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2024年度アカデミー賞®にて、史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門同時ノミネートの快挙を成し遂げた、デンマークほか合作によるドキュメンタリー映画、「FLEE」。
全編のネタバレ・あらすじ・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。
早速見てみましょう!
登場人物とあらすじ
引用:映画『FLEE フリー』公式サイト – 6/10(金)ロードショー
アフガニスタン難民ゲイ のお話。
<あらすじ>
アフガニスタンで生まれ育ったアミンは、幼い頃、父が当局に連行されたまま戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。
やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。
だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。
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予告編・予告動画
こんな人におすすめ
- 難民について、よく知らない💭
- 中東でゲイがどんな存在なのか、よく分からない🇦🇫
- 性的少数者の苦悩を少しでも理解したい🌈
本作をもっとよく知るための小ネタ
①英題である“FLEE”とは、危険や災害、追跡者などから(安全な場所へ)逃げるという意味です。
②本作は2023年のサンダンス映画祭でワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門の最高賞であるグランプリを獲得。またアヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞。ドキュメンタリー、アニメーションという表現の垣根を越えてジャンル横断的に高い評価を受け、2024年4月12日現在、各国の映画祭で82受賞136部門ノミネートという圧倒的な評価を獲得しています。
③「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」でムスリムとして初めてオスカー主演男優賞の候補となったリズ・アーメッドと、ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のニコライ・コスター =ワルドーの2人はアミンの物語に心を打たれ、国境を越えてエグゼクティブプロデューサーとして本作をサポート。「パラサイト 半地下の家族」のアカデミー賞監督ポン・ジュノは2021年のベスト映画の1本として選出。さらに、「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督は、オスカーのアニメーション部門にドキュメンタリー映画である本作がノミネートされると、喜びの言葉を自らのTwitterに投稿したほか、本作を応援する投稿を積極的に発信しました。
ネタバレ感想
アフガニスタンで生まれ育ったアミンは、優しい兄とバレーボールや凧上げをして遊んだり、父の武勇伝を姉から聞いたりしながら、家族と平和な日常を過ごしていました。
しかし、アフガニスタンは長年内戦状態が続いています。しかも兄は徴兵対象の年齢で、不安がっています。
アミンの父は共産主義政権にとって危険分子とみなされ、突然、当局に連行されます。父は腕時計を妻に託していきます。そのまま父は一向に戻らず、残された一家は命の危険を感じます。間一髪で祖国を脱出し、ロシアに着いたた際、アミンは恐ろしさで泣き続けていました。
10代でデンマークへと亡命したアミンは、今や30代半ばとなり、研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を考え始めました。しかし、彼は20年以上抱え続けてきた過去の出来事を恋人に話せていないことに苦しんでいました。また、彼にはニューヨークからの仕事のオファーも来ていたため、デンマークに家を持ち恋人と暮らす生活と、ニューヨークで仕事を続ける生活のどちらを選ぶかに悩んでいます。
そんなアミンは、アフガニスタンからデンマークへと亡命した過去を、学生時代からの旧友である映画監督の前で、静かに語り始めます。
