映画「怪物」(2023)のネタバレ感想・あらすじ・評価・動画配信|「怪物」探しの果てに、私たちは何を見るのかーー。

映画

「アマプラ同時上映会」第216弾!

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監督・是枝裕和 × 脚本・坂元裕二 日本屈指の映像作家&ストーリーテラー、夢のコラボレーション実現!「怪物」

全編のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ

引用:映画『怪物』 公式サイト

自分の性的指向に悩む小学生男子と、「オカマ」「宇宙人」といじめられている同級生 のお話。

<あらすじ>
大きな湖のある郊外の町。
息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。
それは、よくある子供同士のケンカに見えた。

 

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予告編・予告動画

 

こんな人におすすめ

  • 是枝裕和、坂元裕二さんが好き🎥
  • 同性愛とそれを取り巻く日本社会の現状について考えたい🏳️‍🌈
  • 性的指向に悩む主人公の作品を観たい💭

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

第76回カンヌ国際映画祭において、脚本賞および日本映画史上初のクィア・パルム賞を受賞し、190以上の国や地域でも展開されることが決定した。

『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞パルム・ドールに輝いた是枝裕和監督が、「今一番リスペクトしている」と語る脚本家の坂元裕二と初タッグ。坂元は『花束みたいな恋をした』やTVドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」などで圧倒的な人気を博す、新作が待ち望まれる脚本家だ。また音楽は、『ラストエンペラー』や、『レヴェナント:蘇えりし者』など、海外でも第一線で活躍した坂本龍一。映画史上、最も心を躍らせ揺さぶる奇跡のコラボレーションが実現した。

引用:「怪物」公式サイト

③出演は、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら変幻自在な演技で観る者を圧倒する実力派と、二人の少年を瑞々しく演じる黒川想矢と柊木陽太。その他、高畑充希、角田晃広、中村獅童など多彩な豪華キャストが集結する。

引用:「怪物」公式サイト

 

ネタバレ感想

消防車のサイレンが鳴り響く雨の中、しげみを歩く何者か。そして、消防車は火事の起こったビルへと向かいます。
シングルマザーの麦野早織は、息子の湊を呼んで、アイスを食べながら火事が鎮火していくのに「頑張れ」と無責任なエールを送ります。「豚の脳を移植された人間は、豚?人間?担任の保利先生が言ってた」と問う湊に、「最近の学校は変なことを教えんのね」と他人事な早織。

翌朝、湊に水筒を持たせて送り出す早織。「白線からはみ出したら地獄だからね」と湊に声をかけます。職場のクリーニング屋で働いていると、湊の同級生・広橋岳の母・理美が噂話を始めます。火事のあったビルにガールズバーが入っており、そこに保利がいたらしいというのです。
その夜、湊は家でめちゃくちゃに髪を切っており、早織が理由を聞いても「くせ毛。校則違反」としか言いません。同級生の蒲田大翔にまた嫌なことを言われたのだろうと勘ぐる早織。

早織が帰宅すると、なぜか湊のスニーカーの片方がありません。違和感を覚えながらも、亡き夫の誕生日を二人で祝います。夫が生まれ変わってくれるなら、彼の好きだった馬になってほしいと妄想する早織。

翌朝、なかなか起きない湊を起こし、水筒を洗っていると、なぜか水筒の中に土が入っています。「理科の実験」と言う湊。
その夜、湊がなかなか帰ってこないので理美に電話をする早織。湊は「かいぶつだーれだ」と言いながら、真っ暗な水辺で遊んでいたようです。早織は慌てて湊を呼んで一緒に帰宅させます。
帰りの車内、湊は「僕ね、お父さんみたいには…」と言いながら耳を庇うような素振りを見せます。早織が「お父さんはラガーマンだったから怪我してもピンピンしてたけどね。でも、お母さんはお父さんに約束してるんだよ。湊が結婚して家庭を持つまでは湊を守るって。湊が家族っていう宝物を手に入れるまでは…」と言った瞬間、湊は車から飛び降ります。
病院で精密検査を受ける湊。病院から帰る道すがら、湊は「CT、見た?」と尋ねたきり黙りこくってしまいます。「学校でなんかあった?食べるのが遅いから?なんで髪切ったの?なんでスニーカーなくしちゃったの?」と問う早織に、「湊の脳は豚の脳取り替えられてるんだ!だからそういうところ変っていうかさ…」と言いながら、湊は走り出します。「誰に言われたの?」と必死で尋ねる早織に、「保利先生」と答える湊。

