戴極国の動乱を描いた、小野不由美先生「白銀の墟 玄の月」シリーズを読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
乍驍宗が登極から半年で消息を絶ち、泰麒も姿を消した。
王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。
今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。
こんな人におすすめ
- 小野不由美先生作品が大好き📚
- 十二国記シリーズが気になる🥺✨
- 戴国、戴麒に何があったのか知りたい🤔💭
ネタバレ感想
白銀の墟 玄の月 第一巻
まさかの戴麒、独断行動。
項梁がついてはいるものの、白圭宮で何をするかは全くの未知。
よもや自分が早々に死ねば新たな戴麒が驍宗を探してくれると思っているのか?ならばなぜ阿選を新王などと言ったのか?😨
戴麒が生きているからこそみんな望みを捨てずに生きていられるのに…。自ら死地に向かっているとしか思えない行動に冷や汗しか出ません。どうか自棄にならずに、生きてほしい…。
一方、戴麒に追ってくるなと言われた李斎は方々で情報を集めた結果、函養山に手がかりがあると確信を深めています。
しかし、阿選の兵が驍宗を討った後、笑いを堪えるようにして去っていったという民の目撃証言には腸が煮え繰り返る思いです。阿選、絶対に許さない。
白銀の墟 玄の月 第ニ巻
絶望のラストでした。
驍宗は死んだ?だとしたら阿選が本当に新王になってしまうのか?戴麒は阿選に唯々諾々と従うのか?
それ以前に、阿選が戴麒を斬ったことが衝撃的でした。
そして戴麒が驍宗を禅譲させるためにここへ引っ立てよ、と言ったのにも驚きました。その手があったかと。
阿選を新王とするのは危険な賭けですが、そもそも驍宗側の手勢が片手で数えられるほどしかいない状況を考えるとこれほどの奇策でなければ状況をひっくり返すのは難しいのでしょうね…。しかし、張運が戴麒の冷ややかな対応に慄いていたのにはスカッとしました。あと耶利がどんな人物なのかも気になります。
阿選と琅燦の関係、彼らの思惑も謎です。阿選も琅燦も、民のことなどどうでもよく、天を試して遊んでいるのか?それにしては、阿選の妙な様子が怖いです。
戴国はもはやどうしようもないのでは、という陰鬱な気持ちでいっぱいです。
本を閉じ、内容を思い返すほど、自分の食事を兄弟にやって死んだ少女のこと、孫を守ろうとして凍死した老人のこと…そんな暗澹たる光景ばかりが思い浮かびます。
これから阿選が本当に新王になるのかもしれないし、もうこの国では富を元々持っている者以外誰も幸せになれずに早く死にたいと皆が待つ国になるのではないだろうか…そんな予感しかしません。
感想を書きながら、新王阿選の報や戴麒への欺瞞に苦しむ李斎を思い出しては涙が止まりません。
どうして天は戴国民を、李斎を、驍宗を、戴麒を、こんなに傷つけるのか。天は一体何をしたいのか。悔しさと悲しさで、心が虚ろです。
白銀の墟 玄の月 第三巻
まさか阿選が妖魔を使っていたとは…耶利も琅燦も黄朱(黄海に住む浮民)出身というのも驚きでした。黄海に人って住めるのか!
妖魔に詳しいし、王や麒麟などへの敬意もない、どちらもたしかに性格が似てます。
阿選の周りの者が魂魄が抜かれたような状態なのが、よもや次蟾という妖魔の仕業だったとは…これまた琅燦の入れ知恵だったわけですが。
しかもあえてそういう状態にさせてたわけですよね。
驍宗様を討つ前後で本当に阿選は変わってしまったなあと思います。
しかし、やっと!やっと!!葆葉のおかげで軍備や食糧、兵士が一軍ほどは手に入ったし、霜元とも出会えた…!!
これで驍宗様さえ見つかれば元州城が落とせる!!!
