ニャンニャ「スイートハート・トリガー」シリーズのあらすじ・感想・レビュー・試し読み|歪んだモテ男×根暗メンヘラの格差ラブ♡

コミック

注目の新鋭・ニャンニャの描く青春BL新境地!!ニャンニャ先生「スイートハート・トリガー」シリーズを読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


爆モテヘテロ大学生×メンヘラゲイ大学生 のお話。

<あらすじ>
根暗なゲイの大学生・コールは、隣人・アレックスに片想い中。
女子にモテまくるアレックスを、コールは遠くから見つめ自慰に耽るだけの日々だった。
ある時、ひょんなことからアレックスとの距離が縮まり舞い上がるコール。

 

こんな人におすすめ

  • 海外が舞台の作品が好き🇺🇸
  • 根暗で卑屈なメンヘラ受けに興味がある🔪
  • 体格差のある二人(攻め>受け)のえっちが見たい👀

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

①苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
1巻ではコールのアクセサリーをその都度適当に描きましたが、続編では設定をきちんと決めてモニタに貼り参考にしながら描いたのでとても苦労しました。同人誌から始めて続編の予定がなかった作品ですから、こうやって後から調整するのに苦労することが多かったです。

引用:ニャンニャ先生インタビュー 2020/03/28 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる

②当て馬や重要な脇役は?
ブラッドはアレックスの友人で、コールと好みや気が合うことから、(一時的に)一人になったコールを揺さぶる存在です。恋愛に真摯なタイプというより、やや夢見がちなロマンチストのように感じられるかもしれません。

引用:ニャンニャ先生インタビュー 2020/03/28 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる

③今作にまつわる裏話はありますか?
ケイレブはもともとファザコンの設定でしたが、話が重くなりそうなので設定を変えました。でも、ファザコンという設定のままでも面白そうですね…!

引用:ニャンニャ先生インタビュー 2024/11/28 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる

 

ネタバレ感想

スイートハート・トリガー1

ゲイのメンヘラ大学生、コール・ジェンソンは、学年一ホットな爆モテ天然ヘテロ、アレックス・ロドリゲスに熱烈片想い中。偶然お隣に住むアレックスを偶然泊めたり、彼の彼女が主催するパーティーに顔を出すうちに、彼のことがどんどん好きになります。しかし必死で告白したものの、「面白いね」という感想だけしか返してもらえず、玉砕。コールはアレックスに復讐することにします。

アレックスを殺してやると意気込むコールが、「(俺がお前を殺そうとしたのは)お前が俺のこと無視したからだ!人が頑張って勇気出して告白したのに何事もなかったかのように女にチヤホヤされて。馬鹿みたい、あんなにイラついてたのに顔見たらまた好きになっちゃって」というシーンは本作を代表する名ゼリフでしょう。
いっそアレックスを殺したいとまで思うほど大好きなのに、アレックスはコールに一ミリの興味もない。なのに、アレックスという強力な引力を持つ男からどうしても離れられない苦しみ。出口のない地獄ですよね。
コールのなかなかのメンヘラ度が分かると同時に、コールがアレックスをどれだけ好きなのかも分かるシーンです。

また、1巻で見逃せないシーンといえば、ここも挙げたいです。海に遊びに行った際にリリー・エヴァンスというセクシー女子から、自分が泥酔して寝ている間に「アレックスと寝た」と言われてアレックスを疑い、別れることになったものの、結局別れられないと頼みに行く(?)コール。
「俺はお前か自分に銃口を向ける以外にお前を手に入れる方法が分からない お前に諦められてたわけじゃないって分かっても脅迫しかできない それでも弾は入れられなかった意気地なしで お前と別れるのがこんなにつらいなんて 別れるくらいなら死んだ方がマシだ お前のものになりたいんだ」
コールのこの叫びは鮮烈でした。思っていたよりずっとコールはこの恋に命を賭けているのだと感じられてゾクゾクしたし、結構ナンパな印象のアレックスがまた、なぜかコールのこの魂の叫びに反応してくれるんですよね。二人は会えばセックスしかしないし、体の相性は抜群とはいえ、趣味も合わないし、アレックスはもうそろそろ本気でコールに嫌気がさしてるんじゃないかな…とリリー騒動時に思っていたので、アレックスの「復縁する」という決断はかなり意外でした。コールに失望を繰り返しながらもそばにいると言ってくれたアレックスが嬉しいような、二人は本当に大丈夫か心配なような…不思議な気持ちになります。

