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3人のドラァグクイーンを描いた映画『プリシラ』(94) 『3人のエンジェル』(95)からはや30年弱。LGBTQ+に対する人々の意識はもちろん、社会とマイノリティの関係性も変化した現代に贈る心温まる快作、「ひみつのなっちゃん。」。
全編のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。
早速見てみましょう!
登場人物とあらすじ
新宿2丁目で食事処を営む、亡き伝説のドラァグクイーンの友人たち のお話。
<あらすじ>
ある夏の夜、新宿2丁目で食事処を営む元ドラァグクイーンのなっちゃんが急死した。
友人のモリリン、バージン、ズブ子の3人のドラァグクイーンは、なっちゃんが故郷の家族にはゲイであることもドラァグクイーンをしていたことも隠していたと知り、慌ててなっちゃんの自宅アパートに忍び込んで証拠隠滅を図る。
そこでなっちゃんの母・恵子と鉢合わせした3人はどうにかその場を誤魔化すが、恵子から葬儀に参列するよう誘われ、なっちゃんの故郷である岐阜県郡上市を目指すことになる。
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予告編・予告動画
こんな人におすすめ
- ドラァグクイーンが主人公のお話が好き👠
- カミングアウトと人生について考えたい💭
- 元気でハッピーになれる楽しい映画が見たい♫
本作をもっとよく知るための小ネタ
①なっちゃんの親友の主人公・バージンを演じるのは、数々の映画やドラマに引っ張りだこの滝藤賢一。本作が劇場用長編初主演作となります。モリリン役には『科捜研の女 -劇場版-』(21)の渡部秀、ズブ子役には『ハケンアニメ!』(22)の前野朋哉が出演。そしてなっちゃんの母・恵子役の名女優・松原智恵子が珠玉の演技で作品全体を優しく包み込みます。
②監督・脚本は田中和次朗。完全オリジナル脚本でのデビュー作に世界が注目しています。
③渋谷すばるがこの映画の為に書き下ろした主題歌「ないしょダンス」も話題!
ネタバレ感想
ステージで妖艶に踊るドラァグクイーン姿の自分を妄想するバージンこと坂下純は、友人である、新宿2丁目で食事処を営む元ドラァグクイーンのなっちゃんが死んだと従業員のモリリンこと石野守から電話を受けます。遺体を確認した坂下と石野。石野は医師から家族かと問われ、生前なっちゃんが「私たちは協会とか組織とかそういうのじゃなくてファミリーみたいなものだから」と言ってくれたことを思い出し、うっかり「家族みたいなものです」と答えてしまいます。葬儀屋からも、なっちゃんの住まいや出身を問われますが、答えられない二人。
店に戻った二人。坂下はドラァグクイーン仲間であるズブ子こと沼田治彦になっちゃんの訃報を伝えようとしますが、沼田はテレビの生放送にタレントとして出演中。「お店の方がお仲間で、あたしたちの秘密は墓まで持っていき愛よねって意気投合しちゃいました!」と食レポしながら元気に声を上げます。
石野はそれを聞いてハッとすると、急に店中に飾られていたドラァグクイーンに囲まれたなっちゃんの写真を段ボールに詰め込むと、坂下の家にしばらく置いてくれと頼み込みます。
拒絶する坂下に、石野は「みんなに電話したけど、来てくれたのはバージンさんだけだった。だから、なっちゃんのお墓まで(ゲイであることやドラァグクイーンであったことの秘密を)持っていきたいって気持ち、バージンさんなら分かってくれると思ってたのに!私がここにいるのはなっちゃんのおかげだから恩返しがしたかったの!」と泣き出します。
坂下の家に段ボールを運んだ石野は、「ここまで来たらバージンさんも共犯ですよ!なっちゃんのことがバレるの、私嫌です。なっちゃんの家を探して、荷物を隠しましょう。もうなっちゃんの本当のファミリーが来るかもしれないし」と坂下を脅します。
その頃、なっちゃんの母親・並木恵子は、駅であちこち歩き回って迷子になっていました。
