映画「ムーンライト」のネタバレ感想|本当の僕を知っているのは、あの月だけ。

映画

「アマプラ同時上映会」第139弾!

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今回観るのは、マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ「ムーンライト」

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ


ゲイの黒人少年の半生 のお話。

<あらすじ>
マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「リトル(チビ)」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。
そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。
やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいたのだが…。

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こんな人におすすめ

  • 1人のゲイの少年の半生を見つめたい
  • 詩的ながらリアルなヒューマンドラマを見たい
  • いろんな形の愛を感じたい

 

 ネタバレ感想

1.リトル

麻薬地区で暮らす少年シャロンはいじめっ子たちから追いかけられ廃墟に隠れているところを、キューバ人のクラック・コカイン売人であるフアンに見つけられます。

フアンはシャロンに食事を食べさせ、「ここはヤバい地区だから逃げろ」と忠告します。一言も話さないシャロンを面白がったフアンは、彼を自分とガールフレンドのテレサが暮らす家へ連れて行きます。

テレサはシャロンに「気が向いたらしゃべって」と言い、夕食を与えます。シャロンはリトルと呼ばれていること、リバティーシティーに住んでいることを話します。食後、家に送って欲しいかとフアンが尋ねると、シャロンは嫌だと拒否します。テレサはシャロンに寝床を提供し、一晩泊まります。

翌朝フアンに家まで送ってもらうシャロン。母ポーラは感情的で、送ってきたフアンの言葉も聞かずにシャロンを家へ投げ込みます。

シャロンはクラスメートのケヴィンしか友人がいません。ケヴィンは「いつまでもいじめられていたいのか?奴らにタフなところを見せろよ」と突っかかってきます。取っ組み合いを終えると、ケヴィンは「やっぱりお前はタフだ」と彼の手を取って立ち上がらせます。

シャロンはフアンと多くの時間を共に過ごすようになります。フアンはシャロンに海での泳ぎ方と、自分の人生を周りに決めさせては行けない、切り開かなくてはならないのだということを教えます。フアンはシャロンに何かを教えるのが楽しくてたまらないようで、2人でいる時には笑顔が絶えません。
海からの帰り道、フアンはシャロンに何かの紙切れを握らせ、ポケットにしまうように言います。

ある日、ケヴィンが同級生たちと性器を出して見せ合っているところに遭遇するシャロン。お前のも見せろと言われ、シャロンは言われるがままに見せます。

ある夜フアンがシマの見回りをしていると、自分の顧客のひとりが、ポーラと車中でクラック・コカインを吸っていることに気付きます。フアンはポーラに「こんなところで何してる」と胸ぐらを掴んで車から引き摺り下ろしますが、ポーラは「私にヤクを売ってるくせに、それでもシャロンを育てる気?」「あの子の歩き方を見た?いじめの理由を言える?」とフアンをせせら笑い、車でどこかへ行ってしまいます。
ポーラは帰宅するとシャロンを一方的に怒鳴りつけ、またヤクに溺れます。

翌朝シャロンは、フアンの家を訪れます。フアンはシャロンを気遣い、彼が話したくなるまで待とうと根気よく話しかけます。
フアンはポーラに会ったことを告げ、シャロンはポーラは嫌いだと返します。シャロンは「オカマ」とポーラに罵られたことを思い出し、「オカマって何?」「自分がオカマか分かる?」とフアンに尋ねます。フアンは「もし自分がゲイだと分かってもオカマなんて周囲に言わせるな」と答えます。
さらにシャロンはフアンにヤクを売っているのかと尋ね、フアンは申し訳なさそうに肯定します。
シャロンはポーラがヤクをやっていることをフアンに確認し、その場を去ります。

 

2.シャロン

ティーンエイジャーとなったシャロンは、テレルのグループに「オカマ」といじめられる毎日を送っています。
今も仲の良いケヴィンは下ネタで頭がいっぱいです。この頃、シャロンはケヴィンから「ブラック」というあだ名で呼ばれるようになっていました。

