ミナヅキアキラ「狐のよすが」のネタバレ感想|天涯孤独の狐×捨てられていた鷹の子 号泣必至の愛の物語

コミック

ミナヅキアキラ先生「狐のよすが」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ

天涯孤独の狐×捨てられていた貧弱な小鳥 のお話。

<あらすじ>
森で暮らす狐の九重は、ある日、巣から落ちた鷹の赤児を拾う。
非常食にしようと持ち帰り、食い応えが出るまで餌を与えることにしたが、「とーさん」と呼び一心に慕ってくる子を食べることができず、九重は「よすが」という名を与え親になる覚悟を決めた。
成長したよすがはたびたび「俺を食べて。そうしたら九重のお腹でずっと一緒にいられる」と要求してくるが、九重はそんなよすがに対し食欲とは違う“飢え”を感じるようになり…?

 

こんな人におすすめ

  • 動物モノのBL大好き!🦊🦅
  • 天涯孤独など、苦労人キャラに感情移入する😢
  • 感動で大号泣したい😭

 

ネタバレ感想

第一章

「森では誰もが他者の命をよすがに生きている」…人間社会も同じですね。皆、他者の命をよすがに生きている。

ガリガリス(笑)の篤実はピー助の違和感(?)に気づいているようですが…ピー助は一体何者なんでしょう?

暖はかわいい見た目(狸)ですが、ピー助をあくまで獲物として見ていて、情けをかける相手を見極めている…冷静ですね。

ピー助が九重を「おとうたん」と呼んで、九重と自分の姿形が違うのを気にしている様子なのが物悲しいです。ピー助は、いつか九重に食べられてしまうのかな。

ピー助、九重の不在中に蛇に食べられそうになってる…!?

 

第二章

九重…自分以外の狐は全員絶えてしまったの…?どうして…?

九重の「この森では親は願いを込めて子に名を付けるんだ 俺の名前は九重 長生きするようにと… 俺がお前に願いを込めた名前をやる “よすが”だ お前はこれから俺を縁に生きるんだ」「俺がお前をなくさない」という言葉に号泣しました。

九重の親は「この子が長生きできるように」と愛を込めて名付けたはず。なのにどうしてか九重は一人ぼっち…。
九重にピー助という「よすが」ができて嬉しいです。九重もピー助、いや「よすが」も幸せになってほしい…😭

あと蛇の青鱗は人(野生動物ですが)の嫌がることをいったりしたり、不気味でしたね…🐍

「おれが九重のお腹におさまればずっと一緒じゃないか!」ってえにしは言うけど、そんな一緒の在り方嫌だよお…。

 

第三章

よすが、鷹だったのか…!!

篤実が感じた違和感はただの鳥ではなく、肉食の鳥という特別感だったんですね。

よすがが「舐めて」と九重にねだるのがかわいらしいなあと思いながら見ていたんですが、段々と様子が…淫靡に…!///
九重が「自分はよすがを孕ませたいと思っている」と自覚するシーンにはドキドキしちゃいました。背景の絵がえ、えっちぃ…!!

篤実を追ってきた鳥…鷹だ!!!!!!もしかしてよすがの親か知り合い…!?!?

 

第四章

飛んできた雄の鷹は他人行儀でしたね。同じ種族というだけでフレンドリーとは限らないか…。

「森に棲む者は一人前になったら親兄弟と離れ 自分の子を持つ そうしてみんな 己の命と一族を森に残していくんだ」「狐と鷹は繋がりがねえ おまえらは変わってんだ」と、「つがい」の意味をよすがに説明してくれた篤実。
よすがは「繋がりがない」ということにショックを受けていましたね…育ての親子なんだから繋がりがないわけないんですが、それは子を残せる繋がりではないんだよな…。

九重の一族は病で病死したんですね…。

よすがの「俺を育てて一人前にしても九重には何も残らない 九重の命を森に残せない!」「こんなに…こんなに大切に育ててくれたのに 俺じゃ九重に何も返せないんだ」に号泣しました。
よすがは九重を幸せにしたいんですよね。だから何かを残せるように自分が助けてあげたい、でも何も助けてあげられないから辛いんだ…。

「俺が九重の子を成せたらいいのに」「俺と九重を繋ぐ何かをくれ」と九重を抱きしめるよすが。言葉が出てきません…交わったところで、狐も鷹も生まれない。
九重とよすがを繋ぐものは愛で、森に何も残せなくても2人でいられれば幸せ、それではだめなのでしょうか…。

 

