カトウコトノ先生「将国のアルタイル」シリーズを読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
かねてより対抗してきたトルキエ将国とバルトライン帝国。
ある夜、帝国の大臣が暗殺され、2つの国は一触即発状態に!
開戦を望む将軍たちの中、マフムートは暗殺の裏に潜む事実に気付く!!
こんな人におすすめ
- 中東の歴史モノを読みたい🇹🇷
- 美少年が大活躍する作品が読みたい🥺✨
- 各国間での戦略戦が大好き❤️
ネタバレ感想
私はバラバン×バヤジット(通称バラバヤ)が好きなので、ムズラク将国メイン巻+アニメで放送されていない巻のみ購入しました。
以下、バラバヤ沼住民の断末魔をお聞きください💁♀️✨
7巻
まずは7巻。これはバラバヤの民必読の書です。絶対買ってください。
アニメ12話「奇岩会戦」の内容が丸ごと収録されています。
全宇宙の夜明けの腐男女が号泣した
バラバン「お前はあんなに…私を愛していると言ったのに…」
バヤジット「(自分の手で兄を撃ち、彼の亡骸を抱きしめ泣きながら)いません…兄上以上に愛した人など、この大陸のどこにもおりません…」
が原作でも読めます。破壊力が凄まじすぎて涙なしには読めません。
原作バラバンの、世界の誰に嫌われても弟にさえ愛されていればそれでいいと思っていたのに裏切られ絶望した表情のタッチが素晴らしすぎて嗚咽が止まりません。兄上…🤦♀️
バヤジットが愛する兄に「愛していると言ったのに」と縋りつかれて絶望する表情も壮絶です。これを書きながら胸が抉られるような気持ちです。
バラバンの最期、マジ神作画なので絶対絶対アニメと原作見比べて欲しい。
セリフはアニメ版も原作版もほぼ変わりません。
15巻
アニメには収録されませんでしたが、原作ではゼキ将軍の筋肉隆々なスケベ裸体が見られます。ヒャッホー!!ゴリマッチョ!!ごちそうさまです。
あと、ルイ大臣が帝国で責任問題を問われるんですが「12万の兵は失ったが、80年ぶりの新領土を獲得した上、南ルメリアナの過半が帝国領になった」と飄々と受け流します。
あとこの巻で大注目して欲しいのが、かつて帝国の支配に最後まで争った「春の町(プランタン)」が王国として独立する一連のシーン。
プランタン王国独立のために、王族であるベルネット氏(町長)のもとへ直談判に向かうキュロス。
その最中、キュロスは守銭奴だと馬鹿にしていた自分の父がポイニキアの民を救うために自分の命を差し出したと聞いて絶句します。そして、町長にポイニキア最後の末裔として独立交渉をするんです。
「優れた為政者は国家のためなら自分の心さえ殺します」
「町長、あなたは王国が滅んでもなお民のために王の子として生きてこられたのですね」
「もう心を殺す必要はありません。今国王として立つことで、ベルネットの名を勇気ある王国のものとして栄光とともに歴史に刻み込めるのです」
「羨ましいです。もし私に同様の機会が訪れたのなら、たった一日で終わったとしても、ポイニキア人として生きるでしょう」
キュロスのこの言葉に、いったいどれほどの読者が涙したでしょうか。
ルメリアナ大陸の母ともいえるポイニキアは、おぞましき帝国の手に真っ先に落ちました。
3000年近い歴史を誇るポイニキア人の子孫として、キュロスはたった一日でも…もし祖国を再建できるならそれがどんな甘言であろうと乗りたいと、真摯に町長へ語りかけます。キュロスの祖国愛がひしひしと感じられます。
また、天上州の視察にフローレンス共和国大統領が来た際、トルキエ将国が天上州の文化を侵すことなくたった二月で施設群を建てたことに絶句します。
その驚異的な建築技術の高さだけでなく、人々の誇りを奪わないという精神的な気高さに「騎馬民族は野蛮」という偏見を改めねばと再認識するのです。
このシーンでは、トルキエ将国をさんざんバカにしていたフローレンス共和国大統領があっけにとられているので、胸がスッとしましたw
そして、帝国の手に落ちた「塩の町」にいる南領軍大将ヨハン。
アニメでもたびたび病弱な彼は、同僚のアダムに体調を心配されつつも先見の明に長けていることから「預言者」と揶揄われていましたよね。
彼がまた先を読み、南領から独断で軍を動かしザガノスの進軍を阻もうとするところまでが描かれています。
ヨハンが進軍していることはザガノスの「耳と目」のおかげで分かったので、彼のこの情報網は味方なら心強いものの敵となった時にどれほど厄介かと恐ろしいですね…。
16巻
序盤からいきなりかわいいシーンあり〼。
天上州で帝国軍を追い詰めた時、籠城していた傭兵の山猫団っていましたよね🐈
あのブリジットがまたクルド将軍から直々に天上州を守るようお願いされるんですが、同じく傭兵のエルバッハには殺気出しまくりなのに、クルド将軍にはメロメロ(雇い主でもないのに「クルド様」呼びだし、ほっぺを赤くして目もうるうるさせてるw)なのがめちゃクソかわいいです。フォントから違うww
そして、この巻で大注目なのが「騎馬民族の本領発揮」!!!
