「アマプラ同時上映会」第63弾!
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本国では140万人が笑って泣いた、2010年世界で一番愛されたイタリア映画。愛、セクシュアリティ、死、家族の絆を、ストレートにカラフルに繊細に描き出す名匠フェルザン・オズペテク監督作、「あしたのパスタはアルデンテ」。
全編のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。
早速見てみましょう!
登場人物とあらすじ
引用:Amazon.co.jp: あしたのパスタはアルデンテ(字幕版)を観る | Prime Video
作家志望のゲイ次男が、ゲイフォビアの家族にカミングアウトを計画する お話。
<あらすじ>
ローマに暮らす作家志望の青年トンマーゾは、実家の老舗パスタ会社の新社長に兄が就任するのを祝う晩餐会に出席するため、南イタリアのレッチェに帰郷。
そこで自らがゲイであることを家族に告白しようとするが、兄が思わぬ先手を打ったことであらぬ事態に…。
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予告編・予告動画
こんな人におすすめ
- イタリア(カトリック教徒が国民の8割!)発のクィア映画を観たい🇮🇹
- ゲイフォビアの家族とゲイ当事者との戦いを見つめたい💥
- シリアスとコメディが良い塩梅にミックスされた作品が好き😂
本作をもっとよく知るための小ネタ
①イタリアのアカデミー賞にあたる第55回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では13のノミネートを受け、そのうち助演男優賞と助演女優賞の2部門で受賞している。また、イタリア映画記者組合(イタリア語版)による第65回(イタリア語版)ナストロ・ダルジェント賞では最多となる10部門でノミネートを受け、そのうち最優秀コメディ賞をはじめとする最多5部門で受賞を果たしている。
②原題の「Mine vaganti」は「(何をしでかすか分からない)危険人物」「(いつ爆発するか分からない)浮遊機雷」の意味である。
③日本では2011年8月の通常公開に先立ち、同年4月30日に「イタリア映画祭2011」の特別上映作品として『アルデンテな男たち』の邦題で上映された。
ネタバレ感想
パスタ会社の次男であるトンマーゾは、兄・アントニオに「実は俺、木曜の夕食会でみんなに話したいことがある。俺は兄さんに3つ隠し事をしてたんだ。1つ、ローマでは経営ではなく文学部を卒業した。2つ、俺は作家になりたい。出版社に小説を送り、返事待ちだ。肝心なのは3つ、俺はゲイなんだ」と言います。「俺は勘当され、会社の株は兄さんのものになる。俺は自由だ」とトンマーゾは自信満々。
いざディナーが始まり、トンマーゾがカミングアウトをしようとします。しかし突然、アントニオが「僕は男が好きだ。パスタの練り粉を管理していたミケーレと恋に落ちたけど、周囲の目が気になって彼を解雇した。僕の望みはミケーレを呼び戻して、ここで一緒に暮らし、皆の前で堂々と通りを散歩することだ」と言い出します。父・ヴィンチェンツォは「全てのものを置いて家を出ていけ。この町には二度と戻って来るな。お前の顔など見たくもない」と激怒し、昏倒してしまいます。
心筋梗塞で倒れた父は「お前だけが頼りだ。長女はナポリ男と結婚するし、長男は家を出ていき、死んだも同然。手を貸してくれるな?」と涙ながらに訴えてきます。しばらくの間だけだからと食い下がられ、ローマに帰ることを断念するトンマーゾ。
ラファエルの娘・アルバはトンマーゾを迎えに来て、アントニオの代理として慌ただしく仕事を押し付けてきます。アルバはトンマーゾの性的指向に薄々気づいているようです。
トンマーゾに会いに来たアントニオ。「ミケーレを迎えに行ったが、遅すぎた。お前のせいだ。お前がローマの大学に行くために俺はここに残り、お前だけが気ままな暮らしを」とトンマーゾをなじるアントニオに、トンマーゾは「兄さんがはじめから話してくれれば俺も追い詰められずにすんだ」と言い返します。「家族に自由を奪われた。俺達は?相手のものを奪い合う。いつだって俺が取るかお前が取るかで喧嘩してる。やっと手に入れた人生だ。引き返す気はない。たとえ辛くても」と言ってアントニオは去っていきます。
「仕事は精一杯やったけど、何も感じない。俺は作家になりたい」と言うトンマーゾに追いすがるヴィンチェンツォ。しかしトンマーゾは「何も話し合うことはない」と立ち去ります。翌朝、妙な騒ぎを察してトンマーゾが起き出すと、祖母がベッドの上で自殺していました。
町を走り抜ける、祖母の遺体を載せた霊柩車。
「死にたいほどつらい時にこそ、微笑みを忘れるなとニコラが教えてくれた。家から私の声が消えても悲しまないで。人生の舞台は無限なのだから。死んで、また戻って来る。全てが巡るの」
祖母の棺桶を一緒に担ぐも、ヴィンチェンツォは憎悪の目をアントニオに向け続けます。霊柩車の後ろを歩きながら、母・ステファニアはアントニオの腕を取り、微笑みます。
男性の手を取って踊り始める花嫁。
ダンスパーティーで踊るアルバとマルコ。ヴィンチェンツォの隣に佇むアントニオ。トンマーゾはマルコたちを見つめ、微笑みます。
まとめ

