韓国BL映画「夜間飛行」のネタバレ感想・あらすじ・評価・動画配信|受験戦争とゲイ差別に苦しむ高2男子の半生

映画

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10代の性的マイノリティが直面する苦難を描いた韓国のヒューマンドラマ、「夜間飛行」

全話のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ

引用:夜間飛行(洋画 / 2014) – 動画配信 | U-NEXT 31日間無料トライアル

ゲイの優等生×ノンケの不良 のお話。

<あらすじ>
中学生時代からの友人であるギウン、ヨンジュ、ギテクだが、高校に進学すると彼らの関係は元とは違うものとなっていく。
ギウンは不良グループに属し、ギテクは“パンチングマシン”と呼ばれ校内で暴力をうけていた。
密かにギウンに恋していたヨンジュは、ギウンへの愛を告白するのだが…。

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こんな人におすすめ

  • 韓国BLが好き🇰🇷
  • メリバ、バドエンもどんとこい☠️
  • ほの暗く、シリアスな作品が好き😢✨

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

①2015年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映された作品です。2014年の本作制作当時は、今のようにBLブームは無く、LGBT関連の骨太の作品が主でした。

本作の監督イソン・ヒイル監督は、自身がゲイだとカムアウトされています。ちなみに、2006年公開の韓国BL映画「後悔なんてしない」の監督でもあります。

イソン監督は「エレベーター内で自殺直前の泣いている高校生」のCCTVの映像を見た時、この映画のモチーフを見つけた、と語っています。

 

ネタバレ感想

ギウンとその仲間達は、空き地にヨンジュを連れ込んでボコボコにしています。おもむろに帽子を脱ぐと、その中に齧っていたりんごを入れ、ヨンジュをそれで殴りつけます。

住宅管理士の試験勉強をする母は忙しいようで、ヨンジュは母に夕食用のお小遣いをねだります。塾帰りに「塾に行った証拠を送れ」と言われている友人・ギテクを憐れみつつ、ギウンは降り始めた雨の中、自転車を走らせつつ途中で雨宿りします。タバコを吸うギウンの隣に立つと、「2学期は来るだろ?」と話しかけるヨンジュですが、無視されてしまいます。

オタクのギテクが休み時間に漫画を読み耽るそばで、ヨンジュは「いつか一緒に蚕島に行こうか」と提案します。ギテクに無言で立ち去られ、ため息をつくヨンジュ。

ヨンジュはゲイです。ゲイ専用の出会い系アプリで出会いを探しますが、自分の在籍する学校付近には、自分ともう1人の生徒・ジュヌしかゲイはいなさそうです。

馴染みの店で食事をするギウンを見つけるヨンジュ。声をかけようとした瞬間、人相の悪い男達が店に殴り込み、逃げるギウンはヨンジュの自転車を盗んで逃げ出します。ギウンを追い、自転車を取り返そうとしますが、ギウンはヨンジュなどものともせず、自転車を奪って去ってしまいます。ギウンへの怒りが溜まるヨンジュ。

ヨンジュはギウンの家に赴きます。ヨンジュはギウンが出てこないのをいいことに、干してある彼のシャツの匂いを嗅ぐと、ボタンを引きちぎり、痰を吐いて投げ捨てます。ギウンの仕事先まで行って「未成年が働いてると通報してやるぞ」と脅しますが、店長に追い返されてしまいます。

「出所して3ヶ月も経つのになぜ今更探すんだ」と問う店長に、何も答えないギウン。ギウンの母は息子に来月引っ越すと言いますが、ギウンはアニメ(クレヨンしんちゃん)を見ていて何も聞いていないようです。

ギウンは学校で不良グループに属しており、ヨンジュとギテクを見下しています。ヨンジュを前にして「あの自転車は売った」とぬけぬけと言うほどです。中学時代は「ギウンなんてクソみたいな存在だったのに…」と悪態をつギテクを諌めるヨンジュ。ギウンは学校でもタバコを吸っています。

