「アマプラ同時上映会」第193弾!
当サイトの運営者3人が、Amazonプライムビデオでアニメやドラマ・映画を同時視聴する企画です🎬✨
「先輩の“好き”が100%になるまで頑張ればよかですか?」ーー大注目・鈴丸みんたがおくる珠玉の育み愛♡「タカラのびいどろ」。
原作マンガのネタバレ感想はこちらから⬇️
以下、全話のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。
早速見てみましょう!
登場人物とあらすじ
世話焼きクーデレ先輩×天然方言男子 のお話。
<あらすじ>
泣いているところを慰めてくれた宝のことが忘れられず、地元福岡から上京した大進。
しかし、大学で再会した宝には冷たく突き放されてしまう。
めげずに追いかける大進だが、一方の宝も大進のまっすぐな瞳から目が離せなくなっていき……?
\ 国内最安の動画見放題サービス /
\ 140,000本以上の映画・ドラマ・ アニメ・ バラエティが見放題 /
予告編・予告動画
こんな人におすすめ
- 方言男子、特に博多弁(福岡弁)にキュンとする🗣️
- ふわふわしたド天然な受けがツボ☁️
- ちょっぴり意地悪なS攻めにときめく👿
本作をもっとよく知るための小ネタ
①撮影中のエピソードでは「1ヶ月間、撮影していたんですけど、7割は雨が降っていました。多分、僕らどっちも雨男だから。(小西さん)」
引用:【岩瀬洋志×小西詠斗インタビュー】「敬語じゃなくていいよ。タメ口で来て」仲を深めたきっかけは先輩・詠斗くんの一言。<ドラマ「タカラのびいどろ」> | Emo!miu|エモミュー
②「ぶっきらぼうでクールと思われがちだけど、その裏側には何があるのか、そこを楽しみに観ていただければ。優しい人の、その優しさの裏に何か“傷”を抱えているんだろうなと感じられることがあると思うんです。宝には、そういうところがあって。宝って、実は心に深い傷のある人なので…。(岩瀬)」
引用:【インタビュー】「タカラのびいどろ」で共演の岩瀬洋志×小西詠斗のお互いの印象は? – TVステーション
③「僕はこの作品に参加するまで、BL原作の作品をあまり見たことがなかったんです。でも、この作品が決まってから見させていただいて、そして今回演じさせていただいて思ったのは、同性だからわかることが多い、っていうのはあるかなと思いました。(岩瀬)」
引用:岩瀬洋志と小西詠斗がドラマ『タカラのびいどろ』で感じたBLが愛される理由【インタビュー】 | numan
ネタバレ感想
第1話
<あらすじ>
福岡から上京し、央大学に入学した中野大進。
オシャレな格好をして、標準語で話す同級生たちに圧倒され、サークル勧誘にも戸惑っている大進の前に、見覚えのある姿を発見する。
半年前、オカメインコの“おかめくん”を亡くし、泣いている自分を慰めてくれた2年先輩の志賀宝だった。
山に登るとびいどろを太陽に透かして見つめる志賀宝。「やっと会える。おかめくん、俺頑張るから見守っとって」とつぶやく中野大進。
大学登校初日の朝、母・登美子から「大学行ったら友達作るんよ。でも危ない人はだめやけんね。頑張ってき」と電話を受け、張り切って登校する大進。
バスでのルールを気にしながら、大学のガイダンスを受けますが、周りの標準語におののいてしまいます。そして、「危ない人ってどんな人?」と首を傾げるのでした。
ガイダンス後、大学内ではあちこちでサークル勧誘のビラが撒かれていました。「あの人はおらんのかな?」と誰かを探す大進は、登山サークルからビラをもらい、勧誘を受けます。近所に山が多かったので、登山は地元でよくしていました。その瞬間、桜の花びらが降ってきて、宝の背中を見つける大進。思わず宝の腕を取ります。
「なんかしゃべってもらえんですか」と大進が頼むと、宝は「どうした、ちび」と訝しげに言います。その言い方は、大進が探していた人まさにそのもの。
「見つけた…!俺、去年あなたに福岡で慰めてもらって。また会いたくて。この大学受験して」と必死で話す大進に、「恩人とか言われても困るし、俺目的で大学来たとかマジ怖いしうぜえんだけど。じゃあな」と辛辣な言葉を残して去ってしまう宝。「おかめくん。俺、うぜえし、こええ奴やった…」と心の中でつぶやく大進。
帰宅した大進は「こんなんで東京でやっていけるんかな…」と不安に襲われます。こんな時、おかめくんなら「大丈夫、大進」と行ってくれたろうに…。大進は登山サークルからもらった「山登り体験合宿」のビラを見て、よしと気合を入れます。
いざ合宿当日、「来てくれたの!?この間きついこと言われてたから気になってて」と話しかけてくれたのは、登山サークル部長で大学三年の上橋美波。「山じゃなくて先輩目当ても多いですけどね」と口を挟んできたのは、大学二年の小川唯。そこに宝が現れ、「お前また来たのか。あんなにこっぴどく言ったのに度胸あんじゃん」と大進を見下ろします。
「どうしてもお礼が言いたくて」と言う大進に、「聞いてやるよ、ただし山頂でな」と冷たく言い放つと、宝はさっさと登山道を登り始めてしまいます。「本気で頑張らないと頂上には行けないよ」とアドバイスしてくれる美波。
いざ登山道を登りながら、「これ本当に初心者コース?」「もう無理」と次々に女子生徒たちがギブアップしていきます。「ギブアップする人は俺に言ってね、下山ルートを案内するから」と新入生たちに優しく声をかけていく大学三年生の石川明良。「ここから登れる人は、本気の山好きか、宝好きってことだ」と笑う美波に、「私は耐えましたけどね」と胸を張る唯。
山を登りながら、よもぎ、すみれ…と草ばかり見ている大進を宝はじっと遠くから見つめていました。
山頂に着いた面々は「暗くならないうちにテント張るぞ」と声を掛け合っています。「いつお礼言おう」と立ち尽くしていた大進に、後ろからアイスボックスを盛った女子生徒たちが思い切りぶつかります。それで足を捻ってしまったものの、自分の方言が通じるのか分からず、大進は誰にも相談できないまま痛みをこらえていました。
「先輩にお礼言えん…」とテントの中で落ち込んでいた大進のもとに、宝が救急箱を持って訪ねてきます。
「足見せてみ。やっぱ捻ってんな。なんで誰にも言わないんだよ」と注意する宝に、「先輩が遠くにいたので…。方言あるし伝わりにくいかもしれんけ」と大進はおずおずと言います。「不安かもしれないけど、考え過ぎんな」と宝はぶっきらぼうに背中を押してくれます。「やっぱ先輩は優しい。あん時と同じ」と言う大進。
半年前、山で一人泣いていた大進に、「泣きすぎじゃない?昼もここ通ったけどずっといるだろ」と声をかけたのは宝でした。「知らん人と話さんように言われとるけ」と泣きながら言う大進に、「観光客だよ、気になって帰れないだろ」とせっつく宝。「飼ってたインコが死んだ。何も聞こえんのがつらい」と大進が泣きじゃくりながら言うと、「家族がいなくなるのは辛い。それでも生きてくしかないんだ。一歩踏み出すしかない」と宝は優しく寄り添ってくれます。「おかめくんもその方が喜んでくれると思う」と大進が言うと、「お前の家族はお前がどっかで一人泣いてても気にしないような人たちか?絶対いつか大丈夫になる」と宝は背中を押してくれます。「お兄さん、どっから来た人ですか?」と大進が勇気を出して尋ねると、宝は「東京だよ。大学生。央(なかば)大学ってとこ」と答えたのでした。
「あん時のことがあったから、立ち直れたんです。ありがとうございました。先輩にとっては小さいことかもしれないけど」と大進が言うと、「思い出してきた。お礼言って満足したの?」と宝は返します。
そう言われて、「俺、この人に会って本当は何したかったんやろ?先輩ともっと近くになりたい…声が聞けて手に触れるくらい」と考える大進。しかし考えたことが口に出ていたようで、宝は「気色悪。明日は安静にな」と言うなりさっさと退散してしまいます。
しかしテントから出ていく直前に、「お前、山好きなのか?植物よく知ってるなと思って」と大進に尋ねてきます。「地元の山でよく遊んでたんです。山、好きです」と大進が答えると、宝は嬉しそうに微笑んで去っていきます。「初めて俺に笑ってくれた…宝先輩と一緒にいっぱいしゃべった」と胸が一杯になる大進。
「おかめくんがおったらこんなこと言ってくれたやろうか」と考えつつ、テントから顔を出して満点の星空を見上げます。
翌日大学に登校した大進は、ガイダンスの授業で話していた三人組に「おはよう」と声をかけます。三人組は「大学で同じ教室だったよね」「何か困ったこと言ってな」と優しく返してくれ、「お、俺の言っとること分かる?」と大進は嬉しさで舞い上がります。
