2019年も終わりましたね…2019年上半期のおすすめBL作品は紹介してたのに、下半期版を紹介するのをすっかり忘れていましたw
ということで、2019年下半期「これだけは読んでほしい!」おすすめBL作品を選びました!!
「最近のおすすめ作品知りたい!」「何を読めばいいか分からないよ〜」って方はぜひ参考にしてください🥰💓
2019年下半期、おすすめBL作品BEST10はコチラ!!
バーン!!!!✨
どうでしょうか!? パッと見て気になる作品はありましたか?
では各作品の詳細を、以下ご紹介します😊✨
まずは漫画編から!
明治カナ子「ためつもの」
山の神の声を聞く能力を持つ「覡(かんなぎ)」という立場の受けと、受の栄養分として生きる攻めのお話です。3カップルの物語が収録されています。
「覡が山の神の声を聞くには、栄養分となる相手と心も体も深く通じ合わなければいけない」
のですが、メインカップルである豊(覡の栄養分、攻)と定用(覡、受)はお互いに意地っ張りでうまくいきません。
覡とパートナーには相性があり、豊と定用は相性がいいはず…なのに、顔を合わせれば喧嘩ばかり。
一方、定用の弟、わたる(覡、受)はパートナーの竜(覡の栄養分、攻)ととにかくラブラブ!!
定用をさしおいて、覡としてぐんぐん成長していきます。それに焦る定用。豊との関係を修復しようと歩みよる努力をするようになり…???
…とこんな感じのストーリーです。
これがもう本当に面白い!!!!!
覡、覡のパートナー、山の神、それぞれが謎に包まれた状態で物語が進むんですが、読みすすめるほど少しずつ彼らの生きる世界が見えてくるんです。
それがもうめちゃくちゃワクワクする!!覡ってこういう風に生きてるのか!とか、覡のパートナーってこれしたら死んじゃうの!?とか、山の神って一体…?とか、もう次から次に謎と答えが降ってくる感じで…。
知らぬ間に、「ためつもの」をかぶりつきで読んでいる自分に気づくはずです。私も、さて読むか!と1ページ目を開けた後、知らない間に最後のページを読んでました。すごい勢いで読んじゃう。もうかぶりつきです。
明治カナ子先生のファンタジーって、独特なんです。
男女とか人間とか動物とか神とか、この世に存在するあらゆるものが等しい存在として描かれてる…ボーダレスな視点なんです。だから、読んでて常に感じるのは「自由」です。
読者の空想の羽をどこまでも伸ばしてくれる。どこまでも自由に考えてみて、と飛ぶ空を与えられているような…そんな感じがするんです。だから、読後感がすごく爽やか。
「なんてすごい…伸びやかで美しい作品を読んだんだ…誰かに勧めたい」って絶対なります。ほんとにオススメ。
明治カナ子先生は未読だよ!という方も、随分昔読んだけどSMっぽい描写が苦手だったという方も、ぜひ読んでみてください!!!!!
甘くて優しくて、ひたすら温かい気持ちになれる物語です。
※以下は、私が個人的に布教したい明治カナ子先生作品語りです※
明治カナ子先生といえば、「坂の上の魔法使い」シリーズが有名ですよね。
王とリーの互いを深く想い合う心に、どれだけ多くの腐女子が「尊い…」と泣き濡れたことか…。私もその一人です。
王とリーの健気な愛情、何度読んでも号泣します。ラベルの可愛さに爆萌え必至です。
「ためつもの」を読んでみて、「あ、私明治先生好きだ…」と思われた方は、ぜひ!!「坂の上の魔法使い」シリーズを読んでみてください!!!!
絶対絶対後悔させません!!!!
BL史に残る名ファンタジー、名シリーズなので、一度は読んでおいて損はないです。
市梨きみ「心中するまで、待っててね。 上・下」
謎が謎を呼ぶ、2019年最凶のハートフル不穏BL
小学生の頃大好きだった近所のお兄ちゃんが、昔と変わらない姿で大学生の自分の前に現れた!