ポーラはその後薬物依存に陥り、ヤク代に困って売春婦として働いています。帰宅しても「今日はお客が来るからどっかへ行って」と幸福そうな表情で言われ、テレサの家へ行くシャロン。

フアンは亡くなったものの、テレサはシャロンに食事の世話などの交流を続けています。テレサは「この家に来るなら俯かないで、愛と自信を持って」「困ったらいつでも泊まりに来て」とシャロンに優しく語りかけます。
その夜シャロンは、ケヴィンが裏庭で女性と性行為をしている夢を見ます。

ポーラはテレサがシャロンへ渡した金すらヤクを買うため自分に寄越すよう迫る始末です。
学校に行けば、テレルからシャロンの母とシャロン自身を愚弄され、シャロンは疲れ切っていました。

ある夜、シャロンがビーチにいると、マリファナを吸いに来たケヴィンが通りかかり声をかけます。
シャロンはケヴィンにマリファナを勧められ、咽せながらも吸ってハイになります。
ケヴィンはシャロンに「泣きたそうに見えるから海に飛び込んできたら?」と話し、シャロンは「馬鹿なことを山ほどやりたいよ」と返します。

マリファナで酔った後、ふたりはキスを交わし、ケヴィンはシャロンに手淫を行います。
行為後、謝るシャロン。ケヴィンは何事も無かったのように振る舞い、シャロンを車で家まで送ります。
部屋のソファーで寝こけているポーラは「もう私のことが嫌い?私の宝物」とシャロンに語りかけます。

翌朝、テレルはケヴィンに中学生の頃に流行った「相手が倒れるまで殴る」といういじめの儀式に参加してシャロンを殴るよう命令し、ケヴィンはいやいやこれに従います。
テレルは「倒れるまでぶちのめせ」と言い、シャロンは崩れ落ちるのを拒みます。ケヴィンは彼を何回も殴りつけ、テレルと仲間たちはよって違って彼を袋叩きにしますが、警備員が現れて彼らは逃げ出します。

ソーシャル・ワーカーと面談したシャロンは、暴行された相手の素性を話すよう求められますが、シャロンは名前を告げても何の解決にもならないと考え、口を閉ざします。

翌日登校したシャロンは、教室で無防備なテレルの背中を椅子で殴りつけます。
シャロンは教師たちに止められ逮捕されますが、パトカーに乗せられる時、彼はパトカーのそばに立っているケヴィンを睨み付けます。

 

3.ブラック

大人になったシャロンは、アトランタで薬物の売人として暮らしており、「ブラック」との通り名で知られています。
少年院を出て薬物の売人を始めてから引っ越したシャロンは、かつてのフアンと同様の人生を送っていました。

シャロンの元には、ポーラから頻繁に家に帰るよう求める電話がかかってきます。
ある夜、彼はケヴィンから電話を受け、自分が料理人として働いているマイアミの食堂を訪ねてほしいこと、そしてティーンエイジャーの時の行動を謝罪したいことを伝えられます。

電話を終えたシャロンは思わず唇に手をやります。
そして、今のケヴィンが気怠げに煙草を吸っている姿を夢に見て、夢精したことに気付きます。

翌朝、彼は薬物治療施設に住む母ポーラの元を訪ねます。悪夢を見ると言うシャロンにポーラは誰かに相談してみたらとアドバイスします。ポーラは家に帰りつもりはなく、施設で仕事をもらい暮らしていきたいと言います。それに賛成するシャロン。

ポーラはヤクの売人を辞めるようシャロンを諭しますが、シャロンは「あんたが俺に説教するのか」と怒ります。ポーラはこれまでの自分はクズだったと反省し、「私を愛さなくていいから、私はあんたを愛してる」と泣きます。シャロンは「もういい」とポーラを抱きしめます。

シャロンは、ケヴィンの働く食堂に行き料理をふるまってもらいます。
黙々と「シェフのおすすめ」を作り、2人分のワインを注ぐケヴィン。
冗談を言い合い、ケヴィンと元妻サマンサの子供を見せられるシャロン。
仕事は何をしているのかと尋ねられ、ヤクの売人をしていると正直に話します。ケヴィンは「お前に限ってそんなことはない」と信じず、憤ります。シャロンはそんな彼を無感情に見つめます。