「先輩の言う通りだ、俺これから東京でやっていけそう」と希望を感じる大進。それを遠くから宝は見ており、「宝どうした?」と友達から心配されていました。
第2話
<あらすじ>
宝は、美波からの部長命令で、体験合宿でケガをした大進のため、病院に付き添うことに。
無愛想だけどそれとなく気遣ってくれる宝の優しさに触れ、うれしくなる大進。
その帰り道、宝は行きつけの雑貨屋で、店員の雅也と楽しそうに笑っていた。
合宿中、大進の怪我に気づいた美波が部長命令で「怪我が治るまで面倒見てあげてね」と宝に大進のお世話を指示。宝はめんどくせえと文句を言いつつもロープウェーまで大進を担いで下山を手伝ってくれ、下山した後も病院まで付き合ってくれます。「次怪我したら知らねえから。さっさと行くぞ」とそっけない態度の宝にお礼を言いつつ、「あん時の人と歩いとるなんて」と嬉しくなる大進。
宝は「俺寄るところがあるから。じゃあな」と大進を置いてさっさと歩き出しますが、大進は気になって宝の後をついていきます。するとそこには雑貨屋が。店員の山形雅也と笑顔で話す宝を見て、「あんな顔もするんや」と感動する大進。
「最近明良見ないけど元気にしてんの?」と宝と世間話をしていた雅也は、ショーウィンドー越しに店内のアクセサリーを楽しそうに見つめる大進に気づきます。それを見つけた宝は、店を出るなり「何見てやがる」と睨みつけます。「先輩、アクセサリー好きなんですか?俺はつけたほうがましかなみたいな。先輩にあった時に変に見えんかなって」と言う大進に、「俺はそういうチャラチャラしたの好きじゃねえ。でもお前に似合いそうなのはこれかな」とガラスでできたピアスを指さします。「これダイヤ?」と驚く大進に「ガラスだろ」と返す宝。「ガラスでもこんなにきれいなんですね」となおも驚く大進に、「お前は目が…いやもう帰るぞ」と何かを言いかける宝。
「これから大学でも話しかけていいですか?」と緊張した様子で尋ねる大進に「別にいいけど」と返す宝。大進は喜び、「じゃあまた大学で」と帰ろうとしますが、「いやお前の家反対だろ」と宝に突っ込まれます。
いざ大進の家に着くと、宝は「お前ここ住んでんの?」と目を丸くします。「大丈夫なのか?お前みたいなボケっとしたやつ、オートロックとかの方がいいだろ」と言う宝に、「俺、進路急に変えたけん、家が見つからんくて。先輩、よかったらお茶でも」と大進は家に上がらないかと勧めます。しかし、宝は「お前、誰でもすぐ信用すんなよ。優しいと思ってるやつが本当に優しいとは限んねえんだから。じゃあな」と去っていきます。
「昨日、先輩難しいこと言っとったな」とバスで通学しながら思い出す大進。バスが揺れた瞬間に足が痛み、顔を歪めると、席に座ってきたサラリーマンが「足怪我してるなら座って。大学生?いいね、楽しみだね」と親しげに声をかけられます。ありがたく思いながら席に座る大進。
学校で昼食を取るため学食に行くと、ガイダンスで会った三人組から「たいちゃん、一緒に食べよう」と誘われます。大進、なので、たいちゃん、というあだ名になったようです。どこのサークルに入るのかと聞かれ、登山サークルと答える大進。「登山サークルって、あのイケメンの宝先輩がいるところでしょ?」「たしか去年のミス央大学が宝先輩狙ってるらしいよ」「やっぱもてるんだね」と噂する三人。
宝に話しかけようと探していると、宝に親しげに話しかけている美女を見つけてしまい、思わずUターンしてしまいます。
帰宅してから、「お似合いやったな…」と思い出す大進。「雑貨屋で買ってたんは、あの人にあげようとしよったんかな?」と思いを馳せながら、おかめちゃんの写真を前に寂しく夕食を食べます。
翌日、登山サークルの部室に行くと、美波・唯・明良が勢揃い。「足はどう?」と尋ねられ、もう随分良くなったと返します。そこで女性関係の話になり、「誰とも付き合ったことないんです。おかしいですかね?」と不安げに尋ねる大進に、「中野くんのペースでいいと思うよ」と美波は優しくアドバイスしてくれます。
サークルから帰る途中、大進は「なんで付き合ってくれないの?私なら宝くんと釣り合うじゃん」と去年のミス央大学が宝を責めている光景を目の当たりにします。「あんた、俺のこと物だと思ってんの?」と冷めた口調の宝。「そんなんだからずっと一人なんだよ」と吐き捨てて、彼女は去っていきます。大進は動くことができず、宝は大進を一瞥すると去っていきます。「先輩のあんな顔、初めて見た…」と呆然とする大進。
その後の授業で、三人組から「たいちゃん、ぼーっとしてない?」と心配され、「お世話になっとる先輩が元気なくて、俺に何かできんかな?」と相談することに。「先輩が好きそうなものをあげたら?」と言われ、大進は良いことを思いつきます。
登山サークルの部室では、宝は明良に「宝ってなんで誰とも付き合わないの?」と無邪気に尋ねられていましたが、宝は「別に」とだけ答えます。
先日、宝が来ていた雑貨屋に行く大進。店に着くと、雅也から「宝の友達?」と質問されますが「後輩です」と慌て絵答えます。「珍しいね、あいつ年下苦手なのに」と言う雅也。「宝先輩がこの間来た時に買っとったのは何ですか?それ買っとった時先輩すごい嬉しそうやったけん教えてくれますか?あげたら喜んでくれるかなって」と必死に言う大進に、雅也は「特別に取り寄せたやつだけど、いいよ。特別に教えてあげる」と店の奥から何かを出してきてくれます。それは…「ビー玉?」と問う大進に、頷く雅也。「あいつ、なぜかガラス製品が好きでさ。特にビー玉が好きなんだよ。集めるのが好きなんだ」と言う雅也に、「これください!」と即決する大進。「じゃあプレゼント用にしとくね。あいつ、ややこしいやつでしょ。でも根はいい奴だから」とビー玉を包みながら話しかけてくる雅也。
大進はその間に店内を見渡し、先日宝に似合うと言われたピアスを耳に当ててみます。すると、雅也が「似合う!君の顔印象的だからそういう素朴なものが似合うよ!」と感動したように言ってくれます。「印象的?」と不思議がる大進に、「目とか超いいよ、ガラス玉みたい。見つめられると吸い込まれそう」と笑う雅也。
「先輩、これ気に入ってくれるかな」と雅也が包んでくれたビー玉を持って最寄りのバス停に向かう大進。すると以前席を譲ってくれたサラリーマンが「君、また会ったね」と笑顔で声をかけてきます。大進は慌てて「この間はありがとうございました」と頭を下げます。「今日は買い物?」と問われ、「プレゼントとピアスです」と買ったばかりのピアスを見せます。「よく似合ってるよ」と褒めてくれるサラリーマン。
翌日学校に行くと、宝から「お前、サークル入るのか?聞いとけって部長がうるさいんだよ」と声をかけられます。「あ、入部届…」と大進が焦っていると、宝は「スマホ貸せ」と手を出してきます。大進が携帯を渡すと、サクサクと赤外線通信を済ませ、「それサークルのグループだから。次の新歓の時に挨拶しろよ。じゃあな」とさっさと去っていこうとします。
大進は慌てて宝を呼び止めると、「俺、先輩に渡したいものがあって…って、忘れとるやん…」とカバンを漁りながら絶望します。すると宝は苛立ったように、「俺、これからお前の家の方向に用があるから。ついでに寄ってくわ」と言って歩き出します。
大進は家に着くと、すぐにプレゼントを宝に渡します。「何これ」と問われて、「いろいろお世話になったので。うまく言えないけど、先輩に笑っててほしいと思って」と大進は伝えます。中身を見た宝は「あのおしゃべりめ」と唸り、大進は「俺が聞き出したんです」と前置きし、「俺、先輩のこと何もわかっとらんかもしれんけど、力になりたいって思ったんです。それに先輩は一人じゃないです。それを伝えたくて」と必死に言います。
すると、宝は持っていたビー玉を空にかざして見つめると、「こん中に空があるみてえだろ。ガキの頃はそれが楽しくて癖になっちまったってわけ。一個やるよ」と大進の手に乗せます。宝と同じようにビー玉越しに空を見つめる大進の横顔を見つめて、ピアスを触る宝。「買っちゃいました。やっぱきもかったですか?すみません」と謝る大進。「先輩のこと、少しは知ることができたのかな」と大進は心の中でつぶやきます。
二人が並んで家の前にたむろっている光景を、サラリーマンが見ており、カバンの持ち手を強く握りしめていました。
第3話
<あらすじ>
宝にビー玉を渡すことができ、うれしい気持ちで過ごしている大進。
少しずつ宝との距離も縮まり、無事に登山サークルにも入部した。
