夏下冬先生「彼と私」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
ごくごく普通のサラリーマンが、ある日「彼」を買った。
男は彼を家に連れて帰り、着飾ったり、一緒にジョギングをしたり、時には身体を弄くり回す。
何も話さず、ただ従うだけの青年は一体何者なのか、そして2人の関係とは…?
こんな人におすすめ
- 夏下冬先生作品が好き📖♥️
- 「本当にあった怖い話」のような、ゾワっとさせられる展開が好き😱💦
- 短編作品でも、エロは絶対入っててほしい🛌✨️
ネタバレ感想
①私と「彼」のラブストーリーかと思いきや…?
物語は、中小企業の平凡なサラリーマンである私の独白から始まります。私は「一番人気」である「彼」を買い、家で一緒に暮らし始めます。
私は全裸の彼にみだらな下着をつけさせたり、自分好みの服を着せ、時には彼の意思を無視して他の男とセックスをさせて見抜きをします。挙げ句の果てには、彼を通して恋人を作り、彼が潜むベッドの上で行為に至る始末。失意の底にある彼を、私は無理やり連れて外に引っ張り出します。
私と「彼」は主人と奴隷のような関係なのか?私は「彼」の恋焦がれるような視線に一切感情を揺らさないのはなぜなのか?私は「彼」の想いを踏み躙って何がしたいのか?と、読めば読むほど、二人の関係が分からなくなります。
②物言わぬ「彼」が怖い
「彼」はどんな時も、声を出しません。声を出すのは、私が求める時だけ。
例えば、彼が他の男とセックスをする時の喘ぎ声とか、一緒に朝ランする時の歌声とか、とても受動的です。
彼はどんなに熱く私を見つめても、私が自分を振り向いてくれないことに文句の一つも言いません。追い縋るようなことも言いません。
たとえ私が恋人と自分の潜んだベッドの上でセックスをして、胸が引き裂かれそうになっても、少しの声も出しはしません。絶望に塗られた表情とは裏腹に、彼の唇は少しも震えないのです。
それを見ていると、「彼」はなぜ声を奪われたのか、彼は一体どういう存在なのかと恐怖を覚えてきます。
③短編なのに、しっかり怖い読後感
この作品の一番のキモは、ラスト。
最後のコマを見た瞬間、「そういうことか!」と全ての謎が解けます。
私が彼を買った理由、私の彼の扱い方への違和感、彼がどういった存在なのか…ずっと感じていた違和感の理由が分かると、全てのコマの意味が見えてくるんです。
なので、簡単に言うと本作は二度楽しめる作品になっています。
一周目は、私と彼の関係の違和感についてモヤモヤと不安を感じながら読んでほしい。そして二周目は、すべてのコマから「オチ」を踏まえた意味を踏まえて意味を読み直してほしい。よくよく読むと、私の言動の中に「彼」に関する秘密が隠れているので、それを探して二周目も楽しんでほしいです。
まとめ
「彼と私」が発売された当時、BL好きの間には一種のムーブメントが起こりました。SNSで「ちょっと怖いけど面白い」「オチがすごい」と話題になったのです。タイムラインを遡れば誰もが本作の話題を出していて、自分もこの波に乗りたい!と勢いよく買ったのを覚えています。
登場人物は基本的に「私」と「彼」しか出てこないのに、本作は不思議なほどに「世界」を感じます。私を軸に回る世界の歪さ、彼と同居しているはずなのにまるで静物と暮らしているかのような違和感…奇妙な感覚だけが読者を包み、物語は終盤へと向かっていきます。そしてラストの一コマで、読者たちは「正解」を知るのです。何度読んでも、最後のコマを見るたびに「やられた!」と新鮮に感じます。
あなたも夏下先生が描く、不思議な「彼と私」の世界を体感してみませんか?🌏✨