天河藍「罪と咎」のあらすじ・感想・レビュー・試し読み|愛を知らないサイコパス×人生に絶望した青年の狂おしいほどの愛憎劇

コミック

俺は動かない人間にしか興奮しないんだ――天河藍先生「罪と咎」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


愛を知りたいサイコパス起業家×母に殺されかけたフリーター のお話。

<あらすじ>
片親で育った昴は、対人依存症の母とその愛人による不当な暴力に耐えながら、家賃を稼ぐために働かされていた。
ある日、前借りした給料を愛人に奪われた昴は、追い打ちをかけるように母と愛人が保険金目当てに自分を殺そうとしている会話を聞いてしまう。
「俺、なんのために生きてんだろ…」。

 

こんな人におすすめ

  • 胸糞展開もどんと来い👊
  • えっちが濃厚な描写の作品が好き🔞
  • 複数作品を一冊で楽しみたい📚

 

ネタバレ感想

罪と咎

「そばにいて」とヒステリーを起こす母・美夏のため、中卒でやっと勤めた仕事も辞めて薄給で働く中村昴は、母がDV彼氏・木下雅とともに自分を殺そうと計画していることを知り、生きる気力を失って自殺を試みます。しかしそこに偶然通りかかった三上晃成に「死ぬならその体要らないよな?俺にくれ」と言われ、差し出すことに。

昴は懸命に美夏を支えようとしますが、美夏は雅にしか興味がなく(昴はただの金づると思っている様子)、雅の言うことならそれが法に触れていようと非倫理的なことであろうとなんだろうと全て聞いてしまいます。
雅が晃成の金を億単位で横領していたことも分かっていながら、昴には薄給から家賃を払わせ続け、横領の証拠を隠す手伝いをしていた美夏。それが晃成にバレて、雅・美夏・昴のうち一人を助けてやると宣告されます。雅は真っ先に美夏を殺そうとし、それを昴が助けますが、美夏はなんと昴に刃を向けます。
これまでのことから分かるように、昴の家庭環境は最悪です。昴は雅の子供ではないようですし、実の父親は一体何をしているのか分かりませんが、昴はたった一人で母との生活の金を稼いでおり、しかもその金も雅に持ち逃げされるなど、散々な状態です。しかも美夏はそれだけ昴に尽くさせてもなお雅のことしか考えず、挙げ句の果てには昴を殺そうとする始末。本当に救えない人です。

昴は愛が分からない晃成に愛することを教えるために、彼のそばにいつづけることを決めます。晃成の現在も過去もかなり闇が深そう(今お金持ちなのはヤクザの資金源になっているから。過去に実の母を繋ぎ止めておきたいからと殺して切り刻んだ過去がある様子)なのですが、昴はそれを知ってもなお晃成に愛を教えたいと思ったようです。
いつ晃成の殺人衝動のスイッチが入るのか分からないため不安もありますが、昴が晃成に出会ったことでやっと生きる意味を見出し、彼のそばでなら生きていけると思えたことが良かったです。二人がいつか普通の恋人同士のように、普通に優しい会話をしあって、普通にセックスをして、普通に寿命を終えるまでそばにいられたらいいなと願うばかりです。

色恋トライアングル

同著者「薔薇とヘドロ」の続編です。同級生の史哉に片想いする瞬は、ご近所さんの京太という少年から熱心にアプローチされているところを見られてしまい…というお話です。

史哉が(たぶん)自分のパンツでオナニーしているところを見た瞬は、きっと自分と史哉は両思いだと(願望混じりに)確信します。しかし、いざ史哉に会うと、彼は全く目を合わせてくれないし、これまで断り続けていた女子とのデートの誘いにも乗っているし…と不安な理由が重なり、瞬は史哉のもとから逃げ出してしまいます。しかし追いかけてきた史哉と話し合ったところ、両想いだったと判明。二人はラブラブえっちをするのでした…。

瞬と史哉のこれまでのすったもんだを知らないので偏った感想になってしまうのですが、とにかく瞬の思い込みが激しく、そこが可愛い☺️💕 史哉はこうなはず!いや違うかも!こうかも!と妄想力豊かにあれこれ思い巡らせるので、有頂天になったり悲しみの底に突き落とされたりと慌ただしいです😂
一方の史哉は淡々としているように見えて、意外と内心は瞬のことで頭がいっぱい。外面と内面のギャップが可愛かったです。
最後に、初体験が立ちバックなのはえっちすぎましたね…。史哉がもう我慢ならんという感じで瞬にかぶりつくのもいいし、瞬が「いつも史哉のことを考えながらアナニーしてた」と告白するのもえっちすぎました!

