タマラ・アレン「それを愛と呼んで」のあらすじ・ネタバレ感想|世界大恐慌の中で生まれた恋

小説

タマラ・アレン「それを愛と呼んで」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


スランプ中の元有名ジャーナリスト×安宿に現れた孤独な謎の富豪 のお話。

<あらすじ>
みな絶望に押しつぶされそうな大恐慌のNY、新聞記者のウィットは安宿でピカピカの靴を履いた男・ピーターと出会う。
家具が持ち出された屋敷での一夜限りの遊びだったのだが―。

 

こんな人におすすめ

  • 行きずりの関係にワクワクする🚬
  • 絶望の中に希望を見出したい✨
  • 立場の全く異なる二人のラブストーリーが見たい💕

 

ネタバレ感想

①映画を見た後のような、充実した読後感

とても短編とは思えない、骨太な物語です。

舞台は、世界大恐慌後の、誰もが未来に希望を持てずにいる灰色の世界。
その他大勢の失業者に紛れて日銭を稼ごうと足掻くジャーナリストのウィット。南京虫の湧いた安宿のベッドで毎日を過ごしています。しかしそんなある日、ふらりと安宿に入ってきたピーターに出会います。
売り払われるという豪華な家にたった一人で住む、寂しげな男・ピーター。ウィットは彼と一夜を共にしますが、彼は一体何者なのか?その正体が分かった時、ウィットはどうするのか?

ぜひ、読みながら二人の変わっていく関係をハラハラドキドキしながら追っていただきたいです!

 

②文学的で情熱的な濡れ場

濡れ場では、ことさらに性感を煽るような言葉遣いはされません。二人の男がどんな風に身体を貪り合うのかを、どこまでも丁寧に、言葉を尽くして描写されます。

とても文学的で、ロマンチックです。

孤独な二人の男の身体だけでなく心もぶつかり合うさまを、言葉でじっくり感じてほしいです。

 

③どんな絶望の中でも希望の光はある

毎日がどん底だったウィットの人生に、突然差し込んだピーターという奇跡の光。
ピーターは不潔で空腹なウィットに清潔なベッドに風呂、服、そして山盛りの食事を恵んでくれた恩人ですが、人生のどん底にいたピーターにとってもウィットは恩人です。さて、ウィットはピーターに一体何を恩返ししたのでしょうか?

この作品を読み終えた時、あなたはきっと、どんな絶望の中でも希望の光はあるということ、それは何よりも人を信じ愛する心から生まれることを実感するはずです。

 

まとめ

世界大恐慌後のニューヨーク。
スランプ中のジャーナリスト、ウィットは毎日不潔な安宿で暮らし、腹を空かせて生きています。しかしある日、安宿に身なりの良い謎の男・ピーターが現れます。ウィットはピーターをナンパし、彼と一夜を共にしますが…?

世界大恐慌という地獄の中で、ウィットとピーターが起こす小さな奇跡たち、そして二人の間に生まれた愛。
何も信じられない、信じたくないと思う日々の中にポッと咲いた希望の花のような物語です。

むしゃくしゃするなあ、何もかも投げ出してしまいたいなあと思った時、ぜひ読んでほしい作品です。

それを愛と呼んで
作者:タマラ・アレン
みな絶望に押しつぶされそうな大恐慌のNY、新聞記者のウィットは安宿でピカピカの靴を履いた男・ピーターと出会う。家具が持ち出された屋敷での一夜限りの遊びだったのだが―。

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