伊勢原ささら先生「ガラス瓶の中の船」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
結婚・離婚を繰り返す美形のヒモ×真面目一徹な市役所職員 のお話。
<あらすじ>
市役所の市民課に勤める谷崎舟は、頻繁に窓口にやってくる男・新田陽翔に密かに惹かれていた。ところがある日、その新田が結婚と離婚を繰り返す、役所でも有名な人物だと知ってショックをうけてしまう。
堅物で融通の利かない厳しい性格の舟からは考えられないような行動をとっていた人物が彼だったなんて…そんなある日、たまたま窓口で新田の対応をすることになり!?
こんな人におすすめ
- 伊勢原ささら先生の作品が好き❤️
- 息苦しいほど生真面目な受けが、自由な攻めに出会って変わっていくさまを見守りたい🥺✨
- 海など水をモチーフにした作品が好き⛵️💦
ネタバレ感想
この物語は、ほんっとうに大好きで…なぜ書籍化されないんだ!?と不思議なくらい、すごく完成度の高い文学作品だと思っています。
というのも、この物語は舟(受け)が、両親から愛されなかったという心の傷を、陽翔(攻め)との出会いで変えていく…親からかけられた呪いを子供が克服していく、全ての人のための物語なんですよね。
舟は、父親を疎ましく思いながらも、父親に愛されたかったという心の傷を抱えています。
そして同時に、父親のような人を愛してはいけないという呪いをかけられています。
結局、舟は陽翔という父親のように自由で屈託のない人を愛するわけですが、そこで舟は苦しむわけです。
父親のような人、陽翔を愛してはいけない、きっと自分の母のように、父に捨てられて不幸になると自分を叱咤します。
でも、当然のことなんですが、父親は父親、陽翔は陽翔、別の人間なんですよね。
陽翔はきっと舟が自分を通して父親を感じていて、だから拒否されているんだと感じていたんじゃないかなあ。
父親と陽翔は別の人間なんだ、自分は自分の好きな人を自由に愛していいんだ、と、舟は陽翔に愛し愛されることで気づきます。
父と母の呪いを捨て、自分の愛を獲得し、陽翔との人生を歩み始める舟は、人間として一皮剥けて、とても美しかったです。
一番好きなシーンは、陽翔が壊してしまった舟のボトルシップに、「君に似てる」とプレゼントされたイルカのガラス細工を付け、組み立て直して返すシーンです。
ガラス細工の描写がすごく可愛くて綺麗で、胸がギュッと握られたような切なさがあって…素敵でした🥺
姉御肌な莉子ちゃんも大好き!💪🔥
まとめ
浮気性な船員の父を憎む一方で愛を求める受け、”舟”という名前、ボトルシップ…船にまつわる小さな恋の物語です。
愛し共生することは、自身の殻を破る連続なんだな…と、読みながら家族を、自分を、恋人を愛することについて考えさせられました。
潮の香り漂う良作です🚢🐬✨