちの家を持つ」という夢を持っていましたが、兄は悪い友人たちと共に2人で貯めた金を持ち逃げしてしまいます。

屋敷に住む金持ちの少女・リーンの飼い犬を保護し、お礼に一生遊んで暮らせる金を得たグーグーは、なぜ自分は自分なのかと問います。

リーンを助けるために身を挺したグーグーでしたが、リーンは家に保護され、彼は丘の上に住む変人の男に命を助けられます。

グーグーは自分以外の何かになりたい、運命に抗いたいと思ってきましたが、なんと男に怪物にされてしまいます。
男は酒爺といい、グーグーは3ヶ月の間、彼の使用人として働きます。

そんな折、ピオランとフシが酒爺のもとを訪ねてきます。
グーグーは謎めいた少年フシにどこか親しみを感じ、あれこれと世話を焼きます。しかし、兄に裏切られグチャグチャの顔と体になった自分を思い返し、自分のことを何も知らないというフシを羨ましがります。

グーグーは大きな屋敷に住んで毎日山盛りのご飯食べることを夢見ていましたが、「今その夢を手に入れたけれど、カッコいい兄がいて好きな女の子と話すという自分の人生はもう二度と戻ってこない。10年後もきっと今と同じ生活をしているだろう」と悲しそうに言います。

久々にリーンと出会ったグーグーでしたが、全く相手にされず落ち込みます。しかし悩んだ時間こそお前を良い男にすると酒爺に言われ、復活。体を鍛え始めます。

 

#8 怪物兄弟

<あらすじ>
フシ、グーグー、ピオラン、酒爺、そこにお金持ちの一人娘リーンが加わり、一風変わった共同生活が続く。
リーンに憧れるグーグーは、戸惑いつつも彼女との暮らしにほのかな期待を抱く。
ところがある日、酒爺から自分の体の大きな秘密を知らされたグーグーは…。

金持ちの一人娘リーンがフシに一目惚れし、店で働かせて欲しいと共同生活を願い出ます。

フシは姿を変える以外に欲しいと思った時に物を作ることができることをグーグーに披露しますが、痛みを感じると何かを生み出せるのか?と実験され嫌がります。

リーンに憧れるグーグーは、戸惑いつつも彼女との暮らしにほのかな期待を抱きます。
グーグーがリーンの傷を治してあげたいと酒爺に尋ねると、酒爺は傷の手当ての最中にグーグーの中に酒を貯蔵する臓器を作っており、そこから取り出した酒を彼女の傷跡に塗るといいと提案します。

グーグーは自力で体内の酒壺を取ろうとしますが、取れません。街でお金を稼ぎ、お金を支払って酒壺を取ってもらおうと考えます。

ちょうど雇ってくれる家を見つけ、そこの主人から家族にならないかと誘われますが、その家の息子に「街で怪物って言われてる奴と家族になるなんて嫌だ」と言われ、帰り道で仮面を無理やり取られて馬鹿にされます。

自分は何を守っているのか、人間でいたいからか…と考え、吹っ切れたグーグーは仮面を取り、生きることを決めます。
雇い主はそんなグーグーを受け入れます。しかし彼の息子は冷たく、「うちは珍獣小屋じゃない」とグーグーに水をかけ、二度とうちに来るなと言われます。

グーグーは新しい仕事を探そうとしますが、みんな顔を見た途端逃げ出します。
グーグーはリーンからもらった指輪を換金しようとしますが、そんな時、痩せ細って行き倒れている兄を見つけます。そんな兄を見ていられず、指輪をあげてしまいます。

グーグーは自分が指輪を使っても怪物のままですが、兄なら真っ当な人間になれるかもしれないと思ったのです。

そんな折、人攫いに売られそうになるグーグー。そこにフシが現れ、グーグーを救い出します。
グーグーはフシに「怪物の時の方がカッコいいよ」「怪物万歳!」と涙ながらに話しかけるのでした。

 

#09 深い記憶

<あらすじ>
兄弟の絆を深めていくフシとグーグー。
フシは、これまで出会った雪原の少年やオオカミのジョアン、マーチたちのことをグーグーに話す。
グーグーも、フシに「死ぬこと」について教えながら、自分の過去を思い返す。

兄弟の絆を深めていくフシとグーグー。
フシは、これまで出会った雪原の少年やオオカミのジョアン、マーチたちのことをグーグーに話します。

グーグーも、フシに「死ぬこと」について教えながら、自分の過去を思い返します。
それは、かつて兄とともにお金持ちの家で雇われていた頃、家族の意味に気付かされた時のことでした。

