尾崎南先生「BRONZE ZETSUAI since 1989 」を観ました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
サッカー選手である泉拓人にイタリアのクラブからオファーがくる。
一週間という短い時間ではあったが、晃司は離れたくない思いから拓人を追って空港へ向かうが、その際に事故に巻き込まれて意識が戻らない状態に陥る。
帰国した拓人はどうしていいか分からずに苛立ちを募らせていたが、やがて晃司の意識が回復し…。
こんな人におすすめ
- 「絶愛」シリーズが好き😭
- 愛のために命をかける男たちに心震わされたい🔥
- 速水奨さん×子安武人さんの美声の競演にうっとりしたい🥺
ネタバレ感想
私には たったひとつだけ譲れないものがあります
絶対唯一の 大切な 大切なものです私の中のあらゆるものはそれで形成されています
とても言葉でなんか言い表せない程に強烈な強烈な想いです私には自信があります
この想いは誰にも負けない
この想いは誰にも譲らないそのために息をして そのために血液を巡り そのために描いています
描いている時はその想いに近づけずに歯噛みします 言いたいのはこんなことじゃない 自分の想いはこの程度じゃない
「永遠に近づくこともできない」と泣き叫び 苦しんで 傷つけて 擦り切れて 荒んでいく自分がいます
どんなに荒んでも この唯一だけは変わらなかった
そして新しく生まれたものも 知った事もあった
この気持ちの百万分の一でも 感じてもらえたら…
ある晩、ランニングを終えた拓人は晃司に「今も俺を抱きたいか」と尋ねます。テレビの報道を見て傷ついたのかと思った晃司は、拓人から離れられない、傷つけてしまいそうで怖い…と、止められない彼への想いを吐露します。
慈しむように晃司を抱きしめ、「俺、お前の歌好きかもしんねえぞ」とおずおずと告白する拓人を晃司は愛撫します。
魂ごと体当たりしてくる拓人をどうしたものかと思いながら、泣きそうな顔で抱かれる彼を晃司は優しく愛します。
翌朝、晃司は拓人の置き手紙を読み、血相を変えてバイクで外へ飛び出します。その内容は、「1週間イタリアへ発つ。すぐ帰るから」というものでした。
晃司は「いっそ息の根を止めてくれ」と懇願したくなるほど強烈な寂しさを感じ、無茶な運転で空港へ向かいます。しかし、凍結した路面でスリップし車に衝突。大事故に巻き込まれます。
空港では、拓人が何かを感じ取り、振り返ります。
晃司は夢の中で出会った頃の幼い拓人が河原で泣いている様子を見ます。彼を慰めようと懸命に手を伸ばしますが、届きません。
晃司は昔から感情の起伏の少ない子供でした。
彼の母・あやこはスーパーモデルでしたが、自分の息子を抱くことはありませんでした。
3歳の時に南條家へ連れられ、父から気を失うほど厳しい剣道の稽古をさせられ、冷水で無理やり目を覚まさせられてはまた稽古をさせられる日々を送ります。
暴走族の一員になってみたり、女遊びをしたりとさまざまなことをしてみましたが、晃司は人に甘えることも、何をしていても何かに興味を抱くこともできませんでした。
その後、晃司は克己を誘ってバンドを立ち上げ、鮮烈なデビューをします。彼が歌うことを始めたのは、自分の中にある満たされぬ想いは何かを探すためだったのです。
そして、あの日…晃司は拓人に拾われたのです。
履き古したスニーカー、刺すような熱い日差し、小麦色の肌、灼熱の太陽を照り返すほどにぎらぎらした瞳…晃司は高校生の拓人の全力のシュートを受けて、幼い頃に見たあの強烈な印象を与えた少女のことを思い出します。晃司はその瞳に出会って、彼の中でごっそり抜け落ちていた何かに気付きます。
拓人と出会うまで、晃司には泣いた記憶がありませんでした。しかし、拓人と出会って、自分の中に溢れるほどの感情が渦巻いていることを知ったのです。
拓人との出会いから今までを思い出しながら、彼の名前をうわごとで呟き続ける晃司。
晃司が搬入された病院の周りにはマスコミの山ができていました。
晃司は意識不明の重体。彼の前方を走っていた車が無理な車線変更をしたため、バイクがそれを避けきれず転倒してしまったのでした。
イタリアでは、拓人が晃司に電話をかけていましたが誰も出る様子がないことを訝しみます。1週間の見学を終えて帰国すると、拓人は空港で妹の芹香から突然泣きながら罵倒されます。克己から「あいつは死んだぜ、泉」と言われ、顔色を変える拓人。