賑わうゲイバーでなっちゃんの情報を求める坂下と石野ですが、石野が「名古屋に来たら連絡ちょうだい」とドラァグクイーンに熱いスカウトをされるたりするだけで、有益な情報は見つかりません。なっちゃんは新宿二丁目では伝説だったはずですが、「この街は若くなりすぎね」と苦笑する坂下に、石野は「もう踊らないんですか?まだバージンさんは現役なのに」と驚きます。「おひねりに一喜一憂するゴーゴーとは一緒にしないでなんて粋がってもさ、儲からない、もてない、報われないの三拍子よ」と皮肉を言う坂下に、石野は「また見たいなあ。バージンさんのショー」とため息をつきます。二人の目の前を、男たちに担がれていく沼田が通っていきます。
三人は個室に集まり、坂下は沼田になっちゃんの訃報を伝えます。石野は今後どうするのかと心配する沼田は、「コスメ業界に口利きできないの?」と坂下に頼みますが、「経理にはそんな権限ないの」とあしらわれてしまいます。そういえば、自分がなっちゃんに出会ったのは、坂下が「憧れのドラァグクイーンを見つけた」と引き合わせたからだと懐かしく思う沼田。なっちゃんがどこに住んでいるのかを沼田は知っているかと問う坂下と石野ですが、沼田は知らないようです。「この界隈じゃ、もう誰も知らないんじゃ」と諦めかけた時、石野は先程声をかけてきたドラァグクイーンに尋ねてみることに。
彼女は「地方のクイーンの駆け込み寺と言われている”グローリー”に会いに行ってみなさい」と紹介してくれます。
なっちゃんのことを知りたいと言う三人に、グローリーは「律儀に履歴書を持ってきてね」と30年以上前に受け取ったというなっちゃんの履歴書を差し出してくれます。履歴書に書かれた安アパートに行くと、「並木」となっちゃんの名字が表札にかかっています。鍵がないため正面からは入れず、窓から不法侵入します。三人は急いで証拠隠滅を図ろうと荷物をあさります。坂下はなっちゃんに「あなたは本当の自分の美しさに気づいてない」とプレゼントされたおそろいコンパクトミラーを誇らしげに二人に自慢します。その時、玄関のチャイムが鳴り、三人は大慌て。沼田の格好が「ズブ子」のままなので、急いで化粧を落とさせ、なっちゃんの男物の服を着せる石野。
部屋に入ってきたのは、恵子です。坂下たちはなっちゃんとルームシェアをしていたのだと苦しい嘘をつきます。沼田の女装衣装が見つかりかけましたが、「こいつ演劇やってるんです!それで女装してて!」と坂下は取り繕います。
恵子は「地元の、岐阜の郡上八幡で葬儀はしようと思うんです。この夏は郡上踊りっていうのがあってね、みんな参加できるんですよ。皆さんが来てくれたらあの子も喜ぶから、よかったらおいでね」と三人を地元のお祭りに誘います。恵子を帰してほっとする三人。「私たちにできることはもう終わった」と言う石野ですが、沼田は「でも葬儀に行くってお母さんに約束しちゃったし」と言い、二人は坂下がどうするのかと判断を委ねます。「ちょっと疲れちゃったから後日考えましょう」と頭を抱える坂下。
坂下が仕事の休憩時間に郡上八幡について調べていると、同僚たちが「彼氏と行くの?」「ここ、パワースポットなんですよね」などと口を挟んできます。
クラブのママで良き相談相手である山田茂に会いに来た坂下は、「いつになったら踊りに来るの?もう1年…」と山田に催促されます。「自分でやりたくて始めたのに疲れちゃって」と謝る坂下に、「でも毎日練習するのがあなたらしいわよね」と笑う山田。
「そういえば、なっちゃん亡くなったんでしょ?第一発見者がうちの店に来たのよ。お葬式には行くんでしょ?一人のクイーンが幕を閉じる瞬間、最後のショー…あなたが最初に見たクイーンのステージみたいになにかスパークするかもよ?」とそそのかす山田。
いざ葬儀の日、「クイーンの旅は車よね!」とアナログに地図で郡上八幡に向かう三人。岐阜までは休憩を含めて5〜6時間ほどかかるようです。沼田は恋愛相談を聞いてほしそうな雰囲気を醸しており、坂下と石野は面倒くさそうにします。
