「とんだ変態野郎じゃん」、たなと「スニーキーレッド」シリーズを読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
暴力を振るう不良大学生×暴力を振るわれると興奮するドMフリーター のお話。
<あらすじ>
平凡なフリーター・三崎はタチの悪いヤンキー・釧路に執拗に狙われる日々を送っていた。
会えば顔が腫れるまで殴られ、ウンザリするばかり。
しかしその一方で、三崎の体は釧路からの暴力で興奮に震えるようなっていく……。
こんな人におすすめ
- 「痛いのが気持ちいい」という変態受けに興味がある💭
- 暴力を振るわずにはいられないDV男の変わっていく姿を見たい👀
- たなと先生の独特な絵柄に惹かれる❤️
本作をもっとよく知るための小ネタ
①今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう?
「主人公が強く快感を覚えている状態を、表情だけでみせられないものかと思い、言葉を入れすぎないよう心掛けました。また、最悪の形ではじまる二人の関係が急激に甘いものにならないよう、気を付けて話を作って行きました。」
②苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください!
「人が人に対して暴力を振るう瞬間の描写が難しく、とても苦労しました。対して楽しかったのは、主人公の顔に痣や傷跡を描きこむ事でした。」
③BL作家になったきっかけを聞かせてください!
「中学生になるかならないかの頃、突然男性同士の恋愛を好きになり(とあるテレビドラマの1シーンが発端だったと記憶しています)、漫画をきちんと1本仕上げたいと思うようになった頃には、頭の中にBL以外の選択肢がほとんどありませんでした…。数回の持ち込みを経て、関東コミティアで創作のBL本を販売していたところ、お誘いを頂き、現在に至ります。」
ネタバレ感想
スニーキーレッド
フリーターの三崎は、家の近くにたむろする不良大学生・釧路春政にあえて殴られることで快感を得ています。わざと彼がいるであろう道を選んで帰る三崎をサンドバッグ代わりに殴りまくり、ストレスを発散する釧路でしたが、ある日を境に三崎を強姦するようになり、二人の関係性は微妙に変わっていきます。
「暴力を振るわれると勃起する」というぶっ飛んだ三崎の性癖は理解し難いものがありますが、最近読んだBL小説・葵居ゆゆ先生「とろけるまで縛って」でも受けが「痛みを感じると勃起する」というドMだったので、「人によっては痛みを快楽に感じるんだな」というのは想像ですが理解はできました。
一方のハル(釧路)は、別に暴力を振るうことに快感は覚えていないんですね。たまたまストレスが溜まっていたから鬱憤晴らしに人を手当たり次第に殴っていただけで(それも道義的にどうかとは思いますが)。なので、ストレスがなくなると徐々にハルは落ち着きを取り戻すわけです。そのうち三崎の家がいい避難場所になり、長い時間を三崎とともに過ごすようになり、恋人っぽい触れ合いなんかも始めたりして。
そこでハルは「三崎は暴力を振るわれたいドMだけど、俺は普段暴力は振るいたくない」と困惑していくわけです。
この巻ではハルのこの葛藤に関する答えは出ません。ちなみに本編後に語られるのですが、ハルは実家を出て半年後に三崎に付き合おうと自分から告白しOKされています。
意外にもハルはそこらへんをきっちりするタイプなんですね。
暴力男のハルはパッと見では常識の通じない頭のおかしいDV男に見えるし、実際、暴力を振るう理由がハルなりにある(そんな理由はないんですが)と、狂人かと思うくらい相手を殴ってしまうので、実際頭のネジがどっかぶっ飛んではいるんですが、三崎を大事にしはじめてからはそれなりに穏やかな関係を築こうと努力はしていて。なので、根っから頭がおかしい暴力男、話の通じない男というわけではなく、意外と理性もあるし常識もある男だというところが面白かったです。