「死ぬことは空っぽになること。お前だけが俺を心配してくれて…それってまるで本当の家族みたいだ」と涙ぐみ、眠るグーグー。

そこに現れるリーン。帰るよう説得する彼女の言葉を聞き、グーグーは自分の境遇に興味がなくなったから帰ると話します。

そして酒爺の家へ3人が向かっていると、フシの前に謎の男が現れ「人間ごっこは楽しいか?敵はいつでもお前を狙っている」と言い残して去っていきます。その言葉どおり、森の中で突然何かに襲われるフシ。

フシの傷口からは花びらのようなものが舞い上がっていきます。

 

#10 新しい家族

<あらすじ>
森の中に現れたのは謎の敵“ノッカー”だった。
敵はマーチの器を奪いとり、植物のツルのような無数の触手を伸ばしてフシたちを追い詰める。
フシとグーグーは互いを守りながら懸命に戦うが、絶体絶命のピンチに。

森の中に現れたのは謎の敵“ノッカー”。植物のツルのような無数の触手を伸ばしてフシたちを追い詰めます。

グーグーはノッカーがフシしか見ていないという弱みに気付き、腹に入れた酒を吐き出して松明に引火させることで攻撃する方法を思いつきます。
急いで酒爺のもとに戻り、体にとびきり強い酒を入れるよう頼むグーグー。しかし体内のどこかが破損しているようで、酩酊状態です。

同じ頃、リーンのもとに両親が迎えに来ていました。将来恥をかかぬようにとリーンに教育を受けさせてきた両親は、なぜリーンが「自由に生きたい」とわがままを言っては何度も家出するのか理解できません。

グーグーはフシを助けようとノッカーに向かって何度も炎を吐き続けます。
観察者の助力を得てどうにかフシは生き返り、グーグーは喜びます。

フシは観察者と対峙しており、「お前にはより強くなる方法がある。同じ場所に留まらないことだ」「ノッカーはこの世界の崩壊を目論む存在だ。奴らは学習する」「(グーグーの)最期を見届けたいなら止めはしない」と言って去っていきます。
リーンは自分の境遇がどうでもよくなったと言い、家に帰っていきます。

4年が経ち、グーグーは屈強な青年になっていました。リーンは相変わらず頻繁に家出をしており、フシはグーグーに料理を習い、その腕は随分上達していました。穏やかな日々です。

 

#11 過去からの贈り物

<あらすじ>
ノッカーとの戦いから4年の歳月が流れ、フシとグーグーはたくましい青年へと成長した。
グーグーは生き別れた兄と再会。
そしてリーンの屋敷で開かれる、16歳の誕生日パーティーに招かれる。

ノッカーとの戦いから4年の歳月が流れ、フシとグーグーはたくましい青年へと成長しました。

ある日突然、グーグーのもとに、生き別れた兄が尋ねてきます。グーグーは「自分のクズさを表明しにきたのか」と兄を追い返しますが、兄はせめてもの罪滅ぼしにとリーンに指輪を返します。

グーグーとフシはリーンの屋敷で開かれる、16歳の誕生日パーティーに招かれます。
親が決めた顔も知らない相手と結婚しなければならないリーンは、グーグーと結婚したいと彼にモーションをかけます。満更でもないグーグー。

ノッカーの襲来に備え、酒爺は炎を吐ける仮面をグーグーに贈ります。お礼を言うグーグーに、酒爺は孫を見るような気持ちになり思わず涙ぐみます。

リーンは誕生日会でグーグーが仮面を被ることになった理由が自分を救ってくれたからだと気づきます。リーンは改めてグーグーへの恋心を募らせます。
しかし2人が想いを通わせ合おうとした瞬間、ノッカーが現れ、グーグーは険しい崖下の海へに転落します。

 

#12 目覚め

<あらすじ>
グーグーとリーン。
ついに二人の心が通い合おうとしたとき、屋敷にノッカーが現れた。
華やかなパーティー会場を揺れが襲い、招待客たちは悲鳴をあげながら逃げまどう。

グーグーとリーンの心が通い合おうとしたとき、突然パーティー会場を揺れが襲い、ノッカーが現れます。
フシはおびえる人々を外へと逃がし、グーグーとともにノッカーに挑みます。

崩れた屋敷の下からフシを助け出し、共にノッカーと戦うグーグー。
前の柔らかい体とは違い岩の鎧を身につけ形態を変えたノッカーへの勝ち方が分からないと戸惑うフシに知恵を授けるグーグー。しかし勝ったと思ったその瞬間、ノッカーはグーグーを握り潰します。

