映画「シチリア・サマー」（2023）のネタバレ感想・あらすじ・評価・動画配信｜イタリアで同性愛の少年たちの身に起きた悲劇

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イタリア・シチリア島の美しい景色を背景に、少年たちのみずみずしい初恋と彼らを待ち受ける運命を、実在の事件を基に描いたラブストーリー、「シチリア・サマー」。

全編のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。

早速見てみましょう！

登場人物とあらすじ

引用：映画『シチリア・サマー』公式サイト｜5月15日（水）DVD発売＆デジタル配信中！

花火工房の息子と、ゲイを理由にいじめられる青年 のお話。

＜あらすじ＞
1982年、初夏のシチリア島。
16歳のニーノと17歳のジャンニは、バイク同士の衝突事故をきっかけに運命的な出会いを果たす。
育った環境も性格もまったく異なる彼らはひかれあい、友情は激しい恋へと変化していく。

 

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予告編・予告動画

 

こんな人におすすめ

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

①イタリアで公開されるや、アカデミー賞®︎4部門にノミネートされた『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が大絶賛し、名匠ナンニ・モレッティ監督も映画館へ駆けつけたという話題作。本国で劇場公開されると瞬く間に高評価の口コミが広がり上映館数が拡大、1ヵ月で国内興収は100万ユーロを突破するという爆発的大ヒットを記録した。
何よりも驚くのは、この物語が実際に起きたある事件に基づいていること。愛し合う2人の若者の命が奪われたその事件は当時のイタリアを震撼させ、今日までイタリア最大規模の団体として活動を続けるLGBTIに関する非営利団体“ARCIGAY（アルチゲイ）”が設立されるきっかけとなった。この事件で有罪判決を受けたものは未だにいない。2人の若者の純粋な恋がイタリアを、そして世界を変え、今もなお、愛を信じる人々に勇気を贈り続けている。その真実の物語が、40年の時を経て遂に映画化された。

引用：映画『シチリア・サマー』公式サイト｜5月15日（水）DVD発売＆デジタル配信中！

②陽気で無邪気なニーノを演じるのは、ガブリエーレ・ピッツーロ。5歳で舞台デビューを果たし、本作が初の映画出演作となる。内気だが秘めた情熱を持つジャンニには、8歳からヒップホップとモダンダンスを始め、ダンサーとしても高い人気を誇るサムエーレ・セグレート。共に何百人もの若者たちが参加したオーディションの中から、彗星のごとく現れた新人スター。その瑞々しい演技で本作で2人揃ってナストロ・ダルジェント賞最優秀新人賞を受賞し、ヨーロッパで人気急上昇中。SNSのフォロワー数も爆発的に急増している。世代を超えて数多くの人々の心を虜にしている2人は、日本でも大注目を集めるだろう。

引用：映画『シチリア・サマー』公式サイト｜5月15日（水）DVD発売＆デジタル配信中！

③監督は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『シチリア！シチリア！』などに出演し、イタリアで俳優として活躍しているジュゼッペ・フィオレッロ。イタリアの新聞に特集された事件の記事を読み、2人の純粋かつ詩的な愛に感銘を受け、「いつか自分の手で世界に伝える」と決意したという。初の長編映画監督作となる本作で、ナストロ・ダルジェント賞の新人監督賞に輝いた。
撮影は実際に初夏のシチリア島で行われた。世界の美しさを思い出させてくれる青い空と海、バイクで走り抜ける新緑のトンネル、神秘的な泉、歴史が刻み込まれた街並みがスクリーンを染めていく。80年代のカラフルなファッションも、巡り巡って今は新しい。そして挿入歌として、没後もイタリアで愛され続けているシンガーソングライター、フランコ・バッティアートの有名曲が2人の物語を彩る。

引用：映画『シチリア・サマー』公式サイト｜5月15日（水）DVD発売＆デジタル配信中！

 

ネタバレ感想

おじと甥のトトとともに猟に行くニーノ。バイク整備工場で働く無愛想なジャンニは、店の前にたむろしているエマヌエーレと取り巻きから「これがしてほしいんだろ」と口紅を塗られます。そこにトゥーリがやってきて、彼らに「やめろ」と静止すると、全員が「お前に言われちゃ仕方ない」と散り散りに去っていきます。

スカリア花火工房で働くピエトロが車を走らせていると、猟を終えたトトが「おじいちゃん」と駆け寄ります。「サンタ・ヴェリーナの花火で席を融通してもらうように議員に俺が頼む。お前じゃ舐められる」と言われ、「子どもの前なんだから、やめてくれ」と懇願するピエトロ。ニーノはおじさんから卒業祝いに祖父の腕時計をもらいます。

