犬居葉菜「狼への嫁入り〜異種婚姻譚〜」シリーズのネタバレ感想|狼と兎の政略結婚の行方は?

コミック

犬居葉菜先生「狼への嫁入り〜異種婚姻譚〜」シリーズを読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


狼族の大手硝子屋長男×兎族の孤児 のお話。

<あらすじ>
兎族の少年・楓は、村のために 狼族の名家に嫁入りすることになった。
人身御供のような結婚に腹を立てながらも持ち前の負けん気で前向きに婚約者と対面した楓だったが、跡取り息子の練は、なぜか冷たくつっけんどん。
しかも着いて早々、「異種間で番になるためにお前の体質を変える」と楓は“嫁体化薬”という薬を飲まされ、指で後孔を抉られて―。

電子版には、紙&電子共通応援書店ペーパー付です!

 

こんな人におすすめ

  • 「NARUTO」などの少年ジャンプ系漫画が好き📖
  • 異世界やファンタジー系の物語にうっとりする🥺
  • モフモフ、半獣ものが好き🐺🐰

 

ネタバレ感想

狼への嫁入り~異種婚姻譚~

とにかく絵がうまい。ヤバいくらい絵がうまい。普通、漫画って白黒じゃないですか。なのに、色がついて見えるんです。それくらいみずみずしくて鮮やかな線!!紙の中でキャラクターたちが生きている世界の湿度、温度、音さえ聞こえてきそうな、生き生きとした絵に感動します。

私が一番好きな、2人の”生”を感じるシーンは、練が楓を元気づける場面です。

結婚式を控えて、練が楓に「兎族の親族も呼ぶといい」と気軽に話すと、楓は激しく抵抗します。天涯孤独の自分なんて村の皆は生贄くらいにしか思ってない…呼ばれたって困るだけだ…といじける楓に、練は

「兎族の村に向かわせたやつは、交渉に随分苦労したって言ってたけど」

「俺がおまえの村の長だったら、どうでもいい村人ひとり養子に出すのとひとつの村の存続とで葛藤したりしない」

「向こうも寂しがってんじゃないの」

と、楓の頭を撫でながら話すんです。

それまで、楓を気づかうことなんて全くなかった練が初めて、楓を大切にしようと言動で示してくれたことが心にしみました😭✨

読み進めるほど2人の成長や変化をじんわりと感じられる、素敵なお話です。

狼への嫁入り~異種婚姻譚~
作者:犬居葉菜
兎族の少年・楓は、村のために 狼族の名家に嫁入りすることになった。人身御供のような結婚に腹を立てながらも持ち前の負けん気で前向きに婚約者と対面した楓だったが、跡取り息子の練は、なぜか冷たくつっけんどん。しかも着いて早々、「異種間で番になるためにお前の体質を変える」と楓は“嫁体化薬”という薬を飲まされ、指で後孔を抉られて―。

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狼への嫁入り~異種婚姻譚~ 番外編

先祖返りを防ぐために投薬を始めた頃に幼い練が見た「灯狼祭」と、楓と結婚してから見た「灯狼祭」についてのお話です。

街で行われる賑やかなお祭り・「灯狼祭」を見ても、薬の副作用で何の感情も抱くことができなかった幼い練。大人になってからも心動かされることはありませんでした。
しかしド田舎育ちの楓は、お祭りや花火、街灯が点いただけでも、あまりの非日常に大喜び。背が低くて景色が見えない楓を抱え上げて、練はあちこち見せて回ります。ここで練が心のなかでぽつりとこう言うんです。

「楓が俺に世界の見方を教えてくれた」
「こいつといると身体ごとこんなに楽だ」

練は感受性豊かな楓と一緒にさまざまな経験をすることで、ぼんやりとしていた世界に輪郭があることを意識できるようになったのでした。勝ち気な楓の強情なほどの練への一途な愛が、練の世界を文字通りがらりと変えたのだな…と目頭が熱くなりました。

狼への嫁入り~異種婚姻譚~ 番外編
作者:犬居葉菜
つっけんどんな狼族の跡取り×村育ちの強気な兎族がおくる、人外結婚ファンタジー、番外編!楓と出会ったことで救われた夫・練。彼から見た、結婚後の番・楓とは…? 切なく愛おしい思い出は日々生まれ、練の心に降り積もっていくー―。

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狼への嫁入り~異種婚姻譚~ 番外編 潮鳴怪談

狼族の子どもから怪談をせがまれた楓が、練のいとこ・裕士からとっておきの怪談を仕入れるお話です。

BL作品の番外編といえば主役カプがいちゃいちゃしているものが定石ですが、本作はガチの怪談(和風ホラー)なので、耐性のない方は回れ右⚠️💦

どこまでが真実でどこまでが作り話なのか、その境界線が曖昧な怪談話なので、余計に怖いです。最後に練と楓のイチャイチャシーンがありますが、そこにも裕士が語った妖怪の姿が…!?

