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訳あって女装したうえに男と結婚!?運命に翻弄された男3人の時代劇ラブロマンス、「春情の乱」。
全話のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。
早速見てみましょう!
登場人物とあらすじ
引用:春情の乱 (韓流・華流) | 無料動画・見逃し配信を見るなら | ABEMA
貧しくも生真面目で賢く優しい両班×女装して正体を隠す奴婢 のお話。
<あらすじ>
清廉潔白だった父から引き継いだのは両班の身分と貧しさだけの青年チン・グムソン。
貧しい生活は大変だが父に似て堅物な性格の彼はある日、チェジンサの家から借りている莫大な借金を返すためチェジンサの家の三女チェ・ヘソンと結婚することになる。
しかし、チェ・ヘソンは娘ではなく、その正体はミンデガムの家の者に追われている男サルビョルだった。
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予告編・予告動画
こんな人におすすめ
- 陰謀、策略だらけの韓国時代劇が好き⚔️✨
- コミカルな女装BLが好き😂🎀
- 執着攻めも紳士攻めも好き💕選べない💕
本作をもっとよく知るための小ネタ
①原作は、韓国で爆発的ヒットをおさめ、海外でも人気を集めたBLウェブコミック。 日韓で同時配信され話題を集めた本作が描く、運命に翻弄された男3人の時代劇ラブロマンスから目が離せない!
②人気K-POPアイドルグループB.A.P出身のユ・ヨンジェが、新人ながら大抜擢のキム・ソンと共にドラマ初主演!ユ・ヨンジェは、善良で真面目な貧しい両班の一人息子を演じ、ヘソン(サルビョル)への気持ちの変化などを繊細に好演。キム・ソンも女装男子という難しい役どころを見事に演じ切っている。さらには、ウ・テハも狂気を感じさせるほど一途にサルビョルだけを想うソユンを熱演。そのほか個性豊かで魅力的なキャラクターたちが多く登場し、ドラマをさらに盛り上げている。
③日本でも大人気のASTROのMJが挿入曲「Walking In the Memory」を歌っており、ドラマをさらに魅力的に仕上げている。
ネタバレ感想
第1話
<あらすじ>
ミン大監たちの脅威から逃れる奴婢・サルビョル。
逃走中にチェ進士の助けがあり、彼の婚外子の三女、チェ・ヘソンとして生きることに。
北へ行くことだけを待ち望むヘソンだったが、突然嫁ぐことになってしまい…。
ミン大監たちの脅威から逃れる奴婢・サルビョル。真夜中の暗闇の中、屋敷に向かって土下座をすると「約束通り互いを守るためにはこうしかありませんでした。若様は僕の主人であり義兄でした」と言い残して、かれは走り去ります。
真夜中にチェ大監の家を訪ねてくる刑曹参判。「あの者は逃しました。でも高麗人参の交易権を与えたのでは?大金を稼いだはずなのに密輸とは…」と言う彼に、チェ大監は「高麗人参の値段は中国で10倍になるとか。国の力になりたいと申すので”ではそうしろ”と」と返します。「それだけの政治資金を作れる者なら面倒を見るのは当然でしょう」と笑う彼を、「言葉はお控えなさって。婚姻ですぞ」とチェ大監はたしなめます。「ソユンは幼い頃から惚れ込んだ書物には夢中になってました」とチェ大監が言うと、「惚れ込んだのは書物やらあの奴婢やら」と苦々しく言う刑曹参判。
とその時、外から「若様、冷静に」と宥める従者の声がします。「サルビョルを今すぐ取り戻せ!お前がこんなことするなんて…」と泣きそうな顔で激怒する彼に、「あの奴婢のためにここまですると?」と怯える妻。
サルビョルは逃走中、使用人に助けてもらい、北部へと逃げ延びます。
闇の中で修行をするグムソン。「住職が”今日は終わりにして下山しなさい”と」と言う下男に、「実戦はまだなのでよかったら手合わせを」と頼み、「あなたの願いならどんなことでも」と微笑まれます。「今日はお母様にどんな嘘を?全て打ち明けては?」と下男に促されますが、「心配させたくないのです」と彼は頭を下げます。
そこに刺客から逃げてきたサルビョルが現れ、グムソンは今こそ実戦の時と刀を振ります。グムソンへの恩返しを誓いながら慌てて逃げるサルビョル。傷を負いましたが、グムソンはどうにか刺客を追い返せました。
絵を描く姉に「母さんに会いたいよ」と甘えていた時のことを思い出すサルビョル。突然何者かから頭に袋を被せられ、引きずられます。その正体はチェ進士でした。「どうかお助けください」と頼むサルビョルに、「サルビョルは死んだ。お前は今日から、わしの婚外子の三女、チェ・ヘソンとなる」と言い渡すチェ進士。
一年後、三女の類まれなる美貌のせいで長女と次女の縁談が破談になったらしいとチェ進士の地元では噂になっていました。長女はヘソンを外に出すなと侍女のエンドゥに言いつけていましたが、なぜかヘソンは勝手に外に出ては散歩を楽しんでいます。ヘソンを家から追い出せと騒ぐ長女。
北に行きたいと願いながらもうまくいかない現状にもやもやするヘソン。ヘソンは思う存分川遊びがしたくなり、下着姿で川を泳ぎ出します。しかし、泳げないグムソンがヘソンを助け出そうと追ってきてしまったため、ヘソンは慌てて彼を引き上げます。グムソンはヘソンが自殺しようとしたのではと思い説教しますが、ヘソンは「私があなたを助けてあげたんですよ」と訂正します。くしゃみをするヘソンにグムソンは強がりながら自分の上着を渡すと去っていきます。一部始終を見ていたエンドゥから着替えをもらうヘソン。
一年前、チェ進士は「身分を変えなければいつか推奴師に捕まり殺されるぞ。時期を見て北へ送ってやる」とサルビョルに約束してくれました。彼はミン大監とも仲が良いのになぜ匿うのかと問うサルビョルに、「お前の父に借りがある。幼い頃のことも奴婢だった時代も全て忘れろ。生きるためだ」と言うチェ進士。
帰宅しながら「徙民令(北方を開拓しながら進めた移民政策令)に関する話は出てないのかな?」とエンドゥに尋ねるヘソン。そこでエンドゥが「忘れてた、あなたは北でなく嫁に行くことになった!」と騒ぎ出します。
第2話
<あらすじ>
継母の強引な縁談話と最終的に離縁されれば徙民令で移住できるというチェ進士の説得で婚姻を決心するヘソン。
婚礼の日に初めて対面した新郎は、かつて川で救った“強がり男”のチン・グムソンだった。
「姉2人を置いて演壇を進めるはずがないよ、チェ進士が反対するはずだ」と呑気なヘソンに、エンドゥは「奥様のあの気性を忘れたの?あの試練の日々を」と顔を顰めます。両親への朝の挨拶もヘソンだけは来なくていいと彼女を嫌っていたチュンシムは、「まるで男みたい!うちに来た以上、礼儀と作法を徹底してもらうわよ」と激怒したのでした。
「チェ進士は父親が書物に充てた借金ゆえ書物で学んだ息子が科挙に及第して返せばよいと…。書物を売るにしても一月はかかります」と縋る女性に、チュンシムは「返せないならご子息を連れて役場に行きます。もしくは、お宅のご子息と主人が連れてきた娘を婚姻させるのです。それで借金を相殺に」と言ったらしく、ヘソンは慌ててチェ進士を探しに行きます。
継母の強引な縁談話と最終的に離縁されれば徙民令で移住できるというチェ進士の説得で婚姻を決心するヘソン。婚礼の日に初めて対面した新郎は、かつて川で救った“強がり男”のチン・グムソンでした。
焚き木を山で拾って帰ってきたグムソンに、モクセとパムセが「チェ進士宅の三女の話は知らないか?あそこの奥さんは気性が荒くて、どこでもいいから嫁に出そうと必死らしいぞ」と話しかけます。「それで計画を立てたんだ。絶世の美女らしいから一目見たいんだが、三女を世話するエンドゥに見つかったら殺されるんだ。見張りを頼むよ」と頼み込んできます。男のやることじゃないと断るグムソン。そこに母が出てきて、「幼名で呼ぶなんて馬鹿にしてるの!そもそも両班と直接口をきくなんて!」と怒り出しますが、2人は「落ちぶれてるくせに…」と言いながら帰っていきます。
「もう5年になるのね。下級官吏を1年で辞して書物を読むと言っては私の稼ぎに頼りながら文人を気取り、家の財産を食い潰し、借金も多かった無責任で無能な夫、お前の父の死から」と怒りを込めて言う母。「お前は父とは違って必ず仕官して母の苦労を断つと約束したでしょう?昼は働き、夜中に勉強していつ及第するやら。まずは嫁を迎えなさい。嫁と私が針仕事で稼げば、お前は勉強に専念できて1日も早く仕官が叶う。お前はもう18歳なのだから、急がねばもらい遅れになる!」と母は怒ります。「持参金も多い、借金も相殺すると言われたから、すでに婚姻の約束も取り交わしたわ」と言う母。
チェ進士になんとかしてくれと頼むヘソンですが、「徙民令で移住させられるのは罪人ばかりだ。そこで婚姻は好機になるだろう。罪人には七去(夫が妻を離縁できる七つの理由)で婚家を出された女もいる。女として生きるお前が離縁されれば罪人だ。下手に罪を犯して身元をばらすくらいなら、夫に離縁された女になるといい。夫になる男は学問しか知らぬ。何か起きても家名のためにだまっているだろう。お前は正体を知られずになるべく早く離縁されればいいのだ。お前がうまくやり遂げると信じているよ」と言います。
グムソンはモクセとパムセから顔を見たのかと問われ、一瞬見たソユンのことを思い出して赤面します。
いざ婚礼の日、「初夜だけ乗り切ればなんとかいく」とエンドゥは励ましてくれます。控え室でエンドゥと談笑しているヘソンに、「お兄ちゃん、小便が漏れそう?」とふざけて声をかける少年。エンドゥは少年を追っ払います。
チェ家の長女と次女は複雑そうな顔をしていましたが、婚礼式ではヘソンは美しいと誉めそやされていました。「あの強がり男かよ」と内心思うヘソン。「見知らぬ人ではなくあなたでよかった」と川での出来事を思い出すグムソン。
いざ寝床に入ろうと言われ、蕁麻疹も熱も言い訳が使えないと慌てるヘソン。実は自分は奴婢で女装をして本当の身分と性別を偽ったのだと本当の理由を言おうかと考えますが、「新婚初夜覗き」というふすまに穴を開けて覗きをする風習を忘れていたため、秘密をバラせないと悟ります。
グムソンは急いでヘソンの服を脱がすと覗き穴にその服をかけて塞いでしまいます。
第3話
<あらすじ>
七去作戦を開始し、姑に無礼を働くヘソン。
口答えはもちろん、ナムルの下処理など料理もできない嫁に、姑は不満を抱く。
一方、グムソンは母に内緒で、武科試験のために武林寺で武術を修練する。
婚礼初夜にも関わらず、グムソンは「僕は本を読まないと眠れないんです。勉強するから先に寝ていて」と言い出します。
「私のことを忘れましたか?出会いはなかなか強烈だったと思うんですが」とからかうヘソンに、「まだ心の準備が…それにこれは親同士が決めた婚姻です。夫婦となってもまだ情は湧きません。ゆっくりと距離を縮めていきましょう」と真っ赤になるグムソン。ヘソンは「気が楽になった」とふてくされて先に寝床に入ります。黙々と本を読むグムソンの横顔を見ながら、ヘソンは眠りにつきます。