歩兵なら4〜5日くらいかかるところを、生粋の騎馬民族であるトルキエ軍人たちはたった1日で駆け抜けるんです。めちゃくちゃカッコいい。惚れ直します。
24時間不眠不休で走り続けるぞ!ってマフムートが号令かけたらみんなが鞍上歌を歌い始めるんです。これがまたかっこいい。
おお騎馬民族よ、騎馬民族よ
酒肉を喰らう 鞍の上
鬣抱いて ひと眠り
産まれて暮らす 鞍の上
鬣枕に息絶える
乗り馬の上こそ 汝の城ぞ
おお騎馬民族よ、騎馬民族よ
これ、アニメでぜひとも観たい〜😭😭😭✨✨✨
みんなでドン!ドン!って胸を叩いて調子を取るのもイケてるんです。く〜!!!祭りじゃ〜!!!!!
あと、ゼキに幼馴染のヌルザーンが「俺が死んだら涙くらい流してよっ!」って冗談みたいに言ったら、「お前が死んだら殺した奴を生涯かけても見つけ出し、浴場の土台に埋めてやる」って淡々と言ってて、ガチ恋しそうになりました。ほんとずるい男だよゼキ…この夢女大量生産男め…。
ヨハンたちの進軍を邪魔させまいとアダム軍がマフムートたちの前に立ち塞がります。
このアダム、まんまるな体型だからすぐやられるかと思いきや意外と強くて、あのアビリガが腕やらあちこちの骨を折られてだいぶ手こずります。でも…アビリガが隠し持ってた武器がスゴイんです。
これはぜひ本を読んで「マジかよ!?!?」ってなってほしい。正直、アダムが名将すぎて絶対マフムートが負けると思いながら読んでましたw
アビリガの奮闘の甲斐あって、マフムートはどうにかザガノスの進軍を止めることなくヨハンの首を取ります。
この時のね〜!!!マフムートが大活躍なんですよ!!!!
めっちゃくちゃかっこいい。ヨハンの周りを囲む兵をもろともせず、馬上から一気に飛んで、ヨハンの横たわる馬車の車輪目掛けて突っ込みます。この飛来するシーンの大迫力っぷりは、何度読んでも震えます。
あと、いつも冷たいザガノスがマフムートに「この戦争を終わらせるのに必要なのは君の力の方だ」と言ったり、傷の手当て薬を振舞ったりと、かなりのザガノス大デレ巻になってます。
17巻
まだ帝国を攻めている最中なのに、将国内のザガノス派が勢力を増しており、わずかなカリル派がマフムートに戦績をあげさせようと画策している…という「戦中にもかかわらず、すでに戦後は始まっている」という国内外で頭の痛い展開の巻でした。
ゼキはなにかとマフムートに突っかかっていましたが、この巻で「カリム派を次の10年に残すのが自分の役目」と明言。
ゼキは名建築家で戦場でもたしかに役に立ちますが、どちらかというと第一線ではなく後継者づくりに力を入れて欲しい人ですよね。ヌルザーンの言うとおり、「お前さえ生き残ればカリル派は安泰」だと思います。
しかし、アンラッキーなことに「信仰の町(ルリジオン)」から逃げおおせた2万の南領帝国軍がしっかり帝国に戻ってきてしまいました。嫌な予感がします。
また、ここで帝国軍内にいる「新貴族(ヘルマン)」と呼ばれる昔ながらの帝国軍の存在が明らかに。帝国の成り立ち、歴史が詳細に語られます。
ジョルダン(リボンの騎士みたいでかわいい。幼馴染大好きな純心ボーイ)とカウフマン(ジョルダンの幼馴染で二枚舌の腹黒男)という名家子息が現れます。
帝国の本城前にある「壁の町(ミュール)」の周囲には水堀があるんですが、そこから水を抜くためにゼキは他の場所に流すための堀りを作ったり、「蟷螂の手(マノ・マンティス)」と呼ばれる木製砲台を作ったりとあれこれ新兵器を帝国に見せつけます。
そしてトドメが、帝国に滅ばされた「鐘の都(カンパーナ)」唯一の生き残りである鋳物職人のバスコが考案した「警告の鐘(ウヤンドゥルマ)」つまり大砲による攻撃。
「警告の鐘(ウヤンドゥルマ)」の存在はルイ大臣も知らなかったようで、「何だそれは!?」と目を白黒させていました。へへ、ルイ大臣のこんな顔が見られるなんてレア〜!!!