拓人は晃司が意識が戻れば奇跡、良くても植物人間だと医師に宣告されていると聞き、横たわる彼を前にして絶望します。
「なぜこいつを置いていった」と克己に言われ、思わず晃司の胸ぐらに掴みかかってしまう拓人。「すぐ帰ると言っただろうが」と怒声をあげますが、昔母親に刺された傷跡が疼き、昏倒してしまいます。
朦朧とする拓人は、潜在意識の中で幼い頃の自分に戻っていました。傷口が痛い、焼けて死んでしまうと苦しむ彼に、「俺がいるよ」と自分も傷だらけにも関わらず手を差し伸べる晃司。「俺はあなたを一人にしない、俺があなたを必ず幸せにする」と優しい笑顔で抱きしめてくる彼に、幼い拓人は思わず縋り付きます。
気づくと拓人は病院のベッドで寝ていました。「晃司と並んで同じ病室でしばらく入院しろ。あんたにはそうする義務があるだろ?」と克己に言われます。
晃司のベッドのそばに座り彼を見つめ続ける拓人はもし晃司が死んだら…と考え、「元に戻るだけじゃないか」と苦しげにひとりごちます。
拓人はイタリアにプロサッカー選手になるために留学しないかと強く誘われていました。他人のためではなく自分のために何をしたいか考えろと言われ、「そうか、もし晃司が死んでも俺は生きていくんだ…」と苦しみます。
翌日から付き添いをやめ、通学を再開する拓人。克己は「もし晃司が目を覚ますとしたらお前にしかできないんだ。分からないのかよ!?」と詰め寄りますが、拓人は「分かってる。だから俺はこいつを捨てるんだ」と言い放ち、無情に病室のドアを閉めます。
そして拓人はイタリア行きを決意します。芹香は「南條さんはどうなるの」と縋り付きますが、拓人は「俺に一生生きた死体の番をしろって言うのか」と薄く笑い、芹香に「そんなのお兄ちゃんじゃない」と頬を打たれます。
その頃、晃司は意識を回復させ、涙を流しながら拓人の名前を呼んでいました。
後日、病室に置いた荷物を取りに病院に来た拓人は晃司そっくりの男とすれ違うも「何か?」と言われ、激昂し「思い出させてやる」と殴りかかります。
克己に「その人は南條家の長男だ」と割り入られ、落ち着きます。広瀬と名乗るその男は、そんなに自分は晃司と似ているかと淡々と聞き、興味がなさそうに去っていきます。
拓人は見舞いに来たのかと克己と芹香に尋ねられますが、「永遠の別れに来たんだ」と頑なです。
病室の鍵を閉めると、拓人は「イタリア行きを決めた。もうここには来ねえ」「死にたきゃ勝手に死ね。ただし俺の知らねえとこでな。もう二度と死体なんか見たかねえ!」と横たわる晃司に報告・宣言します。
「俺が拾ったんだから俺が捨ててやる」「抱かせてやるぜ、最後だからな」と、自分のシャツを苛立ちながら脱ぐ拓人。
拓人は毎晩晃司に抱かれている夢を見ていると言い、「何が俺を幸せにするだ!俺をこんなに苦しめておいて!自分さえ幸せだったらそれでいいのかよ!」と彼の腕から点滴を引き抜き怒ります。
するとその瞬間、晃司が目を覚まし、「そんなんじゃない…」と苦しげにうめきながら帰ろうとする拓人の腕を掴みます。
揉み合った時に医療器具が壊れる音が病室に響き、病室のドアが破られます。「嫌だ、今この手を離したらこの人はどこか遠くに行っちまう…」と掠れた声で必死に拓人に言い募る晃司ですが、失神してしまいます。
検査の結果、晃司は心身にほとんど問題はないものの声が出せなくなっていると告げられます。さっき喋ったじゃないかと拓人は言いますが、克己は聞こえなかったと言い、拓人は困惑します。
その後、晃司は父が亡くなったことを広瀬から告げられ、芸能界を辞めて家を継ぐように言われます。
父の遺言状には、青山にある会社の代表取締役は広瀬が継ぎ、次男の秋人はその補佐を、三男の晃司には新陰流上頭13代目宗家を継承せよと書かれていました。
本来ならば広瀬が13代目宗家を務めるため、遺族たちはざわつきます。秋人は衆人環視の中、晃司を「稽古もろくにしていない17・8の死に損ない」と罵倒します。晃司はおもむろに置いてあった日本刀を抜き、その力量を見せつけます。
晃司はそのまま意識を失い、広瀬は「違約金は2億だったかな。もう少し修行を積めば13代目宗家として相応しい」と言い、「泉のことはどうするんだ」と叫ぶ克己を追い出します。
克己は拓人と晃司がお互いを諦めてしまうことにもどかしさを感じ、その足でサッカーの練習をする拓人のもとへ向かいます。
克己は晃司が親の跡を継ぎ、芸能界を辞めるつもりだということ、拓人を諦めるつもりだということを話し、「ほっとした?」と悲しそうに尋ねます。