ソユンは酒を浴びるように飲んでいましたが、妓生のチュウォルが彼を誘おうと火を消した途端に叫び出します。「一線を越えるなと言っただろう」と言うなり、ソユンは彼女を絞殺しようとします。彼女の主人が跪いて許しを乞うと、ソユンは「主人か」と馬鹿にしたように笑い、チュウォルを手放します。
翌朝、爆睡したヘソンはグムソンが座ったまま寝たことに気づきます。「本の虫にしてはたくましいし、僕とじゃなきゃ嫁と仲良く暮らせたろうに」と申し訳なく思うヘソン。エンドゥに初夜はうまくいったと報告します。「早速、七去作戦を始めるわよ」と2人は目配せします。
七去のうち、6.出任せや7.盗みは捕まるから絶対にいけません。3.別の男に会ったり4.嫉妬したりも不可能です。2.子供がいないは完璧ですが、分かるまで歳月がかかりますし、5.病に侵されるのもだめ…となると、1.義父母に刃向かうしか残っていません。
街の娘たちが「あら花嫁だわ!かわいい」と近寄ってくると、彼女たちの抱えていた花籠からふんわりと香りが漂います。それはサルビョルの姉が幼くして死んだ時に周りに散っていた花でした。突然の頭痛に頭を抱えるヘソン。
気難しいと聞いていたグムソンの母に会いにきたヘソンですが、どう見ても優しげです。しかし第二声で「胸は平らでお尻もやけに小さい。取り柄といえば顔だけね。挨拶は急がないわ。嫁いだら家風に従うものよ。うちでは嫁に家事をしてもらいます。だから世話役のエンドゥは不要です。元の家に戻らせなさい」と言い出します。グムソンが口を挟もうとしますが、「姑が嫁を育てて何が悪い」と激怒します。「いびられてこそ上達するものです」とうそぶくヘソンですが、エンドゥにとれだけ教えられても家事は一つもできたことがありません。「僕1人にしないでよ。すぐ正体がバレちゃう」とエンドゥに頼み込むヘソン。エンドゥは困惑します。
武林寺に1人でやってきたグムソンは、生前父がここを「秘密の遊び場」と言っていたことを思い出します。「文人なのに刀を持つのですか?」と問うグムソンに、「生粋の両班なら筆だけで良いだろうが、父さんは学問に飽きるとここにきて刀を握るんだ」と笑って話したものです。グムソンは幼い頃から父の真似をして刀を振り回したものです。「勉強よりここで刀を振る方が好きです」と打ち明けるグムソンに、父は「寺子屋の友達に貧しい家だと馬鹿にされるから?」と笑います。「学問一筋の父さんのせいで僕は大変です。その大志を察して心が豊かになったので、心の貧しいものが哀れに思えるのです」とグムソンは返します。父は「うちのグムソンは真の文人だ」と喜んだものです。グムソンは「僕は武科試験で立身出世したいです。ただ、母さんの反対が心配で」と打ち明けます。父は「意志あれば道あり。やるなら本気でやれ。どんなことがあっても恐れない人になりなさい。父さんはいつだってお前のそばにいる」と背中を押してくれ、自分の刀を譲ってくれました。
父はいつも自分のそばにいるのだと改めて感じるグムソンでした。
爆睡していたヘソンが目を覚ますと、グムソンが書物を読んでいました。「母さんは早起きなのですぐに挨拶に向かいましょう」と言われます。しかし朝の身支度はエンドゥに任せていたので、どうやって髪や化粧を整えたら良いのか分かりません。そのまま服だけ着替えて挨拶に向かうと、グムソンの母から髪が乱れていると大目玉を喰らいます。しかし髪を整える必要などないと屁理屈を言うヘソン。グムソンは必死で2人の間をとりもちます。
花嫁の歓迎式をしようと盛り上がる近所の奥様方の中で、ヤング家の次女だけが「チン様をたぶらかすなんて」と憤っていました。
炊事の手伝いをするヘソンですが、全く役に立ちません。炭を頭から被ってしまい、水浴びをすることになります。鍵を壊してしまったとグムソンの母に言うと、「誰も来ないからそのままお入り」と怒られます。大いに水浴びを楽しんでいると、グムソンが帰ってきます。壊れた鍵を見て違和感を覚えるグムソン。
第4話
<あらすじ>
何もできないヘソンを持て余していた姑に救いの手を差し伸べた近所の嫁たち。
洗濯場に連れていかれたヘソンは強制的に温泉浴することに。
一方、ミンの息子・ソユンは突然消えたサルビョルを恋しがり荒れていた。
湯浴み場に入ろうとしたグムソンを慌てて止めるエンドゥ。元の家に戻ったのではとグムソンに問われ、「忘れ物があって届けにきたんです。今お嬢様が湯浴み中ですよ!」と注意してくれます。実際、エンドゥはヘソンに胸当てを届けにきたのでした。
いざ食事の時間になり、ヘソンは「ご飯の量が足りないから」と勝手にグムソンとご飯を入れ替えてさっさと食べ始めようとします。「女は男並に食べてはいけない。今後は醤油皿に米を盛るわ」と言うグムソンの母に、文句を言うヘソン。グムソンは天真爛漫なヘソンに思わず笑ってしまいます。
サルビョルを血眼で探すソユン。死体をいちいち確認しては、彼ではないと否定します。実はサルビョルが逃げた夜、ミン大監は血まみれの下着をソユンに見せていました。「不慮の惨事に見舞われたらしい」と言うミン大監に、「父上の策略では?サルビョルは私のものです!父上には優秀な刺客がいるのでしょう?この件に加担した者は生かしておきません」と絶叫するソユン。「私の足枷になるなら誰であろうとただではおかぬ」とミン大監がソユンを睨みつけると、「だから母上もあんな最期を?せめて亡骸だけでも見つける」とソユンはつぶやきます。ソユンがいつまでも酒浸りになっているので、ミン大監は呆れます。しかも突然癇癪を起こすのです。
ソユンは幼い頃、かんざしで胸を一突きにされて殺された少女のそばで震えていました。また、ミン大監の妻は転落ではなく身投げらしいと人々は噂し、不吉な家だと恐れられていました。そんな中、幼少期の記憶のないサルビョルが幼いソユンの側仕えとして命じられます。食事を持ってきたサルビョルは、黙ってうつむいているソユンに「ご飯を食べないなら僕が食べてもいいですか?あっ、若様は口がきけないのか」と問います。ソユンがご飯を推しやると、サルビョルは嬉しそうにご飯をがっつきます。
ソユンに誘われて珍しく外に出たソユン。サルビョルが転んで、「若様が驚くから血を見せるなと言われたのに」と泣きそうになります。ソユンは「気をつけないと血が出ているじゃないか」とようやく話すことができ、サルビョルは大喜びします。
思い出に浸っていたソユンは、古株である父の遣いを脅して、この手で殺すから刺客を白状しろと迫ります。「北部地方に行くと言うので逃亡の手助けをしました。これがバレたら旦那様に殺されます。どうか内密に…。サルビョルを殺そうとした者は見ておりません」と言う彼に、「言われてみればサルビョルの死体を見た者はおらぬ。推奴師を呼ぶ!」と息巻くソユン。「知ったらただでは済みませぬ」と縋る男に、「俺の奴婢なのだから、取り戻すのに許しは要らぬ。いくらでも出す。腕ききの推奴師を呼んでこい!」とソユンは命じます。
グムソンは同意なしには手を出さない人だとエンドゥが言っていたことを思い出し、すやすやと先に眠るヘソン。しかし「父さん、行かないで」とうなされ始めます。「私は潔白だ!」と叫ぶ父の姿を物陰から見る自分。ヘソンを宥めようと近寄ったグムソンは、ヘソンに強く引き寄せられます。目を覚ましたヘソンは飛び退き、2人の間に気まずい空気が流れます。
翌日、ヘソンはグムソンの母から針仕事をするように命じられます。しかし足で縫ったのかと思うほど下手くそです。炊飯を任せても、上はお粥で下は黒焦げで食べられたものではありません。
そんな時、洗濯場に行くのでお嫁さんも一緒にと誘ってくれる近所の嫁たち。すると1人が歓迎会をするためにみんなで温泉浴をしようと言い出します。嫌がるヘソンに、「私たちと入ると格が下がるわけ?」とヤング家の嫁は刺々しい物言いをします。
嫁たちに温泉に突き落とされ、服を脱がされるヘソン。
第5話
<あらすじ>
ヘソンに惹かれていくグムソンは修練に集中できずにいた。
ヘソンは姑から渡されたチマがきっかけで思わぬ才能に気づき、お金を稼ぐため肉体派と手を組む。
一方、ソユンは推奴師たちにサルビョルの追跡を依頼する。
山で薬草をたんまりと取ったモクセとパムセはグムソンに自慢します。嫁姑問題に悩むグムソンに2人は「嫁の前では母の肩を持ち、後で2人きりになった時に全てお前の言う通りだよと抱きしめればいい。話す時は顔を寄せて…」とアドバイスします。
温泉で脱がされかけていたヘソンですが、「女の溜まり場に忍び込んで覗き、さらには絵まで描こうとしている男がいる!」と叫びを聞きつけて、全員湯から上がってしまいます。
親分格の嫁に殴りかかろうとした隣村の男から彼女を守り、頬を殴られるヘソン。サルグ宅の怪力嫁が不届者の男たちを叩きのめします。哀れに逃げていく男たち。近所の嫁たち、通称「肉体派」の勝利です。
帰宅したひどい顔のヘソンを見て、パムセに用があると言って出て行ってしまうグムソン。心配の言葉もかけずに出て行ったグムソンにご立腹のヘソン。
隣村の男たちは女にやられるなんてと憤りながらも、一枚だけ女たちに破られずに済んだ春画を大事そうに掲げて「俺たちの飯の種だ」と喜びます。必ず仕返しするぞと誓う2人。
男たちを見つけたグムソンは2人を投げ飛ばし、「また女性たちを苦しめたらただじゃおかん。触れれば消えそうで俺は手さえ握れなかったのに!」と憤ります。残りの春画も奪って破ると家に戻ります。
髪を適当にすくヘソンに、「その髪ではまた母に怒られます」と注意するグムソン。モクセとパムセのアドバイス通り、顔を寄せて「じっとしていて」と囁くとヘソンは驚いて静かになりました。さらに手作りの髪飾りをつけてくれたグムソンに「私のもの?」と嬉しそうに尋ねるヘソン。グムソンは照れてしまい、無言で部屋を出て行ってしまいます。
「徙民令に関する触れ書き」を読んだミン大監は、「あの者が漢陽一の巨商になるとは。卑しい元奴婢がさぞ調子に乗ったかと。聞いた話では、密輸して釈放されてから人脈を誇示し数々の暴悪を働いたとか。それにしても参判の名まで出すなんて」と刑曹参判に言われ、「恩恵は施したが、”極端に賢い者と愚かな者は変わらない”ようだ。愚かな者は罰したから良い。会わせてくれるのは極端に賢い者か?」と微笑みます。刑曹参判は「吟味したので会えば分かります」と返します。「そやつの顔を見た者はおらんのだろう?」とミン大監が言うと、北方一の商団”プッポル”の男女が入ってきます。中国との取引を一挙にまとめていると聞き、「もしや誰かの後ろ盾があるのか?」と尋ねるミン大監を煙に巻く”プッポル”の長・ワンニョ。