そして、あの盗賊みたいなレレデリク公がなんと「吹雪の町(シュネーシュトルム)」の領主と結婚。さらには結婚式の夜、領主の弟2人を殺して脅し、この町の4000騎ある重騎兵を我が物として、即「壁の町(ミュール)」へ援軍として向かいます。(もともとこれが目的の欠陥だった)
レレデリク公、怖すぎる……。
18巻
ポイニキア前では、ヴェネディック艦隊が「警告の鐘」を大量に積んで壁を砲撃中。キャロスが、無くなりゆく祖国を物言いたげな瞳で見つめ続ける姿には号泣です…。
一方、帝国側にはザガノスの隠された出生の秘密が一部に知られている模様。
「新貴族であるカミュ公爵家の子」とルイ大臣は言っていましたか、カミュ公爵とは何者なのか?なぜザガノスは祖国であるはずの帝国をこれほど憎んでいるのか?謎は深まるばかりです。
ルイ大臣曰く、①かつて前線で戦っていた新貴族たちを戦いの中で殺して領地を奪い、新たな税収を確保する ②新貴族たちは後で自分たちの地位を乗っ取った常備軍隊を敵対視しており、自分たちこそ帝国の戦士だと思っている これらのことから、トルキエと新貴族を積極的に戦わせ殺させていました。ルイ、まさに非道。
新貴族たちは心から皇帝に忠誠を誓っており、まさか殺されるために戦地に赴かされているとは思ってもいません。その真っ直ぐすぎる忠義が、見ていて本当に辛いです。
そしておまけ漫画の「槍の将国の虎王」。ムズラク将国、雷のウスマン(バラバン父)〜バラバンの治世のお話です。
これがもうめちゃくちゃしんどい。
なぜバラバンが最期に「お前は私にあんなに愛していると言ったのに」と言ったのかの理由がこの小話で分かります。
バラバンは的確な人員削減と税制改革を成功させた名君でしたが、バヤジットと2人きりの時は「私は人に愛される才がない」「それこそが将王にとって必要な資格なのに」と弱音を吐きます。
それに対して、バヤジットは「私はこの大陸の誰よりも兄上を愛しておりますのに」と答えるんですね。
クーーーーーーーーッッッ…いっそ殺してくれ(私を)
読み返すのにかなり労力を使います…バラバンが苛烈すぎて臣下がついていけなくなるシーンとか、心が痛くて読めない…つらい…でも2人の最期の会話の伏線回収してくださってありがとうございますカトウコトノ先生…😭😭😭😭😭
19巻
ものっすごいしんどい………。
父親の思いを継いでトルキエに向かっていった、新貴族のジャック(クソかわリボンの騎士🎀)。
レレデリク公が来るはずだった地下通路を塞いだザガノスはジャックたちにルイ大臣の思惑を話し、降伏しろと迫ります…が、ジャックは父のためと抗います。
そしてそんな彼を後ろから無慈悲に突き殺したのが…まさかの新貴族の親友で幼馴染のジークフリート。
絶望の表情のまま、ジャックは大量に血を流して死んでいきます。そしてジークフリートは投降。むごいです。
そして、新貴族たちを殺すために今回の作戦を行ったことが見破られたのか、アンドロシュ大将によってルイ大臣は勾留されます。
しかしここでまさかの事実が発覚。レレデリク公は「壁の町」へ向かっていると思いきや、四将国およびトルキエ首都へ進軍していたのでした。
今すぐブチャク将国へ引き返すべきと紛糾する将軍たちに対し、ザガノスはここで城攻めを続けると一歩も引きません。
四将国は連携し、トルキエ将国首都に攻め入らせないように、「金色の町(アルトゥン)」でレレデリク公を迎え撃つことにします。
さて、ここで四将国はレレデリク公を片付けられるのか?ザガノスに四将国の援護を頼まれたマフムートはどうなるのか?