担任との面談で、ヨンジュは成績が若干落ちており、来週からSクラスで英語と数学を重点的に頑張れと励まされます。ヨンジュは「友達がいじめに遭っている」と先生に相談しますが、「友達の心配をする前に勉強しなさい」と諌められてしまいます。

ヨンジュは学校帰りにつぶれたゲイバーに行き、写真を撮ります。「ノンケを好きになったことは?」とジュヌに尋ねるヨンジュ。「そのノンケに彼女がいたとしても、セックスしたら目覚めるかもしれないでしょ」と笑いながらタバコを吸うジュヌ。「ノンケを好きになったんだね。差別されそうなら早めに諦めた方がいいよ」と心配そうです。

工事現場を歩くヨンジュ。バイト先に戻ったギウンに、ヨンジュは「あの自転車は税込で21万7500ウォンだ。自転車を返せ。返すまで帰らないからな」と叫びます。しかしギウンは終始無視をして配達に行ってしまいます。ギウンを待っている間も勉強するヨンジュ。「中学の時に貸した500ウォンも返せ。自転車、本当に売ったのかよ」と尋ねるヨンジュに、ギウンはタオルを投げつけるだけです。ギウンは自転車を売った店にヨンジュを連れて行き、ヨンジュの自転車を探させますが、途中で店主にバレてしまい、2人で慌てて逃げ出します。

火を焚いて体を乾かしながら一方的に世間話をするヨンジュ。ギウンは苛立ったように立ち上がると「俺を追い回すな。中学の時からいつも俺を盗み見てるだろ」と脅すように言います。ヨンジュは思わずギウンにキスをしますが、思いきり殴られます。ヨンジュは立ち上がると「誰にも言うなよ」と笑い、帰ります。殴ったギウンの手は震えていました。

翌朝、ヨンジュは仮病で学校を休みます。母に自転車はどうしたのかと言われ、ギウンに貸したと答えるヨンジュ。叔父さんからの贈り物だと言われ、箱を渡されます。

教室で寝ていたギウンは教師に叩かれますが、生意気にも睨みつけた上で勝手に教室を出て行ってしまいます。教師は「トップの人間がチキンを頼み、中間の人間がチキンを揚げて、底辺の人間が配達する」と生徒達に復唱させます。

ヨンジュはギウンの金魚のフンをしている学級委員長に「パンチングマシーン(ギテク)とつるまない方がいいぞ。ギウンにも近づかない方がいい」と忠告されます。「昔は校庭の隅で泣いてたくせに」とギテクが言った瞬間、ギウンはギテクに馬乗りになってボコボコに殴り始めます。ギウンを止められず、ギテクにも「見るな」と逆ギレされるヨンジュ。

ギウンの母は保護者の代表なので、学校も塾も歯向かうさえません。ギテクは反旗を翻したものの逆に奉仕活動をさせられるようで、「あいつは馬鹿だ」と生徒達に失笑されます。学級委員長をはじめとするギウンの取り巻きたちに殴られ、点数をつけさせられるギテク。「今のパンチは75点」「85点」と言いながら、ギテクの体はくずおれていきます。

ギテクを助けようと来たヨンジュを殴る取り巻きたちに「帰れ」と凄むギウン。ギウンはりんごを帽子に包むとそれでヨンジュを殴ろうとしますが、ヨンジュは鋭利な石を差し出し、「100点を出したいならこれで殴れよ!俺ら友達なのに…」と泣きじゃくります。ギウンはヨンジュをりんごで殴ると、姿を消します。取り巻きはその一部始終を見ていました。

ギテクは「去年自殺した生徒は、死ぬ前エレベーターで泣いてたんだ。その話を母さんにしたら、成績は優秀だった?って言ったよ」と、その映像を見せながら言います。「こんな世界を生きたんだから、最後は笑うべきだろ。笑うこともできないほど、僕らは悪いことをしたか?」と泣きじゃくるギテク。「悪人は笑わないだろ。だから僕らは笑うんだ」とギテクを慰めるヨンジュ。