でも、お兄ちゃんには何か秘密があるようで…というお話です。
(※作品に実際に触れて衝撃を味わってほしいので、本作の紹介は最低限にします)
この作品は本当にすごかった。
下巻を読み終えた時、自分の中の感情が津波のように一気にごちゃごちゃのまま押し寄せてきて、ただただ泣くことしかできませんでした。
言葉が出ず、まとまらず、泣くしかなかった。凄まじい作品でした。
連載中は賛否両論あったそうですが、私はよくぞここまで描ききってくださった…!と市梨先生と編集部の方々に土下座して感謝を申し上げたいです。
BLはハピエン至上主義と言われるこのご時世に、ここまで突き抜けたメリバを描いてくださって…本当にありがとうございます。
上巻では2人の記憶や現在の生活における謎がたくさん描かれていたのですが、下巻はその答え合わせという感じでした。
なぜ葵兄ちゃんが引っ越しを嫌がるのか、なぜ福太の記憶は一部欠けたままなのか…。
誰も幸せじゃないようにも思えるし、福太と葵は幸せになったようにも思えます。
つらい、しんどい、血反吐を吐きながら愛を知る作品を読みたい。
そんなあなたにぜひ読んでほしい、市梨先生渾身の一作です。
松山おに「彼の植物は美しい」
目覚めると、ツギハギだらけの体で生まれ変わっていたハンス(受け?)。
ヤン(攻め?)という男によって「ユアン」という人間として蘇生させられたらしく、ハンスはユアンとして第二の人生を生きていくが…というお話が表題作です。
表題作の他に短編が3作品収録されているんですが、驚かないでほしい。
全作品めちゃくちゃ面白い。
抱腹絶倒!!みたいな面白さではなくて、「や……やばい、すさまじいアートセンス…!!!天才と同じ時代に生まれてしまった…なんて才能だ!!!」という面白さです。
ハンス(ユアン)とヤンには肉体関係の描写がないので攻め受けはわかりません。ブロマンスと言ったほうが正しいかも。この表題作が本当にすごい。
なぜヤンにハンスは蘇らされたのか?ユアンとは誰なのか?読者はハンスと共に謎多きヤンの邸宅で静かに進んでいく日々を見守ります。
でも、なかなかヤンやユアンの過去が見えてこない。
何が目的なんだ?どう終わるんだ?と、この世の天国のような邸宅内で伸び伸びと暮らすハンスを見ながら首をひねっているうちに一気にラストスパートがかけられます。
ハンスの過去、ユアンの過去、ヤンの過去、そしてハンスとヤンのこれから…。こんな華麗な種明かしがあるのか!なんてことだ!!と体中の毛が逆立ちました。
あまりに美しい!素晴らしい!!!😭✨
これがデビュー作だと思えないくらい、ラストの魅せ方が秀逸でした。
たったこれだけのページ数でここまで読者を魅了するかと、体に雷が落ちたのかと思うくらい感激します。
ぜひ皆さんにも読んでほしいです。新人さんとは思えない完成度に震えてほしい!!!!!
同時収録作品、OPERAで人気投票上位を獲得した「21時45分の偶像」「松下くんと宮下くん」は、笑いと萌えがちょうどいい抜け感で描かれています。
例えるなら、椀島子先生や重い実先生がお好きな方が好きなテイストじゃないかな?ぜひ読んでほしい…!
そして、短編「6日目きみとココで」。
これがもう〜!!!!!本当に素晴らしかった!!!!エモい!!!!エモの極み!!!!!
キリスト教の旧約聖書にある「神が世界を創造する」くだりと、ダウナー系男子高校生の退屈な日常が、それこそ神がかって華麗にコラボしている作品なんですけど…これも表題作と同じく、「そういう終わり方か〜!!!くう!!粋だな!!!」って悶える人続出だと思います。松山先生は神👼
2019年BLコミック界最強の大型新人を、ぜひ皆さんの目で確かめてほしいです。
ハル「4月の東京は… 上」
切ない!愛しい!中学時代から続く、長い長い両片想いの物語
本作は上下巻あって、下巻は2020年6月1日に発売予定!!!!