翌日、早織は学校に行くと、体操袋を廊下に捨てられたり、授業の支度が贈れただけで給食を食べさせてもらえなかったり、耳から血が出るくらい引っ張られたり、”痛いです”と言っても”お前の脳は豚の脳なんだから痛い目に遭わないとわかんないだろ”と保利に言われたのだと校長の伏見真木子に訴えますが、彼女は「はい、はい」とメモを取っただけで、後の対応は他の職員にまかせて出ていってしまいます。困惑する早織は声を荒げようとしますが、教頭の正田文昭は、「校長は先日お孫さんを亡くされたばかりですので、用件はこちらで」と言われてしまいます。

テレビに出ているオカマタレントの口調をバカにしたように真似をして、家では過剰に明るく振る舞う早織。再度学校に来た早織は保利を含めて教員たちから謝罪をされます。しかし伏見は「指導に誤解がありました。今後適切な指導をしてまいります」とだけしか言いません。保利は場違いにも鼻をかんだり飴を食べたりと完全に他人事です。さらには「母子家庭あるあるっていうか、過保護っていうか」と言い訳をする始末です。学校の事なかれ主義に呆然とする早織。
家では湊が明らかに様子がおかしく、早織はまた保利から嫌がらせを受けているのではと心配になります。

保利からの暴力があったのかを事実確認をしろと早織は何度も伏見と問い詰めますが、のれんに腕押し状態。早織は「神埼先生はいい先生でした。二年生の時、湊が参観日に作文を読んだんです。僕はシングルマザーになりたいって言ってね。私が一人で頑張ってるから力になりたいと思ってくれたんです。クラスのみんなが笑ったけど、神埼先生だけは笑わなかった。だからこの学校の教師全員がひどい人だとは思わないけど、少なくとも一番上に立ってる人は最低です。あなたには人の心ってものがない。これじゃ転校させるしかない」と激怒しますが、伏見はぼうっとしているだけです。部屋から正田が出ていき、慌てて保利を隠そうとします。早織は保利を追いかけ、「この人を辞めさせてください」と叫びますが、保利はバカにしたように笑うと、「湊くんは同級生の星川依里をいじめてるんですよ。家にナイフとか隠し持ってません?」とにやにやと早織に笑いかけます。早織は「駅前のキャバクラに行ってたくせに何言ってんの?あんたこそ豚の脳が入ってるんじゃないの?」と吐き捨てます。

その夜、湊の部屋に入ると、めちゃくちゃに荒らされた部屋の中で湊がうずくまっていました。新聞に包まれたチャッカマンを見つけ、無言になる早織。

翌日、星川の家に行くと、星川の家にはなぜか湊の片方のスニーカーが。「片方だけ貸してくれたの。麦野くんはまだ風邪なの?」と星川はけろりと言います。腕が火傷しており、「学校でいじめられたりしてるの?」と尋ねる早織。しかし星川は何も言いません。

後日、「麦野くんにいじめられたりしてる?」と教師たちの前で尋ねる早織。星川は「先生はいつも麦野くんを叩いたりしてます。でも先生が怖いからみんな何も言えません」と答え、正田たちは星川を教室への引き戻します。逃げようとする伏見に「お孫さんのこと聞きました。旦那さんが駐車場に停めようとして、そこで遊んでいたお孫さんを轢いてしまったそうですね。辛かったですか?それが私の今の気持ちです」と言う早織。

保利の虐待の事実は新聞に載るほど話が大きくなり、クラスの保護者を集めて謝罪する自体に。保利は辞めさせられたのだと安心した早織ですが、湊が保利に階段から突き落とされて怪我をしたと正田から連絡を受け、早織は慌てます。

台風が近づき、早々に店じまいをする早織。自宅の窓に湊と一緒に段ボールを貼って備えます。
その夜、湊は「(夢の中に)お父さんいた。お母さんに伝言頼まれた。いつもありがとうって」と早織に伝えます。「お母さんちゃんとしてあげられてないから湊がかわいそうでさ」と言う早織に、「お父さんは何に生まれ変わったかな。湊は何に生まれ変わるかな。僕はかわいそうじゃないよ」と言いながら、早織の腕を触る湊。
翌朝、窓の外から、保利の「麦野!」という叫び声が聞こえ、外を見た瞬間に後ずさる早織。