「半刻も続けているのに火が大きくならない。こんな時に甘いみかんが食べられたらなあ」と独り言を言っていると、グムソンが「その調子じゃ今日中に焚けませんよ」とズバリと言って代わりに火をつけてくれます。いびられていればそのうち離縁されると怒りを堪えるヘソン。男が炊事場にいるなんてとグムソンを怒鳴ろうとした彼の母の後ろから、肉体派の面々が「旦那様が火を焚いてくれるなんて優しいのね」と褒めたので、母は怒りをぐっと堪えます。
貴重な魚を分けてくれる肉体派の面々を前に、「家事はそっちのけにして外で仲間作りをするなんて」とぼやく母。
ヘソンに惹かれていくグムソンは、修練に集中できずにいました。当分は瞑想しろと住職に一喝されます。家事が下手なのに姑も旦那も優しいなんて恵まれすぎだとぼやく肉体派の面々。全員子供を持てるよう祈って数年が経っていました。毎月祈りに行くので一緒に行こうとヘソンも誘われます。子供が産めないからと豚の世話をさせられたり、夫の浮気のせいで夜の営みがなかったり、療養の名目で自分だけ花見を楽しむ小姑の愚痴を言い合う肉体派たち。ヘソンはそんな彼女たちにガツンと対処法を言い放ち、そんな夫は放っておいてみんなで着飾ろうと鼓舞します。
グムソンの母は自分のおさがりがヘソンに合うのではと出してきましたが、体に合わないようです。それでもヘソンが着ようと着こなしを考えていると、うっかりあざのために煮出したくちなしの実を踏んで真っ白なチマが汚れてしまいます。ヘソンはわざとチマをくちなしの実でまだらに染めると、肉体派たちはおしゃれだと喜びます。
グムソンの母はこれを売って稼ごうとヘソンに提案します。ヘソンもチェ進士に頼らずに北で暮らせるくらいのお金を貯められるかもと思い、頷きます。
その日から花の絵を描いたオリジナルチマ作りに精を出すヘソン。チマは大人気になります。
ソユンは推奴師たちにサルビョルの追跡を依頼します。カムゴルで似た者の目撃情報があったというだけで大金を差し出すソユン。「傷一つつけずに持ち帰れ」と命じます。
第6話
<あらすじ>
ヘソンが手を加えたチマは飛ぶように売れる。
ヘソンは世話役のエンドゥに戒められグムソンに冷たく接する。
そんななか、チェ進士はサルビョルを捜す一味の襲撃や険しい北行きに備えてヘソンに武術の修練を命じる。
合言葉を言って待ち合わせをするエンドゥとモクセ。「チェ進士に報告するからお嬢様の近況を教えなさい。もう婚姻して三月よ。姑にいびられてる?」と笑顔で尋ねるエンドゥに、モクセは「ウォンチューとかいうチマが大売れらしくて、福の神が来たと姑さんは大喜びらしい。それに夫婦仲もグムソンか頑張ってるから孫の顔を見る日も近いぞ」と笑って去っていきます。転んだ拍子にキスしてしまう2人ですが、照れるのはモクセだけです。
肉体派は「紅審団」という店を構え、チマを売りまくります。「好きなことをすれば浮気する野郎なんて眼中にもなくなる」とヘソンがブチギレてくれたおかげで、豚の世話をさせられていたホンシムは初めて自分のためにきちんと怒ることができました。
そこに都会である漢陽の妓生が現れ、エンドゥは新しい使道(地方官)が赴任して祝宴のために呼ばれたのかしらと首を傾げます。すると肉体派の1人が「あの子、漢陽で一番売れてる明月館の妓生、チュウォルよ!衣装の流行を作ってるの」と叫びます。チュウォルを店に引き込むと、彼女は「気に入ればいくらでも払うからもっと豪華なものを作って。明日までに」と注文をつけてきますが、肉体派たちは「喜んで!」と承ります。
武林寺で礼仏をするグムソンですが、まだヘソンへの雑念に囚われています。次は武術の稽古をしようと住職に言われるのを振り切って、どこかへ急いで走り出します。
中国の貿易商を乗せた船は海へと滑り出しますが、グムソンは海に飛び込んでまで船を追いかけ、何日間もかけて貯めたお金でみかんを一個買って大事そうに包んで帰ります。
「肉体派と親しくするのは下手したら命取りだよ。離縁はどうなったのよ!」と怒るエンドゥに、「北方で暮らすお金は自分で貯めたいんだ。それに見て、オリジナルのチマには判子を押してるんだ。そのおかげで言い値で売れる。それに義母は人前で仲良く見せてるだけだし、旦那は無愛想で妻に関心がないんだ」とヘソンは言います。「無関心なのにあんな騒ぎを?あなたを傷つけたごろつきを懲らしめたみたいよ。頬が倍に腫れたって」と言うエンドゥに、「いや、彼は僕のことが嫌いだよ」と言い返すヘソン。しかし見事に結われた髪はグムソンによるものです。「心を寄せられたらどうするの」とエンドゥに怒られ、ヘソンは彼にもらった髪飾りを外して、グムソンに冷たくしようと決意します。
無慈悲な推奴師 トゥチャン一味が馬で駆け抜けて、恐れる村人たち。「スニの父親が逃亡中の奴婢らしいよ」と噂をします。
帰宅したグムソンが水浸しなので、彼の母とヘソンは驚きます。着替えを取りに家に戻った母から見えないように、グムソンは「一個しかないから大事に食べて」とヘソンにみかんを渡してくれます。
サルビョルは幼い頃、猫を追いかけて塀から落ちたところを、ソユンが下敷きになって助けてくれたことがありました。「助けたぞ」と涙するソユン。「奥様は高い所から落ちて亡くなられたんだぞ!二度と塀に登るな」と使用人に怒られるサルビョル。「若様がお前の世話を拒んでも、そばに控えてしっかりお仕えしろよ」と言い含められ、懸命にソユンに仕えるサルビョル。しかしそんなサルビョルに他の子供たちは足を引っ掛けて転ばせたりと意地悪をします。「サルビョル(長い尾を引いて光る星、彗星)の日に来たから、サルビョル?不吉ね」と意地悪を言い、「孤児で誰の子かも分かんないんだろ」と水を取り上げてバカにする子供たち。ソユンは彼らに石を投げ、血が出たと騒ぐ彼らに近づいて頭が痛んだふりをします。慌てて逃げていく子供たち。
「人に石を投げたら死んでしまうかもしれませんよ」と注意するサルビョルに、ソユンは「僕の奴婢を傷つけたらどうなるかを教えたんだ」と外にいる子供にも聞こえるように叫びます。首席及第で王様から贈られた高級なみかんを、ソユンはサルビョルに一つくれます。「貴重なものは大切な人と分け合うものだ」と微笑むソユンのことを思い出し、みかんを外に置くと「若様、お元気ですよね」とつぶやくヘソン。
そんな中、チェ進士はサルビョルを捜す推奴師 トゥチャン一味の襲撃を案じます。また、第一次徙民令も近いものの、北への道のりは険しいものです。ヘソンは身を守る術が必要だと感じた彼は、速習で武術の修練叩き込める者を探さねばと考え込みます。
外に置かれたみかんを手に取り、悲しげに顔を歪めるグムソン。
トゥチャン一味は「絵描きなら顔を見分けられるな?」と隣村の男を馬で引きずって脅し、サルビョルの似顔絵を見せます。「似た顔を見ましたが男ではなく女です」と男が叫ぶのを見てしまうエンドゥ。
髪を結ってやろうとするグムソンの手を払いのけるヘソン。なぜみかんを食べないのかと問われ、「嫌いです」と怒って出ていくヘソン。部屋には贈った髪飾りが残されており、グムソンは切なげにヘソンを見送ります。
「しっかり縫うと糸目が盛り上がります。ここに小さな花でも描いたらどうですか?」と縫えもしないのに針仕事はグムソンの母に任せて口だけ出すヘソン。「針仕事の達人のエンドゥとやらはいつ来るんだい!紅審団からエンドゥを連れておいで!」とグムソンの母は激怒します。
紅審団まで一緒に歩こうとグムソンに誘われますが、ヘソンは「無理に仲良くしてくださらなくて結構」と跳ねつけます。
紅審団に着くと、ヘソンは顔を隠して男の装束に着替えます。
グムソンは武科別試(臨時に実施される科挙)の告知の張り紙を見て、母に何と言って受験しようか悩みます。
ヘソンはチェ進士からもらった略図通りに武林寺に向かい、自分に稽古をつけてくれる剣士を探します。するとなんとそこにいたのはグムソン!しかも思い返してみれば、自分が逃亡する時に助けてくれた人と同一人物ではありませんか。「すぐに気づいた」と言われ正体がバレたかと焦るヘソン。
第7話
<あらすじ>
顔を隠し、サルビョルとしてグムソンと修練することになったヘソンは、妻に対する彼の本心を知り罪悪感を拭いきれない。
一方、ソユンは偶然見かけたチマの花模様からサルビョルに徐々に近づいていく。
「あの時、あなたを刺客から助けたのは僕だ」と言われ、驚愕するサルビョル。
鍛冶場に向かおうとするとグムソンも着いてきます。「心が乱れているので初心に戻れと師匠に言われたので私も行く。実は愛する妻の心を得られず、食欲も気力も湧かないのだ」と打ち明ける彼は、「あなたもなぜ刺客に追われていたのか、よかったら本音を話して」と促します。命の恩人に嘘をつくなら自分は獣以下だと自嘲するグムソン。「話を聞いて役所に告発しても構いません。私は奴婢です。救われたあの日、主人の屋敷を出ました。生きるため、義兄のような若様のため、逃げるしかなかったのです」と話し始めるサルビョル。
「若様はお前に惚れてるんだよ」と同じ奴婢からバカにされるサルビョル。ソユンは妻を娶りましたが、夜ごと書斎に籠っているので陰口を叩かれてしまっていたのでした。ミン大監は息子の悪評を恐れ、三日月型の赤いアザを持つ刺客にサルビョルを殺すように頼み、サルビョルはそれを聞いてしまったのでした。
グムソンも同じアザを見たと言います。「奴婢であった時の名前は?」と尋ねられ、答えると、「これからはピョルと呼ぼう。ばれないように」とグムソンは微笑んでくれます。
鍛冶場で刀を貰って住職のもとへ向かうと、「刀を持つ者の心も刀同様重々しくなくてはいけません。武芸で大事なのは心身の均等を図ること。技の習得だけでなく内面を鍛えることが修練です」と言い、短期即成の修練にはこれが必要だと「白虎剣法」という武芸書を渡してくれます。
寺の隅まで来ると、グムソンは分科の科挙を受けてほしがっている母にバレないようにここで着替えると言い出します。
サルビョルは紅審団で女装すると家へと戻ります。しかし街中を歩いているところをソユンに見られ、ソユンはヘソンを血眼で探し始めます。
帰宅途中のヘソンは想像妊娠してしまったと泣いている肉体派の1人を見つけ、慰めます。そのうちの1人が、「フォンゴゲ事件を知ってる?」と言い始めます。朝鮮と他国の貿易は巨商のキム氏が独占していました。彼の家にはかわいい娘が1人おり、彼女は名家と婚約しましたが、いつしか奇妙な噂が流れ始めました。キム氏の娘が婚約もしていないのに身籠ったというのです。それからまもなく娘は死んで見つかりました。父親が不貞な娘を殺した名誉殺人という結論になりました。両班の名誉殺人はよくあることですが、事件の関係者たちがある日突然姿を消したのです。さらに全員が死んだのだそうです。もし娘が身籠っていなかったのなら…と全員が青ざめ、これで気持ちも落ち着いたから解散しようということになります。
ミン大監は「名だたる商人も手こずった仕事をやり遂げたそうだな」とワンニョを褒めます。ワンニョは大量の金をミン大監に差し出し、「私を信じますか?他の商人と同じ扱いは認めません。ただしお急ぎください」と微笑みます。ミン大監の家を出たワンニョは、「たやすく捕まえられたら狩りは興醒めだ。あの者を見つけたか?」と側近の男に尋ねます。「はい」と頷く男。