正直待ちきれないです。
新入社員としてアメリカから東京に戻ってきた和真(攻め)は、会社で中学時代のクラスメイトで、今はトップデザイナーとして活躍している蓮(受け)と10年ぶりに再会します。
和真にとって蓮は、親友で初恋の人で初めての相手でした。
強く美しい蓮を和真は一途に愛し、蓮も和真を愛してくれていたはずだった…けれど、蓮は中学3年生の夏に突然姿を消します。
その後、和真は必死で蓮を探し続けますが見つかることはありませんでした。
再会した蓮は中学時代の話を異常に避けますが、それ以外はかつての蓮と全く変わらぬ様子。
でも、ある夜、ふたりはふとしたきっかけで再び関係を持ってしまい…!?というお話です。
勘のいい方はもうお気づきかもしれませんが、この「中学時代」がキーポイントなんです。
中学時代の2人がね、もうね…ほんとに涙なしでは語れません。
この中学時代のエピソード、幸福と絶望を一度に味わえます(死)
大好きな蓮に置いて行かれた和真の悲しみも辛いけれど、当時の蓮の心境を思うと…言葉がないです。
自分が蓮の立場だったら、死んでしまいたい、誰でもいいから今殺してと思うのではないかな…。
一度は愛し合うもすれ違ってしまった中学時代を経て、一晩の過ちを犯した2人。
彼らがこれからどうなるのか…ぜひ見届けてほしいです!!!!
ハル先生は絵柄が個性的なので、絵柄で読まず嫌いをしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
が、そこをぜひ騙されたと思って読んでほしい!!!
実は私も友人に勧められるまで未読だったんですが
ほんとストーリーが神だから!読んだら分かるから!!絵も最高だから!!
と強引に布教され読んだところ、どハマりしたクチです…。私も友人と同じ言葉で皆さんに布教したい。
前提知識ゼロで試し読みしても「リーマンものか?」くらいの感想になっちゃうんですが、「中学時代、2人は愛し合っていた。受けはある事情で姿をくらまし、攻めは必死で受けを探し続けていた」という前提で試し読みを読んでもらうと、相当やばいです。
2人の表情、特に和真の言動ひとつひとつにグッとくるはず…!
今ならまだ下巻発売前なので、下巻発売日までファンみんなで待つという楽しみを一緒に味わえます!!!!!
ぜひ試し読みだけでも読んでみてください!!!!!
絵津鼓「JOY Second」
絵津鼓先生の新作が、微妙なはずがない(=絶対名作)。
という事前の高い高いハードルを余裕で乗り越えていく素敵な作品でした。
前作「JOY」では、人気少女漫画家の豪くん(受け)が、新作のBL作品執筆の研究のためにアシスタントの阿久根くん(攻め)に擬似的に恋をしていたらいつの間にか好きになってしまって…というお話でした。
前作で無事にくっついた2人。
そういうわけで本作では、初っ端から豪くんのかわいくてえちえちな姿が見られます!!!!ヤッター!!!!
阿久根くんの、耐えるような表情サイコー!!!!😭❤️
とまあ、2人は順調にお付き合いしてるんですが、本作では前作で当て馬キャラだった響くんにもスポットライトが当たります🎉
「正しい」生き方なんて分からないけど、みんな毎日一生懸命、仕事と、他人と、自分と闘いながら生きている…。
そんな、ささやかでいじらしい、人々の営みが丁寧に描かれていました。
作中での響くんの叫び、豪くんの苦悩に号泣させられつつ、読後は「明日もがんばろ!」とスッキリした気持ちになれる、あったかくて朗らかな作品です。
本郷地下「メトロ」
本作発売前のこのツイートに興味を惹かれて買った!という方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
毎話必ず乳首責めが登場…だと…!?(ガタッ)
このツイートが流れてきた時、一瞬で私のTLが騒がしくなりましたもんね…。
おい!!乳首責めが!!!毎話あるってどういうことだ!!!!オイオイ買うしかねえだろ!!!!(クレカを出しながら)みたいな。
性に対して親から抑圧され続けてきた水葵は、通学中の電車内、いつも同じ時間、同じ車両で、見知らぬ男に体を触られていました。
ある時、水葵はその男、忍を見つけ出し、痴漢の証拠と引き換えに「電車でした以上のことを教えてほしい」と取引を持ちかけます。
水葵はマゾヒスティックな嗜好を忍の前で赤裸々に晒すほど、自由に伸びやかになっていきます。一方、無感情な忍にも変化が訪れて…というお話です。
2人の変化が淡々と描かれるんですが、本作で注目してもらいたいのは「空白の美」です。
本郷先生は作品の中でほとんど説明をされません。
このキャラはどんな性格で、どんな家族構成で…と文字には表さず、背景の景色やキャラの言動・表情から推測させます。
この手法が、本郷先生のさらりとした絵柄と絶妙にマッチしていて本当にニクい…!!!
