もりもより「君の夜に触れる」のあらすじ・感想・レビュー・試し読み|孤独な2人が光を浴びるまで。孤独を溶かす救済BL

コミック

もりもより先生「君の夜に触れる」を読みました!

圧倒的画力で紡がれる、孤独な二人の恋物語――。期待の新鋭デビュー作!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


人を殺せない殺し屋×老舗旅館の長男(盲目) のお話。

<あらすじ>
「本当の俺を知ったら…きっとあんたは失望する」
目の前で兄を亡くしたとき、手を差し伸べてくれた少年・佳澄と、殺し屋の千夏は、数年後、運命的に再会した。
ひったくりに遭った盲目の佳澄を放っておけない千夏は近付くべきではないと思いながらも、彼と距離を縮めることになるが…。

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

スペインBLアワード2024にて1巻完結部門第1位を獲得した。

②本作のこだわりポイントは、千夏が見る→それを佳澄に伝えるというシーンが多かったため、読者が千夏と同じ印象を抱けるように絵を頑張ったこと。また、逆に見えない佳澄の視点に立ってもらえるような演出にしてみたり努力したこと。

もりもより先生は本作が初コミックス。同人誌も出された経験がなく、SNSで絵を描いておられたところを担当編集さんがスカウトして連載が決まったそう。

 

こんな人におすすめ

  • 今にも消えてしまいそうな、幻のように繊細で儚く美しい絵柄が好き🥹✨
  • 攻めと受けの体格差(攻め>受け)があると燃える🔥
  • 孤独な男に惹かれる😢✨

 

ネタバレ感想

①唯一無二の繊細さ!まるで宗教画ごとき神々しい絵柄

私は幼少期にセーラームーンを見て育ったので、武内直子先生の絵がとても好きなのですが…武内直子先生作品の中でも特に「ミス・レイン」という作品が大好きなんです。
雨女な女の子のお話なんですけど、小雨がまるで宝石の粒のようにふりしきる中、ふんわりとしたワンピースをひるがえして走る美少女…。武内直子先生の繊細で夢のような絵柄とあいまって、まるで主人公のミス・レインが妖精のように見えました。

ミス・レイン
作者:武内直子
倉満れながいくところには、必ず雨が降る…。そんな彼女に、いつしかついたあだ名は”ミス・レイン”…。NAOKOの珠玉の名作を、表題作を含め5編収録。

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自分語りはここまでにして😂、もりもより先生の絵柄を見た時に、「武内直子先生みたい…」とふと思ったんです。武内直子先生はもっと夢かわいい系で、もりもより先生は、繊細なのにどこか芯の強さや血生臭さも感じさせるような、アンバランスな魅力があって。それで、絵柄を見た瞬間に強く惹きつけられたんです。

本作では何度も攻めと受け、それぞれが涙するシーンが出てくるのですが、まるで…宝石です。涙の粒が光に当たってどこまでも透明に、吸い込まれるほどの美しさを持って頬を伝い落ちていく。それがコマ送りで見えるような気さえするほど、美しいんです。

こんなことを思ったのは「ミス・レイン」を読んで以来で、そんな自分に衝撃を受けました。まさに自分の漫画人生を大きく変えるような出会いだと思いました。

 

②本人さえ見て見ぬ振りをしていた永久凍土と化した孤独に触れられた時、恋が生まれる

最愛の兄が殺し屋家業の中で死んで以来、人を殺せなくなった千夏。殺し屋なのに殺せない。人を殴るしか自分には能がない。そう思い込んで育ってきて、心許せる人は誰もいませんでした。

一方、老舗旅館の長男として生まれながらも、徐々に視力を失っていくことで家族からは厄介者扱いされている佳澄。弟はわずかながらに佳澄に気をかけてはいますが、佳澄は人の手を煩わせるまいと、ほとんど引きこもって日々を過ごしています。本当は、広い外の世界に出たい気持ちを押し殺して。

誰とも自分の本当の気持ちは、分かり合えない。そうやって孤独の中で生きてきた2人は、不意に出会います。
友達になりたいと一歩踏み出した佳澄の手を、おそるおそる握る千夏。握り返された手に、無邪気に縋りつく佳澄。

触れ合うたびに、互いの孤独が少しずつ溶けていきます。自分自身でさえ触れられなかった、硬い硬い孤独の殻が、千夏に触れられれば、佳澄に触れられれば、簡単に溶けていく。

冷え切った世界の中で互いの体温だけが確かなものとして存在しているのが、紙を通して伝わってくるんです。ただ一本の線を無数に重ねることで、それを表現する凄み。まさにこれこそ、もりもより先生の才能というほかありません。

 

③これ以上ないハッピーエンドに、涙が止まらない

本作を読みながら、私はもう肉体の重なりはいらないかもしれないとさえ思いました。だって、もう2人の心はとっくに溶け合ってひとつになっています。それが、彼らの指の重なり、瞳の強さから、ひしひしと伝わってくる。これ以上のラブシーンなんて、もはや無粋ではないかとさえ思いました。

でも、濡れ場はもっと幸せだったし、その先の2人は言葉に尽くせないほどでした。「幸せの向こう側」ってあるんだ。そう思いました。

愛おしい。その言葉が形になったら、きっと千夏と佳澄になる。そう思うくらい、幸せで、胸がいっぱいになるラストでした。

ハピエンを愛する全ての腐女子に読んでほしい名作です。

 

まとめ

闇の世界で生きながら優しさが捨てきれない殺し屋の攻め・千夏と、明るく健気に生きる天真爛漫な盲目の受け・佳澄。

目が見えたとしても見たくないものばかりだと思っていた千夏に、世界は美しいのだと教えたのは佳澄。目が見えないことで内気になっていた佳澄を広い世界に連れ出し、より多くの光を見せようとしたのは千夏。
お互いが誰にも見せられない深い孤独を抱えていながらも、初めて「この人なら」と踏み出した先に、まばゆいほどの愛があった。その愛に触れた時に、孤独は溶けて消えていった。

千夏の葛藤、佳澄への一途な愛。読みながら、自分なんかがまさに光そのもののような佳澄に近づいてはならないと苦しむ千夏の姿に何度も号泣させられました。
健常者である千夏の手を煩わせてはいけないと悩みながらも、不器用なあなたを愛しているのだと必死で手を伸ばす佳澄の勇気と愛の深さにも、何度も泣かされました。

この2人だからこそ、愛し合った。この2人でなければ、愛し合えなかった。
唯一無二の深く輝く愛が、ここにあります。

全世界の光の腐女子、絶対に絶対に絶対に読めっっっ…!!!!!!!!

君の夜に触れる
作者:もりもより
「本当の俺を知ったら…きっとあんたは失望する」目の前で兄を亡くしたとき、手を差し伸べてくれた少年・佳澄と、殺し屋の千夏は、数年後、運命的に再会した。ひったくりに遭った盲目の佳澄を放っておけない千夏は近付くべきではないと思いながらも、彼と距離を縮めることになるが…。

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