ソユンは明月館から帰ろうとしていた時、ヘソンの作ったチマを見つけてハッとします。
昔幼いサルビョルと目隠し鬼をしていた時に彼の手拭いにも同じような花の模様が描いてあったのです。「これはどこで買った」と問い詰めるソユンに、妓生は「チュウォルさんに土産でもらいました」と答えます。チュウォルは「パムナムゴルにある紅審団という店で買いました」と答えます。
紅審団のチムを見て、どんな男が作ったのかと肉体派たちに詰め寄るソユン。個人的なことは言わないでと口止めされていたにも関わらず、彼のあまりの剣幕に「チェ進士宅のお嫁さんで…」と答えてしまうホンシム。
帰宅したヘソンは疲れた様子のグムソンを見て「恩を仇で返すなんて、やっぱり真実を告げないと。許されなくてもそれが道理だ」と辛くなります。「実は私…」とまで言いかけますが、勇気が出ません。「深夜まで勉強しては体調が心配です」と言われ、グムソンは少し表情が和らぎます。
翌日、モクセとパムセから「顔色が良くないぞ。夫婦喧嘩か?同じ布団に入って仲良くしろよ」と言われたグムソンは、昨日ヘソンが言おうとしていたのは一緒に寝ようということではと思いつき、にやけてしまいます。
ヘソンは何かと優しくしてくれる純情なグムソンを欺けないと、チェ進士に「今度こそここを離れる」と決意を伝えに行きます。「ではついに離縁されるのだな。推奴師がこのあたりを探し回っていて不安だったのだ。明後日の徙民令までには離縁は可能か?」と言われますが、「明後日までに離縁が不可能なのでご相談に参りました。家出をします。ここを離れる方法を探してください」と返すヘソン。「グムソンと姑が罰を受けてしまうではないか。身勝手すぎるぞ!」とチェ進士は怒りますが、ヘソンの決意は揺らぎません。
第8話
<あらすじ>
チェ進士の三女が模様を描いたという話を聞き、チェ進士を訪ねたソユンは彼が何かを隠していると気づく。
一方、ヘソンは徙民令の名簿に入った女性の身代わりで旅立つことが決まり、最後にグムソンと出かけることに。
「刺客から命を救ってくれたのがグムソンなのです。さらに彼は僕を愛しています。今回もあの時のように僕さえ消えればいい」と言うヘソンにチェ進士は同情し、どうにか逃亡法を探してくれることになります。
グムソンと手合わせをするサルビョル。着替えたグムソンに「誰かが嘘をつき真実を隠していたらどう思いますか?」とサルビョルは尋ねます。「哀れに思うよ。誰かを騙す者の人生に実直さはなく、不幸と隣り合わせで生きている。まるで綱渡りするみたいに。嘘は嘘を生み、何が真実か分からなくなる。だから哀れだ」と答えるグムソン。「僕には姉がいたけれど、子供を産んで死んだ。父も亡くなったばかりだったから母は僕に黙っていた。そんな母が僕は恨めしかったけれど、今は嘘をついていた母の苦しみが分かる。だから一度も涙を見せなかった母より強くなると決心したんだ」とグムソンが話していると、前からモクセとパムセが「蛇が出たぞ」と大騒ぎしながらやってきます。足に巻きついた蛇に噛まれて失神するグムソン。モクセとパムセはどちらも歯が痛いと大騒ぎしますが、サルビョルはすぐさま口で毒を吸い出します。2人に連れ変えられたグムソンを手厚く看病するサルビョル。しかし自分にも毒が回ったのか、サルビョル自身も苦しげです。
チェ進士を訪ねたソユンは、ヘソンの婚礼に挨拶に来られなかったので父の代わりに訪ねてきたと嘯きます。自分を友とも呼ばない男の息子が何を知ってここにきたのかと訝しむチェ進士。豪勢な贈り物を持って直接ヘソンたちに挨拶したいと言うソユンに、「初対面の者と嫁の父親が行っても喜ばれない」とチェ進士が断っても彼は全く譲る気配がありません。チェ進士は嫁と婿を呼ぼうと譲歩します。
「徙民令の名簿に入ったが北へ行きたくないとか?」と女性に尋ねるチェ進士。「不細工なので従順でも離縁されました。今や罪人ですが、実家の家族と離れたくありません」と言う彼女に、「あなたの父が新たに用意した身分です」とチェ進士は「イ・マルスン」と書いた木札を差し出し、代わりに旅立つ者も用意したと言い、安心せよと言います。代わりに「パク・ミニョ」と書かれた木札をもらうチェ進士。彼女はひっそりと旅立ちます。チェ進士はエンドゥに「パク・ミニョ」と書かれた木札を渡し、北へ発つ準備をするようにヘソンに伝えるよう命じるとともに、「ソユンが来たから用心しろ」と伝えるように頼みます。
エンドゥはヘソンを呼び出すと、発つ日に必要なものを入れた袋を渡し、中にあるようにしてと言い含めます。
起床したグムソンにかいがいしく粥を食べさせるヘソン。グムソンが一緒に外出したいと言うので、ヘソンは最後の願いだからと頷きます。どうか悲しまないでほしいと、ヘソンは久々にグムソンにもらった髪飾りをつけます。そしておしゃれしたグムソンに髪飾りと同じものをつけてやり、「恋人同士でお揃いのものを持つのが流行りだと聞いたので」とつけてやります。嬉しそうなグムソン。
“トッキグル”と書かれた塚の前で立ち止まるグムソン。「気に入った恋人がいればトッキグルに連れて行け。そこを歩いた恋人は婚姻する」とモクセとパムセが騒いでいたことを思い出したのです。トッキグルへ向かう道は狭く、2人はキスしそうになります。
星空を眺める2人。「あの明るく輝く金星はグムソン。僕の星です」と星を指差すグムソンに 「あなたみたいに明るい。彗星(ヘソン)はただ現れて消えていく薄情な星です」と俯くヘソン。「そなたの表情を見るとたまに不安になる。僕はあの星のように変わらずヘソンを照らす。だから辛い嫁入り暮らしでも苦しまないで」とグムソンは優しく慰めます。「ところであの人たちは一体何を?」と自分たちの足元で何かをしている男女を見つめるヘソン。「昔愛し合っている男女がいた。2人は婚姻して長いこと仲良く暮らし、同時に永遠の眠りについた。死後は一緒に埋めてくれと頼んだそうだ。しかしその墓は翌日姿を消して、隣の城壁から二本の木が伸びていた。だから、子供たちは両親の名前を書き、木に結びつけた。その後恋人たちが、愛の証しに互いの名前を書き、結びつけているんです。ここを訪れた恋人は一生添い遂げるとか」と教えてくれたグムソンは、お手本のように紙に自分の名前を書きます。ヘソンも書こうとすると、グムソンは「ヘソンの名前を変えたい。消えゆく星という意味ではなく、もっといい字に変えよう」と言い出します。「賢いという意味の”彗”に、清らかな”聖”。これでヘソンは清らかで賢い女性になった。気に入った?」と微笑むグムソン。名前を書いた紙を紐に括り付けたグムソンは、「僕たちも天に誓ったことに」と嬉しそうです。「こんなのは幼稚です。いつかは誰もが別れるでしょう?だから、私は”今日が最善ならいい”と思っています」と冷たく告げるヘソンに、「私もそう思う。だから私はたっぷりあげます。いつだって尽くす側は安心して寝るものです。そなたはただ受け取って。どんなものも僕はそなたより捧げるから」とグムソンは優しく微笑みます。
疲れた様子のヘソンへの滋養強壮剤を買いに医院に来たグムソンは、モクセとパムセから「毒を吸い出した男は大丈夫か?」と尋ねられます。グムソンは彼の様子が気になり、慌てて武林寺に向かいます。
ソユンは悠長に待っていられぬとヘソンの家を探しますが、その時にグムソンがサルビョルのよくする言い間違い(「人の常(つね)」を常(じょう)と言ってしまう)を口にしたため、怪しげに彼を見つめます。
グムソンは蛇の毒に効く薬を武林寺に持っていきますが、そこにはサルビョルはおらず焦ります。帰宅したグムソンは先ほど町で自分を見ていたソユンが家の前をうろつき、「そなたの妻に用事がある」と言うので、反発します。
第9話
<あらすじ>
ヘソンは離縁された女、パク・ミニョに成り済まして北へ逃げることに。
そして最後にサルビョルとしてグムソンに会い、別れを告げる。
その後、グムソンが帰宅すると姑がなかなか帰ってこないヘソンを心配しており…。
「そなたの妻が私と長年を共にした者なら、兎を”すくすく”と呼ぶだろう。婚姻して一年なら聞いたこともなかろうが。あの子は疲れると甘いものを欲しがった。みかんを好んだ」と言う彼に、「無駄足でしたね」と追い返すグムソン。しかしソユンは「無駄足かどうかは私が見定める」と言って去っていきます。
呑気に町で買い物をするヘソンをエンドゥは「ソユン様と出くわすかも」と怒りますが、ヘソンは「今晩発つからおいしい夕食を作らないと」と平気な顔をしています。
グムソンは家にうさぎを用意すると、ヘソンに見せます。「なぜ”すくすく”が?」と言う彼女に、グムソンは頭を抱えて逃げ出します。
チェ進士宅の三女を攫ってこいとトゥチャン一味に命じるソユン。突然のことだから金が足りないと言う男たちに、ソユンは大量の金を渡します。にやつく男たち。
グムソンのために頑張って料理作ったヘソンですが、肝心の彼が戻ってきません。
グムソンは呆然と鍛冶場を歩き回りながら、ソユンと戯れるヘソンを妄想して苦しんでいました。「別(ピョル)」と彫られた刀を見たモクセとパムセは一体誰だと首を傾げます。刀を取り上げると、グムソンは2人にソユンのことを相談しますが「グムソンは心が狭い」と言われて怒って帰ってしまいます。
これもこれも食べてとおかずをくれるヘソンを見て、「ヘソンは今は私の妻なんだから」とグムソンは気を鎮めます。
エンドゥにお別れだからと美しい着物を贈るヘソン。見窄らしい着物に着替えたヘソンに、変装は私がしてあげるとエンドゥは胸を張ります。2人を見たトゥチャン一味は今夜決行するぞとにやつきます。
武林寺で訓練するグムソンのもとに来たサルビョルは、彼から「護身用に」と刀を贈られます。さらに名医に解毒薬を頼んだから3日後にもらえると言われますが、サルビョルは今晩北に発つのだと打ち明けます。刃は邪気を払って福を招くと言われますが縁を断ち切る意味もあります。なので、サルビョルは刀を包む包みをグムソンに渡します。縁を繋ぐという意味が込められているのです。必ず連絡しろよと言われて曖昧に頷くサルビョル。
紅審団ではヘソンのおかげで儲かって笑いが止まらないと肉体派が噂していました。徙民令の募集所に手間賃稼ぎに行くという肉体派たち。そこにヘソンを迎えにエンドゥが立ち寄ります。ヘソンがプレゼントした着物で着飾ったエンドゥはまるで本物のお嬢様のよう。褒められ照れるエンドゥがヘソンの元に向かっている途中、最近彼女をつけまわしていたモクセが彼女の頬にキスをして「今日のお前は綺麗だぜ」とウインクして去ります。まんざらでもないエンドゥ。
ヘソンは荷物をまとめ、嫁いでから起こったさまざまな出来事を思い出していました。毎晩本を読むグムソンの横顔を思い出します。家に向かって頭を下げると、待ち合わせ場所に来てエンドゥを探します。そこに覆面をした男が現れ「チェ進士の三女だな?」と言うなり、ヘソンを連れ去ります。