そしてフシは生まれ直すと、自分ではない誰かの激しい痛みを感じます。
その頃、グーグーはリーンを庇って瓦礫の重みに耐え続けていました。そして、激しい痛みの中でリーンにやっと想いを伝えられたグーグーは死んでしまいます。

フシはグーグーに変身し、ノッカーに立ち向かいます。自分を兄弟だと言ってくれたグーグーが死んだと信じたくないフシは、「グーグーは死んでない」と叫びながらノッカーと戦い続けます。

観察者は「奴は西へ移動している。あの中にはお前の核の一部がある」とフシに告げ、去っていきます。

リーンはどうにか瓦礫の山から助け出されましたが、グーグーは変わり果てた姿で兄と対面します。兄はグーグーを背負い泣きながらどこかへ向かいます。
グーグーは生と死の間で、傷という傷が全て治った夢を見、その後、彼の死に嘆き悲しむ皆を抱きしめていました。

フシは自分のせいでもう誰かが死ぬのは嫌だと1人で旅立つことを決めます。
しかしその直前、リーンがグーグーに会いに来てしまい、思わずグーグーに変身してしまいます。
グーグーが旅立ったということにして、酒爺たちはフシを見送ります。

リーンはグーグーが送ってくれた花の咲き乱れる場所で寝転びながら、「結婚はやめる。好きな人ができたの」と言い「もうここにはいない」と涙ながらに父に告げるのでした。

 

#13 高みへの意志

<あらすじ>
酒爺たちに別れを告げたフシは、タクナハの地をひとりさまよっていた。
道すがら、観察者に自分の存在理由や生き残った意味を問いかけるが、満足な答えは返ってこない。
やがてフシを追って、ある人が旅に合流する。

フシはタクナハの地をさまよい、道すがら観察者に自分の存在理由や生き残った意味を問いかけます。

「お前はこの地の情報を保存する装置だ」「お前だけが特別な存在なのがノッカーは気に食わないのだろう、だから襲ってくる」としか返されず、いらだったフシは「俺が俺でなくなればいいのか」と梨に変身しますが、観察者は「そのままではノッカーに好き放題やられてお前は球に戻るだけだ。困るのはお前だ」「私はいずれいなくなる。私の目的を達成するためにお前にはノッカーを打ち勝てるように育ってもらわなければ困る」と言います。

反発したフシはもう何にも関わらないと観察者の前から身を翻しますが、走り出した先でビオランに出会います。
ビオランは老い先短い人生でフシを支えたいと言い、フシの言うことを聞きません。

フシはビオランを守れるように強くなりたいと言いますが、ビオランは「守ってほしいと思わない。浮草のように生きるのもいい」と言います。

そしてフシは木登りの仕方を忘れており、マーチの器と記憶がノッカーに奪われたことに気付かされます。
ビオランはそれを「まるで2度目の死じゃな」と言い、グーグーやビオランたちを決して忘れないように強くなることをフシは改めて誓います。

町に着くたび、いつノッカーがやってくるかと怯えるフシに、ビオランは船で渡った先の遠い島なら動物しかいないから思う存分強くなれると提案します。早速島へ行くための船に乗り込む2人ですが、なんと奴隷船に乗せられてしまい、ジャナンダ島という監獄島へ向かわされてしまいます。

ビオランとはぐれ、慌てるフシ。なぜか少女に助けられ、闘技場で優勝すればピオランを助け出せると言われます。

 

#14 自由の島・ジャナンダ

<あらすじ>
スカイフィッシュ号の案内役、少女トナリに導かれジャナンダ島へやってきたフシ。
そこは凶悪殺人犯たちを囚人として集めた島だった。
囚人たちは望みをかなえるために、闘技場で殺しあうという。

スカイフィッシュ号の案内役、少女トナリに導かれジャナンダ島へやってきたフシ。
そこは凶悪殺人犯たちを囚人として集めた島でした。

囚人たちは望みをかなえるために闘技場で殺しあうといわれ、離れ離れになったピオランを救いたいフシは闘技場で戦い、最後まで勝ち残ってしまいます。
フシはピオランを探しますが、トナリに勝手に祀りあげられ、次の島長候補になってしまいます。

フシは観察者にピオランと会わせるよう言いますが、彼は「死に時を自分で選んだ人間にお前が心を動かす必要はない」「俺はお前が成長する時しか手は貸さない」と言い切ります。

闘技場での2回戦、フシはかつて「人の生き死にに意味などない」と言った少女のことを思い出し、彼女に姿を変えて戦い、勝利します。

 

#15 トナリという名の少女

<あらすじ>
バーサーカーとの戦いの最中、ニナンナの少女パロナの姿に変身したフシ。
その意味を悟り、ショックを受ける。
トナリはそんなフシを仲間に引き入れようと、ピオラン救出への協力を申し出る。