いっしょにごはん

元タチの料理人・越智は、生活能力ゼロの隣人・榊一真に、今日も今日とて夕食を振る舞っていました。しかし食事が終わると、榊は「越智さん不足」だと言って越智を抱いて…というお話です。

越智さんがめちゃくちゃイカつい外見ゆえに、あんあん喘がされている姿に特大のギャップがありました。えっちすぎんよ…!
榊も越智に食事をねだりに来る時はまるで捨て犬のような哀れさを滲ませているのに、いざ満腹になると、越智を「これでタチだったとか嘘でしょ?」「いっぱい漏らしちゃうね」と言葉攻めしまくるというSっ気の強さを発揮。
最後は一緒に住まないかと榊が提案するところで終わるのですが、越智も満更でもなさそうな赤面顔だったので、同居エンドかも💕

描き下ろし

父を「自分勝手で傲慢で臆病」と憎みながらも、自分も彼と同じ道を辿っているのではと不安になる晃成。しかし「俺はずっと晃成さんと一緒にいるよ 好きだよ」と昴に抱きしめられ、晃成は昴への愛を再確認するのでした。

母を殺せと命じたのは父。それゆえに晃成の父は息子に殺しの容疑をなすりつけたのかと思っていましたが、結局殺人については父がやったことになっていたんですね。そのおかげで晃成はシャバで生活できていますが、それは良かったのか悪かったのか…。
相変わらず昴の晃成への無償の愛が眩しいです。後ろ暗いことの多い晃成を、真っ直ぐすぎるほどの愛で照らしている…。「早く帰れると晃成を迎えられるから嬉しい」も可愛すぎます!!😭✨ 晃成にとってだけでなく、これほどの理想的な恋人はいないだろうと思いました。

 

まとめ

精神的に不安定な母のそばにいるために会社を辞めたにも関わらず、そのDV彼氏に薄給を吸い上げられ、生活することもままならず、いつも顔や体を血まみれにしているフリーターの中村昴。ある日、母がDV彼氏に唆されて昴を殺して生命保険金を騙し取ろうとしている計画を聞いてしまい、世を儚んで自殺しようとします。しかし、それを半グレ起業家の三上晃成に見られ、「要らない体ならくれ」と言われて…。

母親はいても、彼女には金蔓としか思われていない昴。にも関わらず、昴は懸命に彼女を支えようとします。どんなに努力しても結局は実らず、彼女には命を狙われてしまうのですが…。愛しても愛されないのが、昴。
一方で、晃成は父から「母さんが離婚したいと言っているけれど、母さんと離れたくないなら殺してしまうといい。ずっとそばにいてくれる」と唆され、幼い頃に母を殺して解体した経験があります。それ以来、愛したくても愛することができなくなったのが晃成。

愛したいと願いながらも方法が分からず立ちすくむ晃成に、昴は無償の愛を与え続けます。晃成の望むように抱かれながら、彼が帰れば「おかえりなさい」と出迎え、あたたかい夕食を作ってふるまい、金は借りたままではいけないと少ない給料から返済金を絞り出し…。
昴の健気な愛し方を見ていると、まるで雛が懸命に親鳥に愛を返しているようで、胸が張り裂けそうになります。同じく晃成も、無邪気に懐いてくる雛に不器用にしか愛を返せない親鳥のようで、二人まとめて抱きしめたくなるんです。

無償の愛を与えられたことがない二人の、見様見真似の歪な恋。どんなものかは分からなくても、手探りで愛を求める二人の姿はとても尊いです。
愛と金と欲望が渦巻くダークなラブストーリーに、あなたも溺れてみませんか🔪✨

罪と咎
作者:天河藍
片親で育った昴は、対人依存症の母とその愛人による不当な暴力に耐えながら、家賃を稼ぐために働かされていた。ある日、前借りした給料を愛人に奪われた昴は、追い打ちをかけるように母と愛人が保険金目当てに自分を殺そうとしている会話を聞いてしまう。「俺、なんのために生きてんだろ…」。

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