「悪いとは思うけど、私にはどうしようもなかった。あなたも悪い。いつも平然としてるから」と言うジュゼッピーナに、「面白がって話したくせに！消えろよ！」と激怒するジャンニ。帰宅すると、母とその彼氏のフランコが部屋でセックスをしています。ジャンニが帰ったことを察して行為を拒否するジャンニの母・リーナに、フランコは「落ち着いてセックスもできない」と文句を言います。ジャンニが窓の外を見ると、トゥーリがじっとこちらを見ています。
黙りこくっているジャンニを見て、「また奴らね」と立ち上がろうとする母。「フランコは他人だ。世間体を気にしてる」と言い返すジャンニに、「そいつを引き取ったお前が悪い。矯正施設に入れとけばよかったんだ。愛する女の息子だからこんな役立たずでも工場で雇ってやった。俺の工場は見世物小屋じゃねえんだよ！」と言うフランコ。フランコは「奴が自殺しても構わない」と吐き捨てると帰ってしまいます。

おじさんと両親とともに食事を取るニーノ。食事の準備の途中、「何があっても一緒の秘密結社を作ろう」とトトに約束します。卒業祝いにと両親にバイクを買ってもらったニーノは早速試乗します。道をバイクで疾走し、川で水遊びをすると帰路につきます。

フランコから「シャッカさんがバイクを取りに来られないらしいから届けてきてくれ」と頼まれたジャンニ。フランコが不在の隙を狙って、トゥーリはジャンニに迫りますが、ジャンニはどうにかバイクで逃げ出します。しかしトゥーリはエマヌエーレを連れてバイクで追いかけ始め、二人はカーチェイス状態に。ジャンニのバイクは交差点でニーノの乗ったバイクとぶつかり、二人は転倒。焦ったトゥーリは逃げ出します。流血して瀕死のジャンニに、ニーノは何度も人工呼吸をします。「僕はニーノ・スカリア。トリオナ地区のアルフレードの息子だ。花火工房をやってる。住所だ」とメモを押し付けるニーノですが、ジャンニは何度もニーノを見るも、無言のまま立ち去ります。

帰宅したニーノは「ごめん、事故に遭った」と父に申告し、父と二人でトラックに乗って花火の発射台へと向かいます。
ジャンニはシャッカにバイクを送り届けると、「ボスにお礼を言っておいてくれ」とチップをもらいます。長い距離を歩いて帰るジャンニ。

父とともに発射台に花火を設置していくニーノ。途中で父の咳が止まらなくなり、ニーノは慌てて吸入器を差し出します。ようやく咳が落ち着き、ニーノは安堵します。
ジャンニは帰りながら見た花火が、ニーノからもらったメモに描かれているものとそっくりだと感じます。

「私を殺すつもり？工場を開けたまま帰ったわね。フランコに謝らないと。それに、その傷は何？」とジャンニを責め立てる母。母はジャンニと添い寝をしはじめます。
翌日、ジャンニはジャンニと眠るフランコの足元に、トゥーリからもらったチップを千切って落とします。

「タバコをやめてよ。ママが心配する。体調は？昨日は心配した」と頼むニーノですが、ピエトロは「昨日は何もなかった。いいな？」と念を押します。暇そうなイザベッラ。ジャンニがピエトロを尋ね、「今の仕事が嫌で、新しい仕事を探しているんです。父はドイツで仕事をしてて、何でも引き受けてる。父のようになりたいんです」と打ち明けます。ピエトロは「君は好青年だけど、うちで人を雇う余裕はないんだ。明日、兄貴に採石場で仕事がないか聞くよ」と言い、ジャンニは感謝します。トトは採石場の仕事なんて嫌だとぼやきます。
壊れた車を修理してやるジャンニに感謝するニーノ。ジャンニは昼食をおごってくれたことを感謝し、帰っていきます。

車を持ち上げて力自慢をするエンツォを横目にカフェで一服するジャンニ。ジュゼッピーナは「なぜみんなを刺激するの！痛い目に遭うわよ」と忠告します。「女たらしフランコ」と腰を振って馬鹿にするエマヌエーレ。帰宅したジャンニは母に殴られ、「この家を追い出される！フランコに謝るのよ」と叱責されます。ジャンニは「仕事を見つけた。家賃は僕が払うから二人で暮らそう」と母を抱きしめます。家に来たフランコは「二度と工場に入るな。さもないと殺すぞ」とジャンニの首を締め上げ、「ここは俺の家だ！ルールは俺が決める！」とリーナに詰め寄ります。