スイートハート・トリガー
作者:ニャンニャ
根暗なゲイの大学生・コールは、隣人・アレックスに片想い中。女子にモテまくるアレックスを、コールは遠くから見つめ自慰に耽るだけの日々だった。ある時、ひょんなことからアレックスとの距離が縮まり舞い上がるコール。

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スイートハート・トリガー2

アレックスが1ヶ月間出稼ぎで留守にする間に、コールがアレックスの親友であるブラッドとなななんと浮気してしまいます。
しかも浮気はキスだけでなく、アレックス同様にヘテロのブラッドにフェラしてもらうという衝撃の内容。ブラッドはコールを本気で落とそうとしています。
ただ、そこは浮気の秘密を隠すことに耐えかねたコールの告白により、アレックスが「こういうことは他の女の子と付き合っててもよく合ったから」と許してくれて難を逃れます。

ただ、このブラッドがめっっっちゃくちゃいい奴なんですよね…。他人の恋人を寝とろうとする奴がいい奴なわけないだろという意見ももちろん分かるのですが、とにかくコールと映画やら音楽の趣味がとことん合う。アレックスといる時には「彼と一緒にいるには代償に自己嫌悪を抱かなくてはいけない」と苦しんでいるコールが、ブラッドのそばでは楽に息ができるんです。しかもキスもフェラも嫌悪感なくできて、もうそれってお互い好きなんじゃないの…!?と思ってしまいますが、アレックスが登場すると、コールの理性はぶっ飛んでしまいます。もう何もかも忘れてアレックスとアレックスのちんぽにしがみつくコール。人って、恋って全然合理的じゃないな…と思わされます。
ブラッドのイケメンポイントをさらに言うと、コールの目の色が左右で違うことに初対面から気づいていたり、コールがアレックスとの間で揺れていたら「これからもし「幸せじゃない」って感じたら俺のこと思い出してみて欲しい」といつまでも待つ宣言をしたり…もう、めっちゃいい彼氏じゃないですか?私はアレックスが出稼ぎから帰ってくるまでの間、ずっとブラッドとコールで結ばれてくれ…とちょっと願っちゃってました。

ただ、2巻でアレックスが変わったなと思ったのは、ブラッドにコールと浮気しただろと問いただした時に「コールなんかに浮気されると思ってなかったんだろ」「お前は人を見下してそれを楽しんでるクズだ」とブラッドにはっきり言われてアレックスが動揺していたこと。
そして、ブラッドとの浮気を知ってもなお、「俺は別れない」とはっきりコールに別れたくない意思を表明していたこと。
これまでのアレックスなら、別にコールに浮気をされたからといって動揺はしなかったかもしれない(むしろ別の女と浮気してやると思ったかも)し、自分から「別れない」なんて言わなかった(コールにそう言わせるように仕向けることはあっても)と思うので、アレックスはコール不在の間に、コールが意外にも自分に必要な存在なのだと思うようになっていたのかもしれません。

スイートハート・トリガー2
作者:ニャンニャ
同棲を始めた、根暗なゲイのコールとパーフェクトな男・アレックス。コールは自分と余りに正反対な相手(アレックス)との関係に居心地の悪さを感じながらも、セックスに溺れることでそんな思いに蓋をして過ごしていた。ある日、アレックスの友人・ブラッドと意気投合したコール。

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スイートハート・トリガー3

まさかまさかの「アレックス、精子提供問題」。他の女と子作りなんてしてほしくないとなかなか言えず、いざ精子を採取して、彼の子を妊娠する予定の友人・ケイトに渡す…という場面になって提供を拒否してしまうコール。
アレックスを説得すること、自分が毎回「悪人」になることに耐えられなくなったコールは別れを切り出し、二人はあっさり別れることに。その間、コールは就職先の役員からコスプレして俺とセックスしろと持ちかけられたり、コールの方からブラッドに連絡してアレックスを忘れられるように抱いてもらおうとねだったりもしますが、結局アレックスのことは忘れられず。

