野萩あき先生「上手にできたね、渡瀬さん」を読みました！
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します！☺️✨
登場人物とあらすじ
タチのSub×Sub専門風俗店キャスト・ネコのDom のお話。
＜あらすじ＞
“Subだけどタチ”である渡瀬は、昔、Domの恋人に強制的に支配され抱かれそうになったトラウマでPlayを伴うセックスから距離を置いていた。
ある日、手っ取り早くSub欲を満たすために専門の風俗店へ。
そこで出会ったDomのトウマは朗らかな性格でPlayも上手、こんな子を抱けたら…と自分がSubのタチだとトウマに告白すると「俺 Domのネコだよ」と思ってもみない返答が…！？
こんな人におすすめ
- 型にはまらないDomSubものを読みたい📚
- 精神的リバが好き↔️
- 体格のいい攻め・受けが好き💪
ネタバレ感想
上手にできたね、渡瀬さん
タチのSubである渡瀬は、「9割以上、タチがDom・ネコがSub」という社会の中では浮いた存在。出会いを求めてパーティーに参加しても避けられるばかりでふ、Playが伴わないセックスで疲弊し、薬も効かなくなってきたため、専門の風俗店を利用することに。
そこで渡瀬は初めて、ネコのDomであるトウマと出会い…。
渡瀬はトウマとPlayすることで精神的に安定していき、次第に「自分にだけ命令してほしい。自分だけ褒めてほしい」と独占欲を感じるようになります。トウマも同じ気持ちだったと分かり、二人はすぐに恋人に。
しかし、大問題が発生します。恋人という関係になってから、渡瀬は年下のトウマを自然と甘やかすことが増え、それを心地よく思うようになったトウマはある日突然「Sub」として覚醒します。つまり、トウマはDomかつSubである「Switch」になったのです。
Domの自分しか渡瀬には求められていないと考えたトウマは強い抑制剤を使って自分のSub性を抑え込みますが、それは長く続かず…。結局、渡瀬もトウマとPlayするうちにDom性が目覚め、希少なSwitch×Switchのカップルになったのでした。
Dom/Subユニバース作品はpixivの二次創作でやく見かけていたものの、商業BLで読むのは本作が初めて！王道の、Dom攻め×Sub受けにはどうにも惹かれず、ちょっと変化球な作品を求めていた時に本作に出会いました。
作中でも言及されていましたが、Dom/Subユニバース商業BL作品も「9割以上、タチがDom・ネコがSub」。その中で、あえてSwitchカプで攻める勇気を出してくださった野萩あき先生のパイオニア精神に感動しました。
いつも支配者側（Dom）、いつも非支配者側（Sub）、もしくは、いつも加虐者側（Dom）、いつも被虐者側（Sub）という設定はいまいち自分の中で腑に落ちないところがあり、当然のようにSubの社会的役割が「Domの命令を受けること」「DomからひどいPlayをされても強く拒否できない弱者」と規定されていることに息苦しさを感じていました。一人一人の性格が違うように、タチのSubやネコのDomがいるのは当たり前だし、そういう社会のマイノリティとしてこぼれてしまった人たちの苦しみをこそ、創作物を通して感じたいと思ったんです。
Domとして、Subとして、こうでなくてはならないとか、自分に求められている役割はこうだからそのように動かねばならないとか、そういった、世間で規定された社会的役割に無理やり自分を当てはめて苦しむ二人（特にトウマ）は、現実世界の自分にも別のことで当てはめて考えられるなと感じました。
最後に二人がそういったものから解放されて堂々とSwitchカップルとして愛しあえている様子が見られたのはとても嬉しかったし、現代社会の閉塞感に風穴を開けるのはこういった作品ひとつひとつなのかもしれないと思わされました。
カバー下おまけ漫画
お互いに首輪をプレゼントしあう二人のお話です。
Switchである二人は、互いにDom性とSub性を有しています。二人の心の片隅には首輪という被支配の象徴への憧れがあったようで、首輪を見て嬉しそうにする二人が微笑ましかったです。
電子書店限定描き下ろし
首輪（Sub性の証）とブレスレット（Dom性の証）をお揃いでつけてデートをする二人のお話です。
「首輪を見ると満たされるから、おかげで基本はDomで過ごせてる」と喜ぶトウマに「Switch」と命じてSub性をあらわにさせ、「昼はSub、夜はDomになって」と甘く囁く渡瀬。
ちなみに、私は「Switch」というコマンドがあるのだとここで初めて知りました😂（今更！？） 本編で描かれていたように自然と切り替わることもあるけれど、こうして前戯の一環として属性を切り替える楽しみもあるのですね。えっちだ…。
まとめ
「9割以上、タチがDom・ネコがSub」という現代社会において、タチのSubである渡瀬はマイノリティです。己のSub性を抑えようと強い薬で騙し続けていましたが、とうとうドクターストップか出たため、専門の風俗店利用することに。そこで出会ったトウマは、なんとネコのDomで…！？
タチ＝Dom、ネコ＝Subという社会で、全く反対の性的嗜好を持つ渡瀬とトウマ。二人が孤独に惹かれ合いながらも、性的嗜好が合致しなくなった時に、二人がどんな選択をするのか。読者自身の身の回りでも多かれ少なかれ、こういったことは起きていると思います。だからこそ、ファンタジー設定ながら卑近な話題として強く共感し、のめり込むことができる作品だと感じました。
Dom/Subユニバース作品でも個性的な設定なものを読んでみたい方、リバカップルが好きな方、濡れ場をしっかり読みたい方に、特におすすめの作品だと思います📚✨
作者：野萩あき
“Subだけどタチ”である渡瀬は、昔、Domの恋人に強制的に支配され抱かれそうになったトラウマでPlayを伴うセックスから距離を置いていた。ある日、手っ取り早くSub欲を満たすために専門の風俗店へ。そこで出会ったDomのトウマは朗らかな性格でPlayも上手、こんな子を抱けたら…と自分がSubのタチだとトウマに告白すると「俺 Domのネコだよ」と思ってもみない返答が…！？