声が出ない原因を分析した結果、自分の声が特定の何かに対して悪いものだと考えているからだそうだと言う克己。
拓人は「あいつが事故ったのも、声が出ないのも俺のせいだって言うんだろ?どうしろって言うんだよ」と途方に暮れたようにつぶやきます。
克己は「あいつがお前を好きなことはお前の責任じゃない。だけど、あいつといて幸せだったことは1つもなかったか?」と尋ねます。
晃司は克己から「お前のせいで拓人はぶっ壊れちまった。死ぬほど好きなやつをぶっ壊したまま逃げんのか?」と電話を受け、涙を流し、拓人を探し始めます。
同じ頃、拓人は晃司が家を継ぐかどうかで揉めていること、声が出ないことの証拠写真を撮ったとパパラッチたちが大喜びしているところに出くわし、思い切り殴りつけてしまいます。
クリスマスの夜に、パパラッチの反撃を受けて頭から血を流し続けながら「何やってんだ俺は…こんなことバレたらイタリア行きどころか学校にさえ行けなくなるかもしれないのに…」と裏路地でうずくまる拓人。教会のベルが鳴り響く中、晃司が現れます。
バイト先の店の裏にある部屋に晃司を招く拓人。「狭いけど風邪を引くよりはマシだろ」とベッドに誘う拓人に、涙を流す晃司。晃司は声が出ないことに苦しみながら拓人の手のひらに「大好きだ」と書き、彼を強く抱きしめるのでした。
晃司の待つ部屋に戻ってはべったりとくっついて過ごす日々。拓人は晃司がいなくなったらと不安がる自分を自覚し、「こんな自分は知らない」とぼんやりと考えます。
広瀬は秋人に「せっかく兄弟が揃ったんだ、仲良くやろうじゃないか」と言いながら拓人の写真を握りつぶします。
「このままでいいわけないんだ」と悩む拓人は、黒いスーツを着た集団に突然拉致されます。拓人の帰りを待っていた晃司は何かに気づいたように目を見開きます。
その頃、拓人は広瀬と秋人のいる部屋に連れてこられていました。広瀬は晃司の居場所を聞き出そうとしますが、拓人は知らないとはっきり言います。
広瀬は「もしかして君と晃司は肉体関係でもあるのかな?全てが明らかになってもいいほど彼を愛しているのかな?」と拓人に詰め寄りますが、その時晃司が現れます。
晃司は広瀬に掴みかかりますが、「彼にはプロサッカー選手としての前途洋々な未来が待っているのに、いいのかな?」と晃司を脅し、彼は動揺します。
拓人は「俺たちのことは俺たちでカタをつける」と言いますが、晃司は土下座します。
その様を嘲笑する広瀬と秋人。
拓人が「お前は俺の言うことを何一つ聞かない!俺が喋れと言っているのに喋らない!何か言うことはねえのかよ」と晃司を怒鳴りつけると、晃司は唇が切れるほど噛み締めた後、喘ぐように「最初から最後まで迷惑ばかりかけてごめん。愛してる。愛してる」と必死で言います。
拓人は晃司を背負って帰ります。2人を返した広瀬に秋人は「あのままでいいのか」と尋ねますが、広瀬は「あんなものはすぐ壊れる。絶望的な愛だ」と彼らの後ろ姿を見送りながら鼻で笑います。
翌朝、公園のベンチで一つのマフラーを分け合い寄り添う2人が発見されます。
晃司は「BRONZE」という最後のアルバムを作り、プロデューサーに提出します。
まとめ
観賞後の余韻が強く、呆然としています。愛することと憎むことは表裏一体なのだと痛感させられました…。
愛しているから壊してしまう、愛しているから弱くなってしまう…愛とはただ幸福なばかりでなく、本人たちを不幸にもしてしまうのだと胸が抉られるような痛みを感じました。
それでも私は晃司の、拓人への唯一無二の燃えるような想いがたまらなく愛おしくて大好きです。
この人でなければならない、この人を失ったら死んでしまうと思うほどの愛とはどんなものだろうか?広瀬に言わせるなら「破滅的な愛」を、人生に一度は経験してみたいと感じます。
業火の炎に焼かれ続けるような、苦しみを伴う激しい愛。そんな滾りほとばしる愛を見たい、ままならない愛に苦悩する2人を見たい方にオススメの名作です🏆✨
作者:尾崎南
サッカー選手である泉拓人にイタリアのクラブからオファーがくる。一週間という短い時間ではあったが、晃司は離れたくない思いから拓人を追って空港へ向かうが、その際に事故に巻き込まれて意識が戻らない状態に陥る。帰国した拓人はどうしていいか分からずに苛立ちを募らせていたが、やがて晃司の意識が回復し…。
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