映画「saltburn」(2023)のネタバレ感想・あらすじ・評価・動画配信|名門大の孤独な新入生と貴族出身のカリスマ同級生の危険な友情

映画

「アマプラ同時上映会」第150弾!

当サイトの運営者3人が、Amazonプライムビデオでアニメやドラマ・映画を同時視聴する企画です🎬✨

長編監督デビュー作「プロミシング・ヤング・ウーマン」でアカデミー賞の脚本賞を受賞し、一躍注目を集めたエメラルド・フェネルの長編監督第2作。「プロミシング・ヤング・ウーマン」同様にフェネルが製作・脚本も務め、特権階級に生きる人々の欲望渦巻く世界を背景に、美しくも残酷な物語を紡ぎ出す、「saltburn」

全編のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ

引用:Amazon.co.jp: Saltburnを観る | Prime Video

素直で無邪気な貴族の大学生×勉強の虫なダサい大学生 同級生同士 のお話。

<あらすじ>
オックスフォード大学に通う学生オリバーは学内で自分の居場所を見つられずに苦労していた。
そんな彼の前に、貴族のような暮らしを送る裕福な学生フェリックスが現れる。
オリバーはフェリックスの一家が所有する広大な土地、ソルトバーンに招待され、そこで忘れられない夏を過ごすことになる。

 

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予告編・予告動画

 

こんな人におすすめ

  • 現代のイギリス貴族の生活を垣間見たい👀✨
  • 憧れの人に近づきたいという気持ちに共感したい🥹✨
  • (そこまでグロくはないけれど)血が出てきても大丈夫🙆‍♀️🩸

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

長編監督デビュー作「プロミシング・ヤング・ウーマン」でアカデミー賞の脚本賞を受賞し、一躍注目を集めたエメラルド・フェネルの長編監督第2作。「プロミシング・ヤング・ウーマン」同様にフェネルが製作・脚本も務め、特権階級に生きる人々の欲望渦巻く世界を背景に、美しくも残酷な物語を紡ぎ出す。

主人公の学生オリバー役を「イニシェリン島の精霊」でアカデミー助演男優賞にノミネートされたバリー・コーガンが演じるほか、オリバーを貴族的な世界に引き込んでいくフェリックス役で「キスからはじまる物語」のジェイコブ・エロルディ、フェリックスの母親役で「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクら人気・実力派俳優が共演。「プロミシング・ヤング・ウーマン」に続いて、「バービー」のマーゴット・ロビーも製作に名を連ねている。

③本作は2023年8月31日、第50回テルライド映画祭でプレミア上映された。イギリスでは2023年11月17日に映画館で公開され、アメリカでも同日に一部の映画館で公開された。同作は11月22日に全米公開され、12月22日にAmazonプライム・ビデオでストリーミング配信され、最もストリーミング再生された映画の1つとなった。この映画は概ね好評を博し、ゴールデングローブ賞2部門と英国アカデミー賞5部門にノミネートされた。

 

ネタバレ感想

タバコに火をつけたオリバーは、「あれは恋愛感情じゃなかった。みんなは信じないだろうけど。フェリックスを好きだったよ。フェリックスは誰もが彼を愛しそばにいたいと願うことが彼を疲れさせていた。特に女ども。だから彼は僕を気に入ったんだろう。僕は彼に興味がなかったし、本音で彼を向き合い理解した。愛していた。すごく愛していたよ。でもそれは恋だったか?」と自問自答します。

オックスフォード大学の構内、学生たちが楽しげに行き交っています。2006年度の新入生であるオリバーは新聞を片手に1人寂しく目的地へと向かいますが、その途中で服装を「ダサい」と揶揄われます。
オリバーは中庭で楽しげに談笑する同級生たちを見つめます。新入生交流会で空いている席に座ると、真向かいに座っているマイケル・ゲイヴィーに話しかけられます。彼は暗算の天才らしく問題を出せとせがまれ、しまいには激怒されたため、しぶしぶ問題を出します。

