虫歯先生「2と車」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
メジャーデビューを目前に控えたソロシンガー・二兎(にと)。
ある日、自作曲の楽譜を忘れ取りに戻ると、勝手にそれを演奏している男・来間(くるま)に遭遇する。
めちゃくちゃなアレンジと演奏に文句を言おうと思った筈が、何故かその音に引っ張られるように歌ってしまい……。
こんな人におすすめ
- 音楽モノ・バンドモノ書きのBLが好き🎸
- 虫歯先生の作品が好き🦷
- 独特の絵柄の漫画が好き🖋
ネタバレ感想
①天才来間との距離感に悩むニ兎に共感
来間とのセッションがあまりに心地よいニ兎は、来間を恋愛的に好きだ、彼とセックスしたい、と思うようになりますが、来間は「ステージの上が一番興奮するのに、降りてからやる事なんてないです!」と、一刀両断。
しかも来間はニ兎とでなくともいい音を出せると知ってさらに落胆します。「俺は君じゃないと駄目なのに、君は俺じゃなくていいんだ」と…。
絶望しながらも、それでも来間の横に立っていたいと狂おしく願うニ兎の来間への一途な愛に泣かされます😭
②「音楽しかない」来間の苦しみに涙
一方、なんでも天才的感覚でできてしまう来間にも苦しみがありました。それは、「自分には音楽しかない」のに、作曲のスランプに入ってしまったこと。
ニ兎に「世界一かっこいい俺でいるからついてきて」と大見得をきってデビューにこぎつけたのに…と、ニ兎を頼ることもできず一人で苦しみます。
自分にはこれしかない、なのにそれができなくなった時の苦しみとはどれほどのものでしょうか…。
亡霊のようになり、音楽から離れて生きていこうとまで決意していた来間でしたが、それを引き戻したのはニ兎の音楽でした。
「君が座り込んでも立ち上がらせてみせる」「どんな君もかっこいいぜ」と来間の背中を押すニ兎こそ誰よりもかっこよくて、泣けてきます😭
③共鳴し合う二人の「音楽」に感動
来間がスランプを抜けて復帰してくれてから、ニ兎は来間に恋慕をぶつけるのは一切やめようと自身に誓います。しかし来間を密かに求めて求めてぐちゃぐちゃになることは止められません。酒を飲み自慰で紛らわせようとするニ兎でしたが、うっかりと来間に本音を暴かれてしまいます。
二人の想いが繋がった時に来間が言った、
「人が苦手なのにバンド組んで
自分のことが嫌になるくらいオレのことで苦しんで
苦しくて寂しいのにそれでもオレと離れられない
めちゃくちゃになってる二兎さんは
美しい音楽です」
という言葉は、とても詩的で…今まさに二人が真に一つになったのだと思わされました😭
来間とニ兎というそれぞれの音楽が共鳴して「2と車」となり、人々の魂に音を刻んでいくのだなと思うと、たまらない気持ちになります🥹✨
まとめ
カリスマシンガーソングライターの二兎は、楽譜を落とした日にそれをめちゃくちゃなアレンジで弾いているギタリスト・来間と出会います。
来間の演奏はとてつもなく破壊的なのに、それを「気持ちいい」「かっこいい」と思ってしまう二兎。来間とセッションするたびに昂り、きっと彼も同じ想いだろうと恋心を確信する二兎でしたが、来間は「舞台の上が全て。それ以外にすることはない」とあっさり一刀両断。
二兎は「自分の音楽には来間しか合わないのに、来間はどんな音楽にでも合わせられる」ということと、「自分と来間は同じ昂りを共有していると思っていたのに違った」ということに打ちのめされながらも、彼の音楽に心底惚れてしまった弱みで一緒に音楽活動を続けます。
二兎と来間という違うベクトルの音楽の天才二人が交わった時、すごい化学反応が起きている感覚は紙面からでも伝わってきました。聞こえないはずの音楽が聞こえる気がして、虫歯先生の画力、表現力に震えさせられます。
音楽が好きな方、努力で勝てない相手に出会ったことがある方、人生を賭けるくらい好きなものがある方、誰かや何かに焦がれたことがある方に、絶対に刺さる物語です。
がむしゃらに何かを好きだと叫びたくなる、そんな青臭い感情を呼び起こしてくれるロックな名作です。