同級生のえみりや芽依、健三とも友達になり、東京での新しい生活にも少しずつ慣れてきた大進。
「先輩にもらってしまった」と宝にもらったビー玉をおかめくんの写真の前に供える大進。
翌日、大学に向かうバスに大進が乗っていると「足、大丈夫?治ったの?よかったね」とサラリーマンが話しかけてきます。よく見るとサラリーマンの手に貼られた絆創膏が剥がれかけています。大進が「よかったらこれ」と絆創膏を差し出すと、サラリーマンは「君は本当にいい子だねえ」と目を細めます。
登山サークルの部室では、宝を横に明良が「お前目当てのやつ、結構振り落とされたなあ」と新歓グループを見ながら面白そうにつぶやいていました。
登山サークルの部室に入部届を出しに来た大進は、美波に「登山用のウェアはどこに行ったら買えますか?」と尋ねます。すると近所の取扱店を教えてくれます。それはなんと宝が通っていた雑貨店でした。
雑貨店に着くと、そこには宝が。登山グッズのコーナーを案内されるも、大進は「どれがいいか全然分からん」と戸惑ってしまいます。それを見た宝は「速乾性のTシャツは持っておいたら?」などとアドバイスをしてくれ、雅也は「宝が先輩してる」とからかうのでした。
大進が購入するところまで見届けた宝は、「じゃあ、俺バイトだから」と立ち去ろうとしますが、大進は「何かあったら先輩に連絡してもいいですか」と呼び止めます。「必要ないことは連絡してくんな」と言い放って去っていく宝ですが、「ああ見えて面倒見はいいから、めげずにかまってやって」と雅也は口を挟みます。
大進が雑貨店を出ると、サラリーマンが声をかけてきます。「すごい偶然やなあ」と驚く大進。「先輩と一緒だったんです」と説明する大進に、「楽しそうでいいね」と笑うサラリーマン。
家に帰った大進は、「大学で友達もできたし、サークルにも入ったし、お店の人とかサラリーマンのおじさんとかとも仲良くなったとよ」と登美子に報告の電話をします。登美子は「それは良かったね。でも、世の中いい人ばっかりじゃないけ、気をつけんとね」と注意。すると横から妹の千鶴が登美子の手から携帯を奪い取り、「お兄ちゃんが送ってくる写真、ダサいわ!草とか花とかこっちにあるもんばっか!もっと都会っぽい写真送ってよ。芸能人とかいそうな町のさ」と文句をいいます。
翌日学食でえみりから「話題は自然に生まれるもんじゃない。作るんだよ。相手の興味あることとかさ」と聞き、宝の好きなものを調査し始める大進。ラーメン、スケボー、登山、コーヒー…と調べを進めます。
宝はというと、新歓グループに投稿された何の変哲もない大進のメッセージをじっと見つめていました。美波と明良に「いつもバイトだって構ってくんないじゃん!久々に飲みに行こうよ」と絡まれる宝。宝は頷き、三人は飲みに行くことに。
学校からの帰り道、道端に咲いている花を見つけた大進は「きれいに咲いとうなあ。花は送っていいかいな?ださい?」と写真を撮った後に宝に送るかどうかを悩みます。するとそこにサラリーマンが現れ、「また会ったね。まだご飯食べてないよね?焼き鳥を買ったんだ。これから君のお家にお邪魔してもいいかな?」と笑顔で話しかけてきます。大進は後退りし、一目散に家に帰ります。しかし、「どうしたの?大丈夫?一緒に焼き鳥食べようよ」とピンポンを連打しながらドア越しに話しかけてくるサラリーマン。大進は震える指で携帯を操作します。
「コスパ良くモテる方法ない?」と酔いどれで宝に絡む明良。宝が呆れていると、急に大進から電話が。「先輩、あの、今おじさんが…部屋に入れてくれって。さっきからドンドンして、どうしたらいいか…怖いです」と大進の震える声が聞こえてきます。
「今から行くから、絶対ドアあけんなよ。頑張れ」と言うと、すぐに宝は店を出ます。美波と明良は「(電話の相手は)女子かー?」と野次を飛ばします。
「どうしたの?焼き鳥冷めちゃうよ」とずっとドアを叩き続けていたサラリーマンに、「あの」と声をかける大進。「やっと返事してくれた!」と大喜びするサラリーマンに、「こんなふうにいきなり来られても、困るっていうか」と大進はとぎれとぎれに伝えます。しかし、「でも僕には心開いてくれたでしょ?」とサラリーマンは話を聞く気がありません。
そこに宝が到着し、「おっさん、何か用?相手の気持ち考えろよ。あんましつこいと警察呼ぶぞ」と脅します。すると「そんなに嫌だったかな?ごめんね?」と大進に話しかけると、宝を睨みつけてサラリーマンは去っていきます。
宝に「もう開けていいぞ」と言われ、ドアを開けるなり宝の胸に飛び込んで泣きじゃくる大進。
「先輩、酒臭い」と言う大進に、「近くで飲んでてよかったわ」と返す宝。「気づいたら電話しとって」と大進が言うと、「さっきのおっさん、知り合い?」と宝は尋ねます。「最近バスとかで会って、話しとって」と大進が返すと、「完全にストーカーじゃないか。俺がそういう人間なら、とっくにお前をやってる」と呆れる宝。「俺、男なのに」と大進は困惑しますが、「男が好きな男だっている」と宝は淡々と返します。「お前は悪くないけど、男でも女でも、信用できる奴だけにしろ」と言う宝に、「先輩はいいと?」と聞く大進。「さあな。ていうか、知らないおっさんと話してんじゃねえよ」と宝が叱ると、大進は「話しかけてくれて嬉しかったから」とおどおどと答えます。
翌日、大学で宝を見つけた大進が「先輩、昨日はありがとうございました。先輩に連絡するのをどうしようか悩んどったらあれが初めての連絡になるなんて…」ともごもごと言うので、宝は「何を送ろうとしてたんだよ」と尋ねます。「これです」と大進が差し出した携帯の画面には「キンセイカ?」。「さすが!先輩すごいです!」と大進が驚くと、馬鹿にしてんのかと宝はむっつりと歩き出します。「何やったら送っていいとですか」と尋ねる大進に、「知らねえ」とそっけなく答える宝でした。
「あの時、怖くて何も考えられんくなって、気がついたら先輩に連絡しとった。他の誰でもなくて、先輩しか思いつかんかった」と心の中で思う大進。
第4話
<あらすじ>
大進の危機を救った宝。
その時、宝が言った「男が好きな男だっている」という言葉が気になり、大進はモヤモヤしていた。
宝への気持ちは“憧れ”?“好き”?違いがわからない大進は、アイドルの“るいるい”を追いかけているえみりから“推し活”を教わる。
えみりの長話に付き合いながら、「新歓て何着ていけばいいかいな」と困った様子の大進。「いつものたいちゃんでいいと思うよ」と一方的に電話を切られてしまいます。そこに宝から「今日、変な事言うなよ」と連絡が来るものの、服選びに迷っていたら遅刻する時間担ってしまい、慌てた拍子に間違えて変なスタンプを押してしまいます。
新歓の店に迷う大進。どうにか店に着いて合流でき、宝を盗み見します。「キリマンジャロに登りたい」と熱く語る美波に「高校時代に登ったけど…」と感想を語る宝。それを見て「宝先輩はすごいなあ」としみじみ思う大進。
そこで明良から「宝目当てで大学来たってほんと?それ、恋しちゃったみたいじゃん」とからかわれ、「男が好きな男もおるって本当ですか」と思わず聞いてしまいます。しかし場が静まりかえり、宝から「しー」と唇に指を当てて黙るようにジェスチャーされ、大進は黙ります。泥酔した美波は「中野くんが何を好きでもいいんだよ」と言ってくれますが、大進は「俺のこの気持ちって何?」と悩みます。
えみりはカラフルダイヤモンドというアイドルグループのるいるいというメンバーを推しているのですが、食堂でそれについて熱く大進たちに語ってくれます。推しが大好き!もはやこれは恋!とえみりが声高らかに語っていると、同じくるいるいが好きだという明良も参戦してきます。「その人の幸せを願う特上の愛情のことを”推し”っていうんだよ」とえみりは教えてくれ、大進が「男が男を推すこともあるんですか」と聞くと、明良は当然だよと微笑みます。
「推しとは、かっこよくて憧れの存在」とえみりに教えられた宝。推しについて考えていた宝はつまずいてしまい、転びそうになったところを宝に助けられます。「体幹が弱い」と怒られる大進。これからどこに行くのかと大進が尋ねると、「どこに行くかいちいち言わなくちゃいけないのか?お前、俺の嫁かよ」と意地悪な答え。大進がそそくさと去ろうとすると、「時間あるか?」と聞かれます。「いくらでも」と答えると、宝の通うジムへ連れて行かれ、体幹トレーニングを集中的にさせられます。「後で別のトレーニングも教えてやるから」と自分も筋トレに励む宝。