指導教官から出身を尋ねられ、マージーサイド州のプレスコット出身だと答えますが、教官はよく知らないようです。課題図書50冊を全て読んだとオリバーが言うと、読むのは任意だと笑われてしまいます。
もう1人の生徒を20分も待つ2人。遅れた生徒は、ファーリー・スタートといいます。母のフレデリカ・スタートと指導教官は同級生だったようです。指導教官はフレデリカを崇拝していたのだと言います。
「そこにはウソが捲し立てられている そうであるがゆえに 生きているかのような詩を形成しているのだ」とオリバーが読み上げると、ファーリーはオリバーの文体がくどいと鼻で笑い、指導教官も「一本取られたな」と彼の肩を持ちます。「詩の内容を知らない奴の逃げだな。君の小論文が楽しみだ」と怒りを込めて反撃するオリバー。

図書館で自習していると、マイケルから「今夜寮でクリスマスパーティーがあるらしいけど、僕たちだけは招待状が届いてない。ハブられたんだ。誰が退屈な連中と話すかよ。僕らには他の楽しみがある」と言われます。クリスマスの音楽が流れる中、1人でビリヤードをするオリバー。

自転車で構内を走っていると、自転車がパンクしたという男・フェリックスに遭遇するオリバー。先週はサボった個人指導の時間に10分も遅刻しているのにとボヤく彼に、自分は図書館に本を返しに行くだけだし同じ寮だから後で返してくれればいいと自転車を貸してやります。

ジェームソンは九九もできないバカ女のおっぱいばかりを見ていたと酒場で愚痴を言うマイケル。ちょうどそこにフェリックスが居合わせ、一緒に飲もうと誘ってきます。彼の従兄弟・ファーリーはオリバーに全員分の酒を奢れとふっかけてきます。全員分に奢る金などなく、明日必ず返すからと店主に頼み込んでいるところに、フェリックスが「君の足元に落ちてた」とお金を貸してくれます。
その晩、オリバーは初めて大学生活で楽しい思い出を胸に眠ることができました。
それ以降もフェリックスはオリバーをたびたびクラブなどに誘ってくれました。
ファーリーの母はイギリス人ですが19歳でアメリカに渡ったものの彼女の夫が浪費したため、フェリックスの父は叔母ではなくファーリーの学費を出すことで罪悪感を埋めたのだと言います。ファーリーは教師のナニをしゃぶってあちこちで放校処分になったのだとか。
フェリックスに親のことを尋ねられ、オリバーは父はドラッグの売人で、母は心の病を抱えてると打ち明けます。フェリックスはオリバーと一緒にいると勉強になると感心します。オリバーがインディアかアナベルのどちらかを持ち帰ってやったらと言うと、2人のうちの1人を適当に選んで尻を叩きます。城持ちの貴族にならないとお持ち帰りはできないとぼやく取り巻きたち。

オリバーに「君変わったね。どうせ飽きられるよ。太鼓持ちに成り下がった」とバカにするマイケル。フェリックスの女友達はマイケルのように貧乏くさい服を着た口下手な男の隣になんて誰も座りたくないと文句を言い、偶然それを聞いたオリバーはなんとも言えない気持ちになります。

女友達とセックス後、部屋で半裸のまま寝そべるフェリックスを横に、オリバーは散らかったゴミを片付けようとしますが、おせっかいを焼くなと激怒されてしまいます。後でパブで会おうと約束したのに、フェリックスはオリバーに何も言わずに友人たちと飲み会を開いていました。それにショックを受けるオリバー。
フェリックスの部屋の前で待っていたアナベルは、約束していた時間に彼が来ないことに落ち込みます。そこにオリバーが通りかかり、フェリックスはインディアと飲んでいたと言うと、酒を飲みたいと誘われます。アナベルと酒を飲みながらキスをするオリバーですが、アナベルは途中で興醒めしたようで帰ってしまいます。

突然母から電話があり、道で頭を打って父が亡くなったと聞いたオリバーはフェリックスに相談しにいきます。試験は免除してもらって家に帰ったらと言うフェリックスに、オリバーは「僕は君とは違って勉強しかない」と落ち込んだように言います。

大学の舞踏会の日、人混みをかき分けてオリバーを見つけたフェリックスは「誰かが死ぬとその人の名前を石に書いて川に投げ込むって伝統がうちにはあるんだ。ひいじいさんが始めた。でも慰めになるかと思って」と川に誘ってくれます。オリバーは父の名前を書いて石を投げます。
家には2度と帰る気はないと言うオリバー。8歳の頃、母の喉に指を突っ込んで吐かせた思い出を話し、荒れ果てた汚いところにはもう帰れないと俯くオリバー。ならばソルトバーンという自分の屋敷に来てくれないかとフェリックスに誘われます。