20巻
ブチャク将国首都をレレデリク公に焼き討ちされたことをきっかけに、四将国が集まり、「警告の鐘」の鋳造工場がある「泉の町(チェシメ)」で帝国軍を迎え撃ち殲滅する作戦を立てます。
軍事力が豊か、かつ、知略に優れたバヤジットを全員が四将国軍の指揮官に推薦しますが、バヤジットはイスマイルを推薦します。
バヤジット曰く、自分は父を失った14歳の頃から兄を支えるために最高の臣下なるために努力してきた…だから、生まれながらにして将王としての考え方を学んできたイスマイルの方が適任であると言うんですね。
ここのね〜〜バヤジットがイスマイルの将王としてのプライドをくすぐる言い方、乗せ方がほんっとうまいんですよ。まさに大陸一の名臣です。
結局イスマイルが四将国軍を率い、山の楽団という大陸最強の傭兵部隊にレレデリク公を討たせようとするのですが…逆に返り討ちに遭ってしまいます。
さらには、アイシェの窮地にオルハンが援軍を出してしまったことで陣形が崩れ、撤退せざるを得なくなってしまいます。
この巻では、オルハンはとても魅力的な人ですが、将王には向いていないな…とがっかりさせられました。
戦の最中、国民よりも好きな女を優先させるなんて…正直、憎悪が湧きます。
21巻
オルハンがアイシェを救うために陣形を崩したため一気に帝国軍に攻め入られ、四将国軍兵は次々と惨殺され、撤退を強いられることに。
帝国軍の追撃を少しでも足止めするために、バヤジットはわずかな部下とともに「警告の鐘」を何度も空撃ちして味方が撤退できる時間を稼ぎます。
「警告の鐘」の設計図をザガノス将軍から渡され、作ってくれと頼まれた時、バヤジットは始め強固に反対しました。なぜなら、それを作れば必ずいつかムズラク将国民がその餌食になる日が来るから。
ですが、鋳造工場を「泉の町」に限定すること、もし設計図が他国の手に渡りそうになったら鋳造工場を水に沈めることを約束して、作ったのでした。
そして、四将国軍が逃げ切ったかと思ったその時、鋳造工場に忍び込んでいたグララットにバヤジットは討たれます。
バヤジットを監視するようにそばにいた赤髭もそばにいません。
「もう自分を監視する意味がないからか…」と息絶えそうになりますが、工場を水に沈めるために、息も絶え絶えになりながら操作レバーへ走るのですが、またグララットが襲ってきて…と、その瞬間!なんとそれまでむしろバヤジットに牙を剥いていた赤髭(とバラバンの亡霊)が、グララットの喉笛目掛けて突っ込んできます。
グララットの配下たちを数人殺し、バヤジットが操作レバーを引くための時間稼ぎをしてくれたんです。
「私は死ぬまであなたの隣を歩きたかった」
「あなたの隣であなたをお支えしたかった」
赤髭の中にバラバンを見たバヤジットは、兄と過ごした幸せな日々を思い出しながら、無事レバーを引きます。その瞬間、グララットに後ろから致命傷を負わされるバヤジット。
彼がどっと倒れ込むと同時に、グララットは工場が水没することを察して逃げ出します。
そして、グララットと彼の部下たちに滅多刺しにされた赤髭が、よろよろとバヤジットのそばへ。
「どうしてですか…?」
「私はあなたに触れる資格など…ないというのに…」
泣きながら笑顔で赤髭を撫でようとするバヤジットの頭を、バラバンの手が撫でるような幻がよぎります。
そして、バヤジットと赤髭は互いを抱きしめ合いながら、鋳造工場の中で溺死するのでした。
この一連の…バヤジットと赤髭の最期のシーンはどれだけ泣いても泣き足りないくらいしんどいです。めちゃくちゃ素敵です。爆エモすぎる。2万回は読み返しました。
コマの配置、表情の細やかな違い、圧巻の描き込み量…どれをとってもネ申です。哀しくも美しい最期、どうかバラバヤ推しもそうでない人も見届けてほしいです。
そして、「金色の町(アルトゥン)」まで命からがら逃げ延びた四将国軍は、レレデリク公に追いつかれ、バヤジットおよび彼らの部下の生首を槍に刺された状態で見せつけられ、降伏を迫られます。
それを見た兵士たちは「私たちは何のためにバラバン様を討ったのだ」「大トルキエの結束を私たちは何もかも無駄にしてしまった」と阿鼻叫喚。
しかしアイシェが「叔父様は自分と同じ方向を向いた優れた王を次の戦いに残すために自ら進んで「泉の町」に残られたのだ」と兵たちを一喝、そしてマフムートが「城壁の町」から帰還したことで一気に士気が高まります。