保利は駅構内を歩きながら、恋人の鈴村広奈に「結婚しよう」とプロポーズします。ビル火事を見つけて驚く二人のそばを、広橋が「ガールズバー帰りだ!」とはやしながら去っていきます。
転覆病にかかった金魚を見ながら、「保利くんみたいでかわいそう」と言う鈴村。保利が登校すると、星川の靴が脱げて困った様子だったので助けてやります。保護者面談の日程を出してもらえないと正田に愚痴ると、正田は「子どもより親のケアが大事な時代だからね。モンスターだよ」と軽口を叩きます。
そこに伏見が現れ、今日から職場復帰をするという報告をします。
クラスに向かいながら同僚教師の八島万里子と話していると、「夢中になるのはキャバクラくらいにしておいてくださいね」と釘を差されます。
いざクラスに入ると、湊が同級生たちの持ち物を勝手に窓から投げ捨てており、止めようとした際に彼の鼻に手があたってしまいます。なぜこんなことをしたのかと問うても、湊は「イライラしたから」としか言いません。

そんな中、早織が学校に抗議にきたため、正田たちは「君は目付きが悪いし、保護者の扱いには僕らのほうが慣れてるから。それに彼は中学受験したいみたいだから、今転校したら受験なんてできないでしょ」と保利を体育館倉庫に押し込めて出てこないようにします。正田たちから事情聴取を受ける保利。保利は「たまたま腕が当たっただけです。僕から親御さんに説明します」と言いますが、「児童のせいにしたら親御さんの怒りに火が付くでしょ。教育委員会に持ち込まれたら、学校全体が処分されることになるんですから」と言われ、さらには伏見にも「実際どうだったかなんてどうでもいいんだよ」と言われてしまいます。
何度もテンプレートの謝罪文を読み上げさせられる保利。伏見はわざと早織から見える位置に自分と孫のツーショット写真を置きます。
彼女の異常な行動を愚痴っていると、八島は「校長は学校が大好きですからね。そういえば、お孫さんを轢いたの、旦那さんじゃなくて校長って噂があるらしいですよ」と言います。

星川の持ち物がなくなり、一緒に探してやる保利。星川の家に相談に行くと、彼の父・清高がちょうど帰宅します。清高は保利の経歴を見下し、さらには自分の息子を「化け物」と呼びます。「あいつは頭の中に人間じゃなくて豚の脳みそが入ってるんだよ。だから私はあいつを人間に戻してやろうと思ってんの」と何気なく言う清高にゾッとする保利。
湊が慌ててトイレから出てきたところに、声をかける保利。違和感を感じてトイレを覗くと、「かいぶつ、だーれだ」と言いながら星川が個室のドアを内側からノックしています。ドアの上にはストッパーがつけられており、星川が出られないようになっていました。湊は困惑しながらストッパーを外す保利を見ると、一目散に逃げ出します。堀川は飄々とした様子でトイレから出てきますが、保利は困惑します。

木田美青という生徒から、「私が見つけた時にはもう冷たくなってて…」と猫の死骸を見せられる保利。木田は「麦野くんが猫で遊んでるところを見たの」と訴えます。
星川が早織に呼び出され、保利は木田に湊が猫を殺したかもしれない話をしてほしいと頼みますが、「そんな話してません」とはしごを外されてしまいます。

さらに、教員全員に保利が暴力をふるったところを見たことがあるかのアンケートが配られます。「先方は弁護士を雇ったんだよ。学校に内容証明が届いてるの」と正田は言います。
「僕やってません」と保利は必死で言いますが、「今更反論しても遅いでしょ」と正田はため息をつきます。伏見は「あなたが学校を守るんだよ」としか言いません。
保護者全員の前で、保利は謝罪。学校を出ていく途中で伏見が保利を見もせずに「お疲れ様でした」と言うので、保利は「あなたには立場があるから旦那さんが身代わりになったんでしょ」と吐き捨てますが、伏見は何の反応もしません。