もうね、ブラッドが何度も何度もコールに試されるんですよ。キスしてきたり、フェラしようとしてきたりするコールを、ブラッドは毎回「お前は本当にそれでいいのか?」って押し留めるんです。そのたびにコールは「本当は…」ってアレックスへの愛を再確認するんですけど、それが、すごく、つらい(私はブラッド推しです)。コールも「自分なんかと友達でいるのはやめた方がいい」と言う😂んですが、ブラッドは「俺はこういう性格だから」とけろっとしていて…ブラッドは聖職者か慈善事業家に向いていると言われたことがあるとふざけていましたが、マジで向いてると思う…と真剣に思ってしまいました。

最後はケイトの後押しでアレックスに向き合い、彼がコールと別れようと決意した理由を聞くことに。
ここが本当に感動的なんですが、アレックスは精子提供についてはコールの意思は眼中になかったと告白するんですよ。ここはいかにもアレックス様〜(俺様でわがままという意味)という感じなんですが、その後に、「コールと別れないなら子供を作れないからその補償として(精子提供する権利を)譲らせるつもりでいたのに、精子提供が辛いからってリスカされて、自分がずっとそばにい続けたらコールが死ぬかもしれないと思ったから別れた」って言うんですよ。別れを決意したのは単に自分の意見が受け入れられなかったからじゃなかったのか…と、思ったよりもコールとの未来を考えて苦しんでいたアレックスに泣きそうになってしまいました。コールのこと、大好きじゃん…って。

そして本当に作品のラスト、コールが親友のアンディの結婚式にアレックスと参列しながら「俺とは違う普通の人生を歩んでいるように感じた人たちもみんな完璧じゃない。それが分かったら自分から怖気付いて遠ざかる必要がなくなった。それでもまだああいう場面(結婚式の主役であるアンディを見ながら)に俺がいることは想像できないりでもそういう人生をダサいとか嗤ったりすることはやめとく。そう努めてみる。お前(アレックス)がそう望んでるから」と言うんですね。
これまで厨二病まっしぐらで、いつも物事を悪い方にばかり考えて、お前を殺して俺も死ぬ!とすぐに死にたがっていたコールが、アレックスとの眩しい未来を信じようとしているところに、アレックスと同様、二人で歩んできたからこその変化を感じられて、めちゃくちゃ感動しました。コール、もう別人だよ…すごい変化だよ、愛だね…。

スイートハート・トリガー3
作者:ニャンニャ
付き合い始めて3年、順調な同棲生活を送る根暗なゲイのコールと元ノンケのパーフェクトな男・アレックス。アレックスより一足先に卒業・就職も決まり意気揚々とするコールだったが、コールの就職を祝うディナーの席で、アレックスの口から飛び出した“とある提案”により平和な日常は一変。なんと、アレックスは「友人のレズビアンカップルに精子提供をしようと思う」と言いだしたのだ。

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My Dear Fluffy Boy

「スイートハート・トリガー」シリーズで当て馬だったブラッドが主役のスピンオフ作品です。
親との関係が悪く、さらに学校でもファーリーであることを理由に犬に犯されるなど激しいいじめを受けていたノア・ウォーレンは、出前バイトで偶然知り合ったブラッドに事情を知られ、しばらく居候することに。

片想いしていたコールに1年間も弄ばれて苦しんでいたブラッドは、「自己中な恋愛をしてみな」とアドバイスを受け、ノアを可愛がることで彼から愛をもらおうとします。
ブラッドの回想で辛かったのは、ブラッド自身はコールに「俺が好きで待ってるんだから」と軽い口調で言っていたものの、彼は本気でコールが自分の元に来てくれるのを待っていたし、コールにそれを裏切られるたびにしっかりと辛かったのだと分かったことです。コールを待っていたあの時間は、ずっとブラッドは平気なんかじゃなかったんだと、彼の言葉にならない悲しみが作品のあちこちから感じられて、「もうコールとは付き合うのやめなよ」と大声をあげたくなってしまいました。ブラッドはそれでもコールが好きだから待たざるを得なかったのだとは思うのですが…。

