さとむら緑先生「溺愛わんこと怖がりな猫」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
朗らかな大型犬系会社員×人付き合いが苦手な猫系料理人 のお話。
<あらすじ>
婚活も兼ねて料理教室に通っている修也は、臨時講師としてやってきた律に一目惚れ。
律が近所に住んでいることを知った修也は、律に「おうちごはん」を振る舞う約束を取り付けることに成功する。
約束の日、ワインで酔った律とキスし、いい雰囲気になったと思ったら、いきなり律が修也の足の間へ跪いてフェラし始めて!?
こんな人におすすめ
- 大型わんこ系年下攻めが好き🐕️
- 不器用な美人健気受けを幸せにしたい🥺✨️
- すれ違う両片想いをじっくり堪能したい😏♥️
ネタバレ感想
プロローグ
幼少期に実父が失踪・子供嫌いの義母に床下収納に閉じ込められて餓死させられそうになった経験のある、料理人の律。
一方、優しい両親のもとで愛情をたっぷり注がれて育った、会社員の修也。
律は親から十分な愛情を受けられず養護施設で育ったためか、コミュニケーションを取るのが苦手で、華やかな外見で男たちを惹きつけてしまっては色恋沙汰のトラブルを職場で何度も引き起こしてしまっています。一人で何でも抱え込んでしまうタイプで、「うまくやらなきゃ」「嫌われたらどうしよう」といつも不安を感じており、少しでも相手に嫌われたと感じると、絶縁するレベルで相手にわざと嫌われようとする(コミュ障あるある)など、繊細すぎて過剰な言動をしでかしがちです。
修也は「いかにも愛されて育ったお坊ちゃん」という感じで、優しく安心感のある良い男なのですが、付き合った女性に言わせれば「退屈」。また、自分や家族の言動への配慮が足りず、自分をあまり否定的な目線で客観視できない(基本的に自己肯定感が強い)というか、大雑把でやや傲慢なところが見え隠れします。
修也は美しくて物腰柔らかで料理もうまい律にすぐに惚れるのですが、自己肯定感の低い律の言動を彼はよく理解できません。それでも修也は自分の「律を好きだ」という気持ちを信じて「お試しで付き合いたい」と律に迫るなど関係を深めるのですが、修也が距離を縮めようと努力するほど二人の溝は深くなるばかり。それもそのはず、修也は自分の体験をもとにして「律も愛情深い家族に育てられたはず」という考えをベースに行動するので、もともと自分の生い立ちに負い目を感じている律はどんどん言い出せなくなり、本当の自分を出せなくなってしまうんですね。
一度はお別れをする二人ですが、律の専門学校時代からの友人である志保のナイスアシストのおかげで、仲直りすることに成功。
その後は修也が自分の言動の不躾さに気づき、律も急に修也との距離が縮まったことで不安なあまりちぐはぐな言動をしてしまったことを謝ります。
コミュニケーションや愛情を親子間で十分にもらうことができなかった人間が大人になるとどうなるのか、という部分に関して、かなり解像度の高い描写がされていたことにドキリとさせられました(私もコミュニケーションに難を抱える人間なので、律の一見突拍子もない言動の理由やその時の気持ちがとてもよく分かります😂)。
それと同時に、そんな律が、コミュニケーション強者である修也に惹かれる気持ちもよく分かりましたし、修也なりに自分の傲慢さを自覚して、律に寄り添おうとしながらも、生来の能天気さや楽観的なところは失わずにいてくれたところには、なんだか勝手に救われたような気持ちになりました。自分の何もかもを捨てて律に寄り添うというのは、修也の個性を殺す感じがしたので、自分の軸を持ちながらも律を尊重して愛しているというスタンスが分かったのが嬉しかったのです。
生育環境も外見も何もかもが違う二人が、激しくぶつかり合いながらも、同じ「好き」という気持ちを大事に抱えて差し出し合う様子は、とても尊くて、胸が熱くなりました。
エピローグ
律と修也がお付き合いを始め、修也の親族の集まりに二人で顔を出すお話です。
家族というものに縁がない律は、修也と出会うまでは「家族は無理でもせめてそばにずっといられる誰かが欲しい」と考えていましたが…修也自身の家族は両親+弟の4人家族ではあるものの、親族となるとかなりの大所帯。一気に老若男女の家族ができたのは、律にとっては嬉しい出来事だったかもしれません。(彼氏の家族ということでかなり緊張はしたと思うのですが)
修也の母・昭子はプロローグで「孫はいつ見せてくれるの」と無神経な発言を息子にしたりしていましたが、律が修也の恋人と知ってからはとても良くしてくれているようです。修也の父・琢也などは律がお土産に持ってきた手作りのシュークリームを大層気に入って、糖尿病予備軍にも関わらず「お菓子作りを教えて」と頼み込むほど。
律が修也の家族に受け入れられて良かったし、修也も家族に愛されている律を見て嬉しそうだったので、読みながらほっこりした気持ちになりました。
まとめ
実父は失踪・義母にネグレクトされて育ったがゆえに他人とうまくコミュニケーションが取れず、その美貌ゆえにどの職場に行っても色恋沙汰でトラブルを起こしてしまう料理人の律。そんな彼が失業中にアルバイトとして料理教室の教師を担当したところ、その生徒である会社員の修也に一目惚れされてしまい…というお話です。
一見、律にばかり問題があるように見えるのですが、よくよく読むと修也にもコミュニケーションに難がある部分もあり…完璧な人間は存在しないものの、おたがいに欠けた者同士がぶつかったり離れたりしながら、最後は凸凹がぴったりとくっつくまでの様子は、ドキドキハラハラの連続でとても面白いです。
単純に「大型犬のような忠誠心あふれる攻めと猫っぽい気まぐれな小悪魔受け」の話ではなく、人と人とのコミュニケーションにおいてどういう距離感が適切なのか、愛する人に対してどういう配慮や寄り添い方が必要か、という、とてもリアルな恋愛の問題を取り扱ってくれています。
「日常もののBLが読みたい」「特殊な設定ではなく、自分の身近にいそうな設定のカップルの話が読みたい」という方にぜひおすすめです。
例えるならば白湯のように、いつ飲んでも美味しいし、飲むと体に滋味が染み渡るような、そんな作品なので、ぜひちょっと一息つけるようなBLが読みたいな、と思った時に選んでみて欲しい一冊です📚✨