タクシーで行き着いたのは、豪華な城。やや慇懃無礼な執事・ダンカンに迎え入れられます。フェリックスは膨大な部屋を雑に紹介してくれます。オリバーの部屋はフェリックスの隣で、浴室は共用だそうです。フェリックスの母は父を思い出すからか、ヒゲとピアスは恐怖症だから気をつけてと言われます。

読書室に先に行っていたフェリックスは、母やファーリーたちとオリバーのひどい噂話をしていました。フェリックスの母はオリバーが来たのを見ると、自分は醜いもの恐怖症なのだと大袈裟に言います。フェリックスの父・ジェームズに挨拶した後は、フェリックスの母の友人・パメラを紹介されます。パメラは依存症から立ち直ろうとしているところだそうですが、フェリックスの母は不躾にオリバーの母や父の話題に踏み込んでくるので、彼は嫌気が指します。自室に帰ると勝手に荷解きがされており、フェリックスから「荷物の中身はメイドから母にチクられる」のだと言われます。着古したボクサーパンツが入っていたと気恥ずかしそうにオリバーが言うと、ダンカンは興奮するとフェリックスから面白そうに言われます。
夕食は毎日礼服で食べるのだと言うフェリックスは、オリバーに自分の服を貸してやると言います。

夕食ではパメラが回復施設で出会ったロシア人のブサイクな富豪の話をします。彼は良い人だと思っていたけれど、仲良くなるほど仕事仲間が次々と窓から落ちて死んでいったのだと淡々と彼女は言います。自分はテムズ川に沈む運命だと父に言われたと言いながら、フェリックスの母・エルスペスがいなければ自分はどうなっていたかと嘆きます。ずっとここにいればいいと口では言いつつも、いとこのワンルームのアパートに住むことになったとパメラが言うと、エルスペスは大喜びします。

ふらふらと外へ歩いていくヴェニシアに夢遊病かと思い声をかけるオリバー。彼女は「満月になる一歩手前ってことは正気を失う寸前ってこと」と楽しげに言い、寒いのではとオリバーにジャケットをかけてもらうと「うちの家族はみんな冷血動物なの」と楽しそうに言います。オリバーはみんな親切だし、君は違うと言います。ヴェニシアは「あなたってすごくリアル。去年の子より気に入った」と言って去ります。

翌朝、メイドに朝食の時間だと叩き起こされます。卵の調理方法をダンカンに頼めと言われ、目玉焼きを両面焼きで半熟にと頼みますが、生っぽすぎて食べられず、突き返すことに。奇妙な緊張感が食卓に走り、オリバーは慌ててダンカンに何度も謝ります。

葦の草原に水着で来たオリバーに「ここは水着禁止だ」と面白そうに言うファーリー。オリバーが覚悟を決めて全裸になると、ファーリーとヴェニシアはオリバーを大したやつだと笑います。酒をかっくらいながら、楽しく順調に過ぎていく日々。
屋敷の中にあったベルナール・パリッシーの皿を16世紀と陶工だと言い当てたオリバーにジェームズの感心したような視線が向けられます。

ソルトバーンの迷路庭園のミニチュアで遊んでいたオリバーは、ダンカンから突然「迷子になられる方は多いですから」と言われ、まずいところを見られたように慌ててその場を立ち去ります。
夜中に妙な音を聞いた気がしてふと音の方に向かったオリバーは、フェリックスが風呂でオナニーをしているところを見てしまいます。オリバーは彼の次に風呂に入ると、残り湯をすすり、頬擦りをします。

ディナーの時間に遅れるヴェリシアを、エルスペスは「あの子は昔からそう。母は生来のマゾヒストだって言ってた。食べては吐く摂食障害も治らないし」と愚痴を言い、オリバーは「あなたが美しすぎるから治すのは難しいのでは」と言うと彼女は満更でもなさそうな表情になります。パメラは騒ぎを避けるためにジェームズが早朝に出て行かせたのだそうです。エルスペスは「人の同情を誘うような素振りをするのが上手いのよ。面白そうな人に見えるけど中身は空っぽよ。辛い目に遭ったのは分かるけどアピールがしつこい」と言います。オリバーはパメラの話には一貫性がなく、自己憐憫に浸り周囲の感情に訴えて脅すのだとエルスペスを試すように言います。エルスペスはその通りだと言い、オリバーは洞察力に優れていると褒め称えます。