大進は宝のかっこよさを改めて噛み締め、「俺、もしかして先輩のことを”推し”とるんかもしれん!」と確信します。
えみり曰く、①推しは尊い存在 ②推しの持ち物を真似して解像度を上げる③推しに迷惑はかけないが、推し事の鉄則だそう。大進は宝が道に迷った外国人に英語で道案内してあげるのを見て感動したり、宝のカバンをあさって水筒のブランドをチェックしたり、迷惑をかけないようにこそこそと隠れたりしていましたが、全部宝にはバレており、「何してんだあいつ」とぼやかれていました。
しかしある日、えみりはカラフルダイヤモンドが解散することを知ってしまいます。
宝から「こそこそついてきやがって。推しって何なんだよ」と面と向かって怒られる大進。「俺、先輩に憧れとって、それは”推し”ってことかなって。この気持ちって、そういうことかなって」と答える大進ですが、「は?」と宝には呆れられていまいます。
解散情報が出てからえみりと連絡がつかなくなり、「アイドルくらいで大げさなことだよな」と健三は笑いますが、芽依は「人生の一部なんだよ」と怒ります。そこで一緒にえみりを探してやっていた宝が「笑い事じゃねえかも」と校舎の屋上を見つめます。屋上にはえみりが立っていました。
えみりに早まるなと涙ながらに訴える大進ですが、明良は何かに気づくとえみりに近寄ります。突然歌い出す明良。えみりはそれに合わせて明良と同じように歌って踊ります。
実はえみりは、一番好きなMVが屋上で撮られたものだったのでそれを真似しながら見ていただけだったのです。
「推しが選んだ道だから応援する。推しの人生を応援する」と言うえみりに、「関わらんでいいと?」と不思議がる大進。「当然だよ!遠くから見守っていたいだけ」と答えるえみり。明良にカラフルダイヤモンドの曲を歌いにカラオケ行こうと誘われ、盛り上がる健三と芽依。
宝は大進を「家まで送ってやる」と先導します。「推しに迷惑かけられん」と断ろうとする大進ですが、「知らないおじさんとかいるかもだろ。あと、俺とお前は推しとかそういう関係じゃねえから」と言う宝。「えみりの話聞いたら全部当てはまるけ」と言う大進に、「俺とお前は対等なんだよ」と反論する宝。「俺、先輩のそばにおってもっと知りたいんです。それでもいいんですか?」と大進が尋ねると、「別にいいけど、変な行動するな。堂々としろ」と宝は条件をつけます。
「じゃあ、宝先輩って呼んでもいいですか?」と尋ねる大進に、「名前はだめ」となぜか拒否する宝。
後日、なんとえみりは明良と付き合うことに。「るいるいは?」と尋ねる大進に、「これからは明良と一緒にるいるいを応援していくの」と嬉しそうなえみり。「推し?好き?何なん?」と混乱する大進。
その時、宝の携帯に電話が入っていましたが、宝は携帯の画面を見つめたまま立ち尽くしていました。
第5話
<あらすじ>
大学生になって初めての夏休みを迎える大進は、せっかく仲良くなれた宝に会えなくなると気づいてガッカリする。
夏休みに入り、えみり、芽依、健三たちと過ごしていると、サークルの花火の誘いが。
花火当日、集合場所に向かうが、大進は道に迷ったうえに迷子の男の子・海里に出会う。そんな大進たちの前に現れたのは……。
家のビー玉コレクションを磨く宝。ラグにビー玉を落とした拍子に嫌な記憶が蘇り、宝は顔色をなくします。
大学での初めての試験は大変だったものの、どうにか乗り切った大進。
登山サークルでは9月末に日帰りの山登り、11月上旬に合宿に定例の一泊二日の合宿を行うことになりました。詳しくは夏休み明けのミーティングでという美波の言葉で、部員は解散します。
明良に夏休みの予定を聞かれ「じいちゃんと山登る。明後日の便で二週間くらいあっちに行く」と淡々と答える宝。美波は海外の山登りしたいなと羨ましそうです。明良は「俺は実家に帰ってこいってうるさく言われて」と顔をしかめますが、それを聞いて無表情になる宝。大進はそんな宝を見て「先輩がいつもと違う」と不安になります。「大丈夫ですか。なんかいつもと違うけ」と声をかける大進に、宝は無言で頭をぽんぽんと撫でると去っていきます。明良に「ラーメン行こうぜ」と誘われて明るく乗る宝を見送る大進。
「試験大丈夫やった?こっちにはいつ帰るん?」と登美子から電話がかかり、「来月やったら帰れる」と答える大進。登美子は「お父さんも千鶴も寂しがっとるから、顔見せにこんね」と言うと電話を切ります。
自分で作った冷やし中華を食べながら、宝ととぎれたままの連絡画面をじっと見る大進。明良と話していた時の宝の寂しそうな横顔が脳裏に焼き付いています。
夏休み中、「何もやることない」と言うえみりたちとアイスを食べる大進。えみりは最近明良とデートしたり、るいるいがミュージカルに挑戦するのでそれを追ったりと、なんだかんだ忙しそうです。その時、大進に携帯に登山サークルで花火をやろうと連絡が来ます。部員ではない人も参加OKのようです。「先輩来るやろうか」と宝のことを思い浮かべる大進。
帰宅した宝は電話に出て、「次は冬休みな」と誰かと話します。ベッドに座ってぼーっとしていると、大進がサークルの花火への出欠に「行きます」と返事をしているのを見つけ、それをじっと見つめます。
花火の日当日、神社をうろうろする大進。先に集合場所に着いた宝は「お前がこういうのに参加するの、珍しいな」と明良にからかわれながらも、飲み物の補充などを手伝います。すると美波から「中野くんが迷ってるみたい」と言われます。
集合場所に行き着けない大進が境内をうろうろしていると、目の前に大きなリュックを背負った少年・海里が現れます。大進が海里に名前を尋ねると、「知らない人に名前教えちゃいけないんだよ」と逆に説教されます。そこに宝が現れます。
海里は「俺、家出したから迷子じゃない。母さん、今日は遊んでくれるっていったのに約束破った。どうせ仕事の方が大事なんだよ」といじけます。
屋台でラムネを三本買ってくると、おごってくれる宝。ラムネに喜ぶ海里に、「お母さんはひどいやつだな。どうせそんななら仕事も適当なんだろ」と言う宝。海里はカッとなり、「ひどいやつなんかじゃない!仕事も頑張ってるし、ごはんも作ってくれる!」と言い返します。宝は「分かってんじゃん」と海里の頭を撫でると、ラムネの瓶からビー玉を取り出し、海里にプレゼントします。ビー玉を覗き込み、「空があるみたいだ」と言う海里。「お母さん、怒ってるかな」と不安がる海里に、「お母さんが心配してるだろうからもうするなよ」と言う宝。
海里を家まで送ろうとしますが、道の途中で「家わかんなくなっちゃった」と立ち尽くす海里。「途中で緑の公園にぐるぐるがあって」と独特な説明をする海里に、大進だけが分かったようで。「それってここじゃない?」と案内します。「ここも通った!」と喜ぶ海里に、「俺もここを通る時に同じこと思ったけ」と微笑む大進。「子どもと同じ脳してるな」とからかう宝。
海里を家まで連れて帰ると、ちょうど彼の母が「海里?どこ?」と必死の形相で家の周りを探し回っていました。「お母さんだ!」と言うなり、走り出す海里。「仕事はどうしたの?」と尋ねる海里に、「心配で仕事どころじゃないよ。ご迷惑をおかけしてすみません」と宝たちに謝る海里の母。海里は「これ、お兄さんたちにもらった」とビー玉を母に渡します。「お母さんに?ありがとう」と喜ぶ海里の母を見つめる宝。「ガラスは偽物なの」のいう言葉が脳裏をよぎります。
「ばいばい」と全力で手を振ってくれる海里を見送り、集合場所に向かおうとすると、突然大進のサンダルの鼻緒が切れてしまいます。「こうしてる時間の方がだるいから」と大進をおんぶしてやる宝。
「先輩の背中大きい」と言う大進に「お前と違って鍛えてるからな」と淡々と返す宝。「先輩は優しいですね。あの子、ラムネもビー玉も喜んでました。先輩はなんでビー玉が好きなんですか」と尋ねる大進に、「ビー玉は本物よりきれいだろ?」と答える宝。その意味を聞こうとした時にはちょうど集合場所に着いてしまい、宝は美波たちに「俺のスニーカーあるからとって」と叫びます。
花火の会場では異様にカップルが多く、明良は「夏休み入るとカップル増えるよな」とぼやきます。初めて知った大進はそのことに驚きますが、美波は「お互いのこと知れて好きになっていくもんだよね」としたり顔。その横で、健三が「唯さんは彼氏いるんですか?」とがっつき、唯から「そういうのほんとにいいから」と拒絶されていました。
