映画「ユートピア」のネタバレ感想|先生、愛ってどんな形をしているの?

映画

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今回観るのは、香港インディーズ映画界の異才スカッド監督が、異性愛と同性愛の両立をテーマに、男女の新しい愛のかたちを模索した長編第6作「ユートピア」

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ

引用:Amazon.co.jp: ユートピア(字幕版)を観る | Prime Video

三島由紀夫を敬愛する男子大学生とバイセクシャルの男性教員 のお話。

<あらすじ>
三島由紀夫を敬愛する青年ヒンズと恋人ジョーイが通う大学に、古代ギリシャ文化を研究するミン教授が赴任してくる。
ミン教授は学生たちの前で自分がゲイであることを告白し、教室のスクリーンに自分と男性が裸で抱きあっている写真を映し出す。
カソリックのジョーイは嫌悪感を露にしてその場を去るが、ヒンズは困惑しながらもミン教授に惹かれてしまう。

 

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こんな人におすすめ

  • 愛とは何か再考したい💭
  • 人間の欲望に塗れた映画を見たい🎞
  • 哲学的な愛の解釈を体感したい📝

 

 ネタバレ感想

香港で大学に通うヒンスは、毎晩全裸で磔にされた自分が仮面を着けた裸の男女にいたぶられる夢ばかり見ていました。ヒンスは三島由紀夫のファンで、恋人のジョーイには「正気じゃない男の本ばかり読むからだ」と言われます。

自室からリビングに降りていくと、母から「今日は父さんの命日だから早く帰るように。ジョーイも誘って」と言われます。ヒンスは父の跡を継いで船乗りになろうかとふざけて提案しますが、厳しい口調で咎められます。彼女にとっては一人息子のヒンスが何よりも大切なのです。

そんな折、大学にオーストラリアで古代ギリシャ文化とユートピアについて研究していたミン教授が赴任。
彼は授業初日に自分と裸の男性が抱擁する写真を生徒たちに公開し、同性と関係を持ったり空想した人はいるかと尋ね、自分はゲイだと話します。

彼はアリストテレスらが生きた2500年前の古代ギリシャでは妻以外の若く聡明な男性と関係を結ぶことが推奨されていたと話します。クリスチャンのジョーイはそれに強く反発し、同性愛は穢らわしいから写真を早く消せと教授に怒鳴ります。ミン教授はかつてローマ教皇は同性愛者が神を求めることに賛同したと彼女を諭しますが、ジョーイは激怒して講義から出て行ってしまいます。

講義を終えたヒンスは、ジョーイから「今夜は行かない」というメッセージを受け取ります。彼は自分の周りの全ての人間が全裸であったらと昼食を食べながら夢想します。

昼食を終えると、ヒンスはミン教授に恋人のジョーイが失礼な態度を取ったことを謝りに行きます。そして三島の自殺とソクラテスの死には共通点があるのかと尋ねます。ミンは「至上的な命は得られないと信じたから彼らは死を選んだのだ」「彼らは詩人だ。神からの評価を大切にする。俗世の人間とは違う」と説明します。

ヒンスは「三島の少年時代の目ー逞しい男性に惹かれる感覚が僕の中にはあります。今日の講義で自分自身を理解したいと思ったんです」と説明します。
ヒンスはどこか心が軽くなったような気持ちで帰宅します。

ヒンスは母にパートナーが欲しいとは思わないのかと尋ねますが、彼女は「これが運命」とにべもなく返答します。
バーでのバイト中、ヒンスはジョーイから「反省しろ」とメールを受け取り困惑します。スワンという女性に絡まれるヒンス。

ミンと無邪気に仲良くするヒンスを見て、ジョーイは憎しみを募らせます。
ジョーイは歌唱レッスンを受けており、臨時のピアノ講師スワンに恋の悩みかと図星を突かれます。ジョーイがスワンに恋敵がいるなら同性と異性のどちらが良いか尋ねると、スワンは恋敵も友達にしたいと笑顔で答えます。

ミンの研究室を訪ねたヒンスは、なぜか研究室を片付けているスワンに再会します。スワンは研究助手なのだそうです。スワンはミンに恋愛感情を抱いていると言い、ヒンスも同じなのだろうからもっとオープンに生きればいいと演説します。