ギウンは労働闘争の列の中で何かを探しています。店に着くと、店長から「依頼人側はパク・ギョンシク。依頼人はその親だ。依頼料の分をしっかり稼いでこい。噂は立てるなよ」と写真を渡されます。写真をその場で破り捨てるギウン。ギウンは「笑ってみろよ。ブサイクは笑わないとな。もしまた手を出したら死ぬぞ。警察に言えばお前の母親も殺す」と少年たちを殴り、その様子を携帯で写させます。殴られていた少年は、学校でいじめをしていたようです。慌てて逃げ出す少年たち。

試験を終えて、きっと合格圏内だと大喜びするヨンジュの母。
出前を届けに来たギウンは、そこがヨンジュの家だと気づきます。ヨンジュは頼んだものをその場でギウンに食べさせ、「食べないと金を払わない」と脅します。2人は無言でデリバリーの料理を食べます。
ヨンジュは机の下に置いていた箱の中から、ギウン、ヨンジュ、ギテクの3人で遊んでいた頃の数枚の写真を出して、ギウンに見せます。言葉もなくただ写真をめくるギウン。

ヨンジュは昔から写真を撮るのが好きで、ジウンと知り合ったのも道端でミュージシャンが弾き語りをしているのをぼうっと見つめていた彼をヨンジュが撮ろうとしたのがきっかけでした。
「俺はお前を怖いと思わない」と言うヨンジュに、ギウンは写真を目の前でちぎり、彼の髪の毛を掴むと「俺が好きか?俺に近づいたら許さない」と何度も唾を吐きかけます。ヨンジュは「持っていけよ」とギウンに白いスニーカーを投げますが、ジウンは無視して帰って行きます。

帰る途中、ギウンはバイクを道端に停めると激しく嘔吐します。息荒く、呆然とするギウン。

ギウンは自転車をヨンジュの家に放り込みます。タバコを差し出してくるギウンの頭を殴るヨンジュ。塀の上で2人は並んで座ります。

後日、ギウンとヨンジュは2人だけでサイクリングに向かいます。楽しげなヨンジュに釣られて、ギウンもどこか伸びやかな雰囲気です。下着一枚で近くの川で競争するように泳ぎ、水を掛け合って遊びます。

ヨンジュは「モンゴルの人たちは好きな人を登山に誘うらしい。イヌイットの人は好きな相手に『一緒に笑おう』って言うんだって。お前は笑い方も知らないけどさ」と言うヨンジュはカメラでギウンを撮って楽しそうです。「ありがとう…来てくれて。あの女は彼女なの?」と尋ねたヨンジュに、ギウンは話したくないというように1人で岩山を登ります。ヨンジュはふざけてギウンと肩を組みますが、鳥の大群が押し寄せてきたため、恐怖のあまりがギウンを抱きしめます。ギウンは気分を害したのか、ヨンジュの腕を振り払って1人で野原を歩いて行ってしまいます。2人で帰路に着いたものの、ギウンは先に帰ってしまいます。

ヨンジュが帰宅すると、なぜそんなにピリピリしているのかと母に叱られます。「好き勝手してるくせに母親ヅラするな」と声を荒げるヨンジュの前で、母はイラついたようにタバコを吸い始めます。

4日もギウンは学校に来ていません。学級委員長にギウンを登校させるよう命じた担任は、「1日休めば-2点だ」と言います。Sクラスの対象者は教室が移動となるようです。ギテクは「ここはまるで難破線だ。脱出できてよかったな」とヨンジュに嫌味を言います。ヨンジュは教室を移動する前に、何かの写真をロッカーの本の中に隠していきます。

