majoccoid「待ち合わせはさそり座のどこかで」のあらすじ・感想・レビュー・試し読み|大人気オリジナル同人誌が待望の商業化!

コミック

「君は俺のことを好きになってはくれない」ーー、majoccoid先生「待ち合わせはさそり座のどこかで」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


ロマンティックのゲイ高校生×アロマンティックの高校生 のお話。

<あらすじ>
幼い頃に暮らしていた街に戻ってきた高校生・燦吏は、転校先で当時片想いをしていた少年・玲と偶然同じクラスになる。
玲も燦吏のことを覚えていて、運命のようなものを感じた燦吏は再び淡い恋心を抱き始める。
しかし放課後に男とホテルに入って行く玲を目撃した燦吏は、大きなショックを受け、玲に問いかける。

 

こんな人におすすめ

  • アロマンティックが主人公のBL作品を読みたい🫶
  • 優しくふんわりした幻想的な絵柄が好き🎨
  • さまざまな恋愛の形を知り、噛み締めたい🤝

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

恋愛感情を抱くことを「ロマンティック」、抱かないことを「アロマンティック」と表現します。アロマンティックの人は、家族愛や友情は感じることができても、恋愛感情を抱くことが難しい、または恋愛をしたいと思わないという特徴があります。

引用:恋愛感情・性欲を持たない「アロマンティック・アセクシュアル」のわたしが感じる疎外感。【アンコンシャスバイアスを探せ!】 | Vogue Japan

②majoccoid先生は本作で商業誌デビュー。

 

ネタバレ感想

待ち合わせはさそり座のどこかで

高校2年生で転校してきた篁 燦吏は、同じ小学校時代に淡い片想いをしていた雪下 玲と再会し、想いを募らせていきます。しかし、玲は「(セフレはいるが、)人を好きになる気持ちが分からない」とアロマンティックであることを告白し、燦吏は自分の気持ちとどう折り合いをつけていくか悩みます。

本作はロマンティック(他人に恋愛感情を抱く人)である燦吏と、アロマンティック(恋愛感情のない人)である玲の恋物語(?)です。

一番刺さったのは、想いを隠して置けず「好きだ」と告白してきた燦吏に対して、玲が「人を好きにならないからって一人が平気なわけじゃない」「俺の気持ちを勝手に作って離れていこうとしないで。できるだけずっとそばにいてよ」と頼むシーン。

これまで、玲は、大切な友人たちに 彼らの恋人>友人(自分)と序列をつけられて傷ついたり、体の関係を持った人から「好きじゃないのにセックスするなんて、俺のことを馬鹿にしてたのか」と怒られたり侮蔑されたりして、苦しんできました。
私はロマンティックな人間なので、恋愛感情がないということは想像することしかできません。でも、自分の気持ちを勝手に作られて怒られたり悲しまれたりする苦しい気持ちはなんとなく理解できます。
それに、「人を好きにならないからって一人が平気なわけじゃない」は、すごく自分にとって玲の気持ちが分かりやすい一言でした。
恋愛感情で好きにならないだけで、玲は友人たちのことはすごく大事にしてるんですよね。だからこそ、友人の方が恋人よりも序列が下だと言われるとショックを受けてしまう。自分はいつまで経っても誰かの大切な存在ではいられないのだと…。

アロマンティックな人物を主人公カップルに据えた商業BL作品は、本作が史上初なのではないでしょうか?
BL(ボーイズたちのラブ)というジャンルにおいて、新境地を切り拓いた作品だと感じました。

 

エピローグ

文化祭「木犀祭」の軽音学部打ち上げに参加した玲は、ギターの上遠野なぎさから「ごめん」と謝られて…。

なぎさ、本当にいい奴だ〜😭
本人が玲いじめに加担していたわけじゃないのに、見て見ぬふりをしたからと真摯に謝ってくれて…。でも正直、もしなぎさが玲を庇ったとしても、玲となぎさは当時友人でもなんでもなかったわけで、いじめの被害者が二人になるだけだったんじゃないかな…。
それでも、なぎさは手を差し伸べなかった自分を悔やんでいるというのが、本当に心根の優しい子だなと感動させられます。

そしてラストー!!
みんなが呼んでる「燦くん」じゃなくて、「燦」と呼びたいって…。真っ赤になってる燦吏がかわいすぎるし、玲の小悪魔っぷりに心がぐらぐら揺らされます😈💕

 

描き下ろし

玲が突然「燦」と呼ぶようになり、理由を知りたい燦吏ですが…。

玲に「燦」と呼ばれただけで寝不足になる燦吏😂 玲のこと好きすぎてかわいいです😂

そして、秘密の理由がまたかわいすぎる…。
これは私の勝手な解釈ですが、友人の延長線上にしか恋愛はないという人もいますよね。そういう人にとって、永遠に一番の友人=恋人だと思うんです。玲には友人関係に優劣はあるのかな。もし玲にとっての永遠に一番の友人になれたのなら、それはもう世間的には恋人と同じくらい大切にされてるってことになるのではないかな、と思ったりしました。無理に恋愛に絡めて考える必要はないとは思うのですが。

 

電子限定描き下ろし

全国模試の結果が返ってきた、燦吏と玲。

玲はさすが優等生!燦吏は…頑張らないとですね😂
「俺に合わせて変えてもらうのは嫌だ」というのは、ロマンティックであることについても含まれていそうでしたね。

そして、ラストのネタバレに大歓喜〜!!二人が幸せな大学生活を送っていそうでほっこりしました。よかった☺️💕

 

まとめ

アロマンティックの同級生・玲に恋した、ロマンティックのゲイ・燦吏。恋愛感情が分からないと明言されてもなお、彼への恋心は止められず…。

アロマンティックに恋をするのはどういうことなのか。恋をされたアロマンティックがどんな気持ちになるのか。
アロマンティック側、ロマンティック側のどちらもの心情を丁寧に描いていて、「恋愛感情がない」ということがどんな感情を生むのかをしっかり考えさせられる作品でした。

誰もが恋愛するのは当然というような社会的風潮の中で、さまざまな愛の形があるのだと教えてくれる素晴らしい一冊です。

同人誌では大学生の二人についても描かれているので、商業誌でも続編として刊行してもらえたら嬉しいなあ☺️💕

待ち合わせはさそり座のどこかで
作者:majoccoid
幼い頃に暮らしていた街に戻ってきた高校生・燦吏は、転校先で当時片想いをしていた少年・玲と偶然同じクラスになる。玲も燦吏のことを覚えていて、運命のようなものを感じた燦吏は再び淡い恋心を抱き始める。しかし放課後に男とホテルに入って行く玲を目撃した燦吏は、大きなショックを受け、玲に問いかける。

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