逆に、真面目に仕事をしている三崎の方が、わざわざハルに殴られに行ったり、ハルに殴られなくなったら不良の前でわざと舌打ちして相手が殴ってくるように仕向けたり、会社に何の連絡も入れずに突然1週間休んだり(ハルに顔面を殴られたせいではありますが)と、割と常識では測れないぶっ飛んだところがあって、見た目のおとなしげな印象とはだいぶ違う!と驚いてしまいました。
2巻
三崎は正社員に登用され、同時にハルも就活を迎えることに。長期の就活に耐えたハルはようやく大手の内定を勝ち取るも、これまで鳴りを潜めていた暴力が三崎を襲うようになり…。
順調に交際し、仕事面でも充実してきていた三崎とハルでしたが、まさかの一巻以上にバイオレンスな展開でした。
特に印象的だったのは、三崎が流血するほどの暴力を振るったのはハルにも関わらず、むしろハルの方が呆然として、三崎を突き放すという展開です。三崎自身は久々にハルから受ける暴力に戸惑いながらも「久しぶりだな〜」くらいに受け止めていたんですが、どんどんエスカレートして最後は…。
結局、ハルが三崎に暴力を振るっていたのは就活先とそりが合わずにストレスが溜まっていたから。会社を辞めて、三崎が「一人で抱え込まずに恋人に頼れ」と同棲し始めてからは急激に落ち着いていきます。
とはいえ、三崎がいじめられるのを好きな事実を改めて感じたハルは、三崎に恩返ししようとハードなSMプレイのやり方をネットで学んで実行し、三崎は大満足するのでした。
2巻では三崎とハルの間にあった「暴力」というつながりにどう落とし所をつけるかというのがテーマだったように思います。
ハルが三崎に暴力を振るうのをためらう様子がよく見られたので、恋人には痛いこと全般をしたくない人なのかな?と思っていましたが、三崎のためと言いつつイラマと緊縛プレイをしていた時のハルは言葉責めもノリノリだったので、痛がらせることは許容範囲だったのかと気づくと同時に、SMのSはサービスのSと言うしな…と奉仕精神旺盛なハルが面白く感じました。
三崎も「俺ばっかり(SMプレイを)楽しんで悪いな…」とハルに申し訳なさそうだったのがおかしかったです😂
痛いのが好きということ自体は三崎自身は奇妙なものとして感じているんだな…と。その妙に理性的?なところ、常識の平衡感覚みたいなものを持ちつつも、Mとしての快楽にも振り切ることができる(定職を持っていて仕事に影響が出ることを不安に感じながらも自分から殴られに行くとか)思い切りの良さが、三崎の魅力の一つですよね。
3巻
ハルと付き合い始めて4年目の三崎。ある日突然、同僚の鈴木から恋愛相談を受けます。そこで三崎も鈴木も男と付き合っており、「セックスで受け身すぎるから相手にいい思いをさせたい」と共通の悩みを抱えていることが発覚。相手を縛ってでも奉仕したいと意気込む二人ですが…。
一番キュンとしたのは、浮気しているのではと疑ったハルが三崎を問い詰めた時、事実を理解し、「俺は三崎さんが涎垂らしてよがってるツラみると、バカみてーに興奮すんの!」と付き合ってほしいと告白する勢いでぶちまけるシーン。
そしてこれは心の中での独白ですが、ハルが「三崎の泣き顔を見る以外だと甘えるのが好き」と言うシーン。
2巻時点で三崎は自分のSM趣味にノーマルなハルを付き合わせて悪いな、と思っているようでしたが、実際はハルも三崎の泣き顔が好きなのでwin-winだったというわけですね。
あと、たしかにこれまでよくハルが三崎に甘えるシーンはあったものの、改めて「三崎に甘えるのが好き」とハルが口に出すと…なんだかすごく…かわいい!!と抱きしめたくなってしまいました。普段がクールでとっつきにくいからこそ、ツンデレな猫ちゃんみたいだなと…。ハルってそういえば三崎の3歳歳下(1巻情報)だったな、と今更ながらに思い出すのでした。
ポリネシアンセックスで大興奮してる三崎はえっちでしたね…語尾に♡つけまくりで。快感の嵐の中で「ハル、好きだよ」って必死に言う三崎に「俺もっすよ」ってぶっきらぼうに返すハルにまた胸キュンでした。普段は怖いのにこんな時に素直になるのずるいよー!!