一人でいる宝に、「先輩、これ」と線香花火を差し出す大進。「先輩はもてるのに誰ともつきあわんの、なんでやろって思って」と尋ねる大進。そこで宝の携帯に電話がかかってきます。画面には「河合桃香」と表示されています。ちょうど火が落ちて、宝は「終わりだな」と言うと去っていきます。「今の電話、誰やろ?」と思いながら、なぜか胸が痛みます。「なんやろ、この気持ち」とぼやく大進。
第6話
<あらすじ>
登山サークルの部室でハイキングのミーティングをしていると、宝に電話がかかってくる。
サークル内では、明良と唯が宝の電話の相手が女性だと大盛り上がり。
大進も宝に頻繁にかかってくる電話の相手がずっと気になっていた。
桃香からの電話をまた無視する宝。
あっという間に夏休みが終わり、えみりが花火の日に撮った写真をプレゼントしてくれます。宝とのツーショット写真をもらい、「レアだね!」と言われ微笑む大進。宝とちょっと近づけた夏休みでした。
夏休み明けは高尾山でハイキングすることになり、部室では明良と宝が「おやつは500円以内ですか?」「バナナはおやつに入りますか?」と定番の質問をして部員を笑わせます。その時、電話が入り、宝は席を立ちます。「あいつ最近電話多いな。電話口から女の声がするんだよな」と言う明良に、「もしやあの時の?」と花火の日のことを思い出す大進。「相手は大学以外の大人の女だろ」と推理する明良に、「先輩に彼女…」とショックを受ける唯。「あの時も彼女さんのこと考えとったんかな」と自分との花火はそこそこに電話に出た宝のことを思い出す大進。「また胸がなんか変や」と心臓のあたりを手で掴みます。
部室を出ると宝がおり、「ミーティング終わったのか?」と聞いてくるので、「明日9時に現地集合です」と答える大進。会話を続けようと「山で食べるバナナおいしいですよね」とトンチンカンなことを言って宝を苦笑させます。大進は「電話って誰からですか」と直球で聞いてしまい、「お前には関係ねえだろ」と宝を怒らせてしまいます。
その夜、宝は「全然寝れん」と苦しんでいました。「せっかく先輩と仲良くなれたと思っとったのに、怒らせてしまったんかなあ」と携帯を抱きしめて悩む大進。
同じ頃、宝は電話に無愛想に出て、「機嫌わりいな大丈夫か?元気ねえじゃねえか友達と喧嘩したのか?もっと素直になれよ」と祖父・宝榮からからかわれます。
翌日の朝、大進は一睡もできないまま夜を明かしてしまいます。今日先輩に会ったら謝ろうと決意して家を出るも、その瞬間に宝が「今日は風邪ひいてるからパス」とサークルのSNSグループに投稿します。連絡したら迷惑かなと思いつつも、「高熱で動けんで看病する人がおらんかったら、先輩が死んでしまう」と不安になる大進。美波に「俺が先輩のとこ行きます!」と宣言し、宝の家に向かいます。「勝手に来ちゃったけど大丈夫かいな」と不安をかかえつつも、「手遅れのほうが怖いけ」と自分に言い聞かせます。宝の家の前に到着寸前、ドアを開けたまま宝と女性が口喧嘩しているのを見てしまいます。「あの人が彼女?」と大進はいぶかしみますが、女性は「電話もまともに出ないんだから。私には宝しかいないの。あんたって昔から人のことを見下して、バカにして、私が困ってようと助けもしない!冷たい人間よね」と宝に怒りをぶつけます。それを聞いた大進は思わず物陰から飛び出て、「先輩は冷たくなんかない!泣いとったらなぐさめてくれるし、変なおじさんから守ってくれるし、今先輩は風邪ひいとるから看病すると!帰ってください!」と言い放ちます。「そういうことだから。もう二度と来るなよ」と言う宝。「ほんとに薄情なんだから」と怒りながら帰っていく女性。
「あの人誰なんですか」と尋ねる大進に、「俺の母親」とあっさり答える宝。
「俺、先輩のお母さんになんというご無礼を」と小さくなる大進。そして、「先輩が風邪って言っとったけ、野菜とか薬とか、ありったけ買ってきました」とぱんぱんのスーパーの袋を見せるます。「俺の母親はそんなこと一回もしてくれなかったけど」と言う宝は、「つまんない話だから聞かなくていい」と前置きします。大進は「俺、先輩のことやったらなんだって知りたいです」と星座。
「うちの親、離婚してるんだよ。金遣いが荒い母さんは”私が貧乏人だってバカにされてもいいの?”って親父と喧嘩ばかりしてた。そこから救い出してくれたのがじいちゃんだ。人生初のラムネを飲ませてくれて、中にはいってるビー玉をくれた。きらきらしてきれいだからすごく高いのかと聞いたら、”高いももののほうがきれいってことはない 。何をきれいに思うかは人それぞれだ。宝のかあちゃんは宝石で、宝はビー玉みたいにな。じいちゃんがきれいだと思うのは、空にいるばあちゃんと星空と山だ。宝も山に連れて行ってやるよ”って言ってくれた。じいちゃんはいつも俺を気にかけてくれた。母さんにきれいだからってビー玉をあげたら、”そんな安っぽいものはいいらない”って言われた。未だに父の金目当てにくるんだ。自分が俺を捨てたくせに」と言う宝。「俺、何も知らんで…いろいろ聞いて、すみません。俺、関係ないのに」と謝る大進。「この間はごめんな。でも母さんにああ言ってくれて助かった。…俺は母さんに似てるんだ。それがずっと嫌だった。俺は母さんと同じで、欲しいもんがあると…」と宝の頬を撫でる宝。
そこで「なんかお前熱くね?」と眉をひそめます。「最近。いろいろ考えすぎて頭がぼうっとしとって」と言う宝に、「知恵熱って子どもかよ。これ着ろ」と宝は自分の着替えを差し出します。「先輩の部屋着…やっぱ申し訳ないです」と固辞する大進に、「早く寝ろ」とだけ言う宝。
「すいません。看病しに着たのに、心配かけて」と服を着替えながら謝る大進。「先輩は優しい人です。俺、先輩に会えて嬉しいです。また構ってもらえるなんてすごく嬉しかったんやけど、緊張するし、こうやって迷惑ばっかりかけて…」と言いながら、まぶたが重くなっていく大進。「不思議なんです。先輩は、友達や家族と全然ちがくて…推しともちがくて…俺のこのこういう気持ちって、どういう好きなんやろ?」と言って寝てしまいます。「中野…ほんと、どんくせえ奴」と笑う宝。
第7話
<あらすじ>
知恵熱を出した大進は、宝の部屋で朝を迎えた。
眠りに落ちる寸前に告白しかけたことを思い出して気まずそうな大進に、宝は「俺のことが好きだって?」と聞く。
どうしたらいいかわからず戸惑う大進に、宝はキスをする。
カーテンを開ける宝。「どうすっかな」とぼやきます。傍らには宝のベッドで爆睡する大進が。
目を覚ました大進は「昨日は取り乱してごめんなさい」と謝り、宝はどこで寝たのかと尋ねます。「そこらへんで寝た」と言う宝に恐縮しきりの大進。「もう熱は下がったな」と大進の額に手を当てて熱を測る宝。「昨日は失礼なことを…」と言う宝に、「失礼なことって?」と宝は聞き返します。「あれはきっと夢や。そうに決まっとる」と独り言を言う大進に、「俺のことが好きなこと?夢じゃねえよ」と宝は突っ込みます。「ぼーっとしとって、頭がよう分からんくて」と言い訳をする大進に、「冗談ってこと?」と宝が尋ねます。「冗談やないです。俺、先輩のこと好きです。でも迷惑になるやろうけ、冗談にしておきます。変なこと言ってごめんなさい」と小さくなる大進。
「俺は何も聞かなかったことにして、いつも通りにしておけばいいってこと?そんな器用なことできねえぞ。お前のことはどう扱ったらいいか分かんないから、もう構えないかもな」と突き放す宝。落ち込む大進を、「こっちに来い」と呼び寄せます。「お前、俺の前で泣きすぎなんだよ。俺が気まずくなくて、お前も泣かなくて済む方法があるだろ」と大進の涙を拭う宝。「もっと違う言い方で言って来いってこと」と言われて、「今まで通り構ってほしいです」と答える大進。「二人ともwin-winになる言い方があるだろ」と宝はなおも重ねます。「でも、それって俺だけが嬉しいことになりませんか?好きやけ付き合ってとか言えん」と大進が言った途端、「言えんじゃん」と言うなりキスをする宝。
「え…」と大進が固まっている間に、「ありだな。いいよ、付き合ってやる」と言い放つ宝。「俺と先輩が?付き合う?先輩も俺のこと好き…?」と確認する大進ですが、宝に「そこまでは行ってない。お前が気づかないままならそのままでいいと思ってたけど、気付いたと思ったら早速泣かれたから」と言われます。「やけくそってこと?」と問うと、「ヤケクソでキスまでするかよ」と言われます。
その後、宝に連れられて、彼の行きつけのラーメン屋に行くことに。「宝が人を連れてくるなんて珍しいな」と言う大将。宝は「いつもの」と頼み、大進も「先輩と同じので」と頼みます。するとなんと出てきたのは、激辛ラーメン。「赤!」と驚く大進に、「だから普通のにしとけって言っただろ」と呆れる宝。「食べます。いただきます」と元気よく手を合わせると、一気にすすってしまい、むせる大進。それを見て爆笑するう宝。「無理そうならやめとけよ、俺が食ってやるから」と宝に言われるも、「美味しいのは分かるけん」と食べ続ける大進。「根性あるじゃん」と宝は嬉しそうです。
