KJ・チャールズ「イングランドを想え」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
裕福な実業家ヒューバート卿の別荘に招かれた元英国軍大尉のカーティスには、この別荘で、自分の指を吹き飛ばし、大切な友人の命を奪った欠陥銃事件の真相を暴くという密かな目的があった。
パーティで出会った詩人、ダ・シルヴァもまた別の目的で屋敷を調べていた。
ともに行動するうち、カーティスは彼の個性的な振る舞いの裏に隠された鋭い感性に気づき惹かれてゆく―。
こんな人におすすめ
- ヒストリカルロマンスにときめく🥺
- 本格的なサスペンス×BLが読みたい🕵️♂️
- アメリカで人気が高いM/Mロマンス小説を読みたい🇺🇸
ネタバレ感想
ネタバレ感想…と書いたのですが、①サスペンスの謎解き部分 と、②終盤で起こる衝撃的な展開 については触れないことにします。
なぜなら、それを知らない方が絶対絶対面白いから!!!
その2点以外で、ざっくりネタバレ感想を書いていきます。
歴史ものだけど臨場感がスゴい
同性愛が犯罪だったころの英国の空気感が、ビシバシ伝わってきます。
同性愛を堂々と差別する男たちに苛立ちが募るけど、それさえも旧時代の香りを感じて面白いです。
歴史ものは現代とあらゆる前提が違うので臨場感って出しにくいと思うんですが、読むほど、まるですぐそこで登場人物たちが息づいているように感じられます。
謎の真相に近づくほど、衝撃の展開が!
2人が追っている謎の真相が衝撃的すぎます。そして真相に近づくほど事件が勃発するんです!!
嵐のような展開に、ページをめくらずにはいられません!!!!
凄まじいサスペンスです…。
女性が同性愛に対する悪者として描かれない
BL作品では、女性が悪者であることは結構多くあります。ヒステリックに男性を追い詰める存在として描かれることが多いです。
でも、本作は違う!
女性が感情的で貧弱な存在ではなく、ひとりの人間として尊敬の目をもって描かれています。女性読者として、それがとても誇らしく、嬉しかったです。
2014 All About Romance「ベストLGBTロマンス賞」受賞作と聞いていたので期待はしていたけれど、こんなに素晴らしいとは…。期待を遥かに超える、スリル溢れるサスペンスでした。
面白すぎて今、改めて頭から読み直しているんですが、やっぱりこの作品は絶対にネタバレを読まずに読んでほしいです。
最後の最後まで衝撃の連続なので、なんてことだ!嘘でしょ!?とドキドキハラハラしながら読んでほしいです。
ちなみに、カーティスが愛読している「少年新聞」は実在するのか、実在するなら何という英語名なのかが調べてもわからなかったので、ご存じの方がいらしたら教えて下さい〜!!
雑学
・オースティン…車。イギリスの老舗自動車メーカーが作ったレトロな車。
引用:オースチン・A50ケンブリッジ – Wikipedia
・シルヴァが住んでいそうな「ブルームズベリ」…芸術家が集まる、ロンドンのある地区のこと。
・デカダン…病的な耽美性のこと。
・フラグメンタリストのエドワード・レヴィ…フラグメンタリスト=素朴派?
・あのどうしようもないレバント人…シリア一帯出身の人のこと
・あのへなへなの南方野郎(ダゴ)…イギリスでは南ヨーロッパ系を侮蔑する言葉だが、地域によって異なる。起源はカスティーリャ語での一般的な男性名「ディエゴ」(Diego)に由来すると考えられているらしい。
・これではピカデリーサーカスに来たのも同然だ…騒々しくて雑然としていること?
・テニソンの詩なら耐えられる…以下、参考記事。かっこいい。
・「インヴィクタス」のようにみんなが知っている力強い詩…ネルソンマンデラが心の支えにしていた詩だそう。言葉の凛々しさに目頭が熱くなる。
・キップリング氏の詩…ジョセフ・ラドヤード・キップリングのこと。「ジャングルブック」で有名な小説家。詩がとても素晴らしい。
まとめ
読者の想像を鮮やかに裏切る、サスペンスの名作です。
同性愛が犯罪だった時代の英国で、穏やかな田舎の別荘を舞台に、権力欲と愛欲に塗れた地獄のゲームが始まります。
即席凸凹バディの活躍に感涙!!一瞬も目を離せません!!
全人類に読んでほしい作品です!!!!!