サービスエリアで休憩中、沼田はファンの主婦たちに取り囲まれて大騒ぎに。坂下は偶然出会ったイケメンのトラックの運転手にソフトクリームを奢られるも、もしや彼は自分を狙っているのではと思い、逃げ出します。坂下が化粧を直していると、若い男性二人組が自分をちらちら見ながら含み笑いをするので、坂下はその場を後にしますが、実は男たちは坂下の後ろにいた女性たちをナンパしようとしていたのでした。
改めて車に乗り込むと、沼田はすぐに寝てしまいます。「どうして行く気になったんですか?私たちなんかが行っても…」と言う石野に、「なっちゃんは”いくら着飾っても内面が出る”って言ってたの。だから私はなっちゃんという人間の最後のショーが見たかったの」と答える坂下。石野は淡く笑います。
坂下と石野がスーパーに立ち寄っている間に、沼田が荷物を勝手におろして、どこかへ向かおうとしています。二人が沼田を止めると、「私もうだめ!生きていけない!好きな人ができちゃったみたい。別れようって言われちゃった!触らないで!」と沼田は止める坂下の手を振り払います。その瞬間、坂下の持っていたなっちゃんの形見のコンパクトミラーが割れてしまいます。「そんなちっこい鏡が割れたくらいで何よ!なっちゃんのせい!今日だってデートだったのに無理くり予定つけてしょうがなく来てやったの!なんで亡くなった人のためにこんな辺鄙な所に来なきゃいけないのよ!」と激昂する沼田の頬を打つ坂下。泣いて飛び出した沼田を追いかける石野に「なんで止めるのよ!」と叫ぶ坂下。石野は「みんなでなっちゃんの最後のショーを見に行かないと!」と怒ります。
そこに、なぜか先ほど坂下たちが買い物をしたスーパーのイケメン店員が現れ、「いいんですか?仲間が悲しんでるんだ。フォローしてあげるのがチームじゃないんですか?世の中にはどうしようもないことがあるけど、精一杯やるしかない時がある。だから行きませんか。僕も一緒に行きますから」と微笑みます。
追いかけてきた石野に「私にとって初めての彼だったのよ!あんな経験、なかなかないんだから!」と泣き叫ぶ沼田。しかし車で追いかけてきた坂下の助手席にイケメン店員が乗っていることに気づき、一瞬で恋に落ちてしまいます。急に元気になる沼田。
飛騨牛を食べながら、「なっちゃんのスピーチではちゃんとした声にすること」「歩き方にも気をつけること」と厳しく言う坂下に、「なんか稽古つけてもらってるみたい」とふざける沼田。しかし、「バージンさん、もうしばらく踊ってないらしいですよ」と石野に言われ、沼田は不思議そうな声を出します。
「なっちゃんの最後のショーの前夜祭に繰り出しますか」と今夜泊まる宿を探し出す三人。「コンパクト、ごめんなさい」と謝る沼田に、「許さない」とふざける坂下。
何軒も旅館やホテルを回りましたが、「飛び込みは無理みたい」と石野は肩を落とします。「温泉だけでも入れるところないのかしら」とぼやきつつも、野宿が楽しそうな沼田。
ひときわ荷物の多い石野に「荷物、何持ってきたの?」と尋ねる沼田。石野は一瞬ためらいますが、二人に促され、「なっちゃんからのプレゼント」と答えます。「3人のダンスショーやったことないから、それ着てるところ見せたくて」と3人分のドレスを持ってきたことを打ち明けます。
石野は「あたし小学校の時にお母さんの口紅塗ってるのがバレてカミングアウトさせられたんです。両親が人前に出る仕事だったから、ずっと隠されて。高校では空手やらされて。だから大人になってから反動がすごくて…不安定になるんです」と泣きじゃくります。「モリリンみたいに隠さずに生きるのは難しいのよ。自分のことが一番分からないものよね」と石野を慰める坂下。
その時、突然しげみで物音がし、沼田は驚いて闇の中へとやみくもに走り出してしまいます。実は獣を追って猟師が森に紛れ込んでいた音でした。
翌朝、沼田を必死に探す坂下と石野。坂下がとある旅館に沼田を見ていないかと尋ねに入ったところ、なんとそこでは沼田が家の女主人と踊りの練習をしていました。
坂下と石野も浴衣を貸してもらい、観光客に混じって踊りの練習会に参加することに。沼田はファンである女性観光客たちに囲まれて楽しげ。
