桃瀬わさび「俺の望みはひとつだけ!」のネタバレ感想|天才大公×鉄面皮部下の身分差愛

小説

桃瀬わさび「俺の望みはひとつだけ!」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


公子を溺愛する護衛官×無自覚美人な第三公子 のお話。

<あらすじ>
卒業記念パーティで、恋人に嫌がらせを行ったという理由で王太子から婚約破棄を宣言されたニコラス。
もちろんニコラスに身に覚えはないし、そもそもニコラスの実家であるエリク家のほうが、名ばかりの王家よりも富と権力を持っており、婚約を破棄して困るのは王家のほう。
そんなこともわからない馬鹿との結婚とかムリ!ということで、ニコラスはエリク家の独立を宣言する。

 

こんな人におすすめ

  • 国同士、貴族同士の駆け引きなど政争ものが好き⚔
  • 世界観設定のしっかりしている異世界ものが好き🧙‍♂️
  • 従者×主人に萌える🔥

 

ネタバレ感想

①大公とニコのレオ愛に泣いた

ニコ(受け)とレオ(攻め)の出会いは、エドが街角でいじめられているのを発見したから。普段は無益なニコが「だいじにしないなら、ぼくにちょうだい」とレオの手を決して解かなかったというエピソードだけで、読者は号泣です。

ニコがエドマイク王子に嫁ぐと決まった時、ニコの父・大公は「良いのか」「俺は、俺たちは、お前の幸せも願っているよ。なんせ四人目の息子だからな」とレオに尋ねるんです。

レオが生きてきたリーグ家の領内では、血統主義、階級主義が当たり前。それゆえに妾の子であるレオはいじめられるのは当然でした。だから、いくらニコに気に入られ拾われたからといってもレオは決して臣下の立場を逸脱した言動はしませんでした。それでも大公はずっとレオを気にかけて、「四人目の息子」とまで言って、ニコへの片想いを汲み取って王子との婚約を延期させたいかどうか聞いてくれるんですよ…。自分の権力でどうにか融通効かせようとしてくれるんです。

ニコ自身もニコの両親も、どれほどレオを大切にしているのか伝わってくるエピソードですよね。母は幼くして病死し、それ以降はずっと正妻とその息子と取り巻き達にいじめられ続けてきた不幸な生い立ちのレオが、ニコの家族に囲まれて幸せに育てて良かった😭

 

②スラウス侯爵家の抜け目のなさに唸る

レオはスラウス家という貴族の子です。とはいえ家督を継ぐのは正妻の子・クリストフ。

このクリストフは抜け目がなく、ニコたちエリク家が、対抗していたリーグ家を討ち滅ぼすや否や、「異母弟レオンハルト(レオ)を誰よりも近くに置いていただきたく」とニコとレオが結婚するよう水を向けてきます。ニコとレオが親しいことを知っていて、そう勧めることでスラウス家を第2のリーグ家に押し上げようという魂胆なんですね。

父グレアムも執事も、表面上はレオンハルトの強引な言動に振り回されているふりをしながらもうまくいけば儲け物だと嬉々としています。

スラウス家の者たちには、婚約者のニコに相手にされなかった腹いせに浮気をしてリーグ家を滅亡に追いやってしまったエドマイクのような実直さはありません。腹黒く、上昇意識が強く、常に下克上を企てています。

作中ではレオが父と兄たちの企みを感じとり事前に策を練り、ニコもそれに便乗してスラウス家を監視下に置くのですが、いつでも寝首をいつでもかかれそうな気持ち悪さのある家です。個性的で、つい惹かれてしまいますね。

 

③細部まで詰められた世界観設定と軽快な語り口とのギャップが面白い

小説家

本作の一番の推しポイントは、丁寧な世界観設定!欲を言えば作中では登場した制度や道具などがもっと活躍するシーンを見たかったのですが、BL小説ということでロマンス要素も入れなくてはいけないので難しいところですね。

社会制度などまで書き込まれシリアスな政争が続く中、その空気を打ち破るような呑気なニコとそれに呆れるレオのコンビのマイペースな会話。

背景で流れる状況の緊迫感と主役カプたちのテンポの良い軽妙な語り口とのギャップが絶妙です。

 

まとめ

旧王国勢力との全面戦争、妾の子ゆえに実家から人身御供にされる攻め…攻めと受けのピュアな両片想い、腹黒い貴族たちによる政争、コミカルな語り口が絶妙に絡み合って、世界観に引き込まれます。

誰一人完全な悪人がいない、いてもすぐに然るべき罰を受けるので、読んでいてノンストレスです。

平和に異世界の国政と恋模様を楽しめる異世界ファンタジーBLの良作です🎵

俺の望みはひとつだけ!
作者:桃瀬わさび
卒業記念パーティで、恋人に嫌がらせを行ったという理由で王太子から婚約破棄を宣言されたニコラス。もちろんニコラスに身に覚えはないし、そもそもニコラスの実家であるエリク家のほうが、名ばかりの王家よりも富と権力を持っており、婚約を破棄して困るのは王家のほう。そんなこともわからない馬鹿との結婚とかムリ!ということで、ニコラスはエリク家の独立を宣言する。

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