「先輩は常連さんなんですか?ラーメン好きでしたもんね」と大進が話しかけると、「まあよく来るな」と淡々と返す宝。お前は何が好きんなのと宝に問われ、宝を凝視する大進。「俺じゃなくて」と訂正され、慌てて「プリンです」と答えます。
宝と散歩しながら、「夢、幻、白昼夢…どれでもない!口が痛いんやもん。身体に合わない服も宝先輩も本物で」と大進は夢見心地に浸ります。「先輩、本物なん?これはほんとに夢じゃないんですよね?俺らほんとうに付き合っとると?」と宝に尋ねる大進。頬を引っ張られ、「夢じゃないだろ」と確認されます。「そこ座ってろ」と言われ、「夢じゃないんやね」と噛み締めながら噴水近くで待っていると、女性たちが「あの人かっこいい!彼氏だったらやばくない?」と騒ぎながら去っていきます。宝は「期間限定いちごプリン味だってよ。俺は甘いの飲まないから」と差し出してくれます。「美味しいです」と笑顔になる大進。
「今日はありがとうございました。ラーメンもいちごプリンも美味しかったです。先輩のおすすめ、もっと知りたいです」と拙く文字を打ち終えて宝にメッセージを送ると、即電話がかかってきます。「どうしたんですか?」と尋ねると、「メール来たから」とそっけない返事。「(電話)嬉しいです。先輩のおすすめもっと知りたいです」と前のめりな大進に、「おすすめって言われても…」と困惑した様子の宝。「じゃあ山」と提案する宝に、「先輩、ほんとに山が好きなんですね。いつから?」と尋ねる大進。「じいちゃんに連れて行ってもらってからかな」と答えながら、宝は過去のことを思い出します。
「ここはじいちゃんの”きれい”?」と尋ねる宝に、「そうだよ。ここが落ち着くんだ」と返す宝榮。「水の流れる音とか、葉っぱのこすれる音とか、風の音とか、なんかいろんな音はするから変な感じがする。よく分かんない」と不安げな宝に、宝榮は「気に入ったか!じいちゃんは行ってみたい山があってな。マッターホルンていうんだ」と嬉しそうに語ります。
「いつか行けるといいですね」とまぶしそうに言う大進。「先輩のことが知れて嬉しいです」と言う大進に、「もう遅いから寝ろ」と突き放す宝。「また明日大学で、おやすみなさい」と言い合って電話を切る二人。
宝は幼い頃、ふりふりのレースのブラウスを着せられて桃香の友達に紹介され、「本当にかわいい子ね」と褒めそやされたことを思い出します。桃香はそのたびに自慢げで、緊張している宝のことなど知らん顔をしていました。お茶のセットを片付けながら「あの服素敵だった」とうっとりと言う桃香に、「もうたくさんあるのに」と言う宝。しかし桃香は「まだまだ足りない!絶対欲しい!」と怒りを込めて言い返すのでした。
自分の部屋に置かれたビー玉を見つめる宝。
翌日、キャンパス内で宝を見つけた大進は「先輩!」と声をかけようとしますが、近くを通り過ぎていく女子生徒たちが「先輩に話しかけたら?」「高望みだよ」と笑うのを見て、心がざわざわします。
明良と幸せそうに話すえみりを見て、健三と芽依は「お似合いだね」と笑います。「お似合いってどういうこと?」と大進が尋ねると、「雰囲気が似てること」「隣に立ってて違和感がない感じ」と二人は答えます。
授業後、宝は大進を待っていたようで、大進は嬉しくなって駆け寄ります。「一緒に帰ろうぜ」と言ってくれる宝の背中を見つめながら、「宝先輩が近くにおって嬉しいのに、もしかして俺と先輩は釣り合ってないんじゃないかな」と心の中で思ってしまう大進。
第8話
<あらすじ>
憧れの宝と付き合い始めた大進は、宝に自分が釣り合っていないのではないかと不安を打ち明ける。
宝はそんな大進に一緒にでかけようと提案。
大進は初めてのデートに気合を入れてバードウォッチングを計画する。
千鶴から「石に棒が刺さっとるやつ!モデルのみみちゃんが投稿しとったと。見つけたら送ってね」と電話をもらい、雅也の店で必死に探す大進。雅也に事情を話すと「アロマストーンね!」とすぐに商品を探して渡してくれます。そういえば宝の家にも同じものがあったと気づき、そこでまた「俺、ほんとに先輩と付き合ったのか。やっぱり俺と先輩は全然釣り合っとらんのかな」と考え込んでしまいます。そしてレジに行こうとして、あまりの高価さに仰天するのでした。
大学で宝に「でふゅーざー?っていうやつ、千鶴に頼まれて。でも東京にしか売っとらんみたいで」と身振り手振りを加えて話す大進。宝はすぐにアロマストーンのことだと気づき、「うちにあるのは去年サークルの奴らにもらった貰い物だけどな」と言います。
二人で大学から帰りながら、大進は「俺、先輩と釣り合っとらんと思います。先輩にはでふゅ…みたいな、そういうオシャレなきらきらした人が似合うけど、この関係やめたら先輩は気まずくなるし、俺は構ってもらえんくなるし、先輩は俺のこと好きやないし」とぶつぶつ言い、宝は大進の両頬を掴むと「付き合うとか恋人とか、最初から100%好きじゃないといけないわけ?」と凄みます。「付き合っていくうちになっていけばいいだろ。釣り合うとか心底どうでもいい」と吐き捨てます。
「俺が100%になるまで頑張ればいいですか」と尋ねる大進に、「頑張っても無理な場合もあるだろ」と答える宝。「先輩の好きは、今は中くらい?もっと低いと思うけど、もっと…」と言いかけた大進の言葉を遮り、うっとおしそうに「じゃあ来週どっか行くか」と言う宝。「俺、どこ行くか考えます!」とはりきる大進に、「お前の行きたいところでいい」と返す宝。「これはデート!」と張り切る大進。
「来週、明良くんとデートなの」と浮かれているえみり。デートはるいるいのライブばかりだそうで、健三は「俺は遊園地がいいな」とぼやきます。「たいちゃんはデートするならどこがいい?」とえみりに問われ、「そんなこと考えてくれとるだけで嬉しい」と答えると、「尊いわ」と関心されます。「思いやる気持ちが大事なんだよ」と締めくくる芽依。
登山サークルの部室では、明良が来週誕生日だと宝にこぼします。「あっという間だな。俺達、高校からの付き合いだけど、もう卒業だよ。寂しいな」と言う明良。「また集まればいいだろ」と笑う宝。「宝、どうすんの。じいちゃんのとこに行くのか?」と問われ、「まだ分かんねえよ」と宝はぼやきます。
「どこ行くのがいいかいな」と東京のガイドブックを買ったり、ネットサーフィンしたりしてデートスポットを探す大進。その時、「幸せの青い鳥ルリビタキ」というネット記事を見つけます。
いざデート当日、大進は「バードウォッチングのしおり」まで手作りし、完璧な装備で待ち合わせ場所に現れます。オペラグラスにかじりつき、鳥を探す大進の横で、宝は「いたか?」と尋ねるだけでつまらなさそうに昼寝を始めます。昼時になり、大進が前もって調べていたスパイスカレーのお店でテイクアウトをすることに。辛いものが苦手な大進ですが、「俺の知ってるカレーと全然違う!」とその美味しさに大喜び。「山でみんなで食べたカレーを思い出しますね。またみんなで山登りたいです。最近は就活する人が増えて参加者が減ってきましたし…。先輩は就活するんですか?」と無邪気に尋ねる大進。宝がごまかすと、「俺は先輩に会いたいだけで勢いで来てしまったけ、就活とかは何も考えてないです…。でも友達もできたし、楽しいです!」と大進は言い繕います。「あのさ」と宝が何かを言おうとした瞬間、大進が「辛さが足りない時はこれ使って下し!100%目指してるので!」とチリソースを出してきます。苦笑する宝。
その後、のどが渇いていないかと気遣う大進に「そういえば」と宝が気づくと、大進は胸を張って自分が買いに行くと言おうとして、気づきます。財布がありません。家の鍵もついてるのにとおろおろする大進に、「落としたらわかりそうだけどな」とあちこち一緒に探してくれる宝。「ほんとすみません」と誤り倒す大進に、「謝るのはいいから探すぞ」と宝は捜索を続けます。
「警察にもまだ届いてねえわ」と警察に電話を終えた宝が言うと、大進は「俺一人で探します。これ以上は迷惑かけられんし…俺、今日ずっと落ち着きなかったですよね。何しよんちゃろ」と泣きそうな顔に。
そこにおばあちゃんが「お財布落とされてないかしら」と声をかけてくれ、その手には大進の財布が。「暗くなる前にみつかってよかったわね。気を付けて帰ってね」と親切そうに帰っていくおばあちゃん。