バーサーカーとの戦いの最中、ニナンナの少女パロナの姿に変身したフシ。
パロナは「人の生き死にに意味を求めてはならない」と言っていましたが、トナリは「死んだ方がいい連中はいる」と断言。

フシは自分とピオランをスカイフィッシュ号に入れたトナリを信じることができません。しかしピオランを救出するために彼女と渋々協力することに。

その夜、フシは1人でピオランの閉じ込められている牢獄を見つけます。ピオランは自分はいいから1人で逃げろと言いますが、フシは諦めきれません。
トナリは有益な情報を得ても「討議場で勝ったら」と先延ばししては、適当なことしか教えてくれません。

そんな時、突然現れるノッカー。トナリと仲間たちはノッカーに怯みもせず、フシに加勢します。
ノッカーを倒し、フシはマーチ、オニグマ、グーグーの記憶を取り戻しました。

 

 #16 子どもたちの夢

<あらすじ>
ノッカーとの戦いに辛くも勝利を収めたフシ。
トナリやジャナンダ島民との共闘は、フシの心に変化をもたらした。
その夜、フシは子どもたちと一緒に火を囲み、それぞれの夢を語りあう。

フシはノッカーと自分との関係についてトナリと仲間たちに説明します。彼らはそれぞれ夢を語り、トナリは「死んだお父さんをびっくりさせること」と話します。

トナリはある日、母親が殺されたことで父親は島流しにされます。父親は島長になり島を出ようと決意し、闘技システムに参加します。順調に進んだ父親でしたが、戦う父の姿は獣のようであり、トナリは父を父だと思わなくなります。

優勝した父親は島民に毒殺され、トナリは孤児の仲間を作って仕入れの仕事をするようになります。
そんな時、彼女はハヤセに「フシはお前の運命を変えてくれる」と囁かれ、思わず彼を島に連れてきたのでした。

フシはトナリに「勝ってみんなを外に連れて行く」と言います。島長決定戦の討議場にいたのは、ハヤセでした。

パロナとマーチを殺したハヤセは、「その女の体は乗り心地がいいでしょう?私からの贈り物です」と笑います。
「お前を殺してやる」と激昂するフシですが、パロナに眠り薬を使い昏倒させられ、新しい島長はハヤセに。

 

 #17 先覚者

<あらすじ>
フシを倒し優勝したハヤセは、ジャナンダの島民たちに意外な提案をする。
眠らせたフシを連行し、いよいよ我が物にしようと企むハヤセ。
そこへ、フシを助け出そうとやってきたトナリとその仲間たち。

フシを倒し優勝したハヤセは、ジャナンダの島民たちにフシの守護団に所属するなら永遠に働かず飢えずに済む権利を与えると言い、島長の権利はトナリに譲ると提案します。

昏倒したフシはハヤセの毒で眠らされ、ある部屋に寝かれたまま動くことができません。
トナリはフシを「島の財産」と言って、島民たちを巻き込んでフシを我が物にしようとします。

フシは自分をハヤセに好きにさせる代わりに、トナリおよび島から出て行きたい者を島から出すように頼みます。
トナリは自分の知り合いと7歳以下の子供だけを船に乗せる、子供は未来を自分で選べるべきだと宣言します。

ハヤセはピオラン、トナリたちを失神させて船に積み込みます。そしてフシは毒で失神させます。
トナリはフシを救うために船から降りて島に向かいます。

 

 #18 進み行くために

<あらすじ>
囚われの身となったフシを救出するため、トナリはひとりジャナンダ島へ戻った。
二人は再び島を脱出しようとするが、海が荒れたため洞窟で一夜を過ごす。
トナリは思いを語り、二人は心を通わせる。

トナリとフシは再び島を脱出しようとしますが、海が荒れたため洞窟で一夜を過ごします。
トナリは自分の父親が島長になるために人を殺し笑う姿を見て、こうやって自分の母を殺したんだと軽蔑したのだと話します。フシはそんなトナリに、俺たちの親が悪魔でも俺たちはやりたいことをやるんだと言います。

トナリはフシの言葉を受けて、両親との暖かい生活ではなくフシや仲間たちとの共同生活を夢見ます。

翌朝、観察者によってノッカーの出現が知らされます。トナリは既に救うべき人は救っているのだから無視しろと言いますが、観察者曰く「ノッカーは無視するとより脅威になる」ということで、フシはノッカー退治に1人向かいます。