モーションエモーション
ホームセンターでフリーターをする鈴木歩と、彼に懐いている大学生アルバイターの本多猛。女性客にモテまくる本多が「狙っている人はいる」と言い出し、面倒見のいい鈴木は恋の成就に協力してやろうとしますが…。
鈴木を大好きすぎる本多は弟力(おとうとぢから ※本多には姉がいる)を発揮して甘えまくり、とにかく押しに押して押しまくります。そして押しに弱い鈴木は兄力(あにぢから ※鈴木には妹と弟がいる)を発揮してしまい、本多のアタックにあっさり負け、彼の「好きだ」「付き合いたい」という要求を飲みます。
そもそも本多のことは先輩後輩の関係でありながらも友達として大好きだった鈴木。本多に手コキしてもらう夢を見たり、本多となら付き合えそうと思ったりと、本多に対しては鈴木のガードが激ゆるだったのも大きな理由だと思います。
本多の執着を感じるシーンは多々ありますが、特に感じたのはセックス中に「最初は痛がってたのにもう萎えなくなった。もっときちんと責任取らせてください。俺、離しませんからね。必ず鈴木さんが「いい」って思えるようにしますから。今は恥ずかしいところ全部見せてください」と言うシーン。
「もっときちんと」って結婚ってこと…?と思いながら読んでました。大手企業に楽々就職して涼しい顔の本多なら海外挙式とかさらっとやっちゃいそうです。
あと、鈴木が「いい」と思えるようにしたい、と言いつつ、離さないとも言っているので、あくまで鈴木を自分の腕の中でどうするかという想像しかしていないところに激しい独占欲を感じましたね。そこがいい!!
モーションエモーション番外編
セックス中、いつも本多に主導権を握られて悔しい鈴木が、どうにか本多をぎゃふんと言わせてやろうとジョックストラップを買って仕返ししようとするお話です。
時系列的には、「スニーキーレッド」3巻の冒頭以降ですね。三崎と相談していたアレです。
本多を辱めようと思ってジョックストラップを買って穿かせたのはいいものの、全く動じない本多😂 「鈴木さんの前なので」って本多は普通に言うんですが、好きな人の前でこそえっちな格好するのって恥ずかしくないですか!?
しかもその後、「主導権を渡す」という名目で鈴木がジョックストラップを穿かされるんですが、鈴木は「素っ裸より恥ずかしい」と恥ずかしがってるし、本多はいつもよりちんこをデカくして興奮してるしで、結局鈴木を恥ずかしくさせるだけで終わってしまうという😂
それにしても、鈴木の「俺が自発的にお前のこと喜ばしてやりてえと思ったら悪いかよ!」って本多に啖呵を切るシーンはときめきまくりました。鈴木って思い切りがよくて、隠し事とかしないタイプですよね。その潔さがかっこよくて好きだなあ。本多を喜ばせたくて夜な夜なペットボトルに息吹き込んだら吸ったりしてフェラの練習を真面目にしてるところが、「スニーキーレッド」3巻で取り上げられてましたが、そういう実直なところ、愛する人に一生懸命なところも大好きです。本多も言っていたけれど、本当に可愛い人だなあ…。
まとめ
BLコミックでのSMプレイの金字塔作品と言っても過言ではない、名シリーズ「スニーキーレッド」シリーズ。
暴力を振るう側と振るわれる側から始まった歪な関係が、徐々にただ寄り添うだけで安心する関係になり、そして最後は「俺だけを見てほしい」と独占欲を感じたり、甘え合ったりする関係に。
「痛めつけられると性的に興奮する」性質の三崎が、性欲のために暴力男・ハルに近づくのではなく、「何か」のために暴力を振るっているハルの寂しさに寄り添い、力になりたい、愛したいと近寄っていく姿に、ハルが本当に求めていた無償の愛のあたたかさを感じますし、ハルが暴力以外の安心できる居場所をやっと見つけられたのだとホッとします。
脇役カプの鈴木と本多は、「スニーキーレッド」本編でもかなり頻繁に出演していましたが、いよいよスピンオフが始まった時は嬉しかった…!
本多は思っていたよりずっと執着心も独占欲も強くて、隠れていた雄の顔にドキドキさせられました。同時に、鈴木も女好きではあるものの本多に対しては「本多となら付き合えるかも」と手コキされる夢を見てしっかり射精してたり、めちゃめちゃ本多のこと好きやん!!と驚いたりして。
一見、鈴木が本多を尻に敷いているカップルに見えますが、実際は全て本多の手のひらの上で鈴木は転がされている…という、この不思議な力関係がたまりません。ずっと喧嘩(鈴木が一方的に声を荒げているだけですが)の絶えないにぎやかなカップルでいてほしいです。
「痛いのが気持ちいい」という特殊な性癖を持つ男と、暴力を振るわずにはいられない男。そんな二人が、出会って、変化していく。
人と人との化学反応を見たい方、「痛み」と「快楽」について考えてみたい方、SMプレイが好きな方、愛を得て変わっていく攻め・受けが好きな方に、ぜひ読んでいただきたいシリーズです。