「アマプラ同時上映会」第218弾!
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戦争という大きなうねりにかき消される、セクシュアルマイノリティーの青年の極私的かつ人間的な感情を掬い取り可視化したヒューマンドラマ、「帰り道」。
全編のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。
早速見てみましょう!
登場人物とあらすじ
引用:短編映画『帰り道』予告編
戦地へ向かう幼馴染に片想いするゲイ のお話。
<あらすじ>
1944年、第二次世界大戦末期の福岡。
戦況が敗北必至となり、追い詰められた日本軍はついに学生たちを戦場へ送ることを決断。
そんななか、徴兵検査の帰り道、ゲイであることを隠している寛二は、翌朝前線へと旅立つ友人に想いを告げるべきか苦悩する。
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予告編・予告動画
こんな人におすすめ
- 戦時下の日本でゲイがどのように生きていたかを考えたい🇯🇵
- 死にに行く片想いの人に、自分は何ができるかを想像したい💭
- 片想いの悲哀を感じたい❤️
本作をもっとよく知るための小ネタ
① 「M検」を映画にしたのもいろんな意味で画期的だと思います。M検とは、徴兵検査において、性病を持っていないかどうか確認するために、男性器や肛門を検査することです(Mは魔羅のM)。もしかして日本初?と思ったのですが、『海軍特別年少兵』という映画で、M検に近いシーンがあったようです。ただ、明確にゲイ・エロティシズムの文脈でM検を描いたのは、この作品が初めてだと思います。
引用:M検のエロティシズムや切ない男の恋心を描いたヒューマニズムあふれる傑作短編映画『帰り道』 | ゲイのための総合情報サイト g-lad xx(グラァド)
②あるゲイの方が肛門での出演をオファーされたものの、スケジュールが合わず、断念したとツイートしていらっしゃいました。
引用:M検のエロティシズムや切ない男の恋心を描いたヒューマニズムあふれる傑作短編映画『帰り道』 | ゲイのための総合情報サイト g-lad xx(グラァド)
③東海林:『帰り道』はもうホント素直に、超ストレートに撮った。あれは、国内の評判はいいんだけど、海外に関しては難しいと思う。1940年代の戦時中の日本、っていうのがわかりづらいんだよね。テロップも出ないし背景説明がないから、日本が敗色濃厚で戦争行ったらきっともう二度と帰れない、っていうところまでは理解できないかもしれない。海外もそれなりの数の映画祭にエントリーしてるけど、苦戦するかも。
引用:東海林毅インタビュー – クイアな映画を録ってやる – – of Tropique
ネタバレ感想
全裸で医師の前に立ち、性病検査をされる青年たち。医師の前に進み出るたびに、自分の住所と名前を大声で読み上げます。
検査後、M検の時に勃っていただろうと寛二をからかう作之助。先に戦場に向かう作之助を案じる友人。
作之助の出世祝いのためにせいさんに日本酒をもらってくると言う友人と別れ、寛二と作之助は二人で歩き出します。
「せいさんの次男も南方で戦死したんじゃってな」と言う作之助に、「作之助は大丈夫ばい」と根拠なく太鼓判を押す寛二。作之助は「寛二は目も悪かけん前線にいかんでいいけんそんなことを言うったい。俺、やっぱり戦争が怖か」と泣きだします。
すると、寛二は作之助の腕を引き、「泳ぐぞ!」と気合いを入れて誘います。作之助は大笑いし、川の中で相撲を始める二人。
寛二は作之助の褌を奪うと、「戻ったら取りにこんしゃい!」と叫びます。作之助の褌を片手に、泣き叫びながら褌一丁で野原を駆け出す寛二。作之助の褌を顔に押し当て、「どうもならん!」と言いながら涙する寛二。
まとめ

寛二の「どうにもならん!」の叫びに泣きそうになってしまいました。出兵しろと言われたら、するしかない。断れる術などない。戦況がどれだけ悪かろうと、出兵=死だと分かっていても、逃げることはできない。目の前にひたひたと死が近づいてくるのを待つことしかできない片想いの相手を前に、自分が一体何ができるのか。
寛二が、自分のためにも相手のためにも、「戻ったら」という希望を残しているところに胸が熱くなりました。どうか、作之助に無事で戻ってきてほしいです。

1940年代の日本での同性愛を取り巻く状況がどのようだったのかははっきりとは分かりませんが、1872年に鶏姦律条例(アナルセックスの禁止令)が出されていることから、ゲイの方々は性的指向を公表しづらかったのではないかと思います。
好きな人に好きと伝えることさえままならず、相手は近いうちに死んでしまうと分かっているのは、どれほど辛いことでしょう…。
現代においてもゲイの方々がヘテロ男性に告白することは大変勇気のいることですが、ただ人が人を愛することに偏見が付きまとわない社会にしなければとの思いを強くしました。

もっと長尺で観たい!と感じた短編映画でした。たった10分の中に、寛二の作之助への切ない片想いが溢れていて、その切実さに胸が苦しくなります。明るく優しい好青年の作之助が、なぜ死ななければならないのか。目が悪い自分は彼と同じ前線には立てず、ただ彼の行く末を案じることしかできない…。歯がゆさ、悲しさ、苦しさが、寛二の中で膨れ上がり、最後の泣き叫ぶシーンに繋がったのだと思うと、居ても立っても居られないような気持ちになりました。
今回3人が見た「帰り道」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。
ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