「呼んでない」と言うヴェニシアに、「シースルーのネグリジェ姿で僕の部屋の外にいて?」と聞き返すオリバー。ヴェニシアは深い意味はないとふざけますが、オリバーは食事を食べても戻しているだろうと図星を突き、明日の食事では食事が終わっても席を立たないようにと命じます。そして、ヴェニシアの性器を舐めたいと突然言い出します。生理中だからと戸惑うヴェニシアの膣に指を入れて「僕がヴァンパイアでよかったね」と言うと、血まみれの指を互いに舐め合い、激しくキスをする2人。オリバーはその場でヴェニシアをクンニします。ファーリーはそれを見て「馬鹿なことやってんな」とつぶやくのでした。

翌朝、オリバーは食べ残したパンをヴェニシアの前に差し出し、彼女は当然のように食べ始めます。ジェームズが明日のディナーは30人になったと言い渡します。エルスペスはオリバーの誕生日パーティーをしようと言い出し、ジェームズは仮装パーティーにしようと提案します。なぜかヴェニシアは機嫌が悪くなり、席を立ち、フェリックスはよそよそしくなります。

怒っている様子のフェリックスに「僕と泊まってるのになんで姉貴と寝たんだよ。マナー違反だろ!ファーリーが見たって言ってたぞ」と言われ、「ヴェニシアに恥をかかせなくなかったんだ。彼女に誘われたからキスしたけど、断ったよ。ファーリーはきっと盛り上げようとして嘘をついたんだ。そこが彼のいいところだよ」と嘘をつきます。フェリックスは「よかった。エディの二の舞かと思った」と大きなため息をつきます。エディはフェリックスの高校の親友でしたが、ヴェニシアとこじれたせいで友情が終わってしまったのだそうです。
夜中にまたオリバーの部屋の外でセクシーな服を着てたたずむヴェニシアを窓から見るオリバー。

自分の母が貧乏しているのにオリバーにはパーティーを開くのかよと激怒するファーリーの声が庭まで響き渡ります。「叔母さんを自立させるために父さんは厳しくしてるんだ」とフェリックスは言いますが、ファーリーは「僕に頭を下げさせたいんだろ。ここの使用人のリアムとジョシュアに聞けば?」と人種問題だと非難します。父は相当寛大だがもう打つ手はないと突き放すフェリックス。オリバーは窓の外からじっと2人の話を聞いていました。

パーティーでヴェニシアは「あなたも弟のおもちゃなのね。弟は飽きたとしてもおもちゃを手放さないの」と呆れたように突き放します。ヴェニシアとは反対側の女性から自分と話をするようにせっつかれたものの、女性はすぐさまオリバーに飽きてしまい、オリバーは孤独を味わいます。
パーティーの乱痴気騒ぎを横目に、オリバーはファーリーに自分でいいなら話を聞くと切り出します。間に自分が入って何かできるなら何でも言ってと言うと、ファーリーは呆れたように、しかし望みをつなぐように頷きます。
ファーリーに強引にカラオケに引き摺り出されたオリバーは、「僕は愛し、君は家賃を払う」という歌詞を見て、自分とフェリックスの関係を想起します。残りをファーリーに託すと、オリバーは自分の席に戻ります。

オリバーは自室に戻ると、鏡を叩き割ります。ファーリーの部屋に忍び込み、彼にまたがると「これからはいい子にするか?」と愛撫しながら尋ねます。あっけなくオリバーの手でイくファーリー。

翌朝、割ったはずの鏡はすっかり新品に交換されていました。
ファーリーが何かを盗もうとしたと疑いがかけられ、ジェームズたちに追い出されているのを見つめるフェリックスたち。どうやら、パリッシーの陶器を売ると競売会社にメールを送ったのだそうです。しかし競売会社の社長がジェームズと兄弟同然に仲が良かったので、阻止できたのでした。
中庭の池で遊ぶフェリックスたちのもとに、ジェームズとエルスペスが歩いてきます。エルスペスは自分のモデル時代の武勇伝を語りながら、パメラの葬儀のためにロンドンに行くのが面倒だと言い始めます。「注目を浴びたいのよ」と毒を吐くエルスペス。