スワンは突然ヒンスにキスし、「かわいいのね。でも自分に嘘をつかないことが一番よ」とアドバイスします。
ミンが来るとヒンスは帰り、ミンはヒンスに日曜日は暇かと尋ね「君の視野を広げてあげよう」と意味深な言葉をかけます。

日曜日、ミンが指定した待ち合わせ場所には大勢の青年達がいました。ミンは船に乗って来て、彼らを乗せます。青年たちは裸で海に潜ったり船上での会話を楽しみますが、ヒンスは恥ずかしがって服を着たまま船の中に引きこもります。

ミンは服を脱いだ青年たちを集めた意味を問うヒンスに、「君に理解しやすくしたんだ」と言います。
ヒンスは青年たちに服を脱がされ、楽しみ始めます。ミンはその間、水着姿の女性たちに囲まれながら読書をしています。
ジョーイから電話がありましたが、ヒンスはそれに気づきません。

ヒンスはおもむろに裸のまま海に飛び込むと、ミンの船を見送りとある島に流れ着きます。
明かりが見えたためそちらへ行くと、ミンは見知らぬ青年とセックスしていました。そして、セックスしていた男性から何度も矢を受けて彼は息絶えます。しかしそれはヒンスの妄想でした。

翌日、ヒンスはジョーイの家を訪ねます。見知らぬ裸の男とトランプをしていたジョーイ。彼女は男を友達だと言いますが、ヒンスは彼女が自分を裏切ったのだと思い激怒。彼女を無理やり抱こうとしますが抵抗されます。
ヒンスは自宅で自慰をします。

ジョーイはミンの研究室に乗り込み、ヒンスと3年間も付き合っていること、彼はミンのタイプではないはずだから近づかないで欲しいと思っていることを告げますが、ミンはヒンスの方から近づいて来たのだと言い断ります。
ミンはヒンスを共有すること、ジョーイがミンを愛することをしてみてはどうかと提案します。議論に疲れたジョーイを、ミンは一緒にピアノを弾こうと誘います。
愛を共有することは罪にならないとミンはジョーイに語りかけます。

ヒンスはバイト先のバーでスワンに口説かれます。ヒンスは自分のことも社会のことも知りたいが、突き詰めると土台を失って別の人間になってしまい後悔する気がするとスワンに溢します。
ヒンスは自分にミンは相応しくないと言いますが、スワンは昔アリストテレスに若く優秀な恋人アルキビアデスがいたことを話し始めます。

ミンからクルージングでの旅行に誘われるヒンス。ミンは自分の宿泊先にヒンスを呼びます。大量の男娼を呼び、快楽に耽るミン。ヒンスは怒り、部屋から出て来ません。
ヒンスはミンに「僕が欲しいんですか?」と尋ねますが、ミンは「人生で最も大切なものを分かち合いたいんだ」とはぐらかします。

ミンとヒンスは船に乗り、三島が小説の中で描いた暁の寺に向かいます。興奮したヒンスは思わずミンに深いキスをします。
観覧車に乗ると、ミンは人生という輪廻を神々が回しているという詩を誦じます。そして輪廻転生がなくても今という美しい時を共有できたのならそれでいいとヒンスに告げます。

ジムで汗を流し、プールで泳ぎ遊ぶ2人。生まれたままの姿になって、ミンとヒンスは愛し合います。アルキビアデスは師匠の知性に惹かれ、彼と親しくなる好機を逃すくらいなら民衆に罵られても構わないと言ったそうだとヒンスはつぶやきます。

その夜、ヒンスはジョーイにミンとセックスしたことをメールで告げます。
ジョーイはスワンに「愛って何?」「愛とは罰よ!」と泣きつきます。ジョーイは愛を絶つ方法を教えてとスワンにせがみ、頭の中にあるヒンスとの記憶を1つずつ消していこうとします。しかし彼女はできず、泣き出します。

後日、ミンはヒンスとセックスしたことで捕まります。未成年がセックスすることは香港では法律違反なのです。ミンの禁固刑は免れないだろうと刑事に言われ、絶望するヒンス。ミンは「法は犯したかもしれないが私は不道徳な人間じゃない」と堂々としています。

ヒンスは父が幼い自分の前で服を脱いでいき、全裸で入水自殺をする夢を見ます。ヒンスは保釈金が払われたおかげですぐに出所することができました。スワンとジョーイに出迎えられます。そこにジョーイの新しい恋人と思われた男が現れ、ガビンと名乗り、ジョーイのいとこなのだと自己紹介します。