再読するほど謎が深まり、読者の数だけ作品の幅が広がる、面白い作品です。
闇を抱える男と抑圧に苦しむ少年が、艶っぽい化学反応を起こしていくさまをぜひ目撃してください…!!!🔍✨
こふで「べな」
見世物小屋で働く「壱」は、バケモノとして捕らえられた少年「べな」と出会い、親元に返そうと二人で脱走します。
長屋で身を寄せ合い、日々のささやかな幸せを噛み締める2人ですが、べなは人ではなく「鬼の子」で…というお話です。
この作品の一番の見どころは、「疾走感」です。
万華鏡のように次々と美しい絵が展開していくので、美の過剰摂取で脳も心も祭り状態になりますw
これを見て!あれを感じて!という作者の愛、情熱が感じられる、すさまじい熱量のデビュー作。
ぜひとも、こふで先生の「江戸愛」を実感してほしいです。
加東鉄瓶「トゥードランク・トゥーハードオン」
エリートでプライドの高い部長・野田は、EDが理由で離婚したことに傷ついていました。
しかし、ある時かわいがっている部下の猿渡に陰でバカにされているのを聞いてしまいます。
野田は彼に(性的に)キツイお仕置きをすることに。野田は、猿渡は一体どうなる…!?というお話です。
とにかく絵が!!美しい!!!
麗人といえば画力の高い作家さんが多いことで有名ですが、加東先生の「画力の高さ」と「個性の濃さ」はずば抜けています。
肉感的な肉体、多彩な表情、魅力的なキャラ設定…これでハマらずにいられるかー!!と叫びたくなります。好き!!
表題作他、短編3本が同時収録されていますが、各作品それぞれ全く違うテイストで書かれているのに、すべてが高い技量で美しくまとめあげられています。
加東先生の描く肉体美に、あなたもハマってみませんか??
さて、ここからは小説編です!!
伊勢原ささら「天使のギフトとしっぽの願い」
ひとりぼっちの1人と1匹、幸せな愛の物語
施設で育った聡史と地域猫の風太は大の仲良しです。両親のいない寂しさを隠してまっすぐに成長する聡史にいつも寄り添ってきた風太。
ある日、風太が目を覚ますと、風太はなぜか人間の姿に変わっていました。過去の記憶を失ったまま聡史と再会するのですが…。
あたたかい感動の涙を流せる本、そんな素敵な本に出会える機会は、そう多くありません。
この作品は、そんな滅多に出会えない本の一つです。
風太と聡史、2人のお互いを思う一途な愛情に涙が溢れて止まりません。
風太と聡史と家族になりたい、一緒に人生を歩みたいとお互いの存在全てを愛しみ合う2人の尊さ、純粋無垢さに心が洗われます。
日々生活していて、ふと生きづらいなあと苦しく思った時、しんどい時、泣きたい時、甘く優しい物語を読みたい時、ぜひこの本のページをめくってみてください。
あなたの心をあたたく愛で包み込んでくれる、1人と1匹の優しい物語があります。
樋口美沙緒「わたしにください」シリーズ
傷つけて傷ついて、生きていく
クラスメイトのほとんどから名前も覚えてもらえていない「学級委員長」の路(みち)は、自分とは何もかも正反対で、クラスでもカリスマ的人気の森尾が嫌いでした。もちろん森尾も、路のことなど歯牙にもかけてはいませんでした。
ところがある事件をきっかけに、路は森尾にレイプされます。突然激しい憎しみをぶつけられ混乱する路。ですが悪夢はそれだけに留まらず…。
樋口美沙緒先生作品の中でも、ズバ抜けて「痛い」「切ない」作品が本作です。