その夜、浴室でまたフェリックスがオナニーする声を聞き、入室しようか悩むオリバー。フェリックスが日中水着姿で横たわるのを見ながら、オリバーは悶々とします。
オリバーが誕生日を迎え、フェリックスはオリバーに「良いところに連れていくからおしゃれしろ」と言います。
フェリックスはなんとオリバーが帰りたくないと言っていた実家に彼を連れて行きます。オリバーが浴室に携帯を忘れたために、何週間も母の連絡を無視していたのがバレたのです。フェリックスがオリバーの母の連絡を受けた時はシラフに聞こえたと言い、オリバー1人にはしないからと彼は家の中まで付き添おうとします。

2人を出迎えた母は小綺麗な人で、父も存命でした。しかも子供たちが大きくなるまで毎年ミコノス島に旅行をするほどの金持ちで、さらにはオリバーは一人っ子ではなく、姉たちもいたのでした。オリバーは自分のパーティーがあるから帰りたいと言いますが、オリバーの母は彼の部屋は綺麗にしているから休んでいけばいいと頼むように言います。オリバーの父も、オリバーのために母が手作りのボロネーゼやケーキを用意したのだと言い、オリバーはそれを振り切ろうとしますが、フェリックスが許さず、2人は気まずい食事を摂ることに。

フェリックスの邸宅に戻ると、オリバーは「まだ友達だよな」と焦って言います。なぜ嘘をついたのだと問われ、君と友達になりたくてと言うオリバー。誰にも言わないでと頼むオリバーに、フェリックスは「こんな気持ち悪いこと言えるかよ!」と突き放します。オリバーはしばらく泣きじゃくった後、何かを決心したような表情になります。
仮装パーティーが始まりました。パーティーの最中にオリバーはフェリックスに理由を話そうとしますが、「恩知らずは別の奴にうざ絡みしろよ」と突き放されてしまいます。
1人でぼんやりしていたオリバーのもとにファーリーが現れます。招待されているはずがないと言うオリバーに、ファーリーは「お前には分からないだろうな。ここはお前には分不相応な場所なんだよ。子供にズリネタみたいに自慢語りする素敵なエピソードになるんだろうか。またあの夏が来ないかなと願うんだろうが、お前の夏は終わった。だから早いところ電車に乗って自分みたいな気持ち悪いやつを量産する街へ帰れ。そして俺はここに戻る。俺にとっては夢じゃない。居場所だ。だから何があろうが必ずここに戻ってくる。次はもっと頑張りな」と挑戦的に言います。
大勢の人に囲まれて誕生日を祝われるオリバー。ディスコルームで踊る男女を見ながら酒をかっくらいます。視線の先にはフェリックスがいます。フェリックスは女の子を連れ出し、迷路のような庭園へと消えていきます。そのあとを追うオリバーは、2人がセックスしている最中なのも構わず声をかけます。
女の子は「2人とも変態ね!」とすぐさまどこかへ行き、オリバーはフェリックスに「君のために演じたんだろ!みんなみたいに君のためのショーを演じたんだ!」と言います。フェリックスはオリバーの頭がおかしくなったのだと思いますが、オリバーは「初めてできた友達だから失いたくなかった。僕がどれだけいい友達かは分かっただろ。僕の中身が変わったわけじゃない」と懸命に言いますが、「君はおぞましい人間だ。一緒にいてもただゾッとするだけ」とフェリックスは半泣きになります。オリバーは突然込み上げる嘔吐感を抑えきれず、その場で吐きます。フェリックスは早く寝た方がいいとアドバイスすると、「何なんだよ」と独り言を言いながら去っていきます。
ぼんやりとパーティーの余韻の残る邸宅を見つめるオリバー。

翌日、ジェームズとエルスペスがフェリックスを呼ぶ声で目を覚ましたオリバー。

「その先の話はー知っての通りだ。びっくり箱のハンドルを一度回したら、終わりに向かって突き進むしかない。いつ足元が崩れても、おかしくないと知っていてもね。全てが終わった」とオリバーはつぶやきます。エルスペスの悲鳴と泣き声が耳に残ります。