ミンは保釈金なしの再拘留、ヒンスは保釈の延長とい判決を受けます。大学で生徒達に白い目で見られるヒンスを守るジョーイ。ヒンス、ジョーイ、スワンはどうにかミンを保釈しようとし、調査します。するとヒンスが実は中国生まれの申年ーつまり成年と認められる21歳であることが分かったのです。

ヒンスは母親に「僕を許せないことってある?」と尋ね、「先生と関係した」「実は先生は男なんだ」と打ち明けます。

後日、裁判所に呼び出されたヒンスの母。ヒンスの出生証明書が2枚あることを説明させられます。
20年以上前、母の親友ホアンが男に捨てられた絶望のあまり生まれたばかりの赤ん坊を押しつけてどこかへ逃亡・飛び降り自殺したのでした。当時父は商船で船旅に出ており、母は新しく10ヶ月後に出生証明書を発行してもらい直したのでした。
文書偽造は罪になると検察に詰め寄られる母を見ながら、ヒンスは涙を流します。

ヒンスは文書偽造とはいえ軽度だから母に本土に送還されずに済むはずだと言い、母は胸を撫で下ろします。
母は男は見聞を広めた方がいい、でも自分を大切にしなさいとだけ告げます。
母は彼の生みの親の写真をヒンスに渡しますが、なんとヒンスの実父は「ゲイになる前に法律を勉強するんだな」とヒンスを侮辱した刑事でした。ヒンスは母に写真を戻します。

後日、ミンとヒンスが釈放されたことをミン・ジョーイ・ミン・スワンの4人で祝います。ミンはスワンと結婚して10年以上経つことを話し、スワンはミンが自分にとってのソクラテスなのだと話しながら裸になっていきます。
2人はこれが自分の最後の講義だと言い、ヒンスとジョーイの目の前で「これがユートピアだ」とセックスし始めます。
これまで婚前のセックスは教義に反すると頑なだったジョーイはその場の雰囲気に流され、4人でセックスをします。

後日、4人は孤島で裸で麻雀を楽しみます。ミンは学校を解雇されたと報告したスワンは、続けてこれからオーストラリア、タイに行くつもりだと話します。
ジョーイは「毎日がこんなに楽しかったらいいのに!私たちも一緒に行っていい?」と尋ね、ミンとスワンは快諾します。
ヒンスは母のために香港に残ると言い、「ユートピアの新地を開拓する」と明るく皆に告げるのでした。

数年後、ヒンスはミンと同様の講義をしていました。そして画面に映し出されていたのは、自分とジョーイ・ミンが絡み合った画像でした。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

独特の世界観の映画でした。

随所にソクラテスと彼の弟子であり恋人であったアルキビアデスの話、三島由紀夫の作品の話が出てきて、愛は所有・執着するものではなく共有するものだという解釈が展開されます。

理解はできても受け入れることができないのは、倫理感や道徳感のようなものが私をまだ縛っているからなのかなと感じました。

彼らほどあけすけに生きられたら、人生はもっと豊かなのかもしれません。

小錦あや
小錦あや

たくさんのセックス描写を見ながら、セックスとは何だろうと思いました。

男女の性を問わず交わることは心の解放に繋がり、最終的には知の交わりに繋がるのでしょうか?少なくとも本作ではそんな主張がされていたように感じます。

私は知的解放は快楽に繋がることは理解できても、逆に性的に交わったからと言って知的な交わりが生まれるわけではないと思います。

なので、ミンとスワンは単純にセックスが好きなだけであるにも関わらずそれが知的解放に必要不可欠であるように若者達を洗脳しているようにしか感じられませんでした。

しかし映像が美しかったので、本作の主張は理解しがたくとも見ていてとても興味深かったです。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

個人的にずっと気になっているのが、ヒンスが夜に島で見た「ミンが矢に射られ殺される」シーン。あれは矢=世間の声という意味だったのでしょうか?🤔

また、ヒンスが作品冒頭で見ていた大勢の男女に性的にいじめられ快楽を得るシーンは、彼の中に潜む暴力的なまでの性的衝動を表していたのでしょうか。

このように本作は比喩的なシーンが多く、またその解釈は見た人によって変わると思うので、いろんな人の感想を聞いてみたいな〜と思いました。

今回3人が見た「ユートピア」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。

ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨

引用:Amazon.co.jp: ユートピア(字幕版)を観る | Prime Video

 

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