町ではトゥチャン一味に女性が攫われているという話をグムソンの母が耳にしていました。
徙民令の名簿をチェックする肉体派たち。北は寒いし、獣の皮を着た原住民が略奪しに来るらしいと彼女たちは噂話をします。使道ではなく代理の男が訪れると、「王令だ。”罪人ではあるが大罪に当たらない民ゆえ北部地方へ移住する場合、罪を免除し仕官を許す。行く途中で飢えや寒さで倒れる恐れがあるので、統率する守令は保護と救済に力を尽くし、民を飢えと寒さから守るように。病人が出たら手厚く世話をして命を失うことのないように。強制的な移住であるため、1戸あたり30結の土地を支給し、土地のないものも安定して暮らせるようにする」と宣言します。「3人来ていない」とぼやく肉体派。
夜遅くなってもヘソンが帰らず、グムソンの母は不安で家の周りをうろついていました。紅審団にエンドゥといるのかもとグムソンは言いますが、母はトゥチャン一味に攫われたのではと心配します。移住者を見送る者が噂していたからフォンゴゲあたりにいるのではと言う母を置いて、グムソンは走り出します。
第10話
<あらすじ>
トゥチャン一味にヘソンがさらわれたと思ったグムソンが一味と闘っていると、心配したヘソンが助けに行き、結局家に戻ることになる。
一方、肉体派たちはヘソンがグムソンのもとを離れようとする理由を考え…。
一味に攫われたヘソンらしき女性は袋詰めにされていました。グムソンは果敢に一味と闘います。
肉体派のもとには女が1人訪れ、トゥチャン一味が北に行く予定だったグムソンの妻を攫ったらしい、今頃死んでいるかもしれないと叫びます。それを聞いたヘソンは慌てて飛び出します。逃げ出したヘソンを追う肉体派たち。
トゥチャン一味に殺されかけていたグムソンを救ったのは肉体派。しかもグムソンがヘソンだと思っていたのは、エンドゥでした。人の命などなんとも思わない連中に立ち向かうなんてありえないと怒るヘソンに、「たしかにそなたに血迷った」と笑うグムソン。トゥチャン一味の死に物狂いの戦いに劣勢になるグムソンたちでしたが、突然ワンニョと側近たちが現れ、助けてくれます。
帰りしな、ヘソンがどこにいたのかと尋ねるグムソン。子宝を授かるために祈願に行っていたと嘘をつくヘソンに調子を合わせてくれる肉体派たち。
帰宅すると、ヘソンは「無謀です」と怒ります。しかしグムソンは「夫婦の縁を誓った日からそなたは永遠なる伴侶ですから。伴侶を守るのは夫の務め」と言った後、「数日前あなたに会いたいと男が現れました。ダメだと言ったら自分のやり方で確かめると。てっきりその者に攫われたと思ったのです」と言うと、グムソンは何も言わずに休もうとします。「その男は何者なのか、心当たりはあるのか聞くべきです」と言うヘソンに、「そなたは今、僕の妻だから」とだけ言ってグムソンは立ち去ります。
「せっかくの機会を逃して!次を待つ間、ソユンに出くわしたらどうするのだ。ソユンの仕業に違いない」と怒るチェ進士に、「若様は僕を傷つけません。どうせ会うのなら逃げません。直談判します」と言うヘソン。「お前の生存を知ればミン大監は黙っていないぞ」とチェ進士は怒ります。
ヘソンは突然大金をチェ進士に渡し、「家を出た日、パク・ミニョさんが私の元に来ました。”北で友と助け合おうと約束していたのに守れないのでこれを渡してください”と渡されたのです」とわけを話します。心配そうにヘソンを見送るチェ進士。
トゥチャン一味は「覆面の女にやられました」とソユンに慌てて報告します。
同じ頃、ミン大監は「ソユンが死んだはずの奴婢をまだ探していたと?」とワンニョから報告を受けます。「大監に追い込まれてご子息は悪手を」と微笑む彼女に、「悪手があってはならぬ。あの奴婢が生きているなら始末せねば」とミン大監はつぶやき、彼女を会合に招きます。帰るワンニョに「そなたが、風聞だけで見たものがいない父に忠実な刺客か?」と尋ねるソユン。「私は商団の長ですよ」と笑うワンニョに、「たとえ父の配下でも一線を越えたら命はない。肝に銘じろ」と言うソユン。「変わりませんね」とワンニョは笑って立ち去ります。
一方、肉体派たちはヘソンが変装してまでグムソンのもとを離れようとする理由を考えます。2人は夜の営みがうまくいっていないのではないかと下世話な噂をする一同。
グムソンはソユンが吏曹参判の息子らしいとモクセから聞きます。紅審団に来たグムソンはヘソンの身を案じているので隠れ家がほしいと肉体派に尋ねます。母親がいる家では夜の営みができないからねと噂する彼女たち。来客用なのでなんでも揃っていますよと笑顔の大姉に、グムソンはお礼をしたいと言いますが辞退されてしまいます。「肉体派」は助け合う仲間なのです。
変装して募集所にいた理由を聞かれたらどうしようかと悩むヘソン。肉体派たちはヘソンが夜の営みで悩んでいるのだと勘違いし、温泉に連れて行った後はグムソンが待つ隠れ家へと誘導してくれます。一方グムソンは「ヘソンさんの頼みです」と言われて、湯浴みをさせられていました。グムソンの母は肉体派たちに「夜分に1人で寂しいだろうから」と針仕事を誘われていました。ヘソンは逃げ出そうとしますが、グムソンは「あなたがこんな雰囲気を好きだったとは知らなかった」と嬉しそうです。
ヘソンは「告白することが…」と戸惑ったように言った後、「私は男です」と告白します。
第11話
<あらすじ>
夜の営みの場で、ついに自分は男だという事実を明らかにしたヘソン。
ショックを受けたグムソンは家を飛び出し、寺で修練を始める。
すると、そこに現れたのは顔を隠していないサルビョルだった。
ミン大監の部下は、袖の下を記帳した帳簿を隠し持っていました。それを知ったミン大監は「帳簿を燃やせば命は助けてやる」と脅しますが、すぐに司憲府が高麗人参密売の監察を始めるからと彼は抵抗します。しかしすぐに帳簿は見つかり、それが燃やされただけでなく彼も殺されます。
すぐに駆けつけたワンニョは殺された男に駆け寄り傷口を見ると、「あの刺客だわ」とつぶやきます。「証左が消え絶望的です。北へ戻りましょう」と言う部下に、ワンニョは男が残した何かを見つけて、「私がこやつの座についてじきに証左を作る」と言い放ちます。「共犯になればさらに重い罪に問われます」と言われても、「復讐のためなら私はどんなことでもする」と言い放ちます。
ヘソンは涙しながら、「男だと何度も言おうとしましたが、言い出せず逃げ出そうともしました」と跪きます。「男かどうかは関係ない。僕はヘソンを愛してた。人の気持ちも知らずにこんなことができるなんて信じられない」とグムソンは怒って家を飛び出します。武林寺に行き修練するグムソンのもとに、顔を隠していないサルビョルが現れます。思わず彼を打ってしまうグムソンに、「殺してください」と言うサルビョル。「それで許されると!?」とグムソンが胸ぐらを掴むと、「全部が嘘ではありません。卑しい奴婢の命を救い、兄弟子と呼べと仰った。僕をピョルと呼び、弟分にしてくれた。不吉と蔑視された名前を賢く清らかな名前に変えてくれた。兄弟子としても夫としても、本当にいい人でした。すごく幸せで心苦しかった」とサルビョルは返します。「聞きたかった言葉をこんな形で聞くとは。聞かせろ。そなたが女として生きるようになった経緯を」と言うグムソン。「若様に大切にされていましたが、感謝する一方で僕は他の者たちに疎まれました。そのせいかいつの間にか嫌な噂が流れるようになりました。大奥様が亡くなり心の拠り所を探して、若様は男が好きなのではと」と思い返すサルビョル。13歳で小科に首席及第し、入学すれば成均館でも首席及第だと褒めちぎるソユンの家庭教師。しかし、ソユンが強情なので鞭で奴婢を打とうとすると、「悪いのは僕なので罰は当然僕が。サルビョルに手を出したら許さない」と睨まれたとぼやきます。
嫌な風聞が流れたため、ミン大監はソユンの婚姻を急ぎました。でも思いがけない事件が起こります。サルビョルがソユンの妻を美人だと話したせいで、ソユンは妻の顔に傷をつけたのです。全てに秀でたソユンを妬む者たちには好機でした。ミン大監はサルビョルを殺すように命じたのでした。
サルビョルは逃げ出します。グムソンに救われた日、チェ進士に婚外子のチェ・ヘソンとして引き取られたのです。最初は婚姻を拒みましたが、徙民令のために罪人になれば身分がバレるので、婚姻後に離婚されて北へ逃げるつもりでした。そうサルビョルが言うと、グムソンは「僕は利用されてたんだな。これ以上聞くことも話すこともない。一刻も早く去れ。いいな?」とだけ言って立ち去ります。
ソユンに手作りの忘れ草の酒を持ってくる妻。一緒に義母に持って行こうと言われても、1人で行くと言い張ります。さらに「今まで悪かった」とまるで家を出るかのような発言をして、ミン大監の元へ行ってしまいます。
ミン大監は「病状を口実に官職を辞してもう2年だ。いつまで王令に逆らう?」と「ミン・ソユンの宮殿入りを命ずる」と書かれた巻物を手渡して叱りつけます。「私がこうなった理由はよくご存知では?自分のことは自分で決めます。干渉はごめんです」と吐き捨てるソユン。「王様はお前を司憲府の監察司にと」と言うミン大監に、「思い通りにはさせません」と言うソユン。
「もうすぐ亡き奥様の命日ですよね。若様と行く準備をしました」と言う部下に、「私の来客の準備も怠るなよ」と命じるミン大監。
ミン大監は客を集めると、集めた理由を「空席を埋めなければ」と答えます。「では新たな大房が?大房不在でみんなとの意思疎通が難しく心配だったのです」と嬉しそうな男。「最近不穏な雰囲気が。調査のために役所は急に押しかけてきます」と不安げな男に、「私も知っておる。息子が司憲府の監察司になるからそれは案じるな」と言うと、ミン大監はワンニョを呼びます。なぜ女がとざわつく男たち。「私はあなた方の大房としてここに来てます」と刀をちらつかせます。「巴清をご存知ですか?」と問うワンニョ。「万里の長城を築く始皇帝を援助した女性だ。始皇帝は懐青台を建て、その魂を讃えた」とミン大監が答えると、「始皇帝も同様。人はお金に惹かれます。この者たちはそれをよく分かっていません。大監が万里の長城を見るのは難しいかもしれません」とワンニョは切り返します。「皆が1年も苦戦中の交易を、ワンニョ大房は3日で成功させた。これからは丁重に仕えるように」とミン大監は言い渡します。男たちは次々に自己紹介しますが、それらは帳簿を持った男が持っていた謎の紙切れに書かれていた名前と全く同じでした。高麗人参交易証書をミン大監から渡されるワンニョ。
翌朝、朝食の準備をするヘソンはエンドゥに男だとばらしてしまったと打ち明けます。水汲みに行ったヘソンは不注意で壺を割り、指を怪我してしまいますが、それを見ていたグムソンは無視して通り過ぎます。朝食中もグムソンの母がヘソンの指を気遣うのに対し、グムソンはさっさと食べ終えて立ち去ろうとします。
