麻生ミツ晃「きっと、幸せな結末」のネタバレ感想|僕、生まれてきて良かった?

きっと幸せな結末、作品紹介、ネタバレ、感想 コミック

麻生ミツ晃先生「きっと、幸せな結末」のネタバレ感想をご紹介します。

性差別・ネグレクトという重いテーマを、軽やかに繊細に描ききる技術力の高さ。圧巻でした。

爽やかな読後感の感動作品が読みたい…というあなたにオススメの一冊です🥰

あらすじ(ネタバレ注意)

【攻】梶原佑真、高校生~大学生 × 【受】佐倉すみれ、バーデンダー

<あらすじ>
ダメンズとばかり付き合っているバーテンダー、すみれ(受け)。

ある日、突然自宅に転がり込んできた甥っ子の佑真(攻め)は何かワケありの様子。 共に過ごすうちに、実は彼が自分がゲイかもしれないと悩み、自分のもとへ来たことを知ります。

ゲイであることを理由に親族からつまはじきにされていた、すみれ。すみれに慰められ、徐々に明るさを取り戻していく佑真。

日に日にすみれに惹かれていく佑真だが、ネグレクトされて育ったすみれは、佑真から与えられる「無償の愛」や「純粋な恋募」を理解できません。虐げられること=愛だと思い込んでいるのでした。

すみれの父が突然死去したことをきっかけに、すみれは佑真が自分に恋していることを知ります。でも、すみれは佑真を拒みます。すみれは誰にも望まれず生まれてきたから、誰かを愛することも、愛されることも怖かったのです。

ある日、すみれの元に、DV気質の元カレが戻ってきます。元カレに拉致され犯されながら、すみれは自分の佑真へのささやかな恋心に気づきます。

佑真や知り合いたちに助け出され、芽生えた思いをぶつけるように昼夜問わず愛し合う2人。でも、すみれはまた佑真を諦めなければと身を引きます。しかし、すみれは佑真を忘れようと思うほど、自分の中で育っていた思いの大きさに気づきます。すみれは実家へ帰る佑真を追いかけ、再会。

やっと「好きだ」と言い合いながら抱きしめあう2人。朝も夜もなく、ただ2人は抱き合うのでした。

です!!(書きながら泣いているオタク)

以下、おすすめポイントを詳しく紹介します。

 

号泣!!なのに、驚くほど爽やかな読後感

この作品の見どころは、「すみれが無償の愛を知っていく過程」です。

実はすみれは、「殺されるはずの子供」でした。

中絶可能期間を知らずにすみれを生んだ母親は失踪。

すみれは父親に引き取られたものの、話しかけられることもなく、食費だけを置かれた部屋に放置されて生きてきました。

唯一父親に話しかけられた言葉は、「私に迷惑をかけるな」。

その冷たい言葉でさえ、幼いすみれにとっては嬉しくて、「お父さんに絶対迷惑をかけない!」と一生懸命父親の言う通りにしようと頑張ります。

でも、すみれが頑張るほど、父親は家に帰ってこなくなり、ネグレクトの度合いはひどくなっていく…。

そんな風に幼少時代は過ぎていき、小・中学生時代には「臭い」「ホモ」といじめられ、挙句の果てには、教育実習生の男に無理やり犯される、すみれ。

血だらけの下半身のまま、「自分は生まれた時に一生分の幸福を使ったから、もう幸せになれないんだ」と、すべてを諦めたように微笑む姿に涙が止まりませんでした。

すみれは無償の愛を知りません。愛されたことがないから、愛されても、愛されていると理解できないんです。

でも、すみれは佑真と出会って少しずつ変わっていきます。

全身全霊で好きだと思いをぶつけられたり、すみれの心も体も欲しいと真剣に乞う姿に、すべてを諦めていた心が少しずつ動かされていくんです。

ネグレクト、レイプ、強姦…重いテーマの連続なのに、読み終わった後は「読んでよかった」「この作品に出会えてよかった」と、あたたかい涙が止まりません。すごく爽やかな気持ちになるんです。

感動、泣く、女性、本

それはきっと、どんなに諦めたように過ごしていても、すみれが一生懸命前を向いて生きているからだと思います。

例えば、いつも通る道に花が咲いていたとか…そういう小さな喜びをかみしめて、日々を生きている…。

すみれは、人から愛を与えられなくても、小さな幸せを大事に胸にしまって生きているような健気な子なんです…。

だから、すみれのこれまでの人生を知って打ちのめされても、「これからは佑真くんと一緒にもっと幸せになれるはずだよね」と前向きな気持ちで読み終えられるんですよね。

重厚なストーリー、シリアスな展開の作品は、どうしても読後感がしんどいことが多いと思うんです。

でも、本作は違う!

