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僕が僕のままで在るために、自分の意志でここに居る――、「インスペクション ここで生きる」。
エレガンス・ブラットン監督の実体験が基になった本作では、主人公がゲイという性的指向のために理不尽な検閲(インスペクション)に遭いながらも、ありのままの自分でいたいともがく過程を鮮やかに描き出しています。
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- アメリカの性的マイノリティの生き方を見たい🌈
- 米軍の中でのゲイのリアルが知りたい🔫
- セクシャリティと家族の関係について考えたい🧑🧑🧒
以下、作品情報や見どころ、ネタバレ感想などをご紹介します。
早速見てみましょう!
映画「インスペクション ここで生きる」の基本情報
タイトル | インスペクション ここで生きる 原題:The Inspection |
製作年 | 2022 |
製作国 | アメリカ |
脚本 | エレガンス・ブラットン |
監督 | エレガンス・ブラットン |
キャスト | ジェレミー・ポープ |
配給 | ハピネットファントム・スタジオ |
上映時間 | 95分 |
映画「インスペクション ここで生きる」のあらすじ
引用:インスペクション ここで生きる|フジテレビの人気ドラマ・アニメ・TV番組の動画が見放題<FOD>
ゲイであることを理由に母に捨てられ、海兵隊員を目指す青年 のお話。
<あらすじ>
ゲイであることで母に捨てられ、16歳から10年間ホームレス生活を送っていた青年・フレンチ。
どこにも居場所を許されず、自らの存在意義を追い求める彼は、生きるためのたったひとつの選択肢と信じて海兵隊への入隊を志願する。
だが、訓練初日から教官の過酷なしごきに遭い、さらにゲイであることが周囲に知れ渡るや否や激しい差別にさらされてしまう……。
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映画「インスペクション」のスタッフ・キャスト紹介
監督:エレガンス・ブラットンさんについて
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1979年生まれ、アメリカ/ニュージャージー育ち。海兵隊在籍時に映像記録係となりキャリアをスタートさせ、長編デビュー作である映画「インスペクション ここで生きる」を世界最注目のスタジオ「A24」で製作しました。クィアで黒人であるせいで社会からのけ者にされている自分を癒すために、映画を撮り始めたそうです。(引用:インスペクション ここで生きる 特集: 解説・見どころ/ゲイを理由に母に捨てられる→10年間ホームレス→海兵隊志願 A24最新作は“衝撃の実話”だった – 映画.com)
海兵隊に入ったことで、エレガンス監督は、軍服を着ていなければ自分のことなど相手にしなかった仲間に対して、不可欠な存在になろうと努めること――その体験を通して「自分には実は何の問題もなく、問題なのは自分を変えないと馴染めない社会だ」と考えを深めました。
「この映画は、周囲に無視されたり『不十分だ』と言われ続けたりしてきた人たちに観ていただきたいです。観終わったころには、きっと『自分には価値がある』とわかるでしょうから」とエレガンス監督は語っています。(引用:【インタビュー】エレガンス・ブラットン監督、『インスペクション』は観た人が「自分には価値がある」と分かる作品に | cinemacafe.net)
エリス・フレンチ役:ジェレミー・ポープさんについて
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1992年、アメリカ/ジョージア出身。俳優および歌手として活動し、2019年のトニー賞では別々のパフォーマンスで2つの部門(演劇主演男優賞/ミュージカル助演男優賞)にノミネートされるという史上6人目の快挙を成し遂げました。(引用:これまでにない異色のA24作品を絶賛!『インスペクション ここで生きる』よしひろまさみち×奥浜レイラ、トークイベントレポートが到着! | シネマNAVI)
映画「インスペクション ここで生きる」では第80回ゴールデングローブ賞で主演男優賞(映画・ドラマ部門)にノミネートされました。