狼への嫁入り~異種婚姻譚~ 番外編 潮鳴怪談
作者:犬居葉菜
練と結婚した楓は、もうすっかりここでの暮らしに慣れていた。狼族の子どもから怪談をせがまれて披露した楓だが、子どもたちから駄目出しをくらう。負けず嫌いな楓に、練のいとこ・裕士が話してくれたのは、とっておきの怪談──。

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狼への嫁入り~異種婚姻譚~(2)

先祖返りの呪縛から解放された練は「玄依硝子」の跡取りとして邁進し始めるものの、「練と対等な番になりたい」と空回りしてしまう楓のお話です。

1巻では練と楓が二人の関係を築くお話、2巻では練と楓がそれぞれ自分の居場所を認めてくれる組織にどうに向き合うかのお話だったように思います。
練は人とのコミュニケーションが苦手ながら頑張って大きな仕事を前に奮闘するのですが、思わず人前で泣いてしまうほど精神的に追い詰められてしまいます。一方、楓は自分が家の細々した手伝いしかしていないことに焦りと苛立ちを感じ、練と衝突して家出までしてしまいます。

練が楓に感情を素直にさらけ出せたことで、事態は大きく変わるんじゃないかな?次巻に期待です。

狼への嫁入り~異種婚姻譚~(2)
作者:犬居葉菜
婚約当初は絶望的に仲が悪かったものの、2人は互いを好き合う番となった。練は楓という愛しい番を得て、長年苦しんだ“先祖返り”の呪縛から解放された。長年の苦しみから解放され、練は「玄依硝子」の跡取りとして邁進し始めるが、彼と対等な番になりたい楓はーーー?

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狼への嫁入り~異種婚姻譚~(3)

練が、人の心を感じるような不思議な「糸」が見えるようになり、楓と仲直りするお話です。

3巻では、先祖返りを抑える投薬のせいで押さえつけられてきた練の拙い感情が、楓への恋慕をきっかけに成長していきます。

(ちなみに、人との信頼関係が糸として見えるようになった、というのは実際に糸が見えているわけではなく、そういう人同士の微妙な空気感のようなものを、練が人付き合いに慣れて、感じ取れるようになったという比喩かもしれません)

糸が見えるようになったおかげで楓との仲もすんなり修復…といきたいところですが、逆に糸が見えるようになったことで、練は逆に楓への自分の感情に振り回されて、うまく接することができなくなってしまいます。それでも楓と向き合おうと努力する練。1巻ではあんなにクールだった練が、感情でぐちゃぐちゃになっている姿が愛おしいです。

これが最終巻とのことですが、まだまだ続いてほしい…!

狼への嫁入り~異種婚姻譚~(3)
作者:犬居葉菜
楓の家出をきっかけに、練は人の心を感じるような不思議な「糸」が見えるようになった。これにより、練は電灯開発部の同僚たちと向き合えるようになるが、楓からの「糸」には問題があった。楓と目が合うと、練は胸が動悸して顔が熱くなり、なんだかソワソワしてしまうのだ。

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まとめ

画力が半端ねェ〜!!!!!!

個性的なキャラ、練られた世界観にときめく!BL界にトップオブ漫画ウマ神が降☆臨…🥺✨

そして、まるで映画を見ているかのような演出力の巧みさ。1巻読み終わるごとに、ずっしりとした充実感が胸に溢れるのを感じます。

また、「異種婚姻譚」というタイトルではありますが、結婚した者同士でなくとも、すべての家族・恋人たちがぶつかる「好きな人と対等な関係でありたい」というジレンマや、「好きな人を理解したいのに、怖くて正面から向き合えない」といった不安をテーマにしており、全ての人が共感したり、考えたりできる内容になっていると感じました。

試し読みだけでもぜひ読んでみてほしい!!素敵な名作です📖✨