TOTIKO先生「ちぎれる首輪」のネタバレ感想|闇の腐女子向け韓国BL

コミック

TOTIKO先生「ちぎれる首輪」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します。

登場人物とあらすじ


犬の性器を持つ男×雌犬フェロモンを撒き散らすドッグトレーナー の話。

<あらすじ>
特殊犬訓練所の跡継ぎである充(みつる)の元に、突然、口輪を嵌めた男が「軍用犬」として連れてこられた。
幼い頃から体質のために犬に襲われ続けてきた充だが、犬のように主人に従順でありながら「人」であるハチには少しずつ心を許していく。
しかし、ハチの秘密を知った途端、充の態度は急変してー。

電子版には、限定描き下ろしマンガが1Pついています。

 

こんな人におすすめ

  • 暴力描写が好き💥
  • 受けが攻めを完全にコントロールしている主従関係が好き❤️
  • 精神をボコボコに痛めつけられたい😭

 

ネタバレ感想

①充とハチ、それぞれの強烈な過去に戦慄

アルバム、写真

主人公の犬山充(受け)は、特殊犬訓練所の所長。父親の家業を継いだのですが、充は発情期の雌犬が出すフェロモンに近い体臭を持っており、雄犬たちはそれに惑わされて彼を襲ってしまうという事件が多発していました。そしてとうとうある犬に犯されてしまいますが、充の父親は息子の心配ではなくこのことが訓練所の評判を下げる(「犬の躾ができていない」など)ことを気にして、充に自分を襲わせないように犬を教育しろと子犬を与えます。最初は従順に従う子犬ですが、体が大きくなるほど充に従わなくなり、結局は性欲のままに充を犯してしまいます。充を犯した犬は安楽死処分されますが、父親が納得するまでこの「子犬を躾ける訓練」は続けられ、計7頭の子犬が殺処分させられることになりました。
充はそのことが原因か、特殊犬訓練所の所長でありながら、犬を極端に恐れ、忌み嫌うようになります。

一方、充の特殊犬訓練所に軍施設でブリーディングされてる番犬として「活用するか殺処分するか決めてくれ」と送られて来たのが、ハチ(攻め)。
体のほとんどは人間ですが、性器は犬そのものです。それゆえか、ハチは「軍用犬」として躾けられており、人間の言葉は話すものの、基本的に犬と同じ行動をとります。

充とハチ、それぞれが暗い過去を持っており、明らかに一筋縄ではいかない人物だと分かります。それぞれに犬と人間それぞれに深い孤独と憎悪、諦念があり、漫画では二人のどこか硬質な表情からそれが読み取れます。

 

②ハチの充への好意は、犬と人間どちらも気持ちによるもの?

充がハチを育て始め、彼から好意らしき視線を浴びせられるようになってから言っていたのは、「犬と人間、どちらの気持ちによる好意なのか」という疑問です。

ハチは犬の性器を持っており、充に欲情するのは雄犬の本能ゆえでしょう。
しかし、同時にハチの体のほとんどは人間でもあります。人間として言葉を操るので、一見すると「当然、充を好きなのは人間としての好意からに決まっているじゃないか」と思えるのですが…ハチの思考の一部は完全に犬でもあります。
充が「死ぬまで外に立ってろ」と言えば、本来の人間ではあり得ないほど我慢をして(まさに死ぬまで)ずっと外に立っているし、充に強い言葉で指示される(例えば「ハウス!」や「お手」など)と、何の臆面もなくそれに従います。

充がハチに対して「お前の好意は犬と人間のどちらによるものなんだ」と尋ねてもハチが答えられないのは、本人にも本気で分からないからなのか…そもそも、好意というふんわりとした概念自体、さまざまな気持ちを由来としたもので、犬由来でも人間由来でもあるから答えられないのか…。
作品の中ではどちらによる好意かということは言及していませんが、これは読者同士で議論したいテーマです。

 

③「俺が死ねと言ったら死ね」「安楽死させてやろうか」とたびたびハチを脅す充の真意

充はたびたび自分の基準でハチに怒りを表し、そのたびに「俺が死ねと言ったら死ね」とか「安楽死させてやろうか」と脅し、それを実行に移します。(ハチが従順に実行に移しているだけとも言う)
本作を読んだ時に、私はあまりに何度も充がこうしてハチを脅して彼を傷つけるので、充は一体何がしたいのかと憤ってしまいました。ハチは絶対に充の言うことを聞くに決まっているのに、充はハチが死ぬかもしれないと思うとうろたえるのです。それも意味が分かりませんでした。本気で死んでほしいという思いと、なぜ死んでほしくないと思う気持ちが同居するのか分からなかったのです。

ただ、読み進めていくうちに、ハチが充に対して「充がいつも何かに怯えているから危険じゃないと安心させたかった、守りたかった」(それは自分が死ぬことよりも大事なことだった)と言うんです。そこでハッとしました。
ハチは充が自分をはじめとした犬を恐れている、恐れ(そして愛)からくる試し行動をしているのだと分かっていたからこそ、そのわがままにあえて付き合ってあげていたのだと。充は、本心ではその試し行動に耐えるほどの愛をこれまでのどの犬にも示してほしいと思っていた(実際は人間という圧倒的な力を持つ者によって殺処分されるので不可能なのですが、その理不尽さこそ試し行動をする人間の歪みを表しているように感じます)のではないかと。

愛されたい、愛したいと心の底では叫んでいるのに、その表し方があまりにも残酷すぎて誰にも気づいてもらえなかった充のことを思うと、なんとも言えず哀しい気持ちになります。

 

まとめ

犬の性器を持つ、半分犬の男。雌犬の発情期のフェロモンと似た体臭を出してしまう男。それぞれの設定を聞くと明らかにファンタジーなのですが、充とハチの間で起こる愛憎劇はどれも生々しいリアルさに満ちています。だからこそ、面白い。むしろファンタジーな設定が、やり取りのリアルさに集中させてくれる要素になっているようにも思えます。

特に充は幼い頃から肉親からの愛情をあまり受けずに育ち、代わりに雄犬たちの暴力的な性欲に脅かされて育ってきました。
愛というものをよく知らぬまま体だけは大人になり、犬たちを躾ける知識だけは増えていき、外見は立派な社会人ですが、中身はずっと怯えた子どもの頃のままです。
そんな充にとことん付き合う我慢強いハチの愛は、読めば読むほど読者の胸を打ちます。

ショッキングな内容の多い本作ですが、ぜひ何度も読み返したい濃い深い名作だと思います。ぜひあなたにも「ちぎれる首輪」の沼にハマってほしいです!

ちぎれる首輪
作者:TOTIKO
オス犬を発情させるフェロモンを持つ充と、彼に「飼育」される青年・ハチ。特殊犬訓練所の跡継ぎである充の元に、口輪を嵌めた男――ハチが突然連れてこられた。彼は完全に「人」の見た目をしているが、なぜか「軍用犬」としての訓練を受けているという。

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