しかし、トルキエ将国はもともと遊牧民族。国民の4割は定住生活をしていなかったため、「金色の町」の民と軍が内輪揉めすることを狙い、帝国軍は彼らを見せ様として惨殺し続けました。このあたりは、本当に…しんどいです。天上州での無意味な内乱のことを思い出します。
さて、「金色の町」は7つの区域に分かれているんですが、カリルパシャ門・心臓門・古門は火矢でも崩せそうなほど低く脆い門のため、配置された将軍たち(マフムート含)はそれぞれ策を練ります。
おまけ漫画「将軍の帽子」では、ショタマフムートくんとめちゃくちゃ可愛い雛鳥時代のイスカンダルが見られます。
イスカンダルがもう目に入れても痛くないくらい可愛いので覚悟した方がいいです(?)
22巻
首都「金色の町」を帝国軍に包囲されたトルキエ将国。
特に守りの薄い古門をマフムートが担当していますが、門は木製で人の背丈ほどしかありません。
それゆえに、古門自体は火矢で簡単に落とされてしまいます。
しかし、マフムートは民たちを町の内側に避難させ、トルキエ将国ならではの建築様式と水道橋を利用して、新貴族たちを撃退します。(この作戦が華麗すぎて腰抜かすのでぜひ読んで欲しい😭😭😭😭😭)
古門の兵たちを撃破するつもりが返り討ちに遭い、撤退を余儀なくされる帝国軍。
帝国軍撃退のためにマフムートは大量の油(天上州で行ったのと同じ、焼き討ち作戦)などを用意していたのですが、これはあらかじめ町の豪商たちにマフムートが「戦後、私財は2倍にして返還する」という約束を取り付けていたからできたのでした。
お礼を言うマフムートに
「トルキエ将国は意志と能力のある者には誰にでも門戸を開く」
「たとえ私は倒れても 子や孫には自身で道を切り拓ける このトルキエを残したい」
と返答する名もなき豪商のおじさん、メチャクチャかっこいいです。泣きました🤦♀️
一方、「城壁の町」にアビリガとキュロスが登場します。
首都の表側である「城壁の町」の防備に心血を注いでいた帝国軍でしたが、首都の裏側にある急流フルミネス川からなんとヴェネディック水兵が続々と押し寄せてくることに動揺。
なんとザガノスは、「警告の鐘」8鐘をヴェネディック共和国に献上することと引き換えにヴェネディック水兵に応援を依頼していたのでした。
ここはね〜…正直、ザガノスふざけんなよ!!って怒りのあまり号泣しました。
だって、バヤジットは自国民を「警告の鐘」の餌食にしたくないから鋳造工場を命をかけて壊したのに…ヴェネディックに売ってしまったら、もう世界中で使われること間違いなしですよ。結局バヤジットもバラバンも、それぞれトルキエとバルトラインという2大国に自分の理想の国の図を見せられて目が眩んで、彼らのいいように命を奪われただけでしたね。
トルキエもバルトラインも、2人は信じてはいけなかったんだ…。未来ある名将が狡猾な男たちのせいで死んだ…悔しいです。バラバヤ推しとしてはこの事実を知りたくなかったです。本当につらい。
そして、フルミネス川に軍の注意がそれている間に、ザガノスの臣下が「城壁の町」の機関室の導声管から硫黄を放ち次々と毒殺していきます。
さらには、「信仰の町」で捕虜にした帝国兵を死地である内郭の前線に押し込み、さらなる追撃を図ります。
この捕虜たちの有様が凄まじくてですね…舌を切られ、指を切られて盾と馬に体にくくりつけられ、仲間に殺されるんですよ…。
そして「蛮族どもが!!無抵抗の捕虜になんてむごいことを!」と嘆く帝国兵にザガノスが言った一言。
「帝国人が帝国人の命を奪う。バルトラインの縮図だろ」
間違いねえ………。
実際、帝国は吸収した国々をまず死地に追いやって、生粋の帝国人は後方に配置するのが定石なんですよね。
と、ここまでトントン拍子に進んでいたザガノスの計画でしたが、勾留されていたルイ大臣が復活し、彼の命令で首都聖ミヒャエル城を取り囲む橋が一気に崩され、トルキエ軍はフルミネス川に次々と落ちてしまいます。
実は城の周りにはぐるりと坑道があり、城が破られそうになった時には坑道を支える木枠を燃やして橋が落とせるように作られていたんですね。
今日を総攻撃の日と定めていたザガノスは面食らい、ルイ大臣はレレデリク公のトルキエ侵入を阻止するために数日内にはザガノスは撤退すると予言します。
ルイ大臣に「復讐者」と呼ばれるザガノス…一体これからどうするつもりなのでしょうか?