ソルトバーンの迷路の真ん中で、フェリックスが倒れています。泣きじゃくるヴェニシア。警察が来るから動かしちゃダメよと冷静なエルスペス。フェリックスの家族と朝食を取るオリバー。ダンカンが「警察が迷路で迷っている」と報告してきて、ジェームズは苛立ったように庭師に案内させろと命じます。ダンカンはまた検視官が通るからカーテンを閉めていいかと尋ね、ジェームズはさっさと閉めろと声を荒げます。しかしエルスペスは何事もなかったかのように昨日のパーティーの感想をオリバーに求めます。ヴェニシアは会話に入ることもできず、赤ワインをこぼしながら飲みます。

ファーリーが「もう無理だ!食事だけはできない!」と悲痛な声をあげて外に出ようとしますが、ジェームズは「黙ってパイを食え!感情があるのはお前だけじゃないんだぞ!」と激怒します。「このパイ美味しいですね」と相槌を打ったオリバーを見て、ファーリーは「何でお前まだいるんだよ。みんな何とも思わないの?」と困惑しますが、オリバーは逆に「君こそ。僕なら罪悪感を持つけどね。誰かが死んだ夜にコカインを持ってたらね」と言い返します。ジェームズに「出ていけ。これが最後の温情だ。今後はない」と言われ、ファーリーは泣きながら部屋を出ていきます。

フェリックスの葬儀がしめやかに行われます。フェリックスと名前を書いた石を持つジェームズは、先に屋敷で待つとオリバーに言い置いて家族と共に去ります。雨に濡れながら、オリバーはぼんやりとします。フェリックスの墓の上に横たわると、オリバーは1人泣きじゃくります。服を全て脱ぎ、まだ真新しい土の上でオナニーをします。

屋敷に戻ると、エルスペスは前の牧師にはフェリックスのミドルネームを「リヴァー」にするのはよくないと反対された話をねちねちと繰り返します。墓石の字体は何にしたのかと尋ねるオリバーを鼻で笑うヴェニシア。オリバーが部屋を去ろうとすると、エルスペスはソルトバーンからは去らないでくれと懇願します。

風呂に入っているヴェニシアのもとに訪れたオリバー。ヴェニシアは「あなたのその慎ましい感じが気に触る。まるで中世時代の農民みたい。葬儀で泣きじゃくってるあなたを見てかわいそうって思ったけど、思い出した。そしたら笑えてきちゃった!あなた、フェリックスと出会ってたった半年程度でしょ。あなたとあの子、この家とも何の繋がりもない。あなたはただの余所者。なのにあなたはここに居座ってる。なぜだかど真ん中にね。あなたのことパパがなんて呼び始めたか知ってる?”スパイダーマン”よ。いつでもこそこそ嗅ぎ回って蜘蛛の巣を張り巡らしてるから。”オリバーの巣”をね。私は蜘蛛じゃなくて蛾だと思ってる。光るものに引き寄せられて、必死で中に入ろうとバタバタする。あなたは私たちに穴を開けて狙い通り侵入して、内側から犯した。あんた!弟のアフターシェーブを使ってるの!?この変態!弟の下着も履いてるんでしょ。何の価値もない男のくせに!」と罵倒すると、突然オリバーにキスします。キスした途端泣き出すヴェニシア。「彼女は壊れた。本人が弟なしでは生きられないと言ってた」と後々話すオリバー。
そのまま、ヴェニシアは浴槽の中で自殺します。ヴェニシアと書かれた石が水の中に沈んでいます。

ジェームズに呼び出されたオリバーは、妻が引き止めて申し訳ないが今夜中にひっそり帰ってくれと頼まれます。いくら払えば私たちと縁を切ってくれるかと小切手を出されますが、オリバーは「なぜ?」と尋ねます。いくら払えばいいのかと何度も尋ねられ、オリバーは渋々出ていくことに。彼が帰っていく様子を、ヴェニシアの葬儀の参列者たちがじっと見つめます。

