ジョン・C・ハウザー「バレンタイン・シャワー 」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
ルーベンは出会い系サイトで結婚相手を大まじめに探しているのだが、全然うまくいかない。
数字ならいくらでも読めるが、人間は彼にとっては難解すぎた。
いつも相談に乗ってくれるボスのテリーすら何か挙動不審になってきて…。
こんな人におすすめ
- M/Mロマンス小説をお試しで読んでみたい📕
- 障害者と健常者の凸凹なロマンスにときめきたい💐✨️
- サヴァン症候群という病気に興味がある👀
ネタバレ感想
①生きづらさを抱えながらも自分らしく生きようと努力するルーベンが素敵
主人公のルーベンはデータサイエンティストととして長年仕事をしていますが、実はサヴァン症候群という特性を持っており、その特性により人間関係をうまく構築できず悩んでいます。
グリーンバーグ医師のカウンセリングを受けて悩みを相談したり、人間関係を円滑に作れる上司のテリーに手伝ってもらったりしながら、どうにかなりたい自分の一部を実現させてきました。
しかしルーベンは今とても困っています。それは子供がほしいので結婚相手を探しているものの、全く交際に至らないということです。テリーにデートプロフィールを添削してもらったり、お見合い相手とうまく話せなければグリーンバーグ医師に問題点を教えてもらったりと、自分に足りないものを必死で補おうとしています。
ただでさえ生きづらさがあるはずなのに、それでも自分の苦手なことに果敢に挑戦し、なりたい自分になろうと努力するルーベンの姿を見ていると、とても勇気づけられるし励まされる思いです。
②10年間も根気強く愛を示し続けたテリーに感動
ルーベンの上司であるテリーは、ルーベンがペンシルバニア大学にいた時から彼に目をつけ、卒業後から今に至るまでなんと10年間も彼に寄り添って仕事をしてきました。
ルーベンが「テリーは僕の人生の中心だ」と言うほど、ルーベンにとってテリーは公私ともになくてはならない人です。
ゲイのテリーはノンケのルーベンが不快にならないように、でも親密さを感じてくれるように、とても紳士的に距離を詰めていました。
ルーベンが不安な時には支えるように背中に手を添えたり、苛立っている時は落ち着かせるように腕を産毛を撫でたり。ルーベンが「家族がほしいから」と婚活を始めても、テリーは引き止めることはありませんでした。しかしいよいよルーベンが女性に振られてしまい、より多くテリーからフォローしてもらおうとした時に、テリーはようやくNOを突き付けたのでした。
本作は終始ルーベン視点なので、テリーが突然反逆を起こしたかのように見えるのですが、テリーの立場で考えてみると、婚活さえも手伝ってしまうほど、ルーベンが大好きで、幸せになってほしかったんだろうな…とその徹底した奉仕の精神になんだか感動さえ覚えます。
③ずっこけなラストが逆に二人らしいのかも
ルーベンがテリーにいざ気持ちを伝えようと決心したのは、バレンタインの日。祝祭日が大好きなテリーのために、バレンタイン用の甘い言葉(ルーベンなりの😂)を綴った手作りのカードを持って、テリーお気に入りのカフェで彼を待ち伏せするのですが…。
いくらラミネート加工したカードとはいえ、おしっこまみれのカードはプレゼントしちゃダメだよ!とルーベンに心の中で悲鳴をあげつつも、そんなルーベンの奇行をも優しく受け止めるテリーの深い愛に「伊達に10年間ルーベンに片想いしてないな…!」と感動するなど。
それまでの理路整然とした展開からは考えられないほどめちゃくちゃなラストなのですが、それさえもルーベンが人間らしくなった証なのかもと思うと愛おしく感じられます。
このラストも含めて、ルーベンという人間の突拍子のなさを感じて最高に好きです。
まとめ
サヴァン症候群のルーベンは、超優秀なデータサイエンティスト。その上司のテリーは、仕事以外はさっぱりなルーベンを導いてくれる、頼もしい助っ人です。
ルーベンは特性上、人間関係の構築が壊滅的に下手くそなのですが、寂しがりで家族がほしい彼はネットを駆使して婚活を始めます。とはいえ、デートをしようとしてもいつもうまくいかず…ルーベンはテリーに助けを求めますが、これまで10年間も公私ともに助けてくれたテリーはなぜか突然「公私をはっきりさせよう」と別れを突きつけてきます。
空気のようにいつも当然そばにいた人がいなくなった時、初めてその人の大切さが分かる…。そんなことは世界で何億回も擦られてきたありきたりな物語だと思われてしまうでしょうが、やはり人間は実際に失わなければ分からない生き物だと思います。それを誰もが体感で知っているからこそ、この作品はより強く読者に響くのでしょう。
生きづらさを感じたことがある人、大切な人から別れを告げられた経験がある人、逆に、大切な人にずっと本当の思いを告げられなかった人、告げたけどうまくいかなかった人、うまくいった人…そんなふうに、人生を懸命に走ってきたあなたに贈りたい一冊です。