葵居ゆゆ先生の同人誌「唇でつたえて」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
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元病弱なモテ高校生×ガキ大将だが可愛い容姿の幼馴染 のお話。
<あらすじ>
睦巳と仰は幼馴染み同士だ。
小さい頃は身体が弱く泣き虫だった仰。
睦巳が彼の面倒を見てきたのだが、成長した仰は「かっこいい」と周囲に騒がれる存在になっていた。
こんな人におすすめ
- 高校生の甘酸っぱい恋愛にときめきたい🏫
- 幼馴染ものに弱い👬
- 俺様受けと番犬攻めが好き👑🐶
ネタバレ感想
唇でつたえて
高校生の柴崎睦巳は、二人で花火大会に行く途中に痴漢にあって以来、幼馴染の高井仰の様子がおかしいことを心配しています。仰は「睦巳が好きだから」と弁当を作ってきて睦巳のものと強引に交換したり、手錠をかけようとしてきたりと、睦巳は仰が何をしたいのか分かりません。それでも、幼い頃から睦巳をガキ大将と慕ってくれていた仰と仲良くしたいという気持ちはあり、仰と「元通り」になりたいと願うのですが…。
睦巳はなかなか「恋の好き」が理解できません。「仰とは離れ離れになりたくない そばにいて当たり前のものをなくすのは嫌だった」「他の誰かと睦巳と同じように仲良くされたくない」とは思うのですが、それが「幼馴染としての好き」とどう違うのかがなかなか分からず、先に恋に芽生えた仰との距離がどんどんと開いてしまい焦ります。
結局睦巳は「好きの違いは分からない」と思いながらも、それでも「苦しくなるくらい仰が好き」「他の人は嫌だけど、仰に触られるのは好き」という結論に至り、両思いになります🫶
そして、ここに至るまでの睦巳の葛藤が本当によくて…。
例えば、「”苦しい”のが”好き”なのかな」「俺はそばにいられればよかったのに 仰はなにが嫌なんだろう キスしたから嫌われたのだったらどうしよう」「自分が信じられない 仰に嫌われたと分かってこんなに苦しい自分が嘘みたいで泣きたくなる」など、睦巳なりに「仰の言う”好き”ってこういうことなのか?」「仰は今何を考えてるんだ?」と不安を抱いて揺れているのが言葉の端々から伝わってきますよね。
睦巳視点なので仰が何を考えてそう言ったのか、そう行動したのかというのがはっきりとはわからない部分があり、だからこそそれを受けてどう行動したらいいのか悩む…というのが、すごくリアルに共感できるんです。
一方、仰は両思いになった後に「睦巳みたいになりたかった。毎日一緒にいたいって…熱出しながらそればっかり考えてた。あのころからすごく好きなんだ」「睦巳に出会ってから ずうっと睦巳だけが好き」と言うんですね。
もともと仰は病弱なのに同級生たちと遊びたくて必死にくらいつく根性がある子どもで、それでもその鈍臭さが周りからは疎ましく思われていたんですが、ガキ大将の睦巳が辛抱強くかまって、庇ってやり続けていたから、仰は友達の輪に入れたし、睦巳と一緒の遊びを楽しめたんですね。睦巳もその思い出を大切に感じていて、だからこそ「仰の特別でいたい」と思っているんですが、言葉少なな仰の台詞からは、睦巳と同じかそれ以上にその日々を尊く、輝かしく感じていることが伝わってくるんです。
ああ、仰にとって睦巳は「大好き」という言葉では言い表せないくらい、本当に、仰の全てみたいな存在なんだなと感じました。
あと、作中で鷺田という当て馬が出てくるんですが、彼がめちゃくちゃいい奴で…。
