マキ先生「蘇獣師の召喚」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
朱鷺雄は名前の音数が多いほど蘇獣という生き物と契約し、権力を手にする不思議な世界に攫われてしまう。
強力な蘇獣師であるヒクイドリは朱鷺雄に蘇獣との契約を迫り、否応なく世界の存亡にかかわることになり!?
こんな人におすすめ
- 主人公総受け、総愛されが好き
- ファンタジーBLが好き
- 俺様攻め×流され受けが好き
ネタバレ感想
世界観設定が独特で面白い
タイトルからして独特ですよね。「蘇獣師って何?」って惹きつけられます。
本作はその蘇獣師と彼らの使い魔的な蘇獣がメインとなって話が進んでいくのですが、この蘇獣師という選ばれし者になるには制約があるんですね。蘇獣師のいる世界には蘇獣師としての力による差別が生まれてしまい、それによって被差別民が反乱を起こす…といった、そんなストーリーになっています。
特に私が好きな設定は、①蘇獣師は名前の音の長さが長いほど強い ②蘇獣は「生と死」など相反するものから生まれる(例えば動物の死骸から、蘇獣師の「生まれてほしい」という意思を吸い取って生まれるとか) という二つの設定。
蘇獣の成り立ちが特に面白くて、相反する概念の中から生まれるっていうのがなんとも哲学的というか…独創的ですよね。
ファンタジーBLの醍醐味は作者が自由に異世界の常識を改変できるところにあると思いますが、その点で本作は人間の「生と死」に焦点を当てた独自の世界観設定になっていてとても面白いです。
善と悪は紙一重…重い読後感
主人公・アケノトキオ(受け)は蘇獣師であるヒクイドリ(攻め)になぜか世界線を飛び越えてスカウトされます。
なぜスカウトされたかというと、ヒクイドリの生きる世界ではアルバトロスという蘇獣師と緑黄という蘇獣が力の強い蘇獣師と蘇獣たちを次々殺して混乱を巻き起こしているから。2人を止めてほしいとヒクイドリはトキオに頼みます。
一見、アルバトロスと緑黄が完全悪に思えますが、実は蘇獣師をエリートと崇めるこの世界では蘇獣師になれない者たちはひどく差別をされているわけで、アルバトロスはそれを是正したくて力の強い蘇獣師たちを一掃し、世界を作り替えようとしていました。
アルバトロス自身は生まれた時から蘇獣師としての才能があり周りに尊敬されていましたが、自分に優しくしてくれる老人は蘇獣師でも何でもなく被差別対象だったため、その老人を守りたくて立ち上がったのです。
殺人を犯すことは許されざることですが、彼の憎しみを生んだのは歪な社会の構造が原因です。
こういった事件は形を変えて現実にも多数存在していて、さまざまな事例が思い浮かんでは苦しい気持ちにさせられます。
色彩豊かな描写に引き込まれる
蘇獣の目の色を判別できる蘇獣師は、強い力を持つ一握りの者だけ。蘇獣の目の色=蘇獣の名前で、名前を言い当てられるとその者の主人になる資格を得ることができます。
蘇獣の目の色はまるで、色とりどりの宝石です。緑黄、水晶、朱…その言葉を聞くだけでも、「この世界にはなんて多くの色彩が溢れているんだろう」とときめきます。
そして、物語の舞台は空・海・陸とあちこちに移ります。そのたびに陸に広がる青々とした野原や白っぽい切り立った山脈、どこまでも広がる濃紺の海、抜けるような澄んだ薄氷色の青空が文章から想像できて、まるで自分も作品の世界の中を鳥のように飛び回って見ているような感覚にさせられます。
コンクリートジャングルで生きる現代の私たちにとって、本作中の色彩豊かな風景は素晴らしい癒しになってくれることでしょう。
まとめ
異世界で蘇獣を操る男(攻め)と、男に異世界へ引き摺り込まれた平凡な美大生(受け)のお話です。
死と生など相反する力から生まれる生き物、「蘇獣」。それらを操る「蘇獣師」。
蘇獣師たちの作った歪なヒエラルキーの社会の中で、異世界から来た主人公のアケノトキオは懸命に平和を求めます。
獣姦っぽい描写もあるので、苦手な方は要注意!
蘇獣たちはトキオへの愛がとても強いので、主人公総受け・主人公総愛され好きにおすすめです😚✨