レイプされ、いじめられ、家族に心配をかけたくなくて学校を休むことも不安を打ち明けることもできない主人公。日に日に追い詰められ、心と体が死に近づいていく描写が生々しく、涙と震えが止まりません。
しかしこの作品で目を引くのはこのおぞましい性暴力だけではありません。
主人公が追い詰められていく様を繊細に丁寧に追った心理描写、衝撃の展開、ロマンティックな幕引き、この作品全体が読者の心を惹きつけて離しません。
好きな人が自分を好きになってくれる、ただそれだけがとても難しい。でも、お互いに好きでも、一緒にはいられないこともある…。
樋口先生史上、一番切なく、一番泣ける、苦しくも甘い極上の青春ラブストーリーをぜひ読んでみてください。
あべちか「遠い国の小さな花嫁」
2019年BL小説界最強の大型新人!壮大なSF政争ファンタジーに震えろ!
ある雪深い町に、遠い国から男性の花嫁が来ます。たった一人で嫁いで来たサガルは、妻に先立たれ幼い息子を持つローランの妻になりました。
貿易商の仕事で、一年で冬の間しか町にいない彼の代わりに息子の子育てを担う一方で、寡黙だが優しいローランと穏やかで温かい夫婦の絆を紡いでいくサガル。
しかし彼には、夫には秘密にしている別の姿がありました。平和な幸せを壊したくないサガルですが、その素性を追う者たちが次々と町に現れ…。
表紙を見て「ほのぼの親子モノかな?」と思ったあなた、ある意味では正しいです。
が、本作は、映画で喩えるなら「プラトーン」「ブレードランナー」「ダウントンアビー」を足して3で割ったような、超!!!重厚で壮大な政争ファンタジーです!!!
育児シーンや家族団欒もありますが、基本的には
「戦争はなぜ起こるのか?どうすれば止められるのか?」「幸せに生きるにはどうしたらいいか?」「有限の命をどう生きるか?」
と、さまざまな哲学的な問いかけを主要キャラクターの言動から考えさせられます。
決して難しい言葉を使っているわけでも、複雑な世界観でもありません。だからとても読みやすい。だけど、とにかく深い。
本の中に、キャラクター達の日々の生活が、彼らの住んだ国が、生々しく息づいています。
読めば読むほど、彼らがどんな人生哲学を持って生きているのかを知り、自分はどうだろうと考えさせられるし、彼らの人生や国がどうなっていけば幸せなのだろうと思いを馳せさせられます。
独特な言葉遣いも個性的で素晴らしく、読み終えた時には、この作品の世界観の鮮やかさ・厚さ、作者の伝えたい人生哲学の多様さ・深さに「この文章が新人のデビュー作…!?」と衝撃で言葉をなくしてしまうはずです。
読後、自分に与えられた命を全うしよう、自分が自分のために・家族のために・国や世界のためにできることは何だろうと真剣に考えたくなる壮大なお話です。
かわいくてエッチで強くてかっこいい、サガルの物語をぜひ読んでみてください。
ライラ・ペース「ロイヤル・シークレット」
国際的なニュース配信社「グローバル・メディア社」の記者、ベンジャミンは、上司の命令でケニアへ赴きます。英国の次期国王ジェームス皇太子を取材するためです。
取材に乗り気でなかったベンですが、滞在先のホテルで、ひょんなことからジェイムスその人と知り合います。
知的でユーモアのセンスもあり、気さくなジェームスの人柄に好感をもつベン。ジェイムスもまた物書きだというベンの、堂々とした佇まいや率直さに引かれていきますが…。
この作品の推しポイントは、M/Mロマンス(海外BL)小説ならではの社会的な視点!!