フシが見たのは、死体置き場から次々と死人が起きあがるノッカーたち。そしてそこに現れたのはトナリの仲間達。フシと共に戦います。

しかしその戦いの最中、仲間の1人であるウパがノッカーに乗っ取られ、仲間の1人であるミヤを殺します。ムロイもミヤを介抱しようとしている最中、ノッカーに乗っ取られます。

 

#19 さまよう殺意

<あらすじ>
フシは島民たちを守るため、次々と現れる死体に乗り移ったノッカーの集団と戦う。
しかし仲間たちの命の火が次々と消えていく。
大切な人を助けられない自分自身を呪うフシ。

ハヤセはノッカーに体を乗っ取られそうになりますが、ノッカーを手なずけ、去らせます。
トナリの命を狙うハヤセをねじ伏せるフシですが、殺すことはできません。
フシは死体を燃やし尽くしますが、島に残った残り3体の死体はウパ、ミヤ、ウーロイでした。

ハヤセは自分がウーロイたちを殺す汚い役になるから今後もフシを守らせてくれと、トナリを人質にしながら懇願します。
トナリはウーロイたちへの申し訳なさからハヤセもろとも自害しようとしますが、フシが2人を助けます。

死体を焼きながら、トナリは島長として「助け合って生きよう」と人々に伝えます。
そして、トナリとサンデルは島に残ることを選択します。

フシはハヤセを連れて島を出て、彼女の目的を尋ねます。ハヤセはフシを愛していると言い、「あなたを独占したい。私が死ねばあなたは私になる。」と恍惚と言います。船をもう一艘作り、彼女から離れるフシ。
その後、ハヤセはノッカーが殺害します。

トナリの相棒、フクロウのリガードがフシを陸に案内します。フシはリガードを見ながら、ジャナンダ島への郷愁に浸るのでした。

 

 #20 残響

<あらすじ>
フシはトナリたちに別れを告げ、ピオランが待つゼダンの港へと戻る。
しかし、ノッカーを引き寄せてしまう自分の存在は、ピオランに危険を与えてしまう。
もう会わない方がいいのではないか。

フシはトナリたちに別れを告げ、ピオランが待つゼダンの港へと戻ります。
しかし、ノッカーを引き寄せてしまう自分の存在はピオランに危険を与えてしまうので、もう会わない方がいいのではないかと決意を固めます。

自分を待つのはやめていいと手紙を書いたり、彼女のためにコートを調達するフシ。
観察者はお前といてもいなくてもピオランはいずれ死ぬとフシに言います。
ピオランはコートを置いていくフシに気づき、再会を喜びます。
フシはピオランと過ごすうちにノッカーへの対処法を身につけていきます。

フシは「もう何も思い残すことはない」と語るピオランに尊さを感じますが、ピオランは徐々にボケていきます。

ある日、ピオランは自分の死期を悟り、観察者に「フシの役に立つものに生まれ変わらせてくれ」と密かに頼みます。観察者はそれを承諾し、彼女を「球」にします。

ピオランを火葬すると、フシはピオランが「好きなことをやれ」と置き手紙を残していたことを知ります。
それから数十年間、フシは淡々と生きていました。

しかしある時、フシが住むはずのジャングルである男が爆発を起こします。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

少年とジョアンの物語は吐くほど泣きました。

生まれた時からたった1人、もしくは望んで1人になっているならいざ知らず、この少年はもともとたくさんの愛に囲まれて生きてきた子です。

皆の帰りを待つしかない日々はどれほどつらく、苦しかったでしょう。「明日こそ」と期待し続けた彼の一生があまりに切なく、ただただ涙が溢れます。

生死に意味などない。それでも、彼が「いい人生だった」と思えるように、少しでも多くの幸せを彼にあげたかった…辛いです。

小錦あや
小錦あや

初っ端から相当ヘヴィーでシリアスな話だったので、正直見続けるかどうかかなり悩みました。

人は自分の存在に意味を求めたがるけれど、生きることも死ぬことも、喜びも悲しみも、それぞれ何の意味もないのだと突きつけられる…まるで、神の視点で人類を見つめているような物語です。

少年とジョアン、パロマとマーチ、グーグーとリーン…フシは人々と出会い、変わっていったフシ。球になったピオラン。

答えのない物語を見ながら、まるで人生のようだとぼんやり思いました。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

観察者とノッカーは一体何がしたいのでしょうか?

フシに人間の愚かさと変化していく様を体験させること、フシと戦うこと、それが一体何の役に立つというのでしょうか?

人の命と同じように、そこには意味などなく、ただ、観察者もノッカーも「そうあるべき」と何者かの意思で動いているだけなのでしょうか。

見進めるほど謎が深まります。

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