店には出勤しているギウンを見つけたヨンジュは、彼の後を追います。廃墟の中でセックスしているギウンと彼女を見てしまい、石を投げると慌ててその場から逃げ出します。

ヨンジュはジュヌを抱こうとしますが、宥められます。「自信がないなら告白なんてやめておきなよ。僕は暇つぶしなんでしょ?転校するんだ」と言う彼は、担任が母に告げ口したために近所に自分がゲイだということが広まっていづらくなったからだと付け足します。「夜間飛行」というホテルの看板が映り、「もう君とも会えないんだな。暴れようか」と彼は無邪気な顔で提案します。ヨンジュは「もう帰ろう」と言いますが、ジュヌは「どうせ転校するからいい。あの担任の息子もEDになればいいんだ」と吐き捨てます。しかし「ここにだって」と壁にスプレーで落書きをしている途中で人に見つかり、2人は帰路に着きます。また冬休みにと言って去ろうとするジュヌを抱きしめるヨンジュ。「俺に背中を向けるな」と言われ、ジュヌは号泣します。ヨンジュはジュヌに背を向け、帰っていきます。

ギウンの彼女は「あんた最近おかしいよ」と問い詰めますが、ギウンは黙り込んだまま。店長に仕事を頼まれ、黙ってそれを受けます。学級委員長がタバコを差し出しながら「このままじゃ退学だよ。君がいないと不安だよ。クズどもが偉そうにして…」と言いますが、ギウンは「母親じゃない」とだけ言ってバイクで去ってしまいます。

「解雇者を今すぐ復職させろ」と書かれた弾幕の張られたテントに入って行ったギウンは「ハン・サンギは?」と言い、暴れ出します。大人達にはがいじめにされ、ギウンは何もできませんでした。怒りを抱えたまま夜道を走っていると、段ボールを運び出している男達がいました。その近くで座り込むギウン。

ギウンは学校に来ますが、学年主任と面接しなければならないようです。「退学が嫌なら反省文を書け」と主任は言いますが、ギウンは何も言いません。自主退学しろと言う主任のもとに、担任がやってきます。主任は「話があるから後で職員室へ」とだけ言って去っていきます。

担任はヨンジュを連れてくると、脇のイスに座らせます。「これが届いて騒ぎになってる」と言って差し出されたのは、ジュヌとともに壁に落書きをしていた写真でした。「お前もゲイなのか?」と言われて黙るヨンジュに、目の前で写真を破り捨てると、「ソウル大に行け。それだけだ」と言い捨てる担任。
ギウンも苛立ったように部屋から出て行ってしまいます。

ある教師は授業中に「うちのクラスの中にゲイがいるらしいが、誰だか?汚らしいな。男と結婚するつもりか?馬鹿なことを考えずに勉強しろよ」とせせら笑います。「お前だろ」と言い合う生徒たちの中で、ギテクですら「HIVの可能性があるのに」と汚らしそうな顔で言います。

思わず吐き気を催し、そのまま学校の駐輪場へ向かうヨンジュ。なぜかギウンが追ってきて、帰ろうとするヨンジュを引き留めようとします。ヨンジュが無理にでも帰ろうとしたためギウンは引き下がりますが、今度はヨンジュがギウンの腕を握りしめます。それを遠くからギテクが見ていました。

ホテルでギウンを抱こうとするヨンジュ。破る勢いでワイシャツをむしり取ろうとしますが、ヨンジュはギウンの胸に顔を埋めたまま「一緒に逃げよう。怖いんだ」と泣きじゃくります。

「最南端の駅は麗水だって。最終電車が出る時間は8時だ」と静かな声で言いながら、空に向かってシャッターを切るヨンジュ。「寂しくないのか?」と尋ねるヨンジュを無視するギウン。2人は来週取り壊されるらしい「夜間飛行」を出ようとするヨンジュは、ギウンに何度も話しかけますが無視されます。「気持ち悪い」とだけ返したギウンに、ヨンジュは「もうお前のことなんか見ない!」と言いますが、「友達がいなければ最悪だ。お前には分からないだろうな」と言い残して、ホテル前でギウンと別々に別れます。

ヨンジュは飲んだくれている母に会いに行きます。ヨンジュがどうかしたのかと訊ねると、母は「振られたの。愛なんてクズよ!馬鹿馬鹿しい!」と大声を出します。ヨンジュは母に「僕のことをよく知ってる?」と尋ねます。母は「26歳でシングルマザーになって分かったのは、人の目を気にしないことよ」と答えます。自分が普通でなくてもいいのかと訊ねると、どうであってもあなたは私の息子だと言われます。

