ザイム「花灯」のネタバレ感想|生真面目な書生×妖艶な美貌の青年 薔薇園でしか出会えない彼は一体何者?大正BLの名作

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ザイム先生「花灯」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


訳あり貴族宅に居候する書生×薔薇園に佇む謎の青年 のお話。

<あらすじ>
大学入学を目指し、ある屋敷に下宿することになった進藤明文。

自由に使っていいと離れに案内されたがただひとつ、「裏庭の奥の薔薇園に近づかないこと」を約束させられる。

しかし、風に混ざり聞こえる不審な音を追えば薔薇園に辿りつき、誰もいないはずのそこには見目麗しい青年が佇んでいた…。

 

こんな人におすすめ

  • 大正モノ、和洋折衷な雰囲気のお話が好き!
  • 魔性受けが好き!
  • 実直で誠実な攻めが好き!

 

ネタバレ感想

第1話

とある裕福な貴族の邸宅に下宿することになった書生・明文(あきふみ)。

「決して薔薇園にだけは近づくな」と女主人に忠告されるけれど、薔薇園の門が開いていることを不思議に思い、うっかり入ってしまいます。

クァーッ嫌な予感がするよ…というか、女主人も何か怪しげなんですよね。

女主人が主人をなんやかんやと理由をつけて殺して、家を乗っ取ったのではと想像してるんですけど…どうなのだろう。

明文は薔薇園の中で佇む美青年から、この家の主人が死んだ理由を教えられます。

妖しげに誘惑する美青年こそがこの家の薔薇そのものなんだと悟る明文ですが、彼の魅力に逆らえずに青姦してしまう…。

美青年は妖怪的なものなのか、本当に人間なのか…?

 

第2話

白薔薇の君が言っていた「笑わない女の話」が気になります。女主人のことかな…?

まぐわっている2人の後ろから、誰かが明文を殴ったのは明らか。

しかも女主人は「夜風に当たりませんよう」と薔薇園に近づくなと暗にまた忠告しています。

ますます女主人が怪しい。

女主人は一人息子である有里(白薔薇の君)を薔薇園に幽閉してるんじゃないでしょうか…?主人を殺したことが世間にバレないように。

明文が白薔薇の君に「気持ちいいことをしよう」と誘われても「僕は結局君にとって今までの人間と同じなんだな!」と悲しみ怒る姿が、真っ直ぐで胸を打ちます…。

明文は、本当に心から白薔薇の君に恋しているんですね…🥺

 

第3話

有里は薔薇園にではなく、邸宅内に幽閉されていたんですね🤔

妾の子だから外聞が悪いという理由で閉じ込められていたのか…。

しかも、有里に惚れた人はみんな狂ってしまう…。

明文が普通に有里へ恋文を送って、有里はそれを普通に喜んでいる…それだけのことが限りなく尊いです。読みながら泣いてしまう…🤦‍♀️

何もさせてもらえない有里だけれど、身の回りの世話をするじいやが有里の味方なのが唯一の救いですね。

 

第4話

浅草の凌雲閣(高い建物)の一番上でだけ、有里は会うことに決めているのかな…?

有里は本当の海を見たことがないんだな、故郷の明るい海を見せたい、有里を助け出したいと言う明文に泣きました。

有里はきっと、生きていても死んでいても同じ…というような気持ちになっているのではと思いました。

ぼんやりとした虚な目、暗い海に飛び込んだらどうなるだろうと呟いた独り言…明文はきっと、有里のかなしげな微笑やセックス中の耽美な姿を見たいのではなくて、のびのびとした有里をまるごと愛したいんだなあ…。

明文の正義感の強さ、愛の強さに胸を打たれます…😭😭😭

ウウ…まるで映画を見ているような悲しくて美しい物語…涙が溢れます…。

どうか2人に幸せになってほしい!!!

 

第5話

えええええええ!!!!!!!

ふ、ふ、不穏すぎる…😨

明文が有里の手紙に返事を出さなくなったので、なぜ?と思っていたんですが…故郷に連れて帰りたいと女主人(通称 魔女)にお願いするための決意を固めるためだったんですね。

でもあなたには一族の未来がかかっているのに、あの子のためにそんなことできる?と言われてひるむ明文。

明文はやはり有里にも同じように故郷へ共に行こうと誘いますが、今度は「俺のために魔女を殺してくれる?」と言われてしまいます。

ウウウウ…一族の未来を叶えながらも、有里を救う方法はないのか…?魔女は殺さなくてはいけないのか?