そもそも、禅譲させるために阿選軍が捜索しはじめましたしね。
それに、驍宗様探しが始まったことでやはり阿選は偽王という気運が高まって来ているのも追い風です。嬉しい。
正頼と戴麒が接触したのではという疑惑をきっかけに、阿選が戴麒に誓約をさせたシーンは衝撃的でした。
何度も死を経験するような痛みと絶望を感じながら決死の思いで頭を床につけて「瑞兆でしょう」と言い切る戴麒の強さに感動しました。すごい。
琅燦の「驍宗はお前と功を競っていたからこそ違う道を歩んだのだろう」という言葉がきっかけ(?)で急に政務に取り掛かる元気を取り戻したのも面白かったです。阿選はほんと驍宗様好きだな…。
そして驍宗様…!!!よくぞ生きていてくださった!!!!
肌を破って骨折した脚を自ら切りくっつけなおしたり、穴を掘ったり、6年間決して外に出ることを諦めなかった驍宗様の信念の強さに泣きます。
驍宗様の前に騶虞が現れたのは、良い兆候なのでしょうか。
そして、項梁の無事も気になります。
白銀の墟 玄の月 第四巻
阿選は…どうやって討ち取られたのでしょう。
そして、結局琅燦は何がしたかったのか。悪戯に阿選を唆し、戴麒に手を貸し、戴国をめちゃくちゃにした。その罪は問われたのか?
読後真っ先に思ったのはその2点です。
一番好きなシーンは、友尚の部下である士真が負傷しているから驍宗奪還に付き添えないと自分の不甲斐なさを悔やんでいるのに対して声をかけるシーン。
「お前が来るときには、必ず阿選様をお連れするように(主公の首を取れ)」「それが我々麾下の務めだ」…主の命なら死すら厭わぬ兵が、差し違えてでも殺さねばならないと思うほどの主…軍の中でもとりわけ品行方正だと謳われた阿選の部下たちの六年間の苦しみを痛感したシーンでした。
それにしても、驍宗様が民の前で断罪されるまでの展開はあまりに絶望的でした。
一体ここからどうなればハッピーエンドになるのか、決してなるはずがない、天は戴国を苦しめただけだったと絶望と諦念を感じながら読み進めていました。
まさか、血を厭う戴麒その人が警護の者を斬り捨てるとは…。阿選も動揺するはずです。きっと誰も予想できなかったでしょう。
驍宗様の前で叩頭した後、すぐに戴麒が転変できた時には思わず本を閉じて立ち上がっていました。ただただ涙が溢れて、「勝った」と思いました。天に、無情さに、人類に、諸悪に、驍宗様や戴麒や李斎…正義の道を歩む者たちが勝った。
思えば、この4巻ではいろんなことがありました。
驍宗様が函養山の底から黒騶虞を折伏して脱出し、李斎たちは土匪を助け王師軍を敗北させ味方にし、一度は驍宗様が捕らえられ仲間たちは壊滅させられもう後がなくなったと思ったら戴麒、英章、臥信、延麒が驍宗様と李斎たちを助けに来てくれた…。
長く暗く困難な道のりだった…よくぞ驍宗様と戴麒、そして李斎をはじめとする驍宗様麾下は生き延びて、立ち上がってくれた…感動がじわじわと込み上げてきます。
まとめ
ラストがとても簡素で、アレ!?もう終わり!?という感じでしたが、むしろ阿選や彼におもねっていた人々がどんな最期を迎えたのか妄想が膨らみます。
しかし戴国は本当に長く耐え忍んだ…これからやっと雪解けの時代だと喜びで視界が滲みます。
ドラマチックなシーンが盛りだくさんで、4巻もあったのにあっという間に読んでしまいました。(1日1巻のペースで読んでしまった…もったいない😭)
面白い本はどうしてこう早く読み終えてしまうのか…。その後の戴国のことをもっと知りたいです。
戴国に幸あれ!!!!!😭👏🌈✨