椛嶋リラコ「迷エル黒羊」のあらすじ・感想・レビュー・試し読み|「お前は私の糧に選ばれた」元・神の使いだと言う男の正体は…?

コミック

曝け出して、その欲望を。警察官のアランが悩まされる淫夢の正体は──、椛嶋リラコ先生「迷エル黒羊」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


追放された元天使・現悪魔×叶わぬ片思いに悩む警察官 のお話。

<あらすじ>
警察官のアランは、夜ごと夢に悩まされていた。
密かに想いをよせていた彼に抱かれる淫らな夢。
あまりの生々しさに目覚めると、目の前には彼と同じ顔をした翼のある男が──。

 

こんな人におすすめ

  • イギリスを舞台にした作品が好き🇬🇧
  • 悪魔が出てくる作品に惹かれる😈
  • 「人ならざるもの」になってみたい欲求がある👻

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

ちるちる主催のBLアワード2025 BLソムリエ部門にて「迷エル黒羊」がノミネートされた。


②Canna100号に番外編(2Pz)が掲載されている。冷たい雨の中、巡回するアランとゼブのお話。


③「迷エル黒羊」の画像はカバーの他ラフ案、すべて”彼の顔”が見えない構図になっている。

ネタバレ感想

プロローグ

19世紀ロンドンはスコットランドヤード、ここに勤務する平凡な巡査 アラン・クランシーは、唯一愛した同僚 ジャレットに犯される夢を毎晩見ては、良心の呵責に苦しめられていました。しかしある晩、夢の中のジャレットが、固有の意思を保つ悪魔 ゼブで、アランの淫夢から精気を吸い取っていることが判明し、アランはその悪魔と恐々交流するようになっていきます。

ゼブは、最初はアランのように心に隙のある人物であれば精気が吸いやすいので、そういった人間なら誰でもよかったようです。しかし、アランの正義をひたむきに信じる愚直さ、ジュリーへの一部で健気な想いに触れ、徐々にアランから精気を奪うだけでなく、むしろアランが失血死しそうになった時は自分の血を輸血してやり(精気を吸い取る糧とする対象にはありえないことですが、特別に”施し”てやり)、自分の留守の間に他の天使や悪魔に襲撃されないようにと加護を指に施してやったりと、破格の待遇をしていきます。
アランにだけはどうしてか優しくしてしまう己を自覚して悩みつつも、ゼブは自分の欲求に素直なので、アランを見れば甘々な対応をしてしまうのがあまりにもパーフェクトスパダリすぎて…ゼブ様〜!!!!と心の中で応援うちわをずっと振り続けていました📣

一方で、アランも上司であるトーマス・モリス警部警部から強引な潜入捜査を命じられて死にかけるもゼブに助けてもらったり、野盗に襲われて若くして急死したジュリーにわざと化けて想いを晴らさせようとするゼブの優しさに慰められたり、周囲の人間たちに裏切られて殺されかけた時にもゼブだけが手を差し伸べてもらったりするうちに、ゼブに心を寄せていき、「ゼブの隣でしか生きられない」と思うようになっていきます。
アランはゼブほど自分の欲求に素直になれないというか、欲望を恥ずかしいものだと心の奥深くにしまいこもうとする性質があるようでした。そこをゼブにつけこまれて精気を搾り取られてしまうんですが…。
ゼブへの好意をうっすらと自覚しつつも、素直になれずツンとしようと頑張る姿は可愛かったです☺️💕

終盤になるにつれてアランはゼブからもらった血の割合が体内でどんどん大きくなっていくので、「人ならざるもの」に近づいていきます。途中で両腕が欠損した状態でセックスをし、精気を得たゼブが挿入しながら両腕を再現させるというシーンがあるのですが、ここがもうとにかくエロい。言葉で説明してもそのエロさがうまく伝わらないと思うのですが、両腕をずぞぞ…と構築されながら絶頂するアランがエロすぎて、何かの性癖の扉が開いた気がしました。