シャロンはなぜ自分に電話をしたのかとケヴィンに尋ねます。店に来たある男がシャロンに似ていたからとケヴィンは言いますが、本当はレストランのジュークボックスでバーバラ・ルイスの「ハロー・ストレンジャー」を聴いたからでした。
「懐かしい恋人よ 帰ってきたのね とても嬉しい」と始まるその歌を2人で聴き、シャロンとケヴィンはお互いの顔を見つめ合います。

シャロンはケヴィンを彼の家に車で送ります。
ケヴィンは豪華な持ち物に囲まれている彼に「お前は何者だ?」と尋ねます。シャロンは「俺は俺だ。どんなふうになってると思ってた?」と逆に尋ねます。

ケヴィンはシャロンに「最後に会った時のことを覚えているか」と聞き、シャロンは「忘れようとした、アトランタでゼロから自分を鍛え直したんだ」と言います。
ケヴィンは「俺は浅はかだった。周りの言いなりになってやりたいことは何一つせずに…」と後悔の言葉を重ねます。
「今は?」と尋ねるシャロンに、「死ぬほど働いても小銭しか稼げないが、あの頃みたいな不安は抱えてない。クソなのはあのレゲエ野郎(テレル)さ」と笑います。

シャロンは「俺に触れたのは1人。お前だけだ。あれ以来ずっとな」と呟きます。
ケヴィンは微笑むと、シャロンを抱きしめます。

フラッシュバックで、少年時代のシャロンは、月明かりの海辺に佇んでいます。その肌は青く、まるでフアンがかつて老婆に言われたような姿でした。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

3部構成なのが面白かったです。幼少期、少年期、青年期とさまざまな時間を経て変わっていく主人公シャロン。

決して毎日が事件だらけなわけではないのですが、なぜかなんでもない日常のシーンにも引き込まれる。これはなぜなんでしょう。演技力?構成力?

シャロンがどんな環境でどんなふうに変化していくのか、彼の家族になったような気持ちで見つめました。

個人的には一番最後の、少年シャロンが月の光の降り注ぐ海に立ち尽くしているシーンが大好きです。肌が青く光っていて、フアンがかつて老婆に言われたことそのままでした。

シャロンという存在自体は生々しくリアルなのに、画面に映る少年はこの世のものではないような、黒曜石が掘り出されて生き物になったような…そんな、不思議な感覚に囚われました。

小錦あや
小錦あや

「ムーンライト」というタイトルに相応しい、まるで月光のように美しく静かで荘厳で…冷たく痛々しい物語でした。

本作中で象徴的に使われていた、「黒人の子供は月の光を浴びると青く見える」というのは何の暗喩なんでしょう?

「青い月」自体は「奇跡」とか「不幸もしくは幸福を呼ぶ」なんて言われていますが、月が青いわけじゃなくて黒人の肌に当たると青く見える、んですもんね。

監督は何を言いたかったのかな…と引っかかっています。気になる。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

同性愛を題材とした映画は数多くありますが、そのほとんどが白人が主人公。黒人の少年を主人公にした映画はかなり稀だということで話題になりました。

本作では「海」が印象的なシーンで毎回出てきます。

虐待されていた幼いシャロンが初めてフアンから人生の生き方を説かれたのは海。

ケヴィンに手でイかされたのも海。

最後にケヴィンと抱き合ったのは海沿いの家。

海の前ではいつもシャロンはありままの姿のような気がします。

フアンの影を追うようにヤクの売人となり屈強になったシャロンですが、最後のシーンが示すように、彼の心はまだ少年時代に取り残されたままなのかもしれません。

愛に飢え、心も体もひもじかったあの頃のシャロンのままなのかも…だからそれを振り払うように「俺は変わったんだ」とケヴィンに声を荒げたのかも…。

そんなふうに思いました。

今回3人が見た「ムーンライト」は、Amazonプライムビデオ、dTV、U-NEXTで無料視聴できます。

ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨

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