中庭みかな「ひめくりスピカ」のあらすじ・ネタバレ感想|乙矢と柊吾さんの甘く愛しい日々

同人誌

中庭みかな先生「ひめくりスピカ」を読みました!

前職でひどい「いじり」を受け辞職した青年の、物腰柔らかな図書館職員への片想いから始まる、優しくて泣けるBL小説、「片恋のスピカ」の同人誌です。

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


引用:「ひめくりスピカ」トルタンタタ-booth

「片恋のスピカ」の乙矢(受け)と柊吾さん(攻め) のお話。

<あらすじ>
「片恋のスピカ」(中庭みかな名義・幻冬舎コミックスさん ルチル文庫)の番外編SS集です。
ブログに掲載等の5話+新規書き下ろし6話を収録。
乙矢と柊吾さんのふたりが最初から最後まで仲良くしているお話ばかりです。

 

こんな人におすすめ

  • 中庭みかな先生の文章が好き✍️
  • 星にまつわるお話が好き🌠
  • 「片恋のスピカ」の二人が好き👨‍❤️‍👨

 

ネタバレ感想

1.恋人たちはこの星で(冬)

<あらすじ>
温泉旅行に出かけた柊吾と乙矢。
乙矢は普段から自分の好みを優先させてくれる柊吾に「接待」をしたいと意気込む。

柊吾の行きたいところに一緒に行けると決まっただけで嬉しい乙矢かわいすぎ!
接待旅行のはずが逆接待旅行になってるの愛おしいな…🏞️✨
「空気が冷たいから、そのぶん誰かの体温がより際立って感じられる」の一文が、みかな先生っぽい。空気がただ冷たい、体温が温かい、と書くのではなくて、そこに関連性を見出してエモく書けるのがすごい。
部屋の描写もいい…「ちゃぶ台の王様みたいな立派なローテーブル」って表現が、乙矢の可愛さに合ってる!
柊吾の瞳の色を飴玉のようと表現した後に、彼の目を見つめながらするキスが甘く感じるというのが、すごく…いい…!目で見ているものと舌で感じているものが影響し合ってるの、なんだかエロい。
「背骨が全部溶けてしまいそうな、目眩くような気持ちよさ」って、えっちな表現だなあ…。言葉を読んだだけで背筋がぞくぞくする!
性感帯の話で、「どこが、じゃない。乙矢そのものが、柊吾の全部に反応する。身体も、心も」っていうのが、すごくみかな先生っぽくて良い。単純に、口が性感帯だという話で片付けてもよいのに、そこを心の話まで深掘りしてくれるところ。体の快楽は心と繋がっているんだと教えてもらえる感じ、たまらん。
乙矢の結んだ紐の長い方を「乙矢くんのしっぽ」って呼ぶ柊吾さん、良い…。この「恋人同士だけでしか通じない言葉」からしかとれない栄養がある…!
「もっと深い愛情を注ぎたいと思った。この人にも、この人の大切にしてくれる自分にも」で泣きそうになった…。ただ愛されて嬉しいだけじゃない。愛を注ぎたいだけじゃない。その先の、自分を大事にしたいって感情を乙矢が持ってくれたことが嬉しくて😭

 

2.「大人のおはなし会」

<あらすじ>
図書館で実施しているアンケートに、「大人のために絵本の朗読会をやるのはどうか」と書いてみた乙矢。
早速、柊吾に家で絵本を読んでもらうことになったのだが…?

ひい〜〜時間差出勤甘酸っぱいよ〜〜!!!!顔がにやついちゃう😆
「おおきなかぶ」を選ぶところが、乙矢の可愛さを表してるな〜。絵本でもなんだか色っぽくなっちゃう柊吾さんの音読、聞いてみたい…🤤

 

3.手帳の話

<あらすじ>
柊吾が手帳を愛用しているの見た乙矢は、自分も使ってみようと手帳を購入する。
しかし、書くことが見つからず悩んでしまい…。

「乙矢のまなざしを絡めて奪うように、柊吾はこんな目をして笑う」。この一文!この一文よ!!みかな先生作品特有の色気が滴ってる!!!!最高…柊吾さんの体温をまとった香りまで漂ってくるような一文だ。
ビーフシチューの描写が美味しそうすぎる。特段難しい言葉を使ってるわけじゃないのに、シズル感がすごい。
モフ吾さんww 乙矢あまりにもかわいすぎるwww
黒猫のおとにゃんはしっぽが長い…っていうのはきっと、乙矢が紐を結ぶと片方が長くなるからだな!白くてもふもふのモフ吾さんと黒猫のおとにゃん…なんてかわいいカップルなんだ…。
最後の一文がまるで噛み締めるようで、すごくいい。幸せの余韻を感じる。