旅館の娘・坪井博子は踊りに興味があるらしく、沼田から坂下が踊り子だと聞いて大興奮。踊りを見たいと友人たちを集めます。
旅館の縁側でドラァグクイーンのメイクとダンスを披露する石野と沼田。観光客たちは大興奮です。しかし、坂下はつまらなさそうに縁側でスイカを食べている旅館の主人・坪井仁に近づくと、「踊り、変でしたよね」と話しかけます。「みんなキラキラになって。郡上踊りと変わらんな」と言う仁。坂下はくすぐったそうにコンパクトミラーを取り出し、撫でます。
旅館からスーツ姿でキメて出てきて、車でどこかへ去っていく三人。博子はそんな三人をキラキラした目で見送ります。三人はなっちゃんの葬儀に参列しに行ったのでした。石野は失敗しないようにと緊張するあまり、甲高い悲鳴を上げてしまいます。なっちゃんの遺体に花を添えながら、「バレてないよ、なっちゃん」と親指を立てる沼田。
「渉は昔からませた子で、生意気な口を聞く子でした。けれど、その分目の前に広がる世界をよく見ていたんやと思います。醜いアヒルの子の絵本に涙できる子でした。そして、こんな小さな絵本を作って、これがほんとの”見にくいアヒルの子”とふざけたりしていました。この子にとってこの世界はきれいなもので溢れていたんやと思います。この度は皆さん、本当にありがとうございました」と涙する恵子。
「なっちゃん、分かった。なんでこれ(プレゼントされたコンパクトミラー)がこんな小さいんかって…これが”見にくい”アヒルの子ってか。笑いなさいよって言ってよ!なっちゃん!」と遺体にすがりつく坂下。「もうそこらへんで…」と葬儀屋に引き離されそうになり、坂下は思わず遺体にしがみつきます。その瞬間、遺体が棺桶から転がり落ち、なっちゃんの遺体がスカートを履いていることに参列者全員が気づいてしまいます。愕然とする坂下の前で、恵子は慌ててなっちゃんの遺体に布を被せます。
火葬を終えて「知ってたんですか。いつから」と恵子に尋ねる坂下に、恵子は「身体は入れ物やからね。あんくらいのもんは履かせてやるかってね」と笑います。「たんと食べてお帰りね。そうそう、お母ちゃんが知ってたことはあの子には秘密でお願いします」と恵子は目配せします。コンパクトミラーを遺影の前に供える坂下。
その夜、郡上踊りに参加する三人。久々の音楽に坂下の心は踊り、坂下と石野を連れて最前列へと走り出します。
まとめ

「なっちゃんが死んだ」という始まりから一体どういうストーリーが展開するのか想像もつかず、坂下がドラァグクイーンとしてほぼ引退状態だとか、石野が無理に両親にカミングアウトさせられたにも関わらず人には言うなと口止めされていたとか、沼田が30歳を過ぎて初めて恋をして苦しんでいたとか、それぞれの抱えた問題をどう回収していくのかと見守っていました。最後は大団円で良かった!贅沢を言うなら、石野にアピールしていたトラックの運ちゃんや沼田を恋に落としたスーパーの店員さんなんかも、最後にまた関わってほしかったなあ。

カミングアウトって人によっては死を選ばざるを得ないくらい重い決断なので、軽々しく笑いの種にしてはいけないとは思いつつ、だからといってLGBTQ+の人々のカミングアウトを一律に重苦しく辛いばかりのものと考えるのもおかしい気がして、そういう意味で、こんなふうに明るく笑い飛ばせるような作品があることは、ある人にとっては救いになるのかもしれず、ある人にとってはこれをきっかけに性的指向について考える良い機会になるのかもしれないと思いました。現実的には少しおかしい部分もありつつも、それでもみなぎるパワーで何もかもを蹴散らす勢いの良さに元気をもらえます。

坂下と石野さんの妖艶さもさることながら、沼田さんのテンポよく歯切れの良い話し方の心地よさよ!三人の息のあった掛け合いが絶妙でした。沼田さんは恋多き乙女ということで感情を爆発させるシーンもあり、見ごたえのある素敵な人でした。人間味のある好きなキャラです。
今回3人が見た「ひみつのなっちゃん。」は、Amazonプライムビデオ、Huluで無料視聴できます。
ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