五百香ノエル先生「ヒューマンレプリカ」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
捨てられていた謎の美青年×ストリートキッズの元カリスマ のお話。
<あらすじ>
ストリート・キッズ“グール”のカリスマだったエリドゥ・ガウラティが拾った美貌の青年は、記憶を失っていた。
まるで母を慕う子供のようにまとわりつくミュージアムに、心を許しはじめるエリドゥだったが、周囲にはかつてのカリスマに執着する者たちが張りめぐらした罠があった。
そして、ミュージアムの本当の姿を知ったとき、エリドゥは…。
こんな人におすすめ
- SFBLが好き💕
- 機械と人間の境界線とさ?魂とは何か?を考えてみたい🤖
- 「まさか!」の展開に度肝を抜かれたい😳
ネタバレ感想
①23世紀の都市がまるで目の前に見えるよう…リアルな世界観描写に感嘆
物語の舞台は、合法賭博と電脳遊園地で有名な内政認可型自治シティー、レコーダー市。歓楽街「セントラル」で金を落とし、身を持ち崩した人間の吹き溜まりが作ったシティーです。
街を支配するヤクザ、パパ・シャモン。彼の子飼いのストリートキッズ「シルバック」に対抗する、受けが頭をやっていた「グール」。
これだけの情報でも、23世紀の入り組んだ街の様子、その中での権力争いの構図がくっきりと鮮やかに見えます。
まっさらな紙の上に、たった数行でこれだけの世界観を読者に見せてしまう五百香先生の発想力、文才に、震えが止まりません。
②まさか!の展開にページをめくる手が止まらない!
プロローグで謎の美女が「モーナ・シーン」と呼ばれる擬似生命体(ヒューマンレプリカ)をわざと街に解き放つシーンが描かれているのですが、話の流れ的に、明らかに、謎の美青年「ミュージアム」(攻め)が、「モーナ・シーン」その人なのです。
しかし、物語は読者の予想とは明らかに別方向に進んでいきます。そして読者はエリドゥ(受け)の秘密を知り、あっと驚くのです。
そしてさらに明かされるミュージアムの秘密。そこでもまた予想外の事実に読者は頭を殴られたような衝撃を受けます。
次から次へと明かされる予想外の事実に、読者のページをめくる手は止まりません!
③擬似生命体と人間の差は?人間とは何かを考えさせられる
モーナ・シーンは、自我があり、骨も肉も人間の何百倍も強靭でありながら、空気のない場所でも生きていけ、さらに子を孕むことができるという最大の禁忌を犯したヒューマンレプリカです。
モーナ・シーンが子供を産めば、それは人間なのか?ヒューマンレプリカなのか?
人間とヒューマンレプリカの違いは何でしょうか?魂?それならば自我のあるモーナ・シーンにも宿っていると言えます。さらにモーナ・シーンは限りなく人間に近いので寿命もあるのです。
人間とは何なのでしょうか。繁殖できるヒューマンレプリカはもはや人間なのでしょうか。
本作は、読者の生命倫理感を問う名作だと思います。
まとめ
読後、生命、愛、夢…人間の持つ、曖昧で有限なものたちについて熟考せずにはいられません。
この一冊を読み終わるまでに、何度も「やられた!」と思いました。読者の予想をことごとく覆していく鮮やかなストーリー。こんなに狂おしいほど愛おしい物語を、私は読んだことがありません。
死ぬまでに何百回も読み返したい、SFBLの超名作です🏆✨