23巻
聖ミヒャエル門から突入し、挟撃する計画は橋を落とされたことで破綻。
ザガノスの腹心の武将たちは「城壁の町」内郭に閉じ込められてしまいます。
しかしここで活躍するのが、ザガノスの腹心である駱駝のイルカイ将軍。
本来なら先陣兵は既に城外に逃げているべきにも関わらず、蹄鉄の将軍ジェミルら残兵を城外に出すため、内郭に残り投射機で敵兵を駆逐していきますが、ルイ大臣のお気に入り、バレ将軍に見つかり身体中に槍を刺されてしまいます。
しかし瀕死でもなお投射機を回し続けるイルカイ。
「正解だったわ…ザガノス将軍の誘いに乗って…
帝国の滅亡と将国の興隆を決める一大決戦、最高の舞台を拝ませてもらった。
心残りは終焉をこの目で拝めないことだけ」
と言い残して死にます。
イルカイ…ッ………🤦♀️
駱駝のようだと馬鹿にされながらも、仲間を助けるために最期まで戦ったイルカイの勇敢さに号泣です。
ルイ大臣は「聖ミヒャエルの城内にいれば安全」と小姓のニコロに悠々と声をかけますが、ザガノスが水に毒を投げ入れた上、城内に間者を忍ばせて「ザガノスは無差別に毒殺するらしい」とふれまわらせたため、城内は不安に陥ります。城に残る者たち用の水や食料は脱出経路から運び入れることに。
ここで一旦ブレイクタイム。イスカンダルが油を見てびっくりする場面に遭遇したイスマイルは、「ずいぶん面倒な家来ですね」とマフムートに声をかけます。すると…
マフムート「犬鷲は家来じゃないんですよ。私が家来で、犬鷲が王です」
「犬鷲使いは家来が王に仕えるように、犬鷲の性格を理解してその特性を最大限に生かす環境を整えることで彼らの力を借りているんです」
イスマイル「トルキエはそういうやり方が好きなんですねえ。将軍会議も、将軍たちの特質にあった仕事を任せることで、彼らの力を発揮させている」
「マフムート将軍は、大将軍にも案外向いているのでは?」
向いてると思います!!!!!!!(クソデカボイス)
イスマイルは食えない男ですが、マフムートのことを予想以上に買ってるんだな〜とにやけてしまいました。
そして舞台はまた「金色の町」へ。
貯水池から攻めてきたグララットたちを待ち受けるのは、オルハン。古門の前にはレレデリク公がおり、マフムートと対峙しています。
そしてマフムートの読み通り、突然起こる砂嵐。マフムートは砂嵐に紛れて「レレデリク公を討つ」「祖国と民を守れぬことより恐れるものはありません」と宣言し、嵐の中に突っ込んでいきます。
ここ、メチャクチャかっこよくて号泣しました…祖国と民を守れぬことより恐れるものはないって…何度でも復唱したい…そんな志持ってる政治家、今の世界にいる?いねえよォ…🌍
貯水池にいたはずのグララットたちエルルバルデス山岳兵の一部は、イスマイルが四将国軍の指揮官だと当たりをつけ、砂嵐に紛れて彼を討ちに向かいます。
イスマイルはグララットを前にして、自分が生き残るため、トルキエが勝つための計算を瞬時にしていました。
しかし最後に思ったことは、「将国一の名臣(自分を四将国軍の総大将だと推したバヤジット)に失望されるのは面白くないから、一度だけ名君を演じてやる」。
「俺は死ぬ覚悟でグララットを倒す、お前は貯水池に残された山岳兵を殲滅しろ」とオルハンに矢を射ることで命令しますが、オルハンはそれを無視。兵を分け、イスマイルに援軍を送ります。
援軍に気づいたグララットはオルハンを殺そうと貯水池へ向かいますが、屋根の上を飛び渡る彼を、アイシェたちが矢で一斉攻撃。実はイスマイルが念のために仕組んでおいた弓兵だったのです。