「先輩はなんで怒らんで優しくしてくれると?喜ばすこともできんのに」と落ち込む大進に、「どんな鳥だった?お前が俺に見せたかった鳥」と問う宝。「青くて小さくてきれいで、それを見たら幸せになるって言われてるんです。だからどうしても先輩と見たくて」と言う大進に、宝は「俺はお前と完璧なバードウォッチングしにきたんじゃねえ。お前の好きなもんを一緒に楽しみにきたんだよ。ハプニングも面白いだろ」と返します。
大進は「先輩のそういうところ好きです」と言い、宝は「財布が戻ってきたってことはその鳥いたんじゃないの」と言い、「あっ」と鳥を見つけたような素振りをします。あたりを見回す大進に「嘘」とふざける宝。
帰宅した大進は、おかめくんの遺影に「見て、この先輩すごく楽しそうやない?これからも思い出を増やしていければいいな」と報告します。そういえば、チリソースを手渡す前に宝が何を言おうとしたのか気に鳴ります。
帰宅した宝は、大進が撮った自分の横顔の写真を見ながら何かを言いかけた時のことを思い出します。
大進から今日のデートの写真のアルバムが作って送られてきて、「今日はありがとうございました」とメッセージも届きます。
それと同時に、宝榮から届いた山の絵はがきに「卒業したらこっちにくる?」と書いてあり、「あいつにちゃんと話さねえと」と宝はつぶやきます。
第9話
<あらすじ>
宝は部室で親友の明良と将来の話をしている。
宝にとって、大進の存在が日々大きくなっていく中、宝は自分の将来、2人の今後のことを大進に伝えるため登山に誘う。
将来のことを考え、このまま大進と一緒にいていいのか悩む宝。
宝はベッドに寝転がりながら、「あいつは転がるように現れた」と大進のことを思い出します。
一年前、山の中で泣いていた大進に「お前の家族はお前が一人で泣いてても平気な人たちか?」と尋ねると、「父ちゃんも母ちゃんも優しい」と大進は答えました。それを聞いた瞬間、「そんな安っぽいもの、いらない」とビー玉を持った宝の小さな手を振り払った母のことを思い出します。
ーー初めてじいちゃんからもらったビー玉みたいに、目が離せなかった。ビー玉みたいな目は、俺だけを写して、ゆらゆら揺れてる。
宝が大学に行くと、大進がぼーっと虚空を見つめたままベンチに座っています。「アホ面。お前は平和そうでいいな」と声をかけると、「今日、うち来るか?」と誘います。「いいんですか」と喜ぶ大進に、「やっぱアホ面」と笑う宝。
宝の家に来た大進は、「このゴミまとめちゃいますね。俺も使ってるんで」と生ゴミをまとめてくれます。「じゃあ、俺帰ります」とそそくさと支度をする大進を診て、「うちから大学行けば?帰るのだるいだろ」と提案する宝。でも服がないしと困った様子の大進に、「これ着ろよ」と自分の服を指さします。大進は「いいんですか」と顔を輝かせます。すかさず大進を抱きしめた宝に、「先輩がでれとる」とはしゃぐ大進。宝は「うるさい」とうっとおしがりながらも、大進を離しません。
翌朝、宝は大進に起こされます。「先輩、ごはんできました。食べますか?」と嬉しそうに聞いてくる大進に、「さんきゅ」と軽く感謝を述べて起き出す宝。
ーー最初は、出来心だった。自分の家から大学通わせて、自分の服着せて、ビー玉も好きに触らせて。でもあいつは、ずっと馬鹿みたいに嬉しそうで。でも、拾えない。あいつはビー玉じゃねえから。
きれいに並べられた大量のビー玉コレクションを見つめた後、元の場所にしまう宝。
「たいちゃんと宝先輩、最近仲良すぎじゃない?」と嬉しそうなえみり。「しょっちゅう一緒にいるよな」「一緒に帰ってるしね」と同調する健三と芽依。
「サークルの時もそうなんだよね」と会話に参加する明良。「あんなに後輩に構ってるの珍しいんだよね」と不思議そうな美波。「でも、宝があんな顔できるようになって良かったんじゃない?」と美波は笑顔になります。
登山サークルの部室に来た宝は、「最近つれねえじゃん。中野と最近仲いいよな?就活始めたらなかなか会えなくなるから俺とも仲良くしてくれよ」と絡みます。適当に流す宝に、「宝が卒業したら中野も寂しくなるな」と言う明良。宝は「どうかな」と苦笑します。「次の予定決める?」と明良に言われ、話に乗ってやる宝。
宝の部屋に入り浸っている大進。「先輩、これなんですか」と写真を見せられ、「じいちゃんが撮ったやつ。あの人、世界中どこでも行ってるから」と答える宝。「俺も行ってみたいな」と羨ましそうな大進に、宝は「二人で登るか?山。近場のどっか。二人で」と提案します。「登ります!」と前のめりの大進は「二人って、二人っきりですか?」と確認し、宝が頷くとさらに張り切り、「楽しみにしてます」と笑顔になります。
「その時にさ、お前に決めてほしいことがある」ともったいぶる宝に、「分かりました」と即答する大進。「即決かよ。今言えよってなるだろ」と突っ込む宝に、「でも、山で話したいのかなと思ったので」とはにかむ大進。
二人が登るのは、登山サークルで二人が最初に登った山です。「最初に登ったところですね!」と嬉しそうな大進に、「なんでかいつも初心者向きじゃない山を登るんだよな」と不思議そうな宝。「それは先輩目当ての女子を振るい落とすため…」と思いつつも、口をつぐむ大進。「登るぞ」と宝に尻を叩かれ、登山道へと向かいます。
山の中腹あたりを歩きながら「まだまだ行けます。この一年たくさん登ったので」と胸を張る大進。そこで桜を見つけ、「こんなときに桜があるんや」とじっと見つめます。「最初に登った時もこれ見てたな、お前」と宝に言われ、「見てたんですか?恥ずかしい」と大進は照れます。
すると、突然宝が大進の手を握ります。驚く大進に、「嫌か?」と窺うように尋ねてくる宝。「そんなことないです」と大進は笑い、二人は山登りを続行します。
山頂に着くと、協力しあってテントを張ります。宝にホットサンドを作ってもらい、大進は「おいしそうやなあ」と歓声を上げます。「楽しいですね。星空きれいやなあ」と夜空を見上げながら感動したように言う大進。「また来たいですね、先輩」と大進が言うと、「次があるかは、分かかんねえ」と返す宝。
「卒業したら海外に行くから、次がいつになるか分かんねえ」と続ける宝に、「それまで一緒にいるのはだめですか」と震える声で尋ねる大進。「そうじゃなくて、お前のこと、連れて行きたくなるから。俺は将来のこと決めてるのにお前に手を出しちまって、無責任なことしたから、このままの関係を続けるかどうかはお前が決めて」と返す宝。
「俺は小さい頃からビー玉を集めてきた。欲しいものは絶対に欲しい。母親と同じだ。自分のことしか考えてない。だから、お前のこと傷つけるかもしれない。だから」とつぶやく宝に、「続けます」とぴしゃりと言い切る大進。
「先輩の言うこと難しいなって思うけど…。もしかして、どんどん好きになるのが怖いですか。俺は、先輩と、先輩のお母さんは、全然違うと思います。俺は先輩に初めて会った時、本当に救われたんです。あの時、先輩に会えたから、俺はここにおるんです。先輩はずっと俺のこと考えてくれた。先輩は優しいです」と言うなり、大進はふところからビー玉を取り出します。「それ」と宝がビー玉を指差すと、「先輩がくれたやつです」と笑う大進。
「先輩は、一番きれいなものを俺にくれたんですよね。やったら、俺にとっても一番きれいです。俺は先輩とずっと一緒にいたいです」と言うと、大進は宝に抱きつきます。「この関係をやめるなんて嫌です。一歩踏み出す勇気をくれたのは、先輩やから」と言う大進に、「そうか…そうだったな」と抱きしめ返す宝。「ありがとな」と言うと、宝は大進に優しくキスします。
「ただし、やめるのが嫌なら、俺をただの優しい先輩ってばっか見んなよ」と忠告する宝。不思議そうな大進に、「こっからどうなるか、俺にも分かんないってこと」と付け足します。「やめんでくれるなら、どうなってもいいです。でも嫌なことされたら嫌って言いますから」と胸を張る大進を突然くすぐりたおす宝。
ーーつい拾ってしまったこいつは、変わらず俺だけを写すらしい
その時、大進の形態に千鶴から「お兄ちゃんすぐ帰ってきて!お母さんが…」と緊急の連絡が入ります。
第10話
<あらすじ>
大進は母・登美子を心配して福岡の実家に戻る。
大進の心配をよそに、母の容体は命に関わるものではなくホッとする大進。
その夜、大進は宝に電話し、母が無事であったことを報告、宝の声を聞き安心してそのまま眠ってしまう。
