桃瀬わさび先生「氷の勇者は恋に泣く」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
魔王を倒した勇者×勇者を庇い死んだ幼馴染の生まれ変わり のお話。
<あらすじ>
平凡な酒場の次男・イリヤには、貧しい村の孤児院で天使のように可愛らしい幼馴染・ライリーと一緒に、魔王を倒すために修業をしていた記憶がある。
だが、勇者の存在を知った魔族が村を襲撃したため、イリヤはライリーの身代わりとなって死んでしまったのだ。
一方、成長したライリーは、イリヤを失ってしまった後、感情が抜け落ちて常に無表情になり「氷の勇者」と呼ばれていた。
こんな人におすすめ
- 転生モノが大好き
- お互いを魂の半身だと信じて疑わない、共依存めいた関係にときめく
- 攻めと受けに年齢差・体格差があるとハッピー
ネタバレ感想
アレンが死んだ時のライリーの言動に号泣
アレンはイリヤ(受け)の前世の名前、ライリー(攻め)は「氷の勇者」であるアレンの本名です。
イリヤは魔法の筋は良かったのですが、戦闘意欲が低く臆病で泣き虫。一方、アレンはそんなイリヤを守ろうと剣術に励んでいました。
「勇者の剣」は持つ人を選ぶのですが、なぜか剣に選ばれたのは2人。そんな矢先、「勇者の剣」を持てる者が現れたと知って魔族が2人のいる小さな村に攻め込んできます。2人は孤児院育ちですが、孤児院の仲間達だけでなく村人全員が魔族に皆殺しにされます。
震えるイリヤを守ろうと棚の中に押し込み、たった1人で魔族の側近に立ち向かうアレン。イリヤは泣き叫び、必死で棚から這い出ます。しかしそこで見たのは、心臓に風穴を開けられ、身体中に酷い傷を負ったアレンの死体でした。
(ここからが死ぬほど泣けるのですが…)イリヤはアレンが死んでいることを理解しながらも何度も治癒魔法をかけてしまいます。でもアレンは生き返りません。
しばらく彼を抱きしめていたイリヤは土を掘ると、アレンの遺体を寝かせ、その横に自分もしばらく横たわります。彼の体に手で土を被せていきますが、顔に土を被せることができず何度も躊躇します。
そしてアレンに土をかぶせ終えた時、イリヤは「勇者アレン」と自称するようになりました。それはイリヤが「アレンこそ人々を救った勇者だ」と強く思っていたから。
アレンがイリヤを庇うだけでも2人の絆を思って泣いてしまいますが、さらに死んだアレンに必死で治癒魔法をかけたり、アレンの遺体の隣に寝たり、遺体となったアレンの顔に土をかけられず逡巡したりするさまの描写が丁寧ゆえに、まるで目の前でその凄惨な光景が見えるようで…😭
アレンが命を捨ててまでイリヤを守ろうとしたこと、イリヤがアレンの遺体となかなか離れられなかったこと、アレンを決して忘れまいと彼の名前を名乗り始めたこと、全てが2人の愛の深さを物語っていて、涙が止まりません。
2人の愛ゆえの仄暗い執着が最高
作中でたびたび垣間見える、穏やかそうな2人の互いに対する凄まじい執着に萌え滾ります。
特にそれが感じられたのは、イリヤが魔族の残党に誘拐され、ライリーが敵の首領を嬲り殺すシーン。ライリーは敵の首領に致命傷は負わせず、じわじわと数を増やして殺そうとします。それだけイリヤを誘拐された怒りが強かったのです。
そしてそれを見たイリヤは怯えるどころか恍惚とします。それだけ自分を愛してくれている証拠だと喜ぶのです。
愛する人たちのためなら命を捨てられるほど勇敢なイリヤもライリーも、ただの善良な人間ではありません。
世界でただ一人、イリヤとライリーに手を出されれば絶対に許さないという決意をその言動からまざまざと感じ、共依存カップル好きの私としては、どこか狂気じみたその愛にゾクゾクと喜びが込み上げます。
ちなみに、私が作中で一番好きな2人の会話は、(2人の生きている国では同性愛が禁忌なのですが)「もし、それで(同性愛が理由で)、…俺と一緒に地獄に落ちても(いいの)?」とライリーに恐る恐る聞かれたイリヤが「いいな、それ。寿命なんて関係ねー(関係なくずっと一緒にいられるじゃん)じゃん」と答えるところ。
地獄でも一緒にいようとさらりと答えられるイリヤの愛の重さがたまらなく好きです。
2人のいじらしい愛情表現に胸キュン
ライリーはイリヤに嫌われたくないので、なかなか手が出せません。何をするにもイリヤの許可を取るのでとても紳士的です。
イリヤはイリヤで、前世は幼くして死んだからか性的な知識があまりありません。そのせいか、ライリーを好きだとは思ってもどんなふうに好きな気持ちを表せばいいのか、家族などに対する愛情表現以上のことをあまり理解していません。
そんな初心な2人が、少しずつ気持ちを確認して近づいていき、こすり合いっこしたりエッチをしたりと段階を踏んで1つになっていきます。そのゆっくりとした恋のスピードがとてもピュアで心地よく、「恋、してるんだなあ…」とじんわり幸せな気持ちにさせられます☺️🌸
まとめ
喧嘩が大の苦手だった「氷の勇者」(攻め)と、彼を庇って死んだ幼馴染(受け)の生まれ変わりの物語。
このお話のサビは「幼馴染が勇者を庇って死んだ」シーンと、「生まれ変わった幼馴染と勇者が愛し合う」シーン。桃瀬先生の作品にはいわゆる狡猾な悪人がほとんど出てこないので、悲惨なシーンはかなり辛く感じるのですが、その分、2人が幸せになるシーンはより多幸感が増します。
世界の誰より君が愛しいと真っ直ぐに慈しみ合う2人に温かい涙が溢れます。愛ゆえの仄暗い執着も多分に含まれるので、共依存カップル好きにもおすすめ❤️
ファンタジーBL×転生モノ好きは必読です!!