第五章

セックスした後に九重が言った、「ごめんな よすが 俺にはこんなことしかできねえよ」にまた涙が…。
「ありがと 九重 俺 嬉しいから」と大粒の涙を流すよすがは一体何を思っていたのでしょうか。

よすがを置いて森を出て行った九重は一体どこで暮らすのでしょう。他の縄張りでは彼は敵扱いのはずです。よすがは九重を追って森を出てしまったのかしら…。

暖の「俺はね 寂しいよ あの子らはちゃんとお互いを必要としてたから たとえそれが森と交わらない縁だとしても…」が胸に刺さります。本当にそうだ…。

九重の「望まれたとおり生き抜いた でも本当は 長らえるなら誰かのためがよかった」に涙が溢れて止まりませんでした。
八重九重と尾を重ねるように長生きしておくれと祈ってくれた両親も兄弟も、温もりを残して消えてしまった…生きることがどれほど寂しく、苦しく、辛かったことか。泣きながらどんぐりを食べる幼い九重の横顔に、胸が苦しくなります。

降りしきる雪の中、行き倒れた九重に空から降り立つよすが。
「九重がくれたんだろう?俺から縁を奪わないでくれ」「同じ姿でなければ一緒に生きられない?俺は九重に何も残せないけど せめて食べるためでいいから 俺を九重のそばに置いてくれ」とぼろぼろ泣きながら言うよすがに、私も声をあげて泣いてしまいました。
「せめて食べるためでいいから」と、まだつがうことも何もかも知らなかった頃のように懸命にそれを言うよすがは本当に一生懸命で…九重へのひたむきな愛に溢れていて、胸がいっぱいになりました。

九重の「お前は俺の非常食だ 最期まで大事にとっておく」
なんて…なんてロマンチックなプロポーズなんでしょうか…。こんなの、涙が止まらんに決まってる…ずるい…「最期まで」なんて…ウ…ウウ…九重とよすが、最期まで幸せにいて…。

 

一度目の春

あの嫌味な鷹、よすがの飛ぶ練習の師匠になってくれたんですね。これ見よがしに九重の前で羽づくろいするなんて、全くひねくれた奴だw

九重が「俺はお前を食いたいくらいかわいいと思ってんだ 他のヤツがどう思うかなんて聞きたかねーんだよ」と妬いているのが可愛すぎてニヤニヤしてしまいましたw

よすがが大人の鷹らしく九重の髪を羽つくろいして喜んでるのもかわいらしい…☺️❤️

 

まとめ

息できないくらい号泣しました😭😭😭 2021年読んだBL漫画でダントツNo. 1の神作品です🏆✨

本作は絵が本当に美しくて、まるで上質なアニメーション映画を観た後のような読後感でした。心は晴れやかで清々しく、豪雨の後の晴天のよう。

そんな心地になるのは絵の美しさだけでなく、物語の面白さも理由の一つです。

天涯孤独の狐・九重に拾われた鷹の子供・よすがは、自分はいつか九重の食糧になって一つになることを夢見ています。

しかし成長の途中で、森に生きる者は皆同種族と番い、子を残すことが道理なのだと周囲から教えられます。

よすがには九重しかいません。九重にもよすがしかいません。でも、2人の種族は違い、そこには縁はないのだと言われます。

「同じ姿でなければ一緒に生きられない?」と涙ながらに問いかけるよすがの姿に、この国で生きる全てのマイノリティーの人々の姿が重なりました。

森に子を残せなくても、ただ愛し合い幸せになることを九重とよすがは互いに許しあいました。

何かをしなければ生きている意味がないのではなく、ただ愛する人と愛し合うことを生きる意味だと自分に許してあげる。それは社会や同族からの同調圧力を跳ね除け続けなければならない険しい道です。

しかし、九重とよすがの幸せそうな笑顔を見ていると、愛する者とただ生きることがどれほど尊く得難いものなのか、希望を与えてもらえます。

自分はマイノリティだと苦しんでいる人、愛する人がいる人…全ての人に読んでほしい、愛の物語です。

【電子限定おまけ付き】狐のよすが
作者:ミナヅキアキラ
森で暮らす狐の九重は、ある日、巣から落ちた鷹の赤児を拾う。非常食にしようと持ち帰り、食い応えが出るまで餌を与えることにしたが、「とーさん」と呼び一心に慕ってくる子を食べることができず、九重は「よすが」という名を与え親になる覚悟を決めた。成長したよすがはたびたび「俺を食べて。そうしたら九重のお腹でずっと一緒にいられる」と要求してくるが、九重はそんなよすがに対し食欲とは違う“飢え”を感じるようになり…?

購入する