一人暮らしの家に一旦帰った大進に、「おふくろさん、大丈夫か?」と尋ねる宝。「詳しいことはまだなんも」と不安げな大進に、「待ってるから気をつけて行ってこいよ」と宝は優しい言葉で送り出してくれます。
慌てて九州の実家に戻った大進は、登美子を見つけます。登美子は左手を骨折してはいましたが、入院などの必要はないそう。千鶴があんなに大騒ぎしとったのにと困惑する大進に、千鶴は「お兄ちゃん、なかなか帰省せんけ」とふくれっ面。「あんたがなかなか帰省せんけ、千鶴が寂しがって拗ねとったよ」と笑う登美子。
その夜、大進は宝に登美子の様子を報告します。「おふくろさん、無事で良かったな」とホッとした様子の宝。大進は「明後日の夜に、東京に着くバスで帰ります。それまでゆっくりしようかなって」と言うと、突然「先輩、今ビー玉触ってますか?」と尋ねてきます。なぜ分かったのかと驚く宝に、「お風呂あがるといっつもそうやけん」と笑う大進。「お前も寝転がってるんだろ。風呂あがったらすぐ寝るから」と言い、図星の大進は恥ずかしそうに笑います。
「なんか変ですね。声はすぐそこにあるのに、遠くにおるんですね。声聞いとったら、なんかもう、会いたくなった…」と言うなり寝てしまう大進。「寝落ちしやがった」と独り言を言いつつ、ぼんやりする宝。
翌日、「俺、大輔のところに行ってくるけ」と登美子に言うと、すぐに実家を出ていってしまう大進。そこで大進の携帯に宝からの電話が入ります。慌てた登美子は通話ボタンを押してしまい、「あっ、大進の母です。宝先輩よね?あの子から聞いとります。今、幼馴染のところに行っとってね」と事情を説明します。じゃあ後でかけ直しますからと電話を切ろうとする宝を呼び止める登美子。
「実はあなたにお礼を言いたくてね。おかめくんが死んだ時に、大進はほんとに大変やったんよ。突然いなくなって、お父さんと探し回ってたら、ようやく帰って来てね。それから急に東京行くって言いだして…嬉しかったんよ。それまでのんびりしとったのに、ようやく自分の道を見つけたんやなと思って。あなたに会って大進は変わったんよ。これからも仲良くしてね。今度うちに遊びに来て!」と登美子は明るく言います。
そこに大進が帰ってきて、「母ちゃん何しようと」と尋ねます。「母ちゃん、間違えて押してしまったけ。あっ、先輩、大根いらんかね」ととっさに持っていた大根を宝に勧める登美子。「大根勧めんで!」と恥ずかしさに大声を出す大進の声を聞きながら、電話越しに宝は笑います。
一人暮らしの家に帰宅した大進。「東京に帰って来ました」と宝にメッセージ送った後、「今会いに行ってもいいですか?」と書いたものの、「さすがに深夜は迷惑よね」と消してしまいます。
その後ベッドにもぐりこんで寝る準備をしていると、深夜に何度もチャイムが鳴ります。「こんな時間に何?もしかしてまたストーカーのおじさん?」と不安になった大進は、フライパンを持って武装すると、おそるおそる「どなたですか」とドアの外に向かって叫びます。すると、「俺」と宝の声が返ってくるではありませんか。
ドアを開けると、「なんでフライパン?」と不思議そうな顔の宝。「先輩こそなんで?」と大進が問うと、間髪入れずに宝が抱きしめてきます。
「昨日夜、会いたいって言ってただろ」と言う宝。「だから会いに来てくれたんですか?」と大進が問うと、「そう」と短く言った後、「大学で初めて会った時、あんなふうに言って悪かった」と宝は謝ります。「でも、あれはおっしゃる通りやったかと」と苦笑する大進。
「誰かに会いたいってのが、こんな気持ちなんて思わなかった」と言う宝。「俺も会いたかったです」と大進が宝に抱きつくと、宝は「こんな時間に悪い」と謝ります。
「俺も会いに行ってもいいですかって聞こうとしてて」と言う大進に、「なんで聞かなかったんだよ」と問い詰める宝。「なんかうざいかなって」と大進が答えると、宝は大進を抱きしめて玄関先に寝転がります。
「先輩、どうしたんですか」と宝を見上げる大進。「うちにおめえがいねえと、なんか落ち着かねえんだ。ずっとうちにいたらいいのにって、そんなこと考えてる自分がこええよ。お前は、俺と、俺の母親は違うって言ったけど、俺もお前に嫌なことしてんじゃないかって。俺の方がうぜえだろ」と宝が言うと、大進は泣き始めます。
「なんで泣くかな、お前は」と宝が涙を拭ってやると、「先輩はうざくなんかないです。俺のことすごい考えてくれとうの、嬉しいです」と言う大進。大進は起き上がると、「やけん、先輩。俺、先輩が自分のこと怖いなんて思わんようにしたいです。俺、嫌なことは嫌って言います。先輩にされて嫌なこと、今のところ一つもないので、これで少しは安心できないですか?宝先輩、大好きです。これからも一緒にいたいから、何でも言てほしいです」とまっすぐに宝を見つめて言い切る大進。
「すごいな、お前は」と笑うと、「急に口説いてくるからさ」と言うなり、宝は大進を抱きしめます。「ありがとな、大進」と宝が言うと、大進は「はい」と言いながら彼の背を抱きしめ返します。
翌朝、二人で横並びで歩きながら「母ちゃん、勝手に宝先輩と話しとってびっくりしました」と宝に話しかける大進。「あれからずっと”宝先輩はいい人や”って言ってて」と言う大進に、「家に遊びに来いって言ってた」と返す宝。「えっ、そんな無礼な」と焦る大進に、「お前そっくりだと思ったよ。いい家で育ったんだな」と笑う宝。しかしその後すぐに「で、大輔って誰だよ」と低い声で尋ねてくる宝。「幼馴染です。高校まで一緒で…。先輩、嫉妬しとるんですか!?あの宝先輩が!?」と驚く大進に、「うるせえな。なんつうか、こんな感じなんだ。俺は。束縛野郎で、お前の幼馴染にも嫉妬するし、夜中お前に会いに行きたくなるし、わけわかんないことばっかだ。でもやなことばっかじゃない。昨日。お前の家に向かってる時、楽しかった。好きな奴に会いに行くってすげえな」と笑う宝。大進はおもむろに宝の腕を取ると、「宝先輩、今って100%のうちどれくらいですか?俺は先輩の”好きな人”になれたと?」と真剣に尋ねます。宝は顔をくしゃくしゃにすると、「ほんと鈍臭え奴」と言うなり、キスします。
ーー先輩と出会ってから、俺の毎日はキラキラしとった。あの日もらった、ビー玉みたいに。
まとめ

原作未読です。濡れ場はなく、何度か全話通じて3回かな、キスシーンがありました。どれも少女漫画のような胸キュンのシーンばかりで、青春っていいな〜と嬉しくなっちゃいましたね。
宝と桃香の対立や大進とストーカーおじさんとの戦いなどシリアスシーンはあれど、基本的にはコメディタッチというか、ポップで明るいラブコメディという感じで、すごく見やすかったです。BL初心者の方にも見やすい作品だなと感じました。

原作既読です。
「男が好きな男の人もいるんですか」ってシーン、原作にもあったんですか、そのシーンを入れる必然性があったのかな…。
大進は自分が無知な田舎者であるという自覚があったから、「宝に嘘をつかれているのでは」と思ってみんなに確認しただけってことなのかもしれませんが…。恋愛や性的なことに全く興味がないという側面をアピールしたかったのか?
LGBTQ+の人々を嫌う人の中には、「そんな性的指向の人々はそもそも存在しない」という言い方をする人が一定数いるのですが、大進の発言はいくら無知という設定とはいえ、それと同じ匂いを感じてしまって…結局大進はゲイ(もしくはバイ?)であったわけで、別にゲイの方々を貶めらわけではないんですが…ちょっとモヤッとしてしまいました。

原作既読です。キャストの方々はかなり原作に近いキャラ設定や外見になっていて、特に宝はその最たるもの!漫画から飛び出してきたのではと思うほどの美しいお顔と、衝撃的なモデル体型に一話から圧倒されました。大進は原作のような素朴で芋っぽい田舎男子というよりは、とてもとてもかわいい子犬系男子でしたが、これがまた素晴らしい。特に「目が大きくてビー玉みたい」という原作の設定ぴったりの、きらきら輝く美しい目には感動してしまいました。大進すぎる!と。
原作にはない、宝を「推し」と考えて行動する大進のお話など、ドラマオリジナルのお話が見られたのも個人的には嬉しかったです。せっかくドラマ化するなら、原作そのままではなくドラマならではの部分もあったら楽しいですよね。あくまで原作の世界観を壊さないオリジナルの物語になっていて、脚本家の方は素晴らしいなと思いました。
今回3人が見た「タカラのびいどろ」は、Amazonプライムビデオ、Huluで無料視聴できます。
ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