樋口美沙緒先生「作家生活10周年記念 全員サービス小冊子 My Precious」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
樋口美沙緒先生の作家生活10周年を記念して作られた、全員サービス小冊子。
「パブリックスクール」シリーズの番外編2編と、「王を統べる運命の子」シリーズの番外編1編を収録しています。
こんな人におすすめ
- 「パブリックスクール」シリーズが好き🎓
- 「王を統べる運命の子」シリーズが好き⚔
- 樋口美沙緒先生作品はなんでも好き🥰❤️
ネタバレ感想
「パブリックスクール」番外編 エド&礼side 「画廊オーナーの密会」
序盤から「俺が作った箱の中でレイが働いている」ってエドが礼の現状を表現してて、いかにもエドっぽくてゾクゾクしました。独占欲〜!!😚💋
以下、好きなセリフとその感想です。
レイのために、彼を「パルム」のダイレクターにしよう。そう決めたのはその時だったと思う。
ブライトはレイが持っている最も強い武器、大人になってもなおレイの心に息づく、幼児のような純真を知っている。
美しいものを美しいと信じ、正しいものを正しいと言い切る強さだ。
多くの大人が弱さだと断じて捨て、綺麗事だと馬鹿にする柔らかな心こそ、レイが持っている最大の強みだった。
そしてそれを守ることに、ブライトはきっと、価値を見いだせる。エドはその時、そう思ったのだった。
21ページ
レイの柔らかな心を何よりも尊ぶエドの柔らかな心に泣きました🤦♀️
冷徹な王と思われているエドだけど、心の奥底にはレイと過ごした頃の柔らかな心を持った日々が息づいているんだ…😭
お前はアーティスト。
…人より欲張りだ。見出した価値を他者にも伝えたいと願う。
その価値の中に、レイも含まれている
22ページ
どきりとしました。全オタクは、いや、人間はアーティストなんだよな…と。
俺はアートには興味がない。だからレイとセックスするが。お前はしたくてもできない。……ブライト、お前はどうしたってアーティストだからだ
22ページ
これは凄まじい殺し文句でした。
アーティストを諦めた男に、お前はアーティストだから信頼していると言うエド。言われたブライトはどれほど嬉しかったろう。
死ぬ思いでアーティストの道を諦めたであろうブライトの心を思って泣きました…。
ふと、エドは気がついた。それは知らざるブライトの一面だった。
アートを愛し、レイの純真さを愛しているだろうブライトは、けれど、命の奥底から大事なものが見つけられず、探している男でもある。
それが彼の中にある、アーティストとしての本質かもしれなかった。
大事なものを探して、彼は長い間絵を描いていたのかもしれない…。
24ページ
これも読みながら噛み締めました。
全てを持っているように見えるブライトは、エドにとってのレイのような存在をずっとアートの中で探し続けている…。ブライトの不器用な生き方に涙が溢れます。
Free Talkで樋口先生が書いていらした「礼が好きになる人の事は、エドもそれなりに認めちゃうのかもしれません。」にはニヤニヤしました。エド、かわいいなあ。
▼エド・礼・ブライトが活躍するのはこの巻
「パブリックスクール」番外編 スタン&桂人side 「ブルーネル寮代表のひらめき」
アーサーの音の世界…恩師に言わせれば、「子どもの天衣無縫」の世界は壊れてしまった…アーサーが心配です😰💦
以下、好きなセリフと感想です。
結局のところスタンが自分より一歩も二歩も進んでいるように感じるのは、愛する相手がいて、その相手が音の世界にいてくれるからだと思う。
36ページ
うーん、そうかもしれない。スタンは桂人のために、愛のために弾いているのかしら?スタンって情熱的…とドキドキしちゃいました。
きみが世界を、世間を、外のものをどんなにどんなに排除したって……!関わってやるからな!僕は関わってやる!
38ページ
この言葉はもう…何度読んでも大号泣です。
自分の孤独を思い知らされ、淋しさを感じさせられるまるで鈍器のような一言。
スタンとアーサーは自分の殻を作るのも人に殻を割らせないようにするのもうまい。でもそれをぶち破って、愛を感じさせてやるという桂人の決死の覚悟が伝わってきます。
外の世界の何かを、アーサーを欲しがるようになってしまった。スタンに桂人がいることを、羨ましいと思ってしまった。
小鳥が愛を囁き合うだけの音楽では、もはやつまらないと感じる。
本物の愛とは、欲望とは、絶望とは、狂気とはどんなものだろうと考えると、アーサーは自分の中に、それに似た感情がほとんどないことに気がついて愕然としてしまう。
外の世界と関わりたい。
だが、どうやって?
39ページ
アーサーの気持ちがすごくよく分かります。私も殻を作って生きてきたから、どうやって人と接したらいいのか分からない…。
壊れた音の世界は戻らない。けれど瓦解した場所から、自分以外の別の誰かが、入ってくることができる。不完全でも構わない。外の世界と、少しずつ関わっていけばー。
(俺の世界に、誰かを招待できるようになる…)
46ページ
アーサーがマグギルをきっかけに自分の壊れた世界から入ってくる誰かを愛そうとし始めたシーンです。
ハッとさせられると共に、大号泣でした。そうか、壊れた世界は誰かを迎え入れることもできるのか…。
アーサーに大切なことを教えてもらいました。ありがとう、人生の指針にしたいです。
▼スタン・桂人・アーサーが活躍するのはこの巻
「王を統べる運命の子」番外編 「王の愛は誰も知らない」
王の眼は候補ではなく、先に内定するんですね。知らなかった。
あっ、魔術師ユリウスはユリヤだったんですね!?本編で明らかにされてましたっけ?🤔💭
リオを愛したい、優しくしたいと思いながらもできないユリヤがしんどいです…リオもユリヤも哀れだ…。
パブリックスクールシリーズ1巻の頃とエドと礼を思い出します。愛し合っているのに、愛を伝えれば相手を苦しめてしまうからという捻れた悲しみ。辛いです。
▼ユリヤ・リオが活躍するのはこの巻
まとめ
10周年記念を作家ご本人ではなく出版社が行い、しかも記念冊子を購入制にするというところに、樋口先生の人気の高さを感じます。
番外編の内容はとても濃密で、短編でも読者の価値観や人生観を大きく揺さぶってくる樋口先生の文章にうっとりしました。
哲学的なのに押し付けがましくない、絶妙です。
後から購入することができるのかは分からないのですが、本記事で余韻を感じていただけたら嬉しいです🙇♀️✨