また、ノアのストーカーとしていじめっ子で幼馴染のケイレブは、「ノアの人生が壊れた(高校を中退し、実家にも帰らなくなり、ボロいバンの中でハムスターのハムレットと暮らす生活になった)のは自分を拒否したから」と優越感に浸っていましたが、ノアがブラッドを愛し、「もうあんたはなんでもない」と言ったために逆上して、ハムレットをミキサーにかけようとしたり、ブラッドのちんこを切り取ってやると脅したりしますが、結局はノアを抱きたいんだろうとブラッドに迫られてビビり、逃げ出してしまいます。
ケイレブはノアが好きなのかと思っていましたが、ノアのアナルをブラッドに見せられて吐いたところを見るに、ノアを好きなのではなくて、単純に自分より劣った者をそばに置いて優越感に浸りたかっただけなのかなと思いました。ハムレットやブラッドを傷つけようとしたのも、(労力には見合っていませんが)自分の言うことをなんでも聞く奴隷欲しさゆえでしょうかね…。

ノアの変化で面白かったのは、たしかに彼は作品の最初から最後まで擬人化した動物になりきって会話したりセックスしたりするのに性的に興奮していましたが、ブラッドと愛し合ううちに「人間でもいい」と生身のブラッドに抱かれることに喜びを覚え始めていたのに感動を覚えました。性癖ってとても強い力を持つのでなかなかそれを上回る興奮って得られないと思うのですが、ノアはシンプルにブラッドを心でも体でも求めていたからそう感じたのかなと思うと二人の相思相愛っぷりが嬉しかったです。

最後に、ブラッドが自分はゲイだと確認するために少しだけ戯れたイケおじのニックがケイレブを抱くシーンがありましたが、もしやさらなる続編はニック×ケイレブかもとワクワクしています。

My Dear Fluffy Boy
作者:ニャンニャ
どんなに尽くしても、誰にも選ばれない――…“スパダリ”すぎて失恋を重ね、ストレスから不眠症になったブラッドは、擬人化された動物を愛好するファーリーの家出青年・ノアと出会う。気まぐれにノアと同居することにしたブラッドは、相手に尽くしすぎた過去と決別するため、ノアを弄ぶ“自己中な恋愛”をしようと決意した。しかし、自分を振り回すノアのマイペースさに、尽くしたがりな心が疼いて、計画は難航。

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まとめ

コールへの歪んだ優越感に浸る爆裂モテ男のアレックスと、常に輝いているアレックスに劣等感をぬぐいきれないメンヘラで根暗なコール。そして、コールに一途な片想いをし続ける、アレックスの親友であるブラッド。

ヘテロのアレックスはゲイのコールに対して「俺は正しい(多数派だ)から、さまざま面でコールが折れるべきだ」と傲慢に考えているところがあり、一方のコールも「自分の性的指向にアレックスを付き合わせている」という引け目がどこかにあり、アレックスを眩しいと思いながらも常に自己嫌悪と戦っていました。対してブラッドは自分はゲイではないと思っていたものの、コールと音楽や映画の趣味が合い、しかもキスだけではなくフェラまでできたことで、自分はバイであり、コールが好きなのだと思うようになります。

コールはアレックスの強烈な魅力に抗えないものの、ブラッドといる時の自分は自然に呼吸できるとも思い、二人の間で揺れます。
アレックスもコールもブラッドも、それぞれが生身の人間と同じように長所も短所も持っていて、だからこそ誰と恋をしたいのか、これから一緒に人生を生きていきたいのかを考えるときにとても悩ましくなります。
誰の立場になっても幸せいっぱいとはいえない、難しい選択。恋をするのはこんなに難しいことだったかと、3人の恋愛模様を見つめながら胸が苦しくなります。

生々しいのにロマンティック、現実に打ちひしがれたくなるのに同時に恋の尊さと愛の眩さを教えてもらえる。
リアルで愛おしくて苦しい、男と男(と男)の恋の行方をぜひ見守って欲しいです!