日本のBL作品は攻と受、個々人のやりとりを描くことが多いですが、M/Mロマンス小説は家族と本人の関係や家庭環境と本人の性格・性嗜好に関する描写がかなり多い印象です。
またその中で、うつ病など精神病患者やホモフォビア、レイシストの存在などさまざまな社会問題についても公平な視点で触れています。
皇太子がゲイだったらどうなるのか?皇太子自身の葛藤や、マスコミへの対応方法、愛する人とどう付き合っていくのかなどが、リアルに描かれます。
ゆるふわなBLには飽きた!重厚で読み応えがあって、しかも超エロいやつが読みたい!!そんな時にぜひおすすめしたい一冊です。
葵居ゆゆ・羽純ハナ「ガーランド-獣人オメガバース- 上・下」
獣人BLの金字塔!獣人オメガバースシリーズ最新作
上流貴族のハーレムにオメガを派遣することで繁栄したミュラー家。そんなミュラー家に生まれたオメガのジルは自分の運命を受け入れられずにいました。
オメガらしく振舞えず、家族からも見放されて育ったジルは、追い出されるように幼馴染の獣人貴族のアルファ・アルバートのもとに嫁ぐことが決まります。
オメガという運命は変えられなくても、優しいアルバートに嫁ぐことが幸せなのだと自分に言い聞かせ過ごす毎日。そんな時、ひとりの獣人がミュラー家を訪れます。国一番の名門貴族ジークフリード家の三男ディエゴです。
ミュラー家の異端児・ジルをハーレムに迎えると勝手に決めてしまう傲慢なディエゴに反発するジルでしたが…。
ダリアコミックス「ペンデュラム-獣人オメガバース-」といえば、獣人×オメガバースというBLではもはや王道となったジャンルの先駆者的作品です。(全2巻)
本作はその外伝的な物語で、レムナントのメインカップルの攻であるジュダの両親、ディエゴ×ジルのお話です。
ディエゴとジル、そしてジルの許嫁のアルバート、ディエゴの兄のトネリア…様々な立場の人々の思いが絡まる、切ない恋の物語です。
誰かが幸せになるとき、誰かが泣いている…宇多田ヒカルの歌を思い出す、切ない作品です。
久我有加「七日七夜の恋心」
伸び悩む若手落語家 守博は、艶っぽい話とは縁遠い非モテ男。落語への自信を喪失していた矢先、美貌の関西最後の幇間(太鼓持ち) 弥助に出会い、すっかり心奪われてしまいます。
弥助にまた会いたいと願う守博だったが、弥助は百戦錬磨の遊び人で…。
このお話のイチオシポイントは、なんといっても「京都の花街・芸妓さんや落語家さん方の日常描写の丁寧さ、美しさ」!!
京都の街の湿度、温度…空気感が肌に伝わってくるように感じられる、久我先生の卓越した描写力をぜひ味わってほしいです。
そして、守博のヘタレさと弥助の小悪魔っぷり。2人の濃いキャラクターが面白く、些細な言動にもふふっと笑ってしまいます。
粋な京の街で繰り広げられる、不格好なラブストーリー。一途で健気でかわいい、年下男子の恋模様をぜひ見てみてください。
稀代の新人たちが流星のごとく登場!!今後に大期待
2019年下半期は、漫画界では松山おに先生、小説界ではあべちか先生と超巨大新人が登場しました。今後の活躍が楽しみすぎるお二人です。
小説界は人気作家によるシリーズ物の発行が多かったように感じました。
2020年上半期も期待が高まります!!
上で紹介した、おすすめBL作品BEST14、ぜひ読んでみてくださいね🥰💓
あべちか先生「遠い国の小さな花嫁」は、本当に本当におすすめです。
たくさんあって選べないよー!という方は、まず「遠い国の小さな花嫁」をぜひ読んでみてください。
お値段以上どころか、もっと払わせてほしい頼みますこの通りですと先生に土下座したくなる傑作です🥇✨