 

04.ハッピーバレンタイン

<あらすじ>
バレンタイン当日、柊吾は乙矢が同僚の宮下さんから「ハッピーバレンタイン」という言葉と共にチョコレートをもらっている光景を目にしてしまう。

珍しく柊吾さん視点!!
乙矢にチョコをあげる宮下さんに嫉妬する柊吾さん…乙矢視点だと柊吾さんは余裕たっぷりの大人の男に見えるけど、実は嫉妬や苛立ちを穏やかな表情の下に隠してるだけなんだなと分かって、なんだか面白い。
バレンタインなんてと冷ややかな気持ちで見ていたはずなのに、乙矢が作ったチョコなら「大好き」と大真面目に言う柊吾さんがかわいすぎる😭愛おしすぎる😭

 

05.黒猫とたのしいおやつ

<あらすじ>
柊吾と会えない日は、テレビ電話をすることになった。
電話中はおやつを食べることにしたのだが、乙矢が何を食べても柊吾は「かわいい」と言う。
乙矢は「何を食べたらかわいいと言われないか」を考え始める。

っかーーー!!!!!かわいいなあ!!!!!!
柊吾と一緒に過ごせない時間、テレビ電話の時間はおやつタイム🎵っていうだけできゅんとするのに、さらに選ぶものがかわいいし、「何を選んだらかわいいって言われないか」を攻める乙矢がかわいすぎる。はあ…かわいい。どうぶつビスケットとココアを山のように買ってあげたい。
また最後のオチが最高なんだよな…むふふ。

 

06.恋人たちはこの星で(初夏)

<あらすじ>
忙殺されなかなか休日が合わなかった二人。
やっともぎ取った休みの日、柊吾と乙矢は計画していたデートを実行するのだが…。

導入がもう最高すぎる。「まるで二人で雨宿りしてるみたいだった」までのでっかい一段落、脳内ではずっとしとしと雨の音が鳴ってる。柊吾と乙矢が雨をどんなふうに捉えているのか、雨の日に生きる自分をどう捉えているのか、そこから二人のキャラクターが見えてきて、ああすごいなあと思う。キャラ設定完璧だ。
「別れ際にしょんぼり寂しさに萎れてしまう」のが柊吾のほう、というのがまたかわいい。乙矢は黙って耐えるタイプだもんね。
「世の中すべてに怯えるように自信なさげで、自分自身の心の輪郭すら取りこぼしそうなほど傷ついていた過去の面影は、いまはどこにも見当たらない」って一文、すごく好き。まさにみかな先生の作品の主人公だ。「自分自身の心の〜」の表現なんて、どうやったら思いつくんだ…言葉選びがすごすぎる。
ずっと二人でいられる休日をもぎとれた、ただそれだけの事実なんだけど、恋人の二人にとってそれがどれほど大切で素晴らしいことか。それを読むほどしみじみと感じさせられる。最高だよ。
柊吾さんのシャツを受け取った乙矢が戸惑いなく、自分ではなくパンをくるむ…ただそれだけのワンシーンが、柊吾にとってどれほど愛おしく心温まるものか。そんな些細な一コマこそが恋人という関係の醍醐味なのだと、しみじみと感じさせられる。
胸が熱くなるのを、「火を飲み込んだよう」って表現するの…なんて詩的なんだろう。素敵。
乙矢が声をかすかにあげる様子が伝わってきて、めちゃくちゃかわいい…。普段から大きな声で喘がない感じ、たしかにする!
恋人同士にしかできない楽しみ方…かわいい…じーんとする…。

 

07.銀の星ひとつ

<あらすじ>
七夕のために図書館に飾られた笹。
小さな男の子がその笹に飾られた銀の星の飾りを取ってしまう。
乙矢はそれを快く許すのだが…。

願いごとを思いつかないくらい今が幸せと言える幸せよ…。よかったね、乙矢😭
「天の川を探すには、この町は明るすぎるかもしれない。それでもその灯りより、もっと明るい星が、空にはいくつも光っている。空にも、そして、この胸にも」…素敵だ…なんてロマンチックなんだろう。みかな先生の作品という感じがしみじみする。胸に染み入るような一文。

 

08.かいぶつのゆめ

<あらすじ>
柊吾は夢を見る。
手も足もない真っ黒な怪物になって町を徘徊し、片っ端からそこにあるものを飲み込んでいく夢だ。

乙矢のネーミングセンスが微妙すぎてめちゃくちゃかわいい😭ほんと「可愛いで賞」だよ!!「トマ柊吾」って何よー!!😂🍅
「心臓、だと思っていたものの真名を知る。はじめて手に入れた、これは心臓ではなく心だ」…めっちゃくちゃ泣いた…。怪物の柊吾さんが、心臓を手に入れなくたっていい、かいぶつのままでいい、人間のふりができないと気にするのだってどうでもいい、ただ黒猫のそばにいたいと強く思う姿に泣いた。
しかもトンチキな名前だけど、「トマ柊吾」が悪夢を目覚めさせるきっかけの一つになるなんて。最初のなんでもない日常に見えた描写が、泣ける展開のキーになっているなんて誰が想像しただろう!