アフガニスタンを脱出したアミンの一家は、飛行機でモスクワに到着しました。当時、ロシアだけがビザを発行していたからです。
当時のロシアは、共産主義が崩壊し、不安定な社会情勢でした。ストックホルムに住む一家の長男が、家族に仕送りしてくれたおかげで、アミンの家族はなんとか生きながらえていました。
長男は1980年に兵役を拒み、国を出て、ストックホルムへと亡命していました。彼は家族全員をストックホルムに呼ぼうとしていましたが、そのためには莫大なお金が必要です。
ロシアの警官は悪どく、難民らしき人々を見つけるたびに「身分証を見せろ」と脅し、金を巻き上げていました。迂闊に街を歩くことも出来ず、老いた母と2人の姉、次男と末っ子のアミンの5人は、みすぼらしい高層団地の部屋に籠もりきりの生活を強いられることになります。
長男からの仕送りに頼るしかない状況では、一家揃ってヨーロッパに入国することは難しく、まず、2人の姉がストックホルムに向かうことになりました。
仲介するのは密入国業者で、金のためにしか動かないろくでもない連中です。姉たちはコンテナに詰め込まれ、船にコンテナごと乗せられました。
コンテナの中には大勢の人がひしめき合っていたため、十分な酸素がなく、港に着いた時は子どもを含む何人もの人が亡くなっていました。アミンの姉たちもあやうく窒息死しかけましたが、なんとか生き延びて、兄の元に着くことができました。しかし、彼女たちは心に大きな傷を負い、なかなか回復することができませんでした。
次は、アミンと次男と母、3人の番です。夜、暗い森の中を何キロも歩かされる難民の人々。中にはあまりの寒さと疲れで自力で歩けなくなった人もいましたが、業者の男は、「撃ち殺すぞ」と凄んでいます。
互いに助け合いながらなんとか目的地に到着した人々は、船に乗せられます。暗くて狭い空間にたくさんの人が押し込められていました。20分もすると、皆が船酔いで吐き始めました。
さらには浸水が起こり、皆は、閉められた入り口をこじ開け、外に出て、水を掻き出さなくてはなりませんでした。無線もなく、誰にも助けを求めることができません。
夜が開け、あたりが明るくなり始めると、大型船が近づいてきました。人々は船を見て、助けてもらえると安堵し、歓声とともに手を振ります。中には海に飛び込もうとする人もいました。船の近くに行きさえすれば、助けてもらえると思ったのです。しかし、彼らに突きつけられたのは無情な言葉でした。
「諸君は送還される」。
大きな船からは、乗船している人々が好奇の目でアミンたち難民を見下ろしていました。スマホでアミンたちの写真を撮ったり、しばらくひそひそと話すと、興味を失ったように去っていきました。アミンはひどい羞恥に襲われていました。
警備隊に逮捕された一行は、ノルウェーに連行され、廃墟となった劣悪な環境の建物に収監されました。
取材に来る記者たちに助けを求めましたが、彼らはカメラでアミンたちを撮影し、自国で難民問題について放映するだけで、何もしてくれません。
そこで数年の生活を余儀なくされた後から、当局からは2つの選択肢を突きつけられました。「ここに残る」か、「モスクワに戻る」かです。
アミンたちはモスクワに戻ることを選択します。ロシアに到着した途端、逮捕され、アフガンに送り返すと言われます。しかし、ロシアの警察は腐敗しきっているので、いくらかの金を渡すと、すぐに解放されました。
長男には10年も付き合ったフィンランド人の恋人がいましたが、兄はアミンたちに金を送らなくてはならず、ついに別れてしまいました。アミンは自分たち家族のために長男が犠牲になったことに強い罪悪感を覚えます。
次男は責任感が強く、アミンと母親を先に出国させようと懸命でした。前回のこともあり、今回は、安全で確実なルートにこだわりました。そうすると、莫大な金がかかります。結局、金を一人分しか金が用意できず、アミンがひとりで出国することになりました。
アミンは業者の男から偽のパスポートを渡され、名前と生年月日を覚えるようにと言われます。行き先に着いたらすぐにパスポートを破棄しろ、偽のパスポートを持っているとわかれば逮捕されてしまうと男は続け、アミンは、自分より少し年上の男性と二人で車に乗せられました。男性は自分のつけていた金のネックレスをアミンにくれたりと、優しくしてくれます。不安で極限状態の道中でしたが、男性がいてくれたおかげでアミンは少し安心できました。アミンはこの男性にほのかな思いを抱きます。アミンは幼い頃から、自分がゲイであることに気がついていました。
しかし、アフガニスタンにはホモセクシュアルはいないとされており、「ゲイ」という言葉すらありませんでした。そのため、彼は誰にもそのことを告げられずにいました。