「とりあえず謝れって言われたから謝ったのにさ…」と鈴村に愚痴を言う保利。鈴村は保利の話をほとんど聞いておらず、仕事が忙しいとそっけない対応です。そこに雑誌記者の前坂恭子が押しかけてきて、写真を撮られてしまいます。鈴村は「なんか忙しそうだから。連絡する」とだけ言って保利の部屋を出ていってしまいます。

後日、部屋をノックされて出てみると、ドアノブに豚の脳が袋に入れてかけられており、保利は動揺します。「豚の脳!豚の脳!」と囃し立てる少年の声だけが聞こえてきます。
保利は学校に行くと、湊を見つけて「俺、君になにかした?」と問います。首を横に振る湊。湊は保利から逃げようとして脚を滑らせ、階段から落ちます。「保利先生から突き落とされた!」と騒ぐ小学生たちの声が聞こえ、保利は苦笑します。そのまま小学校の屋根に登り、自殺を試みる保利。彼の耳に、木管楽器の音色が聴こえてきます。

台風が近づき、部屋を片付ける保利。星川の「品種改良」という作文を見つけ、読み始めます。誤植を見つけるのが趣味の保利はつい星川の作文を添削してしまいますが、文頭をつなげると「むぎのみなとほしかわ…」と文章になっていることに気づきます。

慌てて雨の中、湊の家に向かう保利。「麦野は間違ってないよ!なんにもおかしくないんだよ!」と何度も叫び、異変を感じて出てきた早織に「麦野に会わせてください」と懇願します。

「小さい頃から、目を覚ますといつも泣いてるんだよ。好きな人がいなくなる夢を見ていつも泣いてるの。優しい子なの」と言う早織の車に乗って、一緒に湊を探しに行く保利。しかし、山で土砂崩れがあり、湊がいそうな鉄道跡地には避難命令が出ているようで、車では先に進めません。
早織は車を降りると、一目散に山に向かって走ります。「生まれ変わるって何?」と恐慌状態の早織。保利は「麦野!星川!」と叫びます。泥に埋まった鉄道の残骸の中からは、「お母さん!」と叫ぶ声が聞こます。どうにか身体をねじ込み、二人を助けようとする早織。

収監中の夫に会いに行く伏見。明日から学校に復帰するという報告に加え、「お墓は別で用意するって」と話します。帰りに橋でタバコを吸っていた伏見は、星川が落としたチャッカマンを拾って差し出してやります。足取り軽く帰っていく星川。消防車の音に振り向くと、そこではビルが燃えていました。
蒲田がインスタで火事のライブ動画を撮りながら星川のしゃべり方を真似ているのを聞いて、「全然似てない」と不快に思う湊。

湊は登校途中に星川に話しかけられ、しばらくしゃべります。しかし後ろから来た蒲田と浜口悠生から「なんで宇宙人としゃべってんだよ!」とこづかれ、星川は蒲田に突き飛ばされてこけてしまいます。
授業で将来について作文を書くことになり、ぼんやりと考える湊。
保利は音楽係に楽器を持っていってもらおうと湊と木田に頼みますが、気の強い彼女は「星川くんに頼んでください」と拒否。湊と星川は二人で楽器を片付けます。星川は内緒といいながら湊にお菓子を分けてくれます。「星川くんの脳は本当に豚の脳なの?」と尋ねる湊に、星川は笑いながら「今年も友達ができないと思ってた」と言います。「友達は友達だけど、皆の前では話しかけないで」と言う湊。星川は了承します。
帰宅した湊は、自分の髪を切ってしまいます。

蒲田と広橋は星川の机にゴミをぶちまけ、さらに黒板チョークまみれにして「ドッキリだから」とふざけます。ゴミを片付けるのを女子生徒が手伝ってやると、蒲田たちは「星川はオカマだ」と囃し立てます。湊が我慢ならなくなり、荷物をめちゃくちゃにして暴れ出します。蒲田たちは「やべえ」とにやつくだけです。
帰り道、湊は「今日はごめん」と星川に謝ります。星川は気にしていないように振る舞います。
それから、二人は学校終わりに鉄道跡地へ遊びに行くようになりました。古びた電車に入り、電車を動かす遊びをしてみたり、おもちゃを作ったり、駆け回ったりと楽しい時間を過ごします。