「すみれみたいに、ささやかな幸せを胸に生きる人になりたい」と背が伸びる気持ちになったり、「幸せな生活を送ってね」と微笑ましい気持ちにさせられます。

読後感がしんどいから、シリアスな作品は読みたくない…と敬遠している方にこそ、ぜひ読んでほしい作品です。

 

濡れ場の色気と迫力がスゴイ!!

濡れ場がエッチ!!!!!

おっとすみません、思わず取り乱しました///

麻生先生作品のキャラクターたちは、紙の中で本当に生きていそうな生々しさが素敵ですよね。

筋肉、脂肪、骨がはっきり感じられるような、みずみずしさにあふれてます。

試し読みしてもらったら分かるんですけど…受けがしっかり「大人の男性」の体つきなんですよね。

しっかり広い肩幅、ある程度太い首筋なのが色気を倍増させてます///

細い筋肉がみっしり詰まってそうなんですよね…。匂い立つような色気を感じる…。

表紙絵の肌面積ですでにスーパーエッッッッッチなので、濡れ場で全裸になってる2人なんてもうR-200レベルのエロさです。

あと、本編中に、朝も夜もひたすらセックスし続ける…というくだりがあるんですが、そこでの2人がも~とにかくエロい。

すみれの小ぶりなプリッとした美尻に佑真が興奮のままに腰を打ち付けるくだりなんて、もう!!もう!!!素晴らしいです…。

「ああっ!」って喘ぐすみれの横顔、飛び散る2人の汗、皮膚の下でどくどく脈打つ筋肉と血、湿っぽい部屋の空気…。

まざまざと伝わってくる臨場感がヤバいです。最高!!

さらに、最後の両想いエッチなんてもう、甘々のエロエロで…🤦

小錦あや
小錦あや

よかったねえ、やっと思いが伝わったねえ…😭😭😭

って気持ちと

小錦あや
小錦あや

うおおおおおえっちいいいい!!!!!佑真の筋肉最高!!すみれエロイ!!甘々あああ!!!!!🤤💓💓💓

って興奮のはざまでもう感情がごちゃごちゃですw

濡れ場では、佑真の年齢不相応な圧倒的雄っぷりと、すみれの無自覚お色気垂れ流しっぷりにご注目ください…グフフ…///

 

愛って何だろう?と考えさせられる名作

本作のテーマは、「愛」。

家族愛、友愛、同性愛…たくさんの愛が溢れる現実の中で、どんな愛をどんな風に受け取って、育てて、生きていくのか?

毎日に忙殺されていると見失いがちな、大切な問いを、すみれと佑真というキャラクターを通して私たちに投げかけてくれます。

私が本作を読み終えて一番最初に思ったことは、「明日からどう生きていこう?」でした。

すみれや佑真たちの葛藤を見るうちに、どうやって生きたいのか、何が欲しくて欲しくないのか、自分の本心を見つめなおそうと思わせられたんです。

泣きたい、考えさせられる作品を読みたい…そんな時にぜひこの「きっと、幸せな結末」を読んでみてください。

明日のあなたは、今日とは少し違うあなたになっているかも😉

きっと、幸せな結末
作者:麻生ミツ晃
親に殺されるはずだった自分は、生まれたときに一生分の幸運を使い果たしたのだ――ろくでもない男ばかりに引っかかるバーテンダーのすみれは、幸せを諦めて生きている。親とも疎遠で、寂しさにも慣れているはずだった。けれど遠い親戚の大学生・佑真と再会し懐いてくる彼と過ごすうち、佑真との時間に安らぎを覚えていく。
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