作品終盤でトンマーゾのゲイ仲間たちが家で、海で、大はしゃぎするシーン、あれめちゃくちゃ好きでした。
朗らかに歌を歌いながら、みんなで海の中で踊って。友達っていいなあ。
家でも「ゲイの歌じゃんそれ!やめなよ!」なんて友達同士で言い合いながらも、気にせず大声で歌いながらシャワー浴びちゃったりなんかして。それに釣られて家政婦のロゼッタも歌っちゃったりなんかして。もう最高じゃん!って。
しかもセクシー美女のアルバにはみんな興味なしなのに、あんまり冴えないエレナの夫・サルヴァトーレには色目を使ったりしてて、ヴィンチェンツォたちにバレちゃう!ってワクワクハラハラ。
それぞれ全然キャラクターが違うのに、それでも仲良しなところに、彼らの本気の絆を感じてすごく眩しかったです。

2010年当時描かれるゲイ像の限界はこんな感じだったのか…と後味の悪さを感じました。やっぱり私はゲイもレズビアンもあらゆる性的指向の人々もが笑って怒って泣いて、でも最後はお互いを認めて手を握り合えるようなパワフルで笑顔になれる作品が好きなんだなと改めて実感しあす。
本作はヴィンチェンツォによる強すぎる家父長制の影響が作品の頭から終わりまでずーっと続いていて、結局誰もアントニオを理解しようとしてないし、トンマーゾもカミングアウトしてないし、ただ理解ある祖母が死んだだけじゃん…という感想です。ルチアーナは男に振り回されてるし、エレナもヴィンチェンツォをはじめとする工場の男や夫たちに見下されてばかりで反撃の素振りもないし、女性の連帯も見えず、女性陣たちの顔は、あってないような、そんな感じでした。家父長制と有害な男性性、ゲイフォビア、まとめて全部まじで最悪…という気持ちを新たにしました。

本作の日本での配給はセテラ・インターナショナルという会社なんですが、主人公一家がパスタ工場を経営しているから…という理由で、パスタ会社とのタイアップが決まり、劇場前売り券にパスタをゆでるタイマーを前売り特典としてパスタ会社が500個も提供してくれたとか。実際に映画を見てみると、一家代々パスタ会社を経営してはいるものの、主人公も主人公のお兄さん(第二の主役)も、パスタ会社で働くことにさほど情熱が見えないんですよね。特に主人公は作家になりたいという夢を明らかにしています。
なので、パスタ会社の良さとか面白さ、パスタの美味しさを伝えるという点は本作は決してアピールできていないのですが…それでもタイアップしたいとパスタ会社が名乗り出たというのが面白いですね。
今回3人が見た「あしたのパスタはアルデンテ」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。
ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