死んだ猫(元猫)を見つけたと報告してくる星川。二人で鉄道跡地に死骸を運びます。星川は火をつけ、山火事を心配する湊に「消防車は来るかもね」と言います。「ガールズバーを燃やしたの?お父さんがいたから?」と問う湊に、「お避を飲むのは健康に良くないんだよ」と答える星川。

蒲田たちが星川をトイレに閉じ込めるのを見てしまう湊ですが、関わりたくないという重いから逃げ出してしまいます。

湊は保利に事情を話すように言いますが、星川は「男らしくないって言われるだけ」と拒否します。湊は清高が「豚の脳」呼ばわりするのはおかしいと言いますが、星川は「お父さんは優しいよ。僕の頭の病気が治ったらお母さんが帰って来るって言ってた。麦野くんのお父さんって死んだんでしょ」と言います。「女の人と温泉行った先で死んだんだよ」と言う湊。

宇宙は膨張し続けていて、パンと弾けたらまたもとに戻るのだと言う星川。「人間は生まれ変わるんだよ」と言う星川に、「準備しようか」と言う湊。二人は鉄道跡地に食事やおもちゃを持ち込みます。「かいぶつ、だーれだ」という遊びをする二人。お互いのおでこにつけたカードに書かれた動物を質問しながら当てる遊びです。「敵に襲われた時に体中の力を全部抜いて諦めます」と湊の持つカードを説明する星川に、「それは星川くんですか?」と問う湊。笑う星川。
将来はラグビー選手になりたいと作文を書く湊。星川はわざと文頭を「むぎのみなとほしかわより」と書いて、「保利先生は気づくかな。気づかないだろうな」とふざけます。

湊がふざけて追いかけたせいで星川は転んでしまい、湊は反省します。星川は「転校するみたい。おばあちゃんの家に行くの。だからもう色々心配しなくていいよ」と言いますが、湊は「お父さんに捨てられるんだ。うける」と吐き捨てます。あまりにも星川が「そうだね」と淡々としているので、「ふざけただけだよ!いなくなったら嫌だよ」と星川にすがりつく湊。星川は湊を抱きしめてくれます。「大丈夫だよ。僕もたまにそうなる」と言いながら近づいてくる星川を突き飛ばすと、湊は一目散に家に帰ります。

後日、図工の時間に星川は蒲田たちに椅子に絵の具をぶちまけられてしまい、雑巾で拭いていました。しかし雑巾を取り上げられ、星川は右往左往します。雑巾が湊に投げつけられ、湊が動かずにいると、蒲田たちが「お前らラブラブじゃん!」と一斉に「ラブラブ」コールをし始めます。キレた湊は星川に掴みかかります。悲鳴を上げる女子生徒たち。
保健室で身体をきれいにした二人に、保利は「握手して仲直りしよう」と声をかけます。

鉄道跡地に一人で来た湊は、星川がいつか来るかもしれないと待っていましたが、彼は来ません。「かいぶつ、だーれだ」と言いながら星川を待っていた湊ですが、来たのは早織。さらに早織に家族を作ってほしいと話されている最中に星川から電話が来たため、湊はとっさに車から飛び降りてしまいます。
オカマタレントが登場すると早織が嘲笑するのを聞いて、暗い気持ちになる湊。父の遺影を前に、「なんで生まれたの」とつぶやく湊。
湊が深夜に星川に会いに行くと、清高は「教えてあげたら?」と誇らしげに星川の肩を抱きます。「僕の病気、治った。おばあちゃん家の近くに好きな子がいるの。新藤あやかちゃん。いままで遊んでくれてありがとうね」と言うと、家の中に戻っていく二人。湊は打ちのめされて帰ろうとしますが、星川が追いかけてきて「ごめん、嘘」と言います。その瞬間、清高が星川を羽交い締めにして家に連れ戻すと、「なんでいつもやってることができないんだよ!またお仕置きだ!」と家の中から激昂する声と、星川の悲鳴、水の音が聞こえてきます。

学校に行くと保利に追いかけられ、一人になったときに思わず「ごめんなさい」とつぶやく湊。伏見が「誰に対して?」と話しかけてきます。「保利先生は悪くないです。嘘をつきました」と言う湊に、伏見は「そう。一緒だ」と言います。「僕はあんまり分からないけど、好きな子がいるの。人に言えないから嘘ついてる。幸せになれないってバレるから」と言う湊に、「誰にも言えないことは、ふーって」とトロンボーンを吹くように促す伏見。「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。しょうもない。誰にでも手に入るものを幸せって言うの」と言いながらホルンを吹く伏見に合わせてトロンボーンを吹く湊。