採掘場にジャンニを送るピエトロとニーノ。ジャンニは今日からピエトロの紹介で採掘場で働くことに。しかし、作業中に不注意な男が一人事故に巻き込まれそうになり、家に追い返されることに。ジャンニは黙々と働き、仕事終わりにピエトロの兄に褒めてもらいます。さらにそこにニーノが来て、「僕しか知らない場所に君を連れていきたい」とジャンニをバイクで連れ出します。
ニーノは花火をいくつかあげると、自分のデザインした花火について熱くジャンニに語ります。「愛する人には優しい色を、脅したい時には火薬は武器にもなる」とスケッチブックに描いた花火たちを見せます。花火を掴むと川に投げ込み、「どんな物語にも終わりがある」と言うニーノ。
ジャンニは「この間、キスしたな」と言い、ニーノは「あれは人工呼吸だよ」と訂正します。最終のバスに乗り込むジャンニを見送ろうとするニーノですが、ジャンニはバスに乗り込むふりをしてニーノを驚かせます。ジャンニを家まで送ってやるニーノ。ジャンニはバルコニーから顔を覗かせた母に、「新しい職場の社長の甥だ」と紹介します。しかしその様子をフランコが自分の店からじっと見ていました。
家でニーノの母・カルメラがやっていた「玉ねぎをみじん切りにしても涙を出さない裏技」として、口にスプーンを咥えながら料理をするジャンニ。リーナは「友達ができたのね」と安堵したように言います。ラジオから流れる音楽に合わせて、上機嫌に母と踊るジャンニ。母も照れながら一緒に踊ってくれます。
バイクで帰宅しながら、笑みが抑えられないニーノ。

採掘場で作業をするジャンニ。新しい作業員として彼をいじめていた不良のロザリオが採用され、ジャンニは「熱がある」と言って早退します。ニーノが教えてくれた秘密の場所で密かに泣きじゃくるジャンニ。ニーノはジャンニの仕事終わりの時間に彼を迎えに行きますが、早退したと言われて家へ向かいます。しかしリーナからは「ジャンニは仕事だけど」と言われ、困惑します。ニーノが帰ろうとすると、エマヌエーレが彼をよびとめ、「ジャンニちゃんには秘密があるんだ。ドイツの親父の作り話を知ってるか？ジュゼッピーナに聞いてみろ。あいつは男好きなんだ。男をしゃぶってるのを見たんだとさ」とからかいます。ジュゼッピーナはカフェに逃げ込み、トゥーリは「試合の目障りだ」とエマヌエーレを締め上げます。
ジャンニを見つけたニーノは、彼に駆け寄ります。「勝手に俺の家に行かないでくれ」と言うジャンニに、「熱もないし父親もいないんだろ？嘘をつく友達はいらない」と怒るニーノ。「近所のクソ野郎が雇われたから採掘場は辞める」と諦めたようなジャンニに、「君と一緒にいたい。解決法を探そう」とニーノは笑いかけます。

家でサッカーを見ていたニーノは、ピエトロから「こないだのこと、母さんにチクっただろ。母さんが医者を呼んで、しばらく仕事を休めと言ってきた。8月までに祭りが20件もあるんだぞ」と詰め寄られます。「ジャンニに手伝ってもらおうよ。採石場でも働き者だって。1週間休めばパパも復帰できる」と提案し、ピエトロは「医者と話して決める」と答えます。

ニーノとジャンニは二人は三輪車に花火を詰め込み、仕事をして回ります。聖セバスティアーノの祭りに来た二人は、ニーノの指導のもと、手際よく火薬を設置していきます。ニーノとジャンニは喧嘩のごっこ遊びで転げまわりジャンニはニーノに馬乗りになって「俺には勝てない」と笑います。
「ショーは成功した。議員からみんなが空を見上げてたって言われたよ」とピエトロに仕事の出来を褒められる二人。「髪を染めないとイタリアが負ける夢を見た」というトトのために、彼を美容室に連れて行った帰りに三人に海に寄ります。海で遊ぶニーノとジャンニは、しばらく二人で見つめ合います。
ニーノの家で家族総出でサッカーの試合を観戦し、イタリアが勝った瞬間にニーノは感動のあまり息切れして家の外に飛び出します。追いかけたジャンニとキスします。
帰宅している途中で土砂降りになり、雨宿りしながらニーノはジャンニと屋台のビールを飲みつつキスします。しかしその光景をカルメラがこっそり見ていました。
カルメラはリーナにそれを報告し、ニーノを悪魔でも見るような目つきで睨みつけます。