「夫婦関係が希薄になったわね。妻を泣かせてはいけない」と怒る母に、「科挙が迫ってきたので家出したいです」とグムソンは言い出します。衝撃を受けるヘソン。
第12話
<あらすじ>
ヘソンに裏切られた思いのグムソンは、家を出て寺ごもりをしながら葛藤する。
そして、申し訳ない気持ちのヘソンは、人づてに 「トッキグルの丘で待つ」と書かれたグムソンからの手紙を受け取り急いで向かうが…。
試験日まで寺籠りをすると言うグムソン。「私を見たくないのなら、私が実家に戻ります」とヘソンが言っても、グムソンは一歩も引きません。エンドゥは肉体派たちにその話をし、離縁も近いと涙します。そういえばなぜトゥチャン一味に攫われたのかと尋ねられ、首を傾げるエンドゥ。
グムソンの母から「息子はこれしか飲まないから」と革袋に入った井戸水を渡されるヘソン。早く仕官し母の苦労を断つように頼んだから、試験の日が決まって焦ったのだろう。全ては自分のせいだと彼女はヘソンを気遣います。グムソンの母は「最近はこれをつけないのね」とグムソンのくれた髪飾りをヘソンにつけてやります。
咳き込みながら歩くワンニョは、ソユンから「忘れ草の畑で会いたし」と書かれた手紙を受け取った姉のことを思い出していました。婚姻前にソユン様と会えるなんてと大喜びで出て行った姉は、弟とともにここから離れろとだけ言われて強引に家族と引き離されました。不定な娘を殺した冷酷非情な父親…もちろんそれは陰謀です。「連中はお前を殺してでも私を陥れようとするだろう。だからせめてお前は助けたかった」と父の声が聞こえるようです。死んだ父の傷跡をしかと目に焼き付け、父の残した名簿を確認する妹・ワンニョ。キム・イルジェ、チェ・ドクボク…。
あの日以来、ワンニョは初めてここに来ました。父の名誉を必ず取り戻すと改めて誓います。
ワンニョとすれ違ったヘソンは彼女に助けられた夜のことを思い出し、慌てて顔を隠します。ワンニョは「髪飾りを落としましたよ」とヘソンに差し出し、去っていきます。
武林寺に来たヘソンはグムソンに井戸水を渡しますが、「まだ(出て行かないの)ですか?早くしてください」としか言われず、早々に帰ることに。
グムソンは亡き父に向かって、「全てが恨めしく腹が立ちます。僕はどうすれば?」とヘソンとの思い出を思い返しながら苦しんでいました。
寺からの帰り道、ヘソンを「お兄ちゃん」と呼ぶ子供から 「トッキグルの丘で待つ」と書かれたグムソンからの手紙を受け取ります。発つ前に許しをこう機会を与えてくれたのだと大喜びで向かうヘソンでしたが、そこにいまのはソユン。「俺の目は騙せないぞ、サルビョル。生きていると信じていた」とソユンは抱きしめてきます。「もう二度と俺に無断で姿を消すな」と頼むソユンに、「互いを守る約束だったのに、僕のせいで悪口を。僕がいたら若様は不幸になります。また男が好きだと誤解されます」と言うサルビョル。「お前は俺にとって大切な存在だ。それに、彼を利用したことは決して許されぬ。俺に任せろ。亡き母上がおられるノサンにある寺でお前が暮らせるようにした。俺とお前で暮らそう。お前は初めてだから道案内をする」とソユンは優しく頼んできます。この期に及んで戸惑うサルビョル。
その頃、ミン大監はソユンの部屋を召使たちに改めさせていました。金目のものは残っておらず、屋敷を出たようです。ミン大監はワンニョを呼びつけます。
「若様にこれ以上迷惑はかけられないので1人で向かいます」と言い張るサルビョルですが、ソユンは「迷惑などかけられたことはない。一緒に行こう」と優しく声をかけてきます。サルビョルは最後にもう一度だけグムソンに謝ってから旅立ちたいとソユンに頼みます。
ミン大監は「ソユンがあの奴婢を見つけ出したらしい。母親の遺品を持ち出した。戻らぬつもりだろう。ノサンにある海辺の小さな寺にいる。連れ戻せ。奴婢は絶対に殺せ」とワンニョに頼みます。
サルビョルは寺にグムソンが見当たらないので、「今夜発ちます。別れを告げる機会をください。戌の刻に橋閣で待っています」と手紙を残します。グムソンを待つサルビョル。グムソンは手紙を無視しようとしますが、風呂に入ろうとした時に彼を守った時についた傷跡が目に入り、心を変えて行くことに。
サルビョルを待つソユンのもとに来たワンニョは「若様はお父上には勝てません」と言い、側近に彼を昏倒させます。「奴婢が来たら殺せ」と命じるワンニョ。
家に連れ帰られたソユンは蔵に閉じ込められます。「若奥様が来てから落ち着いていたのに」と焦り出す召使たち。ソユンの妻は皆が何をそんなに恐れているのかと詰問します。すると、「大奥様が亡くなり若様が声を出せなくなった時、旦那様が仮病だと叱って蔵に閉じ込めたのです。すると、何を見られたのか大声で叫んで錯乱されて」と説明されます。彼は蔵できっと怖がっているはずだとソユンの妻は青ざめます。
蔵の暗闇の中で不安になるソユンですが、懸命にサルビョルのことを思い出して恐怖を克服しようとします。
グムソンは長いこと待っていましたが、サルビョルが来ないので焦り始めます。
ソユンとの集合場所に来たサルビョルは「お前を救う若様はいない。お前を消したい理由は若様だけではなさそうだ。なぜ大監にあれほど命を狙われているのだ」とワンニョに問われます。
そこにグムソンが現れ、サルビョルに逃げろと命じます。ワンニョの側近に殺されそうになるグムソンですが、サルビョルが落とした手拭いを見て「お前は誰だ。なぜこれを持っている」と問います。
第13話
<あらすじ>
子供の頃の記憶を失っていたサルビョルは、商団の長・ワンニョと対峙すると、それが姉のヨナだと思い出し涙の再会を果たす。
そして、自分をかばってけがしたグムソンのために奴婢時代の知り合いに薬をもらいに行く。
「それ(手拭い)は私のものだから、彼は逃がしてくれ」とワンニョに命からがら頼むグムソン。「あなたなの?私はあなたが死んだとばかり…死んだはずの私の弟?ヘソンはたしかに死んだのに?」とワンニョは覆面を取って尋ねます。
突然頭痛に襲われるサルビョル。断片的に思い出す、姉からお腹をさすられたり髪を結ってあげた記憶。「ヨナ姉さん?」とサルビョルは問います。
自分をかばってけがしたグムソンを解放するサルビョル。「三七人参の粉があれば早く回復する」と医者に言われ、奴婢時代の知り合いに薬をもらいに行きます。知り合いは腹を怪我しており、今はどこに潜伏しているのかと尋ねてきます。潜伏先をぼやかして言うと、サルビョルはすぐさま去ります。
「幼い頃の記憶がないそうね。守れなくてごめんね。衝撃を受けたせいよ」と涙するワンニョ。サルビョルは「時々幻覚を見ていると思っていたけれど、過去の記憶だったんだね。姉さんが昔みんなで住んでいた家に今も住んでいるとは思わなかった。奴婢にはなったけど生きていたからこうして出会えた」と微笑みます。「父を殺し一家を崩壊させたばかりか弟を人質として奴婢にした…ミン大監は裏金作りのために悪行の限りを尽くしていたけれど、父は加担するのを拒んだの。父とミン大監の仲が険悪になった頃、花粉症のことが歪められ悪い噂が広がったの。私は死んでおらず、父は潔白だった。なのにある日ミン大監が目撃者を連れてきた。”自分の娘を殺すのを見た”という偽の目撃者よ。そして刺客の痕跡をこの目で見たわ」とこれまでのことを話すワンニョ。サルビョルは刺客に殺されたとワンニョは思い込んでいましたが、実は殺される直前にサルビョルは逃げ出し、ソユンに助けを求めたことで彼の奴婢になったのでした。「天涯孤独になり復讐だけを考えていたの。そうでもしなければ私は生きる意味がなかった。私は必ずミン大監を破滅させてやるわ」とワンニョは決意を新たにします。「父さんの名誉を取り戻そう」とワンニョを抱きしめるサルビョル。
ソユンの妻は夫を蔵から出してくれとミン大監に懇願し、どうにか出してもらえることになります。しかしソユンは夢現の状態でもサルビョルだけを求めます。
傷はひとまず落ち着いたからと帰ろうとするグムソンに、「胸の傷はいつついたものですか?」と尋ねるサルビョル。グムソンがごまかすと、「僕が呼び出したせいでまた迷惑をかけました」と謝ります。グムソンは「修練を怠るからだ!危なっかしくて見ていられない。修練を終えるまで1人で発とうと思うな。”一刻も早く去れ”は取り消す」と言います。「心から謝る者には許しを与えるしかない」と微笑むグムソンに感動するサルビョル。
チェ進士に会いに行くグムソン。自分を利用したことに憤りながらも、「間違った始まりでも悪いことばかりではありませんでした。しかし償いはしていただきたい。母に嘘をついてほしいのです」と申し出ます。チェ進士はグムソンの母に会いに行くと、「娘を引き取ります。彼女には持病があるのです。治る兆しがなく帰せませんでした。離縁してください。既に療養のため実母の里に送りました。ヘソンの願いです。”離縁されれば夫も新しい妻を迎えられる。娘を先立たせた姑にまた悲しい思いをさせたくない。忘れてほしい”と」と涙ながらに訴えます。グムソンの母は泣きながら納得してくれます。
ミン大監に「あの奴婢は始末したのか?」と尋ねられたワンニョ。「仰せの通りに。もうご心配なく」と返す彼女。そのやりとりをソユンの妻は盗み聞きしていました。
病み上がりにも関わらずサルビョルを探しに行こうとするソユンを、妻は止めます。「サルビョルは死んだのです。あの者を生かしたいのなら、あの者への思いを隠すべきでした。旦那様は初夜にあの奴婢の姿を探されたでしょう。私には屈辱的でした。お義父様にはなおさらでしょう。嫁がいても変わらないなら元凶を断とうとするはず。これからは私が旦那様を守ります。あの奴婢が心を癒したから旦那様も大切に思ったのでしょう?ですが、大切だからとそばに置く必要がありますか?大切だという事実は離れていても変わりません。私が見張りを引きつけるので裏門から外へ。きちんとサルビョルの死を確認したら必ず戻って来てくださいね」と彼女は去っていきます。
隠れ家を手配してもらったサルビョルですが、なんとそこは肉体派が以前提供してくれた例の隠れ家でした。しかも肉体派たちが掃除や料理をしてくれ、待ってくれていました。「肉体派は義理堅い仲間なのに騙すなんてひどい」とみんな大笑いしてくれます。なぜみんなサルビョルが男だと知っていたかと言うと、実はグムソンとの初夜を覗き見しようとして、サルビョルが「男です」と告白するのを聞いていたからなのでした。
ミン大監宅から出てきたワンニョに「サルビョルはどこだ」と問い詰めるソユン。「死体を見せろ」と迫ると、「獣に喰われていなければ山のどこかにあります」とはぐらかされます。グムソンの母は離縁させて床に伏せったらしい、ヘソンは実母の郷里に行ったらしい、いや、病気で死んだとか…と人々が噂するのを聞いたソユン。ミン大監はサルビョルが薬をもらった知り合いづてに彼が生きていると聞き、ワンニョの素性を探り始めます。
