佐岸左岸先生「オールドファッションカップケーキwithカプチーノ」を読みました!(前作「オールドファッションカップケーキ」のネタバレ感想は、こちら!)
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
年下彼氏が可愛くてたまらない野末は、無自覚に愛しさをふりまいている。
そんな野末に満塁場外ホームランを打たれまくりで嬉しい外川。
ある日、野末の同僚・柿谷に、外川が野末のネクタイをしていると気づかれて…。
こんな人におすすめ
- 歳を重ねるごとに、なんとなく「もういい歳だから…」と挑戦する気持ちを無くしている🌀
- 忠犬年下攻めにガンガン愛をぶつけられたい!!❤️
- 「私・俺の残りの人生、幸せってあるのかなあ…」と半ば諦めている😢
ネタバレ感想
①世間の目を恐れる野末さんに、桐島の温かな喝が入る!
四十路の野末さん(受け)は、10歳歳下の外川(攻め)のかわいさに毎日メロメロ☺️❤️
付き合い始めてからずっと楽しかったはずなのに、ある日、同僚から「外川のつけてるネクタイお前のじゃね?」と指摘されて青ざめます😨(外川は前日野末さんの家に泊まっていた)
「俺、浮かれすぎてた…」「職場では普通の上司でいなきゃ。もし周囲にバレたら俺もあいつも何て言われるか…」と必死で外川と距離を取ろうとしますが、外川は「周囲なんてどうでもいい」と主張。
外川は周囲にどう言われようと野末さんが自分を愛してくれていればそれでよかったのに、野末さんは外川の愛を信じきれず、周囲からのバッシングも恐れていた…その温度差が2人の関係に大きな亀裂を産んでしまいました。
怒った外川に徹底的に避けられ、自分の言動を後悔する野末さん。
そんな野末さんから相談された同期の桐島。優しく喝を入れます。
「男」だとか「おじさん」だとか、そんなことのために”自分”を変えたりしたら絶対だめだよ。
佐岸左岸「オールドファッションカップケーキwithカプチーノ」131ページ
「大丈夫、誰もあんたの恋に石なんて投げたりしない。飛んでくるのは花か米よ。
何が現実的なのか、あんたが決めることで、世間の目に決められることじゃない。
そうでしょ。…幸せになってよ」
佐岸左岸「オールドファッションカップケーキwithカプチーノ」133ページ
私、号泣。
「四十路のおじさんが恋に浮かれたらみっともない(と周囲に思われるだろうから自重しよう)」
「四十路のおじさんと10歳も歳下のイケメンが付き合い続けるなんて現実的に難しい(から、今どんなに幸せでも別れたほうがいいと周囲は言うだろう)」
桐島の喝のおかげで、こんなふうに独りよがりな言動をしていたことに野末さんは気づかされるんです。
野末さんが本当に大切にしなきゃいけないのは周囲の目や考えじゃなくて、愛する外川のはずだったのに。
②愛する人を信じて生きていく覚悟を決めた野末さんがカッコよすぎる
外川は、野末さんがよく言う「四十路のおじさんのくせに」という自虐に対してこんなふうに返します。
「年相応って、千差万別の”自分らしさ”がどういうことなのか、その本質を知ってるってことじゃないですか。
野末さんは知ってますよね。時々忘れちゃいますけど。」
佐岸左岸「オールドファッションカップケーキwithカプチーノ」183ページ
かっこよすぎんよ外川………🤦♀️(号泣)
そうなんです。野末さんも、自分らしさを知っていたはず。だからこそ外川と付き合おうと決めたのに、いつの間にか、周囲の目を気にして自虐したり、身を引くことこそが「大人、ひいては自分のあり方」であるように思い込んでしまっていました。
でも、外川の言葉に野末さんは改めて外川を愛した理由を思い出します。
そして、こんなふうに返すんです。
「俺は自分が気持ち悪い。40のおじさんが恋に溺れて、かわいいって言われて嬉しくなるって、相当気持ち悪いだろ。
でも、このまま死ぬまで溺れさせて。」
「赤の他人が見て聞いて言わせたら、俺は気持ち悪いおっさんでしかない。
でも俺は、君が見てくれることと、君が言ってくれることを信じる。これからは周りの目じゃなくて、君と考えるよ」
佐岸左岸「オールドファッションカップケーキwithカプチーノ」190ページ
「外川、他の誰でもない俺が一番君を傷付けてたのに、居もしない敵作って起こってもないことこわがって、現実の君から逃げて、ごめんね。
君の不安に気付こうとしなくて、ごめんね。」
「俺のこれからの人生で、君が一番の現実だよ。一緒に暮らそう?」
佐岸左岸「オールドファッションカップケーキwithカプチーノ」191〜192ページ
野末さーーーーーーん!!!!!!😭😭😭😭😭(鳴り響くウェディングベル)
「これからは周りの目じゃなくて、君と考えるよ」「現実の君から逃げて、ごめんね」という言葉に、外川は涙し、そんな彼を、往来でも構わず野末さんは抱きしめます。
10数年間野末さんに片想いしてきた外川、気持ち悪いと拒絶されること覚悟で告白した1巻から半年後、こんな風に野末さんが自分に言ってくれるようになるなんてきっと思いもしなかっただろうな。よかったねえ…(号泣)(ご祝儀5億円)
③人生にハッピーエンドは一度きりじゃない!
本作は読者の期待を大きく超えて、「こんな2人が見たかった」を見せてくれました。
人生は「恋が成就して終わり」じゃありません。本の中に息づくキャラクターたちの人生も同じ。
愛する人と喧嘩して、仲直りして、そんな些細な出来事のたびにハッピーエンドは訪れるんだと教えてもらえました。
こんなに真摯で自由で、愛が詰まった物語、これまでなかった。
佐岸左岸先生に、ただただ感謝と愛を伝えたいです。
「オールドファッションカップケーキ」シリーズは、きっとどんな性嗜好の人にも刺さる、BL史にその名を刻まれるべき名シリーズです!!
まとめ
「私たちは周囲に認められる恋愛をしなくてはいけないの?」と、野末と外川というカップルを通して真摯に読者に問いかける一冊。
他人の目を気にして好きなものを好きと言えない人生ではなく、愛する人を見つめて、幸せな時間を深められる人生を選びたい…と、心から思わされました。
昭和や平成では描けなかった、まさに令和を代表するBL作品。
どんな性嗜好の人にも刺さる、BL史に残る名作です。
全人類、今すぐに読んでください。
初々しい2人が見られる1巻のネタバレ感想は、こちら👇です♪