映画「インスペクション ここで生きる」のテーマの一つである「男らしさ」については、父がボディビルダー兼牧師であるために身近に「強い男」のロールモデルがあったものの、クィアである彼は「自分のアイデンティティが確立していくうちに、葛藤が生じてきて。父と同じように振る舞わないと男らしくないのか、同じような信念を持っていないと男として認められないのか、と悩んだりもしたけど、そういうことじゃないと気づいた。男性は強くありながら、感情を持っていいし、感情について語り、分かち合い、愛することをしていいんだって。それで、まず、それまで聞かされてきたこと、教えられてきたことをアンラーニング(これまで学んできた知識を捨て、新しく学び直すこと)することを始めました」「自分らしく感じ、振る舞い、成長し、人間としての経験を深めている。それこそが、究極の『男らしさ』じゃないかなと思っています」と語っています。(引用:『インスペクション ここで生きる』主演ジェレミー・ポープにインタビュー | 【GINZA】東京発信の最新ファッション&カルチャー情報)
映画「インスペクション ここで生きる」の予告編・予告動画
セクシャリティに無理解な母からの冷たい罵倒に始まり、海兵隊の厳しすぎるしごきの描写、そして、主人公フレンチ自身の口から「なぜ海兵隊に入ったのか」が端的に明かされる展開になっています。
母と息子との会話シーンは、本編でも胸がひやりと冷たくなる感覚があるほど、苦しいものでした。特に母の態度は一貫してゲイを見下し、排除するもので、実の親子なのにどうしてそこまで突き放せるのかと戸惑いを覚えます。
予告編の中で涙ながらにフレンチが話していた「こんな俺でも軍服姿で死ねば誰かの英雄になれる」は、海兵隊の厳しいしごきの中で彼が心の支えにしていた思いだろうなと、このたった数秒間の映像からも強く伝わってきますね。
映画「インスペクション ここで生きる」の見どころ
ゲイだから「本物の男」になれないのか?ゲイだから社会に受け入れてもらえないのか?を問いかける
映画「インスペクション ここで生きる」では、主人公のフレンチは、自分がゲイだから弱く、それが理由で本物の男として認められていないと信じ、現状を変えるために海兵隊に入ります。
でも厳しい訓練を通して、隊員の誰もが「自分は本物の男になれないかもしれない」という不安を抱いていると気づきます。
そして「自分は独りではない」と感じた彼は、移民やリベラル(自由主義)寄りの白人の海兵隊員を選んで、相手の繊細な部分に触れて寄り添おうとするのです。
軍服を着ていなければフレンチのことなど相手にしなかった仲間に対して、不可欠な存在になろうと努めること――その体験を通して彼は「自分には実は何の問題もなく、問題なのは自分を変えないと馴染めない社会だ」と考えを深めていきます。 誰かに虐げられると「原因は自分にある」と思いがちですが、良い出会いや正しい導きがあれば、「それは違う」と気づけるのです。(引用:【インタビュー】エレガンス・ブラットン監督、『インスペクション』は観た人が「自分には価値がある」と分かる作品に | cinemacafe.net)
ゲイであることは人間として欠陥があることかのように実の母に侮蔑され続けたフレンチでしたが、ゲイである自分が悪いのではなく、自分を受け入れない社会に問題があるのだと思えるようになっていくのですね。
何でもかんでも自己責任で済ませられがちな個人主義社会の中で、自分が虐げられているのはおかしいのだと声を上げる勇気をもらえます。
映画化実現まで約5年間「NO」を突きつけられる日々…それでも諦めなかった不屈の精神
エレガンス監督は、2017年に「インスペクション ここで生きる」の脚本の初稿を書き、A24のジュニア・エグゼクティブとして入った友人に送ったものの「A24向きの作品じゃない」と断られます。
脚本を書き直してラボ(脚本開発のためのワークショップ)に応募したものの選ばれたのは数か所。そこから約5年かけてハリウッドを回り、話を聞いてくれる人全てに売り込むも、やはり返ってくるのは「NO」ばかり。
そんな折、ハリウッドで70人の重役の前でプレゼンする機会を得られたのですが、そのうち12人が興味を示してくれ、先ほどのA24の友人に再度連絡を取ったところ、乗り気になってくれたそうです。(引用:【インタビュー】エレガンス・ブラットン監督、『インスペクション』は観た人が「自分には価値がある」と分かる作品に | cinemacafe.net)
まさにフレンチが不屈の精神で海兵隊の訓練に食らいついていたように、エレガンス監督の映画化への執念も凄まじいものですね。
映画「インスペクション ここで生きる」のネタバレ感想
2005年ニュージャージー州トレントン、フレンチは「出生証明書が要る。海兵隊に入るんだ」「この5年間辛かった。手を貸してほしい」と母に頼みに行きます。しかし、母は「私はあんたを失ったの」と冷たく出生証明書を渡すだけです。
ブッシュ大統領がイラクに勝利宣言をした2年後もなお続くアルカイダによる戦闘。米軍は治安を維持・統制すべく、兵を送り込み、50人以上が死にました。