第14話
<あらすじ>
ワンニョの話から家族が崩壊したのはミンの悪行のせいだと知るサルビョル。
目を覚ましたグムソンはサルビョルを許し、2人は共に行動することに。
一方、ミンは信頼していたワンニョがキム氏の娘だと知り…。
鍛冶場に来たサルビョルを心配してつけてかたグムソン。「姉だけには任せられません。刺客は僕が捕まえます」と意気込むサルビョルに、グムソンは刺客を探す良い考えがあると言います。死体を記録した検案書の中で「二」の字の傷がある者を探そうと言うグムソン。2人で手分けして探し始めますが、サルビョルはすぐにうたた寝を始めてしまいます。「お前は勉強が苦手だったろう」とグムソンがからかうと、サルビョルは「父も僕より姉に期待していました。賢くて人懐っこくて友達が多くて…でも今の姉さんはすごく危うく見えます。放っておくわけにはいきません。”今日最善を尽くす”と単純に考えます。そうすれば父の名誉も取り戻せるはず」と笑うサルビョル。グムソンは「いつでも僕はそなたの味方だ」と微笑むと「お父上の名前は”キム・ウィホ”か?」と検死書の1ページを見せます。「ならば二の傷があるはずだが…書かれていない」と言い、2人で顔を見合わせます。
サルビョルが刺客を捕まえると言って聞かないとグムソンがワンニョに相談すると、彼女は「昔から強情な子でした。弟の良き友になってくれて感謝しています。信頼できる検死人がいるので、弟が刺客探しに動くなら連絡をください」とアドバイスをくれます。ワンニョが手配したと知ればサルビョルは「姉に迷惑をかけた」と思うだろうから自分が手配したことにするとグムソンは言い、「これからは僕が彼とともに行動します」と微笑んだのでした。
肉体派たちはヘソンに頼まれたからいい高麗人参を買わねばとわざと町で大声で話します。薬屋に行くと「全部状態が悪いわ。近頃は偽の高麗人参が市場に出回ってるとか」と怒鳴り散らします。これはワンニョの策略です。偽の高麗人参が出回っていると噂を流し、都房たちに帳簿を作らせるのです。ホ都房のもとに行ったワンニョは「他の都房はみんな帳簿を提出した」と嘘をつき、「私の献上した高麗人参には赤青の絹糸で装飾を。江界からの品だと伝えてください」という言葉を引き出します。ワンニョはすぐさま禁衛王将(王宮護衛軍の大将)に事情を伝え、献上品をすり替えるように部下に命じます。
武林寺に来たサルビョルは、僧侶がグムソンに頼まれて薬を持ってきているのを見かけます。最近離縁したことで彼の母が病に伏せているということです。僧侶が忙しそうなのでサルビョルは自分が薬を持っていくと申し出ます。実は僧侶が忙しいというのはグムソンがつかせた嘘でした。母を心配しているであろうサルビョルに面会の機会を作ってやったのです。
エンドゥはモクセから告白の返事を急かされ、「初めてきれいだと言われたからあんたのことは好きよ」と返します。するとなんと突然キスされてしまいます。
グムソンの家のまわりをうろうろしていたサルビョルは、彼の母に不審者と勘違いされてしまいます。しかしそこにモクセとパムセが訪れ、サルビョルはグムソンの弟弟子だと証明してくれます。体は大丈夫だが胸が苦しいと言うグムソンの母を案じるサルビョル。エンドゥはチュンシムから預かったチヂミをグムソンの母に贈ると帰っていきます。
寺で稽古を重ねていたグムソンは、サルビョルを守るため刺客と戦った時に、相手の戦い方が白虎剣法であると気づきます。慌てて住職を探すグムソン。
ホ都房から預かった帳簿を包みながら、「ようやく終わりにできる」と涙を堪えるワンニョ。
首に三日月の発疹がある”下男頭”と呼ばれる男が刺客に違いないと住職は言います。その頃、サルビョルは町で下男頭に「ポンピョン宅にお前が来たと言っちまった。向こうでポンピョン宅を待たせてるから来い」と連れ去ります。エンドゥに会ったグムソンは「チェ進士に下男頭が刺客だと伝えてくれ」とことづけて、慌ててサルビョルを探します。
「チェ進士の推薦した大房が大失態を演じた。偽の高麗人参を献上して朝廷は大変な騒ぎだ。私はそなたを怪しんでおる。サルビョルを婚外子の娘に偽装しただろう。死んだ巨商キム氏の息子だと知っていたはずだ」と言うミン大監に、「そのような誤解を恐れて黙っていたのです。私の恋人ヘシルのことはご存知でしょう。婚姻を反対され、別れた後、病に倒れて死にました。ですが1年前、ヘシルの娘と称してヘソンが私の元に来たのです。それゆえ信じたのです。女に見えたので婚家でもばれませんでした。今はそれどころではありません。大房の正体は誰かご存知か?死んだ巨商キム氏の娘ヨナですよ」と返すチェ進士。「ミン大監もキム氏が娘を殺していないのはご存知でしょう」と続けられ、口をつぐむミン大監。
下男頭に連れ去られたサルビョルでしたが、うっかり転んだ拍子に三日月のあざを見つけ、慌てて帰ろうとします。しかし、刀で脅されてしまいます。
サルビョルが人質になったとワンニョから聞いて慌てるグムソン。「まだサルビョルは殺せないはずです。なぜならミン大監は私が帳簿を持っていると知っているからです。帳簿と引き換えに弟を解放すると」と言う彼女に、他に方法はないのかと問うグムソン。「全てが水の泡になっても弟を失いたくない。けれど帳簿を渡せばサルビョルは殺されるでしょう。あなたがサルビョルを守ってください」とワンニョはグムソンに頼みます。
ミン大監の家に赴いたワンニョは刀を突きつけられ、武器と帳簿を取り上げられますが、「父が無実の証拠は私よ」と言い張ります。
その頃、サルビョルはソユンに助け出されていました。一緒に逃げようと言うソユンの誘いを断るサルビョル。父の迫害も自分への迷惑も耐えてみせる、お前は俺の全てだからと言うソユン。サルビョルが「あなたの父が僕の父に何をしたのか知らないでしょう」と言いますが、ソユンはサルビョルがグムソンに懸想しているから嘘をついているのだと思い込みます。「お前が俺以外に心をとどめるとは…手に入らぬのなら殺してでも奪い取る」とサルビョルの首を絞めるソユン。そこにグムソンが助けに入ります。
第15話
<あらすじ>
サルビョルはミンの息子でもあるソユンを拒むと、彼に首を絞められてしまう。
そこにグムソンが助けにきて外に飛び出すと、目の前で姉・ヨナがミンに殺されてしまう。
サルビョルはヨナの死に怒りを露わにする。
「危ない目に遭わせないから俺を置いていくな」と縋るソユンに、「思い通りにすることが守ることだと?サルビョルを思うなら手を離せ」と反論するグムソン。「本当に知らないのですか?私の父は娘殺しの汚名を着せられ殺されたのです。その陰謀を企てた者こそ、若様のお父様です。離してください、僕は兄弟子と行きます」と言うサルビョルですが、ソユンは手を離しません。「手を振り払ったら何をするか分からぬ」と脅すソユンに、「構いません」と手を振り払ってサルビョルは駆け出します。「お前は俺に背を向けたのか」とサルビョルの背を睨みつけるソユン。
「父親の死を見ても復讐しようとするとは。過去にこだわって復讐など考えるから弟が死ぬ羽目になるのだ」と言うミン大監に、「欲しいものは渡したでしょう!弟を返して!」と叫ぶワンニョ。「弟にはこの世では会えぬ。しかしすぐに弟もすぐあの世に送ってやる」と言うなり、ミン大監はワンニョの部下と彼女を殺します。「ミン大監、今回の罪は揉み消せても次は違う。父の名誉にかけて誓う!その罪は必ず罰せられる」と言って生き絶えるワンニョ。それを見てしまうサルビョル。ワンニョのもとに駆け出そうとしますが、必死でグムソンが押し留めます。一緒に一部始終を見ていたソユンは、ワンニョがキム・ウィホの娘のヨナだと気づきます。
出回る噂が嘘であって欲しかったと嘆くソユンに、「私は私のものを守ったまでだ。そなたが知ったところで何も変わらぬ。弱い姿を見せるな。私のように恐れられる強い者になれ」と逆にミン大監は一喝します。
グムソンに町に連れ出され、呆然と彼につきそうサルビョル。呆然としながらも、姉が殺されるところをチェ進士がミン大監と一緒に見ていたことを思い出します。グムソンは「今信じられるのはチェ進士だけだ」と言いますが、サルビョルは「大房が僕の姉だと知った理由は?僕を人質に取って帳簿を奪わせた。チェ進士は裏切り者です」と返します。
「では姉上を信じるのだ」と返したサルビョルは、数日前にワンニョから「近々証拠を残します。私の身に何かあって助けが必要な時は、どんな時でもチェ進士を頼ってください」と言われていたのでした。
チェ進士の家に行くと、肉体派のドンである大姉から「問題が起きたから秘密部屋に案内しろと言われました。ここを知る者はチェ進士様と大房、そして私だけです」と言われ、部屋に通されます。
布団に座り込むサルビョルは、「ずっと親兄弟がほしかった。でも僕は最初から独りだから”平気だ”と言い聞かせて生きてきました。姉と再会できて、本当に嬉しかった。姉と幸せに暮らせる日を指折り数えていたのに、姉さんが…死ぬなんて…。僕はまだ独りぼっちです」と言うサルビョルに、「そなたを誰よりも大切に思った僕の母がいる。そしてこの僕がいる。僕たちは家族だ。出会いはどうであれ、天が僕らを結びつけた。忘れたか?夫婦の縁を誓った日からそなたは永遠なる伴侶だ」とグムソンは笑顔で返します。「私も姉を失った時、天を恨んだよ。でもそなたは誰も恨まないでくれ。恨みや怒りは結局自らに返ってくる。そなたが言うように、”今日最善を尽くす”。そう努めてほしい。幸せになるためにも」と言うグムソンに、サルビョルは「努力します」とぼんやり返します。
翌朝、よく眠れなかった様子のサルビョルを気遣うグムソン。そこにチェ進士が現れ、「刺客が探し回っている。北へ今夜発つのだ」と言うなり、「姉は残念だったがお前は生き残らねば」とサルビョルに金を渡します。「道案内を頼む」とグムソンに頼むチェ進士に、「そう言って刺客に渡すのでは?どうしてミン大監と一緒にいたのです。奴はどうやって姉の正体を知ったと言うのです。裏切り者!」とサルビョルは吐き捨てます。チェ進士は「自らの命を捨ててでもそなたを助けるのが彼女の意思だったのだ。ミン大監は罪を償うことになる」と言います。
その頃、祝いの席を準備していたミン大監は「偽の高麗人参を作り密売し、民生を害する大罪を犯した。さらし首に値するが特別に命だけは助ける。多くの民を集めて30回の杖刑に処した後、島流しにして死ぬまで奴婢とする」と王命が下ります。陰謀だと喚くミン大監に、証拠があると譲らない役人。「参内して王様に拝謁する!」と息巻くミン大監は誰が自分を貶めたのかと吐き捨てます。
王様は生前のワンニョから禁衛大将を通してミン大監など高麗人参の交易権を受けた商人6名が組織を作り巨額の利益を得てきたと、内容を記録した帳簿を証拠に話を聞いていました。
サルビョルが捕まったことをワンニョはその後に知り、偽物の帳簿を用意したこと、自分がヨナであることをミン大監に知らせろと頼んだのでした。