 

09.大雨の日

<あらすじ>
土砂降りで町にアラートが出された日、乙矢は柊吾にあるお願いをされる。
それは「僕の家で待っていて」という簡単なものだったのだが…。

「畑の様子とか心配かもしれないけど…」「大丈夫です、畑持ってないです」に笑ってしまった😂柊吾さん、あなた疲れてるのよ…!😂
「恋人もしまえ」の気持ち、分かるな…。乙矢は黒猫っぽいから🐈‍⬛
「不安がしゅわしゅわと溶けていく」っていいなあ。優しい気持ちになる。
柊吾さんが、付き合う前から同棲したかったなんて意外すぎる!!私も乙矢と同じで、柊吾さんにはパーソナルスペースが必要なタイプかと思ってたや。
どうして一人で柊吾さんの部屋に来るのが嫌なのかの理由が、柊吾さんの存在が大きすぎてそれを感じるのが寂しかったからって、すごく…すごく…素敵な理由だ。この考えを言葉にできるのがすごい。
雨が降る中で、幸せが心から溢れた「涙雨」と表現する美しさよ。詩的だ。

 

10.光のはやさで

<あらすじ>
ある夜、突然柊吾が「君の家まで歩きたい」と言い出した。
同棲している乙矢は不思議がるが…?

「寒くて、寂しくて、でも誰なら助けてくれるのかも、もう分からなかった。助けてほしいとも思わなかった。何を願っても、もう無理なんだと悟った気でいた」
「迎えに来てくれて、迎えに来たかったと思ってくれてありがとう、と、心の中で何度も彼に伝えたい」
乙矢がもうダメだと座り込んで泣いてしまった日、その日に心が戻って苦しくなると同時に、今、乙矢のそばに柊吾さんがいて、乙矢を抱きしめてくれることが本当に嬉しくて…😭私も、迎えに来てくれて、迎えに来たかったと思ってくれてありがとうと心の底から思った。
きっと今日のことを一生忘れない、と言う乙矢の言葉を読みながら、私も忘れないよ、と心の中で噛み締めて、ページを閉じた。優しくて、あったかくて、これ以上ない最高の終わり方、まるで満月と星が光る夜空を見た後のような美しい余韻を感じる。ありがとう、みかな先生。

 

まとめ

しっとり濃厚えっちなお話から、思わず笑ってしまうちょっとおかしな日常話まで、まるで中庭先生が乙矢と友達で、柊吾とのラブラブな日々を聞いてきて、書き起こしたような、すごく温もりを感じるリアルで優しくてかわいいお話たちでした😭💕

個人的には、「かいぶつのゆめ」が一番心に刺さりました。人も物も全部踏み潰して自分の色にしてしまう「かいぶつ」が、初めて会った黒猫だけは飲み込みたくないとはっきりした意思を示すところ、何回読んでも泣いてしまいます。

心臓がほしい、そうすれば人間になれるから。でも、黒猫の心臓を取るくらいならいらない。そうすれば完全な怪物のままで生きられるから。(これだけでは何を言っているのか分からないと思うので、ぜひ本文を読んでほしいです!!!!😭🙏✨)

柊吾さんが「かいぶつ」として生きていく世界線もあったのだと思うと、乙矢との出会いはなんて運命的なんだろう、二人が出会えて良かったと心が震えます。

全編を通して、二人が出会ったこと、恋をして、愛し合っていることに感謝と感動が溢れる作品でした😭💕読めてよかった…!!!

ひめくりスピカ
作者:中庭みかな
「片恋のスピカ」(中庭みかな名義・幻冬舎コミックスさん ルチル文庫)の番外編SS集です。ブログに掲載等の5話+新規書き下ろし6話を収録。乙矢と柊吾さんのふたりが最初から最後まで仲良くしているお話ばかりです。

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片恋のスピカ
作者:中庭みかな
勤めていた会社を辞め、ほとんど引きこもるように暮らしていた乙矢。外の世界へと連れ出してくれたのは、貸出カウンター越しに出会った図書館職員の霧島柊吾さん。彼に憧れるまま図書館でバイトを始めた乙矢だったが、胸に燻る想いを誰にも知らせるつもりはない…それなのに、優しく穏やかで七つ年上の柊吾さんとの距離は少しずつ近づいて…。

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