秋平しろ先生「巣箱の王子様 上・下」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
しごできイケメンな会社の「王子様」上司×平凡なゲイ会社員 のお話。
<あらすじ>
誰にでも知られたくないことの一つや二つはある。
29歳、会社員の青柳くんの秘密は、同性愛者であるということ。
セフレにお金を払って体を満たす青柳くんにとって、恋とは異次元の夢のようなものだった。
こんな人におすすめ
- 平凡受けが好き💕
- 完璧超人なスパダリ攻めの裏の顔を見たい👀✨
- 秋平しろ先生の独特な絵柄が好き🖌️
ネタバレ感想
①ひたむきすぎる青柳くんの恋心に、たびたび涙…😭
攻めの浅桐さんはとってもかっこよくて、優しくて、仕事ができる完璧な男。ですが、実はおそろしいほどの汚部屋の住人!足の踏み場もないほどのゴミ屋敷に住んでいます。
浅桐さんに片想いしている、受けの青柳くんは、彼の部屋を片付けると決意!浅桐の邪魔にならないように、しかし積極的に片付けに足繁く彼のマンションに通います。徐々に仲良くなっていく二人。
自分などたいしたことのない男だと言う浅桐さんに、青柳くんは
浅桐さんは世界で一番、素敵な男性です!
と胸を張っていいます。浅桐には大切に思う女性がいると思っている(実はその女性は浅桐さんの元奥さんのことで、今は彼らに交流はないのですが)青柳くんは、自分の片想いの気持ちをぐっと胸の奥底に沈めて、この言葉を言うのです。
自分が浅桐さんと両想いになれなくてもいい。浅桐さんが幸せになってくれれば、それが自分の幸せ。
そんなことは理想論のように聞こえるけれど、青柳くんは本気でそう思っているんです。
青柳くんの、そんな真面目で、一途で、健気で、一生懸命な愛し方に、私はただただ号泣してしまいました😭
②少女漫画のように繊細な絵柄で紡がれる、意外にも生々しい恋
秋平しろ先生の作品は、私はこのシリーズで初めて手に取りました。本当にペンで書いているの?と思うくらい、細くて繊細な筆致。そして、線にブレがない。迷いがない。中村明日美子先生を思わせる、「余白の美」の使い手だと感じました。
中村明日美子先生との違いは、秋平しろ先生の線からは、不思議と「温かさ」を強く感じるという点です。「ほっこり」という表現がまさにしっくりくる絵柄です。
にも関わらず、描いている物語は結構リアル。
自分は顔しか取り柄がなく、男として不完全だと感じ続けている浅桐さん。ゲイであることに罪悪感を持っている青柳くん。
彼らの負の感情が丁寧に描かれるほど、優しい絵柄とのギャップにドキドキします!
③「好きな人と一緒にいられたら幸せ」を噛み締める物語
この作品が何を言いたいか?それは、この青柳くんのセリフに尽きます。
好きな人と一緒にいられたら幸せ
当然だろ、って思いましたか?
でも、世の中を見回してほしいんです。心から大好きな人と、愛し合えて、それだけで幸せだねって心から思えているカップルって、一体どれくらいの人数、いるものでしょうか?ほんの少ししかいないと思います。
人間って欲深いものです。人を好きになったら、相手から愛し返してほしいと思うし、それが叶ったら、結婚という誓いを欲しがったり、子どもという形で愛の印を残したがったりします。
それはそれで幸せなことだけれど…ただ、愛し合う。それが何よりの幸せなのに、人はいつしかそれが「普通」になって、尊さを感じにくくなっていきます。
青柳くんが本気で「好きな人と一緒にいられたら幸せ」と浅桐さんに言うたび、私は心臓をギュッと掴まれたような気持ちになります。たとえ好きな人が遠くにいたとしても、好きな人と一緒に生きられる幸せをきちんと噛み締めて生きられる人になりたい。そう我が身を振り返らせてくれる、素敵な作品です。
まとめ
「好きな人と一緒にいられたら幸せ」と、小さな幸せを噛み締められる天才である青柳くん。けれど、「幸せな人生とは、誰かを幸せにすることだと思う」とも思っており、自分が同性愛者であるために、両親に孫の顔を見せてやれないことにひどく劣等感を抱いています。
そんな彼がひたむきに片想いしているのが、仕事以外はてんで天然でポンコツな浅桐さん。青柳くんと同じ会社のエリート部長です。
浅桐さんはポンコツとはいえ、すれ違う人みんなを恋に落としてしまうようなスーパーイケメン。そんな人には悩みなどないだろうと思いきや、本人は「僕は所詮、顔だけなのだ。顔以外何もない、価値のない男だ。みんなにそう思われるのが怖い。ダメな男だと気付かれたくない」と毎日怯えて暮らしています。
互いに、誰にも明かせない傷を抱えた二人。
二人が仲を深め合ううちに、その傷も互いでしか癒せないようになっていくさまに、胸が熱くなります😭
上・下巻あるにも関わらず、読み終わるのは一瞬でした。比喩でもなんでもなく、ページを捲る手が止まらないんです!
ぜひあなたも、秋平しろ先生ワールドにどっぷり浸かり、「好きな人と一緒にいる幸せ」を噛み締めてみませんか?