時羽兼成先生「コメディアンブルー」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
自分に厳しいツッコミ×攻めに片想いし続けている天真爛漫なボケ のお話。
<あらすじ>
芸歴4年目の漫才コンビ・アオイ。
ツッコミの福砂とボケの六花は高校時代の同級生で、一つ屋根の下で下積みの日々を送っている。
親友兼相方として六花のことが大好きな福砂だが、芸人としての評価の差、賞レースで結果が出ない焦り、そして高校時代、漫才コンビを組み続けるため
六花からの告白を受けたことに複雑な感情を抱えていた。
こんな人におすすめ
- 芸能界モノが好き💕
- お笑いが好き🤣
- 心理描写が丁寧にされている作品が好き📖
ネタバレ感想
①高校時代から一途に攻めを想う受けに涙
受けの六花は、高校時代からずっと攻めの福砂に片想いしていました。高校時代に六花が福砂に告白した時の答えは「OK」でしたが、六花はそれが福砂の優しさだと早くに気づいていました。それでも、最高の相方でいればいつか好きになってもらえるかもしれない…。そんな淡い思いを抱いて、懸命に六花はお笑いの勉強をしています。
福砂に「お前なんかどっかいったらいい」とつき放されても、福砂と他のピン芸人が即席コンビなのにたくさん笑いをとって悔しくても、六花はじっと耐えて、一人でボケの技術を磨き続けます。
六花の「一緒にいるだけで幸せだったけど、ネタやれてるだけで幸せだったけど、一緒にいたらいつか好きになってくれるかも」と「もしも」に縋る姿があまりに一途でいたいけで、読みながら胸を掻きむしられるような気持ちになりました😭
②受けの気持ちに応えられない自分に苦しむ、生真面目な攻めにモダモダ
福砂は高校時代、六花の告白に嘘の答え(一緒にコンビを組んでほしくて、告白にOKしてしまった)をしてしまったことをずっと悔やんでいました。自分が六花を好きだと言ったから、六花は大学を中退してまでお笑いの道を選んでくれたのだと…。だからこそ、お笑いで結果を出さなければいけない、と自分にも他人にも厳しく生きています。
けれど、六花がお笑いのためでも傷つきそうになると、福砂は体を張って止めようとします。六花が傷つくのは見たくないのです。でも、六花を一番傷つけているのは自分…そのジレンマの中で、福砂は苦しみます。
六花のために結果を出さねば、でも六花はそんなこと望んでいるのか?六花を傷つけないためにはどうしたらいいんだ?自分にとって六花は誰よりも大冊な存在だけど、それは恋とどう違うんだ…?
忙しない日常の中で一人悩み苦しむ福砂の背中を見ながら、彼の誰よりも深い六花愛に涙が溢れてきます😢💕
③「こいつでなきゃダメ」な2人に感動
六花だからこそ、相方になってほしかった福砂。福砂の隣は誰にも譲りたくなかった六花。
福砂にとってどれだけ六花は、笑わせたくて、傷つけたくなくて、大切で、唯一無二なのか、作品の一ページ一ページに刻みつけるように描いてあります。
同じく六花にとっても福砂がどれだけ、笑いのてっぺんを獲らせてあげたくて、大切で、唯一無二なのかも。
だからこそ心揺さぶられるし、お互いでなければならなかったんだ、と強く感じられます。
二人が高校で出会ったのも、コンビを組んだのも、笑いの道を目指したのも、恋がこじれて、でも成就したのも、全てが運命だったように思えます。
六花には福砂、福砂には六花しかありえないな、と読み終えて改めてしみじみ感じます🌻
まとめ
お笑いコンビがメインカプのお話といえど、決して大笑いするようなタイプの物語ではありません。どちらかというと、噛み締めて涙してしまうようなシリアスな物語です。
受けは高校時代に攻めに「好きだ」と告白するも、攻めは自分とお笑いコンビを組んでほしいがために「俺も」も嘘の答えをしてしまい、受けが大学を中退してお笑いの道を本格的に攻めとともに目指すようになったことから、より強い贖罪の念に駆られるようになってしまいます。
攻めは「受けのためにお笑いの道で大成しなければ」と自分にも他人にも厳しく精進する日々。受けも「攻めの目指すお笑いのてっぺんを獲れないと、自分は必用とされなくなってしまう」と必死。
ともにお笑いに一生懸命ながら、すれ違う攻めと受け。
受けの一途すぎる攻め愛と、攻めのねじ曲がった受け愛がぴったり重なった時、「ああ、やっと…!」と涙とともにガッツポーズが出ます。
この世界のどこかにこんなお笑いコンビがいるかも、と思わせるリアルな情景・心理描写に唸ります。
あなたもぜひ、ページをめくるごとに心に迫る「コメディアンブルー」の世界にハマってほしいです!📖✨