また、ここまでストーリーについて語ってきましたが、本作の一番の魅力はなんといっても椛嶋先生の圧倒的画力だと思います。
これぞまさにロンドンといった薄暗いコマ、その中で繰り広げられるゴシックな世界観、それを彩る、繊細で美麗な絵柄。一コマ一コマがまさに芸術品と言えるほど細かく描き込まれており、特に数々の男たちを天界で惑わせてきたゼブは色気がダダ漏れで、あまりの高貴な美しさに魂が抜かれそうでした。アランは逆に平凡ながらも愛くるしく、脱ぐと不思議と色気があるキャラクターで、ゼブの血が混ざっていくほどその色気度合いがどんどん上がって、どこか寂しげで抱きしめたくなるような儚さを醸し出していて、アランもまたゼブとは別ベクトルでとても美しかったです。

画力にメタメタにされたい!スパダリ悪魔に精気を吸われたい!吸われてる可愛い受けを見て悶えたい!という方にぜひともおすすめしたいです。

黒羽の半身

ゼブに翼を分けてもらうアランのお話です。

天界では翼があった方が何かと楽だろうとゼブが翼をアランに分けてくれるのですが、この時のゼブがとにかく過保護。翼を生やすだけでなく、飛び方やケアの方法まで俺が教えてやるからと、不安がるアランを優しく宥めてくれます。そして翼を生やした後は「我が子を産み落とした気分だ」と嬉しそうに言い、「よりこちらに近づいたアランの姿が愛おしい」とベタ褒め。
も〜ゼブったら糖度高すぎるよ〜!!と口から砂糖を吐きながらサムズアップしてしまいます👍✨ナイス溺愛👍✨

しかもこれまたアランも、「ゼブにとって大切なもの(ゼブの翼)を分けてもらえて嬉しい」「ゼブの翼は綺麗だから好き」と恥ずかしそうに、でもしっかり主張。アランの可愛さを堪能しつつもゼブへの愛もしっかり感じられて、大満足でした☺️💕

シーモア限定描き下ろし特典

アランとゼブが逆転した状態で出会っていたら…というifのお話です。

つまり、アランが悪魔、ゼブが巡査ですね。妖艶なアランに純朴そうなゼブが食われる…という展開かと思いきや、まさかのゼブが「アランに尽くすよ」と即答😂 さらには「逢瀬は巡回の時間以外で」と頼みつつ、「恋しくなったらいつでも呼んで」と甘く誘って、逆に悪魔のアランが精気を搾り取られてへろへろに😂
予想しない展開だったので笑ってしまいました。ゼブは悪魔でも人間でも、自分のルールに引き込む力が強い!逆に言えば、アランは悪魔でも人間でもゼブに振り回されてばかり😂凸凹な二人だからこそ相性がいいんだろうなあと思わされました。

 

まとめ

19世紀ロンドン、スコットランドヤードの巡査であるアラン・クランシーは、片想い相手であるジャレットに抱かれる淫夢を毎晩見続けており、憔悴しきっていました。しかしある晩、アランの夢に悪魔のゼブが現れ、彼はジャレットに化けてアランの精気を吸い取っているのだと判明し…。

心の隙がある人間(悪魔曰く”糧”)から精気を吸い取りたいだけのゼブと、ジャレットへの気持ちは袴で持っていきたいアラン。自分の欲望に忠実すぎるゼブはアランの「ジャレットの幸せを見守れたらそれでいい」という献身的な愛を馬鹿にしますが、徐々にそんな愚直なアランに惹かれていきます。

最初は相互の利益のためだけに共存していた相手を深く知るうちに好きになっていく…というストーリーだけを聞くと、割と王道?なので、読んでいると飽きてしまうのではと不安な方がおられるかもしれません。しかしそこを解消するのは、椛嶋先生の圧倒的画力です。
緻密すぎる描き込み、キャラたちの輝くばかりの美しさに圧倒されているうちに、あっという間に話が進んでいきます。しかもあっと驚くようなセックスもあり、ページをめくるごとにワクワクが止まりません!間違いなく唯一無二の絵柄ですし、読者を世界観にぐいっと引き込む吸引力が抜群です。なので、たとえストーリーが王道であっても、むしろだからこそ、椛嶋先生の良さが光ります。

ぜひあなたも椛嶋先生の描く、ゴシックな世界に溺れてみませんか?
まずは試し読みでその美しい世界の一端に触れてみてほしいです!

迷エル黒羊
作者:椛嶋リラコ
警察官のアランは、夜ごと夢に悩まされていた。密かに想いをよせていた彼に抱かれる淫らな夢。あまりの生々しさに目覚めると、目の前には彼と同じ顔をした翼のある男が──「お前は私の糧に選ばれた」元・神の使いだと言う男の正体は……?

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