六青みつみ先生「輪廻の花 ~300年の片恋~」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
300年前に愛する人を死に追いやった記憶を持つ、選ばれし人間「王の守護者」×DV親父や周囲にいじめられ続ける不遇な双子の兄 のお話。
<あらすじ>
酷い言葉で傷つけ、死に追いやった俺を赦してくれ―愛する人を死なせた前世の記憶を持つ青年貴族レイランドの前に、想い人と瓜二つの少年・スウェンが現れた!
捜し続けた相手にやっと出会えたのに、なぜか彼の双子の兄・カインから目が離せない。
運命の人ではないのに、どうして地味で冴えないカインが気になるんだ!?
こんな人におすすめ
- ファンタジーBLが好き🧙♂️
- 輪廻転生ものが好き♻️
- 受けは不憫であるほど萌える🔥
ネタバレ感想
①受けの境遇が不憫すぎる。絶対幸せになってくれ
生前の受け(カイエン)は外敵から世界の人々を守る特殊能力者「王の守護者」の中でも最も位の高い家の子息として生まれました。感情を持つな、肉の器であることに徹しろと体罰を深め厳しく躾けられた受けは、その無愛想さゆえに社交的で破天荒な攻め(レイランド)とすれ違います。
そして最悪なことに、レイランドが懇意にしていた女王がカイエンの(病気により力が発揮できなかった)せいで死んだことで、「お前が死ねばよかった」と言われてしまうのです。悲嘆のあまりカイエンは自分の想いを手紙にしたためて死に、レイランドは己の言動の醜悪さに絶望します。
レイランドは何度生まれ変わっても受けを探し、自分も彼が好きだったのに酷いことをしてすまなかったと謝りたいと思いますが、カイエンは転生を拒否し続けているのか現れません。
そして300年後、DV父に打擲され殺されそうになっていた時、双子の弟が「王の守護者」候補になったため、兄であるカイン(カイエンの生まれ変わり)も使用人として王都へ引っ越すことになります。しかし弟のお陰で特別待遇されやがってと嫉妬され陰湿に身も心も虐められ、さらにレイランドは外見がカイエンにそっくりなカインの弟・スウェンをカイエンの生まれ変わりだと信じ込んで猛アプローチ。カインはレイランドに恋慕を抱くのですが、弟のためと我慢し続け、憔悴していきます。
前世だけでもカイエンの柔らかな心を正義という名のもとにレイランドに傷つけられ辛かったのに…300年後転生しても(この時、カインは前世の記憶はないのですが)なおまだ辛い境遇なのが本当に辛くて、いつになったらカインは報われるの?救われるの?幸せになれるの?と物語の後半までずっと胸が痛かったです。
カイン、絶対絶対幸せになってくれ😭😭😭
②攻めから花をもらうシーンには、全BLヲタ確実に大号泣
生前、カイエンは摘んだ花を王に贈るレイランドにひそかに羨望を抱いていました。「自分がもし王だったら彼に花を贈ってもらえたのだろうか」と。レイランドから彼が王に対する態度の1/100でも優しくしてもらえたら、花をもらえたらどんなに嬉しいだろうと夢想するカイエンがいじらしく涙がでます。
そして300年後、レイランドは戯れにカインに庭の花を贈ります。弟のスウェンとの仲を取り持とうと頑張るカインに惹かれていくレイランド。「君のために摘んだんだよ」と言われ、腕いっぱいの花を貰い、カインは言葉を失います。
そして空を見上げ、声もなく泣くのです。
前世の記憶はない、けれど、レイランドに花をもらえるのがこんなに嬉しいのはなぜだろう…と思いながら。
このシーンのみずかねりょう先生の挿絵がほんっっっっとうに宗教画のように荘厳で美しいので、できれば紙で購入してほしいです…!!!(電子版は挿絵なしです😭)
二人が両想いになってからも、カインはレイランドからどんな贈り物をされても花を貰った時に一等喜ぶのです。
あの日欲しかった花をやっとカイエンは受け取れるようになったのだ、カイエンは「ただ、王を守るための肉の器であれ」という父親の呪縛から解き放たれ人間らしい感情を抱くことを己に許せるようになったのだと思うと、その変化に胸がいっぱいになります。
③世界観がまるで「イバラード」!ジブリ好き発見
世界観がめちゃくちゃ素敵です。「王の守護者」のための寄宿舎や制服、緑豊かな構内の様子は、色彩豊かなだけでなく風のそよぎや暖かさまで伝わってくるようです。
まるで、画家 井上直久氏が描く架空の国家「イバラード」のよう。
王や「王の守護者」がどんな役割で、この世界に生きる人々は何と戦い生きているのか…現実とは全く違う原理で動く世界の様子が面白くてたまりません。
④何度転生しても受けを探し続けた攻め&それに感謝する受けに感涙
300年間で、レイランドは5回転生しました。時に「王の守護者」として、時に一般人として。でも毎回決まって前世のことを思い出しては、カイエンを探すために世界中を旅して回るのです。それでも彼はいつも死ぬまでにカイエンを見つけられません。
自分があんなひどいことをカイエンに言ったからだ、彼はもう自分になど会いたくないのかもしれないとレイランドは苦悩します。それでもカイエンを探さないという選択肢は彼にはないのです。
私が一番泣いたのは、カインがカイエンだと分かり、レイランドが額を床にぬかずく勢いで謝罪し「頼む、許すと言ってくれ。いや、許さなくても良い。これから一生君のそばで俺が犯した罪を償わせてくれるならそれだけでもいい」と叫ぶシーン。
レイランドはこれをカイエンに言うためだけにずっと転生し続けてきたのです。そしてカイエンはそんなレイランドに
「ありがとう。私を見つけてくれて。諦めずに、ずっと探し続けてくれて」
と微笑むのです。「お前が死ねばよかった」と言った男、彼に嫌われることを恐れて300年間眠り続けた男。二人の想いが噛み合った瞬間、私は滂沱の涙を流していました…。
二人ともそれぞれに辛いことがありました。探しても探しても想い人は見つからない焦燥感、愛する人に「お前が死ねばよかった」と言われる絶望感。比較などできないほど互いに苦しみ歩んできた人生が、やっと身を結んだのだとたまらない気持ちになりました。
まとめ
物語の終盤近くまでカインの過酷な境遇(周囲からの陰湿ないじめ・攻めの勘違いや仲違い)が続き、「どうして転生してもなおこんなに過酷な人生を背負わされなければならないの、前世でもあれほど辛い思いをしたのに」と悔しくて何度も泣きました。
あらすじやネタバレ感想などを全く読まずに読み始めたので、カインの弟・恵まれたスウェンではなく、どうかカインこそがヒロイン?ヒーロー?(受け)であってほしいとひたすら祈りながら読み進めました。
レイランド、カイン、どちらもの健気で一途な300年もの両片思いに胸が張り裂けそうでした。転生モノ好きにはたまらない、感動のハピエンストーリーです。
カインに花束を贈りたい…😭💐✨