オリバーは普段の生活に戻り、数年が経ちました。新聞でジェームズが死んだことを知ります。そんな中、エルスペスがカフェに行くとたまたまオリバーがパソコンを広げて作業をしており、彼女は「夫がひどいことをしてごめんなさい」と謝ります。エルスペスはそれをずっと悩んでいた、夫を許してほしいと頼みます。今は幸せかと尋ねられ、互いにそうでもないと答える2人。エルスペスはソルトバーンは遠すぎるから近くにフラットを買ったのだと言い、ぜひソルトバーンに遊びに来てほしいと誘います。ソルトバーンはダンカンもおり、昔のままなのだそうです。

オリバーは「僕はこの数ヶ月間、生涯で一番幸せだった。あなたが床に臥したのは残念だ。でも君の世話ができた。ソルトバーンの世話も任されたし、信頼してくれてありがとう。屋敷は大事にする。フェリックスが生きていたらそうするように。ついにここまでたどり着いたって感じだ。思いがけない不幸が続いたけど、思いがけない不幸なんて本当にあるのかな?あなたと違って僕は裏で何かが働くと考え、実際働かせ方を知ってる」と植物人間状態のエルスペスにタバコの煙を吐きかけながら言います。

フェリックスの自転車をパンクさせたのはオリバーでした。パブで金がないと言ったのも演技。

「恋愛感情はなかった。みんなは信じないけど、愛してない。好きだったよ。好きだった。たまらなく好きだった。でも時々彼が憎かったよ」と言いながら、横たわるエルスペスの近くでワイシャツを肘まで捲り上げるオリバー。フェリックスの墓標を抱きしめた時のことが思い出されます。
「憎んでた。あんたらみんなを。そしてあんたらはちょろいもんだった。甘やかされすぐ腹を見せる犬。天敵なんかいない。違うな、ほぼいない、だ」と言いながら、オリバーはエルスペスに馬乗りになり、彼女の人工呼吸器を無理やり外します。彼女の胸に顔を埋めるオリバー。
エルスペスの葬儀には、オリバー1人だけがいつまでも残っていました。エルスペスの腕を無理やり持ち上げ、自分を抱きしめさせますが、すぐに腕は下に落ちてしまいます。

ソルトバーンで好きな音楽を大音量でかけながら、全裸で踊り狂うオリバー。かつて自分に割り当てられた部屋で回したおもちゃ箱の電源を彼が落とすと、音楽が鳴り止みます。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

アメリカの精神科医・R.ケイパーによれば「真の倒錯」とは破壊的なものであり、現実の対象との関係や現実の性的関係を破壊するものであると主張していますが、オリバーのフェリックスに対する感情はまさに「真の倒錯」といえるでしょう。フェリックスの家族、友情、恋愛関係などを破壊しつくして、やっとフェリックス本人になれたような恍惚に浸っている…。オリバーの邪悪で無邪気な破壊欲求に慄いてしまいました。すごい作品だったなあ。

小錦あや
小錦あや

最初は、フェリックスの精液を啜ったり、ヴェニシアの経血塗れの性器を舐めたり、ファーリーと擬似セックスをしたり、性的な関係を持つことに躊躇いがないところに驚いたんですが、その程度オリバーにとっては大したことではなかったのだと後々になって感じました。だってフェリックス自身になりかわるためには彼自身の命さえも奪うことを躊躇わない男なのですから…。オリバーがフェリックスとその家族の全てを奪い尽くして、最後にあれほど狂喜乱舞しているのが恐ろしかったです。美しい映像が余計に恐怖感を駆り立てました。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

確かにオリバーの奇行が目立つのですが、フェリックスも何かを求めるようにオリバーに施しまくるし、キモいと言いつつもオリバーの操り人形と化していくヴェニシアは空っぽな人生を感じるし、大事な息子が死んでも必死で平静を装うジェームズとエルスペスも異常だし…と、カットン家もかなり変人揃いです。ただ、カットン家の人々もオリバーも、ただ「キモい」と一言で片付けられないというか。全員から空虚さを感じるんですよね。心に空いた埋められない穴を感じる…。
必ずしもカットン家の人々が100%人間として素晴らしいかというとそうではないところがこの映画の面白いところだったなあと感じます。

今回3人が見た「saltburn」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。

ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨

引用:Amazon.co.jp: Saltburnを観る | Prime Video

 

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