台風の日、星川に会いに行く湊。家にこっそり侵入すると、星川は風呂場でシャワーに打たれて呻いていました。二人で鉄道跡地に行き、電車の無事を確認します。しかし山は土砂崩れが始まっていました。電車の中で、二人はお菓子を食べます。
砂利が窓に当たる音を聞きながら、「出発の音だ」と言う湊。二人で窓越しに外を眺めます。

水浸しの水路を抜けて、二人は「生まれ変わったのかな」「もとのままだよ」と言い合います。緑美しい自然の中を、二人は雄叫びをあげながら疾走します。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

ずっと続いていた暗い画面から一転、最後に新緑が輝く美しい自然の中を湊と星川が駆け抜けるシーンは凄まじい開放感がありましたね。個人的には、早織と保利が二人を救い出した描写がなかったことから、ラストは二人の死後の世界を表したのかなと思いました。「生まれ変わりとかはない」と湊は言っていたので、二人がその魂のまま天に召されたということなのかなと。また、現実では二人が散策した先は頑丈な柵で仕切られていましたが、それがラストでは見受けられなかったことも、二人が現実にはいないという証拠になるのかなと思いました。二人ならばどこまでも駆けていける、というような、メリーバッドエンドだったと認識しています。
でも、本当は、二人が死しか自分たちの居場所はないと思わせるような、そんなラストは望んでいません。二人が社会に変えられるのではなく、社会が変わってほしい。だからこそ、この作品に関するいろんな見方や意見を聞きたいと思います。
追記:坂元氏は「彼らはこのまま生き続けるとしか思えない一択」と強調し、是枝監督も「彼らの生を肯定して終わるという共通認識があった」と補足しています。うわー!もう何も分からない!あの泥沼の状況からあんなふうに二人が軽やかに走り出せるような展開が全く想像できない!

小錦あや
小錦あや

朽ちた電車の中で遊ぶ二人を見ながら思ったのは、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」のようだな、ということ。銀河鉄道の夜では、最後にカムパネルラは死に、ジョバンニは生き残ります。ただ、本作ではたこわさちゃんが追記しているように、どちらもが生き残るというラストであるところが大きく違う点です。ジョバンニは父が戻ることを知らせるために母のもとに走りますが、本作では湊の父も星川の母も戻ることはなく、二人はそれぞれの親のもとへ返るのかもしれないし、そうではないのかもしれません。いずれにしても、湊と星川はこれからも携帯などを通じて繋がって生きていける、そのはずです。「男らしさ」を求める保利、「普通(ヘテロ)の幸せ」を押し付ける早織、「同性愛は豚の脳」とヘテロに矯正させようとする清高…そういった、不愉快な現実を、二人は映画のラストのように、軽やかに駆け抜けていける。二人なら、超えられなかった柵を超えてまで、どこまでもいける…そんな、未来への希望が示されたのだと感じています。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

伏見については嫌悪感を表す方を多く見かけましたが、個人的には最後まで湊や星川に寄り添っていた人物ではないかなと感じられました(早織や保利とは対立し続けていましたが)。湊が伏見にだけは嘘をついたことを素直に吐露できたのも、伏見が保利のような「自分を理解してくれない大人」ではなく「理解してくれそう、本心を話してもよさそうな大人」に見えたからこそだったのかなと思います。その「自分を理解してくれそう」というのは、彼女が自分と同じようになんらかの秘密を抱えている、結局は「嘘をついている」ということを心のどこかで見透かしていたのかもしれません。実際、伏見は孫を自分の手で轢き殺しておきながら、校長という地位に固執するがあまり夫を犠牲にするという大きすぎる嘘をついていたわけですから。早織にとっては不誠実の塊のような伏見ですが、結局は湊が本心を打ち明けられたり、湊の悩む「幸せ」の形について助言してあげたりしたところからして、伏見は湊にとっては「良き先生」であったのだろうと思います。

今回3人が見た「怪物」は、Amazonプライムビデオ、Huluで無料視聴できます。

ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨

引用:映画『怪物』 公式サイト

 

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