「いい知らせだ。昇格したんだ。祭りで働く。ニーノの父親の代理だよ。花火はすごい。なんでも表現できるよ」と母に報告するジャンニ。しかし母は「彼と二人きりなの？」としか言いません。異変に気づかないジャンニは母に頬ずりします。
ニーノの家の食事に招待されたジャンニですが、カルメラはジャンニを気味悪げな目つきで見つめます。ニーノの家族たちは、二人の仕事の腕に舌を巻き、「ジャンニに乾杯」とワイングラスを掲げますが、カルメラはその瞬間を狙ったように皿を割ります。「こんなことはあってはならない。覚えておきなさい」と皿を片付けるニーノに重々しく言うカルメラ。

「遠くの町で花火があるから」と喜び勇んで服を着替えてニーノと出かけていくジャンニ。リーナはフランコから「（ニーノとジャンニを見ながら）まるで女同士だな？あの仕事は神の恵みだな。給料が良ければあいつも独り立ちできる。公営住宅の仕事をしてる知り合いに頼んでみよう」と囁かれるも、思わず外に飛び出して、「ジャンニ」と彼らの乗る車に向かって叫んでしまいます。
ジャンニの母はカルメラに電話すると、「ジャンニは悪意ある噂を流されています。息子さんは引き返せます。喜びに満ちた明るい未来が待っています。でも、ジャンニは…」と言いながら泣きじゃくります。呆然とするカルメラ。事情を聞いて過呼吸になるピエトロ。両親の様子を窺うイザベッラ。ピエトロはニーノとジャンニのいる場所へとバイクを走らせます。
ピエトロはニーノを殴り、ジャンニに「殺される前に消えろ」と吐き捨てます。一人で歩いて帰るジャンニ。ニーノはピエトロの車で帰ります。
「トトが何かされたかもしれない」と激怒してニーノに噛みつくイザベッラ。「今ならまだ間に合う。あいつは豚野郎だ！あいつと何かあったのか？」と激怒するピエトロに、「知ってたら家に招くわけない。あいつの顔なんて二度と見たくない。もう裁判は終わり？」と叫ぶニーノ。一人部屋に残され、「どうして？」と泣きじゃくります。
帰宅したジャンニは、一人でタバコを吸うリーナに近づきます。「明日から工場勤務よ」と言われ、「母さんが何か言ったの？」と問うジャンニ。「前にも友達を破滅させたでしょ。今度は彼を不幸に追いやるつもり？文句があるなら矯正施設に戻ることね」と言うリーナに、「母さんは自分買ってだ。フランコから追い出されるのが怖いんだ。この家もその服もヤツの金だ、吐き気がする」と吐き捨てるジャンニ。「彼のためを思うなら消えるのが一番よ」と言うリーナ。ジャンニは翌日からフランコの工場で働き始めます。「ゲイ認定！」と家の塀に落書きされているのを見てしまいます。

ジャンニは突然ニーノのおじの部下から袋叩きにされ、瀕死の重体に。ジュゼッピーナが助けなければ、彼は死ぬまで殴られていました。
おじにうさぎを撃つように命じられますが、心が乱れてうまくいかないニーノ。トトはあっさりとうさぎを撃ち、「前みたいに遊べる？」とニーノに無邪気に尋ねます。
今日はイタリアの決勝戦だからと何事もなかったかのように家族での食事に参加させられるニーノ。試合は家族と一緒に見ずにいると、従兄弟から「俺が何をしていてしていないのか、家族は知らない。秘め事にしていれば100年だって続けられる」と囁かれます。ニーノはジャンニに会いに行き、彼の名を呼びます。「行かせない」とリーナはジャンニの前に立ちはだかりますが、「俺は逃げない」と言って、彼女にキスすると外に出ていくジャンニ。二人が会っているところを見つめるフランコ、ジュゼッピーナ、トゥーリ。
ニーノとジャンニは二人だけの秘密の場所で泳ぎ、固く手を握りあいながらうとうととまどろみます。
しかし、その直後に銃声が響きます。

ーー愛のために殺されたトニとジョルジョに捧ぐ

 

まとめ

今回3人が見た「シチリア・サマー」は、Amazonプライムビデオ、Huluで無料視聴できます。

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