睦巳は仰に求められてキスしたものの、それ以降急にそっけなくされてしまい「キスして嫌われるとかあるのかな」と不安げに鷺田に相談するのですが、仰のことで頭がいっぱいの睦巳の状態を知りながらも、鷺田は睦巳に「…俺なら嫌いにならないよ」と彼をまっすぐ見つめて真剣に答えてくれるんですよ…。鷺田…惚れてまうやろーーー!!!好きな人がウブだから「いろいろ教えてあげたい」と暗に睦巳を好きだと匂わせもするんですが、睦巳は鈍感なので全く気づかず…そんな不憫なところも好きです。鷺田に教えられたい(鷺田の夢女)
唇でつたえるのは
本編から3年後、大学生になった睦巳と仰と鷺田のお話です。
同じ大学の同じ学部に進学した睦巳と仰。睦巳は相変わらず校内でも「かわいい」と有名なのですが、仰の優秀な番犬っぷりのおかげで誰にも狙われずに済んでいます。しかし時々命知らずな輩はいるもので…床田という同級生の男が睦巳に「人脈を作るセミナーに行こう」と勧誘してくるんですね(本当に本人がセミナーに興味があるのか、それともそれを口実に睦巳に話しかけたかっただけかは不明。後者の可能性が6割くらい)それを仰と鷺田(今は「アルデア」というバンドで活躍している芸能人)が撃退してくれます。
睦巳は顔がかわいいだけで中身は凶暴なガキ大将なんですが、仰も鷺田も蝶よ花よと睦巳を扱うのでなんだかおかしくて笑ってしまいます。それにしても、睦巳が想像以上に鈍感で、「高校時代からモテたよね」と仰と鷺田に言われても、「いや全然だろ」と真顔で言う始末。それは仰が牽制していたからでは…とおかしくなりました。
また、睦巳が仰のことを「ちょっとめんどくさいけど心底睦巳のことが好きでどんなときも絶対に味方になってくれるとわかっている特別な男」と言っているにはキュンと来たなあ。恋なんかわからない!と言っていた高校時代から、随分成長して…と泣きそうになってしまいました。
仰がいまだに睦巳へのアプローチをやめない鷺田(ただし睦巳には全く気づかれていない)に「諦めてほしいけど気持ちはわかるよ だって睦巳だもん」と憐憫まじりに言うんですが、なんだか同類相憐れむという感じでおかしさが込み上げます。
二人とも高校時代からずっと同じ男を好きだから、似た苦しみを共有していて、もう戦友って感じなんですよね。鷺田も本気で仰から睦巳を奪おうとしているというよりも、「お前が睦巳を幸せにしてないなら奪うぞ」と基本は二人の仲を応援しながらも略奪の機会を虎視眈々と狙ってる感じで、そこもほどよく緊張感があっていいなと思いました。
まとめ
同級生で幼馴染の柴崎睦巳と高井仰。前者はガキ大将(ただし身長が伸びずかわいい童顔のまま)で、後者は元病弱な現天然気質な無口系イケメン。睦巳はある日突然仰に「好き」と告白されるも、求められてキスをした日以降、なぜか急に仰の態度が冷たくなってしまい混乱します。
本作は、高校生幼馴染同士のピュアでもだもだキュンキュンな甘々ラブストーリー。基本的に睦巳と仰がおたがいに悶々としているさまを描写していて、おたがいに無自覚両片想いなのでしんどい展開が一切ありません。全編にわたってラブが満ち溢れています。一時期、仰が睦巳を好きな自分の気持ちで傷つけたくないからと距離を置くんですが、その間の睦巳の寂しさも、最後のラブラブシーンへの助走というか、絶妙なスパイスになっているので、全然つらくないです。
それに、嫌な人が全く出てこない(1、2名嫌な感じの人はいますが、モブなので深い絡みはありません)ので、安心して読めます。
そして本作は葵居ゆゆ先生がデビュー前に書き上げられた作品だそうですが、文章のクオリティ(特に主人公の心理描写の丁寧さと濡れ場のシズル感!)の高さに戦かされます。すごい文才です。
商業紙の番外編ではないので、これ単体でさくっと読めるのも良いところです。手頃なお値段(たった400円!!)なのもお財布に嬉しいところ。
はじめて葵居ゆゆ先生作品を読んでみたい!でも商業紙は長いから読み終えられるか心配…という、葵居ゆゆ先生初心者の方にぜひおすすめしたい一冊です。