引越しの準備をするギウン。昔の家族写真を懐かしそうに見ている母に「労働組合から解雇されて隠れてるだけだろ、犯罪者だから」と言ったギウンは母に頬を殴られます。

登校したヨンジュは、ギテクに挨拶しますが無視されます。自分のロッカーが開いており、本に挟んでおいた写真だけがありません。学級委員長は以前ギテクをリンチしたトイレで、ギテクにタバコを譲ってやります。

ヨンジュは不良から「おいホモ、フェラチオが得意らしいな。舐めろよ」と絡まれ、学級委員長から「ギテクが見たんだよ。ウワサなんて流さないから安心しろ。それと人と話をするときはもっとかがめよ」と言い、ヨンジュの足を蹴ります。不良の1人に「ホモ君、また明日も会おうぜ」と言われた瞬間、ヨンジュはギテクの胸ぐらを掴みます。しかしギテクは「先に裏切ったのはお前だ!ギウンもお前も汚いよ!」と言い捨てて、学級委員長のもとに走っていきます。

学級委員長はギウンを呼び出し、ギテクを仲間にしようと言います。そして「ヨンジュとヤった?リーダーがホモなわけないよなと言い、工場で火事を起こして捕まった人って知り合いか?低所得者がいたら困るからさ」とギウンの父親の写真を見せながら言います。ギテクは「中学の時はいじめられてたくせに!先生にも煙たがられてただろ!あれがお前の父親だろ」と言い、走り去ってしまいます。
学級委員長は「チキンを買ってこいよ」とギウンに命じますが、ギウンは学級委員長に走り寄るとタブレットを壊し、殴ろうとします。学級委員長は「先にお前が裏切ったせに!」と喚き、去っていくギウンを睨みつけます。

ギウンは執念で父親を見つけ出します。「なんであんなことした?俺と母さんがどれだけ苦しんだか分かってるのか!?」というギウンの質問には答えず、父は真新しいスニーカーをギウンに渡そうとします。「随分大きくなった。ひげそりの方が良かったな…」とひとりごとを言う父を置いて帰ろうとするギウンですが、父はギウンの頬を殴り、彼を抱きしめます。ギウンは「死んだかと思った。死ぬんじゃねえぞ」と泣き出します。

中学時代、ギウンは不良たちによくリンチされていました。不良たちが去った後にヨンジュとギテクが駆け寄ると、ギウンは傷だらけの体で無言で涙しながら帰っていきます。片方脱げた彼の白いスニーカーを片手にヨンジュは「ギウン!」と叫びますが、ギウンは決して振り向きません。

ギウンはヨンジュの家に行くと無言で彼の寝顔を眺め、帰っていきます。ヨンジュは悪夢にうなされ、飛び起きます。

父を遠くから見つめるギウン。「荷造りはした?」と尋ねる母に、「引っ越しなんてしないんだろ」と答えます。母は何も答えず、スープを食べようと誘います。

ヨンジュは朝から不良たちにバイクで追い回されています。袋小路に追い込まれ、リンチされる寸前、学級委員長にスタンガンで反撃するヨンジュですが、結局は取り上げられて痛めつけられてしまいます。リンチされている様子を動画に撮られるヨンジュ。「喜んでるぞ。気持ちいいか?」と大笑いする不良たち。ギテクは耐えられずその場から逃げ出してしまいます。

登校したギウンは、ヨンジュがリンチされていることを同級生から知らされます。慌てて普段リンチに使っていた広場や彼の家に行き、電話までしてヨンジュを探すギウン。

ヨンジュはエレベーターの中で泣いていました。「夜間飛行」に着いたギウン。ヨンジュは靴を脱ぎ、手すりを乗り越えます。ギウンが部屋に着いた時には、そこには靴を脱いで放心状態で座り込むヨンジュがいました。
「カメラのメモリーも取られた。税抜で97300ウォン」と言った後、「俺に近づくな。消えろ」と泣きながら言い、思わずギウンに抱きついてしまうヨンジュ。