グララットはオルハンの喉元にナイフを突き付け、「今回も勝利は貰っていくぞ」と不穏な遺言を残して生き絶えるのでした。
一方その頃、レレデリク公の首を取ろうと砂嵐の中を駆けるマフムートは彼女の姿を捉えられません。
なんと彼女はエルルバルデス山岳兵にトルキエ軍が気を取られている間、警備が手薄な帝国門に全軍を集結させ入城していたのでした。
帝国門の周囲は全くの無防備。民の避難もできておらず、トルキエ軍は混乱に陥ります。
そんな時、遊牧民の天幕の壁材に火をつけたものをマフムートがレレデリク公率いる先陣兵に投げつけ、帝国軍の侵攻が一時止まります。
そして大将軍から全軍へ即座に告げられた命令は、「帝国門に全軍集結」!!
マフムートは自分の行動が大将軍をどう動かすかを見越していたのです…!!!!くう!!!!かっこいい!!!!
ザガノスたちは聖ミヒャエル城を落とせるのか?マフムートはレレデリク公を討ちとれるのか?
24巻
帝国の最後は予想外にあっけないものでしたね…。
読み終えた今、あの帝国が全面降伏したのだという事実がまるで夢のようで…余韻に浸っています。
帝国の政治がどんなパワーバランスで成り立っているのかを知っていたザガノスに改めて感嘆しました。ルイ大臣の
おやめください 皇帝陛下、帝国はまだ…
と、上がってゆく上限三角旗を見つめる絶望の表情には込み上げるものがありました。ルイ大臣は帝国内で唯一戦い続けた男でしたね…(まだ死んでいませんがw)。
そして、レレデリク公の最期……。
彼女が言うとおりもう半刻、一刻あればトルキエは陥落していたかもしれません。
どれだけ体裁を整えようが皇帝に胆力がないんじゃ話にならない
と、怒り絶望し死んでいく姿は悲壮感に満ちていて、何ともいいがたい物悲しさを感じます。
多くの優秀なトルキエ人たちが彼女の毒牙にかかり死にました。しかし、結果的に彼らの犠牲がなければ彼女の死はなかった。恐ろしい将をやっと倒せたのだという達成感も同時に感じました。
しかし正直言うと、マフムートも大将軍もレレデリク公に深い傷を負わされ相当苦戦していたので、トルキエと帝国は互いに首都陥落して相打ちになるのではと想像していました。
トルキエの勝利に終わったのが嬉しい気持ち半分、戦後のトルキエの権力闘争はどうなるのか不安な気持ち半分。複雑な心境です。
レレデリク公もグララットも…ある意味、戦いの中で死んでいけた帝国兵たちは幸せだったように思います。
帝国兵の地獄はこれから始まるでしょう…。死か、死にたいと思うほどの苦痛を味あわせ続けられるのか、どうなるのでしょうか。
まとめ
バラバヤ尊い!!!!!!!!
そしてキャラたちの個性の強さだけでなく、知略戦が面白すぎる!!!
まるで本当にこんな世界史があったような気さえしてくる、すごい解像度の歴史ファンタジーコミックです。
こんな、無数にある国(一部族とかも含む)の衣食住の歴史を詳細まで考え抜いて作られた物語が面白くないはずがない!!!!!
ちなみに今なら1〜15巻(の1話目)まではAmazonプライムビデオで無料視聴できます。
全話ダウンロードできるので、もしプライムビデオで配信されなくなってもいつでも見返すことができます。(私は早速全話ダウンロードしました✌️❤️)
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MAPPA製作なので将軍たちの顔面の美しさもさることながら、疾走感溢れる戦いも見どころです!!
ぜひ皆さんもチェックしてみてくださいね〜!!!!
将国のアルタイル沼で待ってるゾ〜!!!!!