海兵隊の基地に向かうバスが目的地に着くと、ロサレスとブルックスという教官が大声で新官たちを怒鳴りつけます。「重罪歴は?共産主義者か?同性愛者か?」と問われ、「いいえ」と大声で答えるフレンチ。髪を強制的に坊主にさせられ、私語をする者は腕立て伏せをさせられます。早速隊に分かれさせられ、厳しい訓練に投入されます。
次は体力テストです。マラソンでは好成績を叩き出したフレンチですが、そのせいで祖父も海兵隊員であるハーヴィに喧嘩を売られてしまいます。懸垂でハーヴィと勝負することになり、引き分けになります。しかし、隊の班長になったのはハーヴィでした。
テスト後のシャワーを浴びている最中、フレンチはハッテン場にいった時のことを思い出し、勃起してしまいます。しかしそれを周囲に気づかれ、袋叩きにされます。その後もフレンチは隊列からわざと押し出されたりして一人だけ罰を受けさせられたりします。ハーヴィは満足げです。
教官たちにも無視されるフレンチですが、ロサレスだけは銃の点検を手伝ってくれます。フレンチは彼にフェラをしたりと親密な関係になります。
「溺れる者を助ける」という水泳訓練で、フレンチはロウズ教官に首を絞められ、死にかけます。「上に報告する」と激怒するフレンチに、「あと数週間頑張れば自分をここにいていいと証明できる」と説得するロサレス。「なぜここまで努力した?」と問う彼に、「軍服姿で死ねば英雄になれるから海兵隊員になりたい」と涙ながらに返すフレンチ。
小銃適性試験で、半数は射撃を、半数は的を操作することになり、合格できないものは脱落させられます。ハーヴィはフレンチを脱落させるため、すべての弾が外れたと嘘の発表をします。同僚のイスマイルはそれを見咎め、告発。フレンチはロサレスの命令で彼のレーンで再度試験をやり直すことになります。
何度母に手紙を書いても返事が来ないので、「母が無事か職場に電話させてほしい」とロサレスに頼むフレンチ。ロサレスに携帯電話を貸りて「修了式に来てほしい」と懇願しますが、母は「職場に電話してこないで」と冷たく言い放ち、電話を切ってしまいます。涙するフレンチ。
その後、配属が決まり、フレンチは海兵隊のために動画や写真を撮る班に所属することになりました。
フレンチは海兵隊員として制服を着せられ、修了式に参加します。フレンチの母も修了式に来ていました。母は「これからどうするの?うちに来ればいい。かわいい女の子たちが家の前に列を作るわね」と喜びます。「海兵隊員になってもストレートになるわけじゃない」とフレンチが返すと、母は激怒し、ロウズに「この子はゲイよ」と吐き捨てます。しかし、それを聞いたカルロスは「俺等は海兵隊員だ!」と叫び、仲間たちも「海兵隊、海兵隊…」と賛同してくれます。母は呆れたように帰っていきます。フレンチは母を追いかけますが、母は「あんたを愛してる。でも受け入れられない」と去っていきます。
海兵隊の兵舎に戻ったフレンチは、ガラスに映った自分を見つめます。教官に「忠誠に感謝する」と言われ、頷きます。
映画「インスペクション ここで生きる」のおすすめ度評価・まとめ
この作品のおすすめ度は…

親に愛されず、もがきながら社会での立ち位置を探す主人公の姿が、映画「ムーンライト」を思い出させます。
フレンチの母は「あんたを育てた」と言っていましたが、息子をホームレスにしておいてよくそんなことが言えるな…と腹が立ってしまいました。それでも息子を「愛している」というのが何とも言えない歯がゆさがあって…。
フレンチが最後の最後まで母に愛されたいと懸命に関わり方を模索していたのが辛かったです。血を分けた家族とはいえ、結局は他人だと捨てきれたらどんなに楽か…。

海兵隊になるまではロウズに殺されかけたり、ゲイという理由だけで仲間たちからつまはじきにされたりと辛い時間が長かったけれど、終わってみれば、足をひっぱりあっていた仲間が、教官が「お前は海兵隊員だ」「忠誠に感謝する」と背中を叩いてくれる、心強い戦友に変わっていましたね。フレンチの人生に幸多かれと願わずにはいられません。

軍隊内部でも激しい差別があり、決して生きやすいとは言えない環境ですが、それでも、フレンチが言うように「軍人になったという誇り」を持てるし、仲間たちが「お前は仲間だ。必要な存在だ」と肯定してくれます。
ブラットン監督は、「この映画を見る人々に、自分には世の中を変える力があると伝えたかった」とインタビューで話していました。社会に自分の居場所がなかったとしても、努力で作れるのだと、そう教えられた気がしました。
今回3人が見た「インスペクション ここで生きる」は、Amazonプライムビデオ、Huluで無料視聴できます。
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