遅刻して登校したヨンジュは教師に制止されるのも無視して、ヨンジュを暴行したメモリーはどこだと不良たちを殴りながら言います。ギテクの首を絞めますが、「何も持ってないよ」と彼は助けを乞います。ギウンは次の教室に入ると、同じように不良に「メモリーを出せ」と言いながら殴りつけます。

駆けつけたヨンジュは呆然とします。殴られた不良は「こんなことしても何も変わらないぞ!」と言いますが、ギウンはヨンジュのもとに血だらけの顔で微笑みながら近づいていきます。しかしギウンの後ろからは学級委員長が近づいていました。思いきり椅子で殴られ、昏倒するギウン。ヨンジュはギウンを抱いて「救急車を呼んでくれ」と叫ぶも、誰も応えてくれません。ヨンジュはギウンをおんぶして、病院へ連れていきます。

警察に転校するのかと尋ねられ、自主退学すると答えるヨンジュ。先に相談してくれたら…と言われ、「何をしてくれたんですか?」と死んだ瞳で返すヨンジュ。
その後、ヨンジュは教師たちに止められるのを振り切って、「ここにだってゲイは生きている」と大きく校舎の壁にスプレーで書くと、その場を後にします。

警察署にいるギウンを尋ねるヨンジュ。「示談になっても5ヶ月は拘束される。ごめん。今まで来なくて」と謝る彼に、ギウンは「メモリーはポケットの中に入ってる」と言います。麗水行きの2枚のチケットを見て、言葉を失うヨンジュ。ヨンジュはリンチされたメモリーをカメラに入れ、削除します。

「今日、退学してきた。フリースクールに行くよ。山の中にあるらしい。ガンジー学校だって。寮もあって…」と気丈に言うヨンジュに、ギウンは一言「行くな」とだけ言います。
「行きたくないよ。自分が壊れる気がする」と涙するヨンジュ。ギウンは「頼むよ。寂しいんだ」と言い、ヨンジュの手を握り、泣きじゃくる彼の頭を抱き寄せます。涙する2人。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

2時間14分の長編ですが、全く時間の長さを感じないほど、濃密で…怒涛の物語でした。韓国のどこかにこんな2人が本当に生きているのではないかと思うほどのリアルさです。それだけに、苦しくて、辛くて、主演の2人とともに泣きじゃくってしまいました。最後の音楽がやけに明るいのが逆に悲しくて、この後2人は幸せになれるのか…祈るように願ってしまいます。

小錦あや
小錦あや

いじめによって歪んでしまった、ギウン、ヨンジュ、ギテクの関係性がとても痛々しくて…胸を締めつけられました。
特に、エレベーター内でヨンジュが泣いているシーンが映った時は、まさかそのまま自殺するのではとハラハラしたのですが…。
とはいえ、そこで生きることを選んでも、ヨンジュは救われず…。どんな選択がヨンジュにとって良かったのか、分かりません。ヨンジュとギウン、ギテクそれぞれがありのまま生きられる場所があったらいいのに。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

ヨンジュ、優しい子なんですよね。お母さんにカムアウトしようとしたけれど、どこか遠慮している。「自分は普通じゃない」と言ったものの、その先が言えない。受け止めてもらえるはずがないと思っているのでしょうか。
でも、学校の教師や生徒達の態度を見るに、ゲイとカムアウトしたらお母さんも同じような反応をするのかもしれない…。心の拠り所の一つである家族にまで白い目で見られたら、本当に生きる力を失ってしまいますよね。
ヨンジュの苦しむ姿を見ているのが辛くて、観ながら何度も嗚咽しました。ヨンジュに幸せになってほしい。今思うのは、ただそれだけです。

今回3人が見た「夜間飛行」は、Amazonプライムビデオ、U-NEXTで無料視聴できます。

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