薔薇が枯れるまで返事を待ってくれと言う有里だけど、薔薇は恐ろしいくらい満開に咲いていたのに枯れるなんてあるの…?と思っていたら…

有里が実父に抱かれた記憶を明文で塗りつぶされた途端、枯れた…????

というか、実父と有里がどんな関係だったのか気になります。

勇里は実父に対してなんとなく他人のような感じですが、それは嫌だと言っても無理矢理閉じ込められて、意思を持たないようにさせられてきたからなのか…。

のわりには、自分と関わる男性全員に父を投影していますよね。

それは、父という自分を籠に仕舞い込んだ存在を目の前の男性によって上書きして消したいからなのかな。

明文はこれまでのどの男性とも違うから、やっと父の面影を振り払えたのかもしれない、と思いました。

 

第6話

まさかの展開でした………衝撃的すぎて言葉を失ってしまった………。

ちょっとここのお話はネタバレを伏せさせてください🙏

ここはマッッッジで衝撃的でした…実際に読んでびっくりしてほしい…!!!!

いろいろあったけれど、女主人も執事も明文も、誰もが有里のそばにいたい、大事にしたいとは願っていたことが救いでした。

明文が眠る有里に、やはり故郷の海をお前に見せたいよと語るシーンはあまりに感動的で…一言一句、すべてが素晴らしかったです。

明文が部屋を去った後、有里が目を閉じたまま涙を流すのも美しくて……。

本当に、このまま映画にできそうなくらいの上質すぎるサスペンスです。

いつか有里は、本物の輝く海を明文と一緒に見られるのかな…?

 

番外編

親の都合で田舎に転校してきた高校生、倉橋と同じクラスの荻原 のお話。

倉橋はもしかして明文の生まれ変わりで、萩原は有里の生まれ変わり…ですかね…?

と思ったら、逆だ!!!

倉橋が有里、萩原が明文の親族(かな?)だったんですね。

「俺はいつも誰かの代わりにしかなれない」と泣く倉橋を、「今度は俺と海に行く夢見ろよ」と抱きしめる萩原。

クーーーーーー!!!!!!

萩原ァァァ!!!好きだ!!!!

めっちゃくちゃときめきました…なんて男前なの…。倉橋の涙もまた美しい…。

しかし、明文は無事、有里に故郷の海を見せられたんですね。よかったなあ。

2人は戦後、どうなったのだろう…幸せに暮らせていたらいいなあ。

 

君と見た海(番外編の続き)

倉橋の「寝覚めがいい」の笑顔のかわいさに笑いましたwww

知的でダンディーな男になるから!って騒いだあとの照れ照れキッス…最高ですね…青春だな…///

有里も海の夢を見ていたのか…なんだか、胸が締めつけられますね…。

 

忘却の花

⚠️以下、特大ネタバレあります!!

有里自身、父を殺したことは女主人から「忘れなさい」と強く言われ続けたことであやふやになっているんですね。

薔薇園を離れてはいけない、という強い気持ちはあるものの、なぜ離れたらいけないのかは分からない(父を刺したナイフが埋めてあるからですが)…という。

魔女の呪いなのか、有里が自分自身にかけた呪いなのか…。

明文と有里が海を見るお話を読めたらいいなあ…。続編希望です…!!!!

 

カバー下(キャラ設定)

倉橋と荻原は、有里と明文の色違いって書かれてたのが面白かったですw

明文が亡き主人と雰囲気が似ていて…という裏話にはニヤニヤしましたw

有里は若かりし頃の女主人とそっくり…というのも不思議な感じです。こんな線の細い、魔性の魅力を持つ人だったんだなあ。

たしかに妖しげな魅力ある女性ですよね。

 

まとめ

儚くも美しい、大正BLの名作です!!

難解なサスペンスあり、濃厚エロあり、シリアスな感動あり。

読みながら、白薔薇の香りがどことなく漂ってくるような…高貴で哀しい、でも希望を感じさせる恋物語でした。

絵もストーリーも素晴らしく、大正モノ好き、悲恋好き、身分差好きには絶対絶対読んでほしい一冊です!!

花灯【電子限定特典付き】
作者:ザイム
大学入学を目指し、ある屋敷に下宿することになった進藤明文。自由に使っていいと離れに案内されたがただひとつ、「裏庭の奥の薔薇園に近づかないこと」を約束させられる。しかし、風に混ざり聞こえる不審な音を追えば薔薇園に辿りつき、誰もいないはずのそこには見目麗しい青年が佇んでいた…。
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