ソユンは湯に浸かりながら、サルビョルとの思い出を反芻していました。そんな時、ミン大監が自殺したとの報が入ります。すぐに葬儀の準備を進めると同時に、サルビョルの奴婢証文を取り出して笑い出すソユン。「俺に残ったのはお前だけだ」とにやつきます。
ワンニョに別れを告げたサルビョルに、またも刺客が襲ってきます。刺客の正体は下男頭でした。
娘はここにはおけぬと連れ出されるソユンの妻。ソユンはどうぞお好きにと平気な顔です。
北への関門に来たグムソンとサルビョル。北に着いたら連絡をくれとグムソンは言い、2人は離れます。しかしそこでサルビョルは捕えられてしまいます。そこに現れたのはソユン。
第16話
<あらすじ>
奴婢証文がある限りソユンから逃れられないと悟ったサルビョルは、おとなしくソユンの家に戻る。
しかし、グムソンはサルビョルの身分を回復するため、父・キム氏の汚名をそそがなければならないと思い…。
グムソンは「サルビョルをどこに連れて行ったかだけ教えてくれ」と役人たちに頼みます。すると、ソユンが奴婢証文を見せて自分の奴婢を探しているとのことだったと言われます。
ソユンの屋敷に連れ帰らされたサルビョルは、豪華な部屋に通されます。ミン大監は人前での処罰を屈辱に思い自死し、ソユンの妻は実家に帰ったと聞きます。サルビョルは元いた下男部屋に行こうとしますが、ソユンは「勝手なことをするな」と怒ります。
その頃エンドゥは肉体派たちにサルビョルは姉と再会したものの、姉は殺され、また屋敷に逆戻りさせられてしまったと語っていました。ミン大監が自殺したことで事件は幕引きになり、サルビョルは父親の汚名も晴らせないままです。せめて身分が回復できればよいのですが、戦になると奴婢は真っ先に掌隷院(奴婢を管理する官庁)に行くと言います。自分の奴婢証文を焼くためです。それを聞いて、エンドゥは「その手があった!」と叫びます。
サルビョルの様子を異様に気にするソユン。召使たちはソユンの機嫌を損ねないよう常に怯えています。
何もできずもどかしいと苦しむグムソンに、住職は「恨みは恨みで収まらぬ。恨みを捨ててこそ鎮まる。あの者は復讐に駆られ恨みを捨てられずにいるのだ。困難にぶつかると楽な近道を見逃しがちだ。難しく考えるな」と言います。エンドゥは奴婢証文を盗めばいいとグムソンに提案しようとしますが、グムソンは何かを思いついたようで走り去ります。
ソユンはサルビョルと食事をとりますが、口をつけようとしてはやめるのを繰り返すサルビョルに怒り、家を出て行ってしまいます。「不安だから構ってほしいのよ。”抱きしめて”と訴えてる」とつぶやく召使。
グムソンはチェ進士のもとに行くと、「なぜ巨商キム氏の娘殺しが冤罪だと確信していたのですか?」と尋ねます。「ヨナが死んだ日、キム氏は絹貿易で豊吉にいた。だが目撃者が現れたのだ。ミン大監の本性を知りつつ二度も橋渡しもした。サルビョルを引き取り許しを乞うつもりが、こんなことに。キム氏に顔向けできない」と言うチェ進士に、自分は諦めないと言うグムソン。
ソユンは明月館の妓生を無理やり触らせようとして、サルビョルの怒りを買います。するともっと怒れと面白がるソユン。「どこまで落ちるつもりですか」とキセルを取り上げると、ソユンは怒って妓生に物を投げつけます。妓生を心配するサルビョルに、「俺の苦痛は見えないのか?皆帰れ!」と激怒するソユン。
「紅審団と取引がある商団かもしれませんね」と言う大姉に、「10年前で、かなり規模の大きな商団のはずです。帳簿が残っていれば潔白を証明できます」と言うグムソン。「大房も似たような話をしていました」と返す大姉。実は大姉の夫が嘘の証言をしたせいで、キム氏は死んだのです。大姉はキム氏の汚名をそそぐためならなんでもすると誓っていました。「大房が証拠を手に入れていたかも。僕も調べます」と言うグムソン。
こっそり逢引きするエンドゥとモクセ。エンドゥはモクセと、後から来たパンセに盗人の経験はあるかと尋ね、どこかへ引導します。
明月館で大騒ぎしたせいで手を怪我したソユンを手当するサルビョル。さっさと部屋を出て行こうとすると、「昔のように温かいまなざしで優しく話しかけてくれたあのサルビョルはどこに行ったのだ」と詰問されます。「意のままにならず気を引こうと自らを痛めつけられたのですか?失望しました。次は何があっても無視します」と答えるサルビョル。「私は父とは違う」と言うソユンに、「道理に背けと!?僕の父と姉は旦那様に殺されました。昔と同じようには…」とサルビョルが言いかけると、「泥棒だ!」と屋敷に声が響き渡ります。
なんとエンドゥたちが奴婢証文を盗み出そうとミン大監の部屋に侵入して捕えられていたのです。サルビョルはソユンに懇願し、何でもするから助けてくれと言いますが、ソユンは役所に連れて行けの一点張りです。
役所に来た一同でしたが、後から来たグムソンがサルビョルを自分の妻だと言い張ります。妻を連れ出すために仲間を呼んだのだと言うグムソン。グムソンになぜこんな無謀なことをするのかと耳打ちして問うサルビョルに、彼は「時間を稼いでいる」と言います。侵入者は捕えろ、自分の奴婢は連れて帰ると言うソユン。エンドゥたちが投獄されそうになったその瞬間、チェ進士が現れます。「王様が本件の判決を直接下され、私に伝えるよう命じられた」と巻物を見せます。チェ進士はサルビョルがキム氏の一人息子であると王様に伝え、王様は文書を出すからその通り実行せよと命じられたのでした。「まず過去の事件に関して再判決を下す。10年前娘殺しの罪で死亡したキム・ウィホは、事件当日現場におらず、豊吉にいたことは帳簿で確認された。10年前の判決を覆し、キム・ウィホを無罪とする。罪が消えたゆえ、その息子キム・ヘソンは奴婢から元の両班に身分を回復させる。没収した財産も全て返すこととする」とチェ進士が読み上げます。「ヘソンはもはや奴婢ではない」と言うグムソンに、ソユンは唇を噛んで出ていきます、涙するヘソン。
翌日、グムソンはワンニョの遺品をヘソンに渡します。「これで父も姉も安らかに眠れます。父の名誉が回復しました。兄弟子は恩人です」と言うヘソンに、「当然のことをしたまでだ」と微笑むグムソン。ワンニョの部屋を調べていた時、「豊吉絹取引帳簿」を見つけたグムソンは、王様に自分が謁見できるかと不安がるチェ進士に「王様の大きな課題である汚職官吏の追放に大房が尽力したので、”キム・ヨナが拝謁を望む”と言えば良いでしょう」と提案したのでした。「失敗したら…」と不安がるチェ進士に、「最善を尽くせば大丈夫です」とグムソンは背中を押しました。「”僕の妻です”はやりすぎですよ」と笑うヘソンに、グムソンは「お父上と姉上のお墓へ行こう」と誘います。愛おしそうにお墓を撫でるヘソン。
「どうしても旅立つのか?ここで暮らせばいい」と言うグムソンに、「僕は商人の息子です。実を言うと北で姉がどんな生活をしていたのか見てみたいのです」と打ち明けるヘソン。グムソンは「これを」と何かの飾りを差し出します。「そなたが言った。お揃いのものを持つのが流行りだと。これは友情の証だ」と言うグムソンに、ヘソンは微笑みます。
もうここで別れましょうと言うヘソンに、「本当に行くのか?」と不安げなグムソン。「困り者だったけど、いざ行くとなると残念でしょ?」と笑うヘソンに、「離れていても変わることはない。生きていればまた会える」と言うグムソンに、「兄弟子と会えて幸せでした。お元気で」のヘソンは微笑みます。2人は抱きしめ合います。去っていくヘソンをグムソンはいつまでも見送っていました。
ヘソンの前に酔ったソユンが現れ、「無駄な足掻きはやめろと警告したはずだ。どこへ行く?」と激怒します。「僕は奴婢ではありません」と拒絶するヘソンに、「お前が奴婢であろうとなかろうと一緒にいるぞ。行こう。手に入らぬのなら殺してでも奪う」と刀を抜くソユン。「若様を斬りたくありません」とヘソンは言いますが、斬り合いになります。その音を聞いて、音の方へとグムソンが走り出します。
ソユンとヘソンは揉み合いになり、ソユンはヘソンの腕だけで崖にしがみついている状態に。自分が斬りつけた傷口からしたたる血を見て、錯乱するソユン。「血を見ないで!僕の目を見て!」と言うヘソンの言葉を聞いて、彼との優しい思い出を思い出すソユン。「お前が俺のことを大切にしてくれたのだ。ありがとう。そして…本当にすまない」と言って、ソユンは崖の下に落ちていきました。それを見てしまうグムソン。泣きじゃくるヘソン。
5年後の漢陽。「チン様が監察司に抜擢されるとは」と噂する肉体派。ヘソンがいなくなったから勉強に精進できたのよとふざける一同。グムソンの家は豪邸になっており、庭ではグムソンの母が宴会の準備をしていました。エンドゥはモクセとの子・チャドゥを抱いて嬉しそうです。
「男があのような派手な服を着るなんて」と女性に囲まれている男を見てため息をつくグムソン。ふと自分とすれ違った男の腰には自分がヘソンに送った飾りがついており、まさかと彼を呼び止めますが別人でした。なぜ…と不思議に思っていると、「我が商団で取り扱っています。お元気でしたか?」とヘソンが声をかけてきます。固く抱きしめ合う2人。
まとめ
本作はストーリーも最高なんですがED曲「송하예 (Song Ha Yea) – 운명이 우릴 갈라놓아도」も最高なんですよ。
「運命が2人を引き裂いても 固く握った手を離さないで 燦々と輝く波が花になる愛 唯一の愛」って、もうグムソン→ヘソンやないの!!ってなりました😭最終回はエンドロール見つつ曲聞いて大号泣…。重厚な時代劇BLで最高でした!!!
ソユンの恋が切なく悲しかったですね…もし生まれる家が違っていればヘソンと愛し会えたのかなと思いつつも、結局は自分の思い通りにヘソンが動いてくれないと怒るモラハラ彼氏なのでうまくはいかなかったかなとも思ったり。でも最期までソユンはヘソンのことが大好きで、自分のしたことも父のしたことも恥ずかしく悔やんでいたところを見ると、なんだか一言で「悪役」とは断罪できないなという気持ちにさせられます。ソユン、好きだったよ。
肉体派のみんなが心強くて大好きでした!ソユンの奥さんも最後までソユンを守ろう、愛そうとしていたところが本当に健気で…。ワンニョは言わずもがな、とてつもなくかっこよかった!!抜けてる弟を救うために命を張って敵に立ち向かう勇気、父の汚名をそそぐために人生をかけて証拠を集めた努力、全てが素敵な人でした。亡くなったのが今も辛いです。本作は女性キャラたちが魅力的で、そこにも強く惹かれました。BL作品と言えるのかと少し不思議に思いますが(キスシーンもないし、ジャンル分けとしてはブロマンスかな?)、そういうジャンル分けは要らない!と思うくらい、多くの人に見てほしい魅力的なストーリーと演出力を持った作品だと感じました。二周目したいです。
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