空港に着くと、アミンと男性はそれぞれ行き先が違う航空券を渡されます。アミンの行き先は手違いからか、希望と違うコペンハーゲンになっていました。しかし、今更別の場所に変更することはできません。
コペンハーゲンの空港についたアミンは、言われた通りトイレでパスポートを千切って破棄し、自身が難民であると申し出ました。
長い間、話を聞かれ、何度も何度も言われた通りに同じ話をしました。姉は誘拐され、自分以外の家族は皆、殺されたと。作られた話でしたが、彼は話しながら泣きじゃくりました。しばらくして、送還されないとわかり、少し落ち着きを取り戻します。人心地つくと、アミンは次男に自分は無事だと電話をします。次男は安心したようでした。
斡旋業の男からは、決して本当のことを話してはならないと強く言い聞かされていました。そのため、長い間、彼は恐ろしくて、誰にも自身が経験したことを話せずにいました。一度、ボーイフレンドに過去のことを話したことがありましたが、ある時大喧嘩をしてしまい、その時相手から「お前の過去をバラしてやる」と脅され、それから数年間、アミンはほとんど引きこもりのようになったこともありました。
長男たちのいるストックホルムに行くには、それからまだ数年の時間を要しました。ようやくストックホルムにたどりついたアミンは、愛する長男と姉ふたりと感激の対面を果たしました。
長男から、ガールフレンドはいないのかとからかわれるアミン。あまりにも何度も言われるので、アミンは兄弟に本当のことを告げます。自分は女性に興味がないのだと。姉たちは、それは本当か、女性経験はあるのかと矢継ぎ早に質問しました。深い沈黙のあと、兄は「ついて来い」と言って、アミンを外に連れ出します。
ある店の前に来て、兄はアミンに金を渡し、「愉しんで来い」と言いました。そこはゲイバーでした。兄はアミンに「前から知っていたよ」と言い、微笑んでくれました。
30代半ばとなり研究者として認められたアミンは、ニューヨークから招待され、ニューヨークで働くことにしました。
田舎で家を買って、ともに過ごしたいと考えていた恋人とは喧嘩になってしまいました。
アミンは言います。自分はいつも何よりもキャリアを優先してきた。兄たちは自分のために多くの犠牲を払ってきたのだから、自分は成功する義務があるのだと。
ニューヨークの仕事で成果を出した後、アミンは旧友の映画監督に向かって、移動し続ける人生の辛さについて語りました。
アフガニスタンを脱出してからの辛い経験により、人を信用するのに時間がかかるようになり、いつも自分を守ろうと警戒してしまったと。
移動することに疲れたと感じたアミンは、コペンハーゲンに戻ることにしました。空港では恋人が彼を待っていました。
ロシアに残ったままだった次男と母も、出国が叶い、一家は皆、ヨーロッパに避難することが出来たそうです。しかし、父の消息はいまだ誰も知らないままです。
まとめ
難民という言葉を聞いても、実はあまりピンときませんでした。難民問題は昔から叫ばれているのに、どこか遠い国の話、自分とは関係のない話という気持ちがあったように思います。
しかし、実際にアミンの半生を知ると、自分のような無関心な人間こそが彼ら難民にとって一番残酷な存在なのだと感じさせられました。生まれ育った場所から離れざるをえない、常に命の危機にあり、当然自由はない。そんな中で、どうやって人生を生きていけばいいのか。自分がアミンの立場だったらと想像すると、とてつもない不安や緊張が襲ってきて息苦しくなります。
本作を観始めた時、最初に疑問に感じたのが「なぜアニメで作る必要があったのか?」という点でした。観ていくうちに、アミンが今もなお過去を話すことをひどく恐れていることが分かってきて、アニメで描いたのはアミンの匿名性を守るためなのだと分かりました。また、アミンの不安や恐怖をより鮮明に描くためにそうしたのだと。
本作はアニメで描かれたがゆえに、よりアミンの感情に寄り添えたように感じました。
アミンが作中で語った「故郷とはずっといてもいい場所」という言葉が、心に響きました。母国が愛する家族を害する存在である恐怖。それはいかほどのものでしょうか。
これまで誰にも心を開かなかったアミンが、自分の半生を語りながら、徐々に心を開いていく様子がとても嬉しく、幸せに感じました。
今回3人が見た「FLEE」